ハンカチ白無地 44cm 5枚組
クロバー(Clover) 刺しゅう枠 15cm
DMC 刺繍糸 25番 ecru
フランス刺繍をはじめてみたい!
フランス刺繍をチクチクと縫う優雅な午後。針と糸を動かして素敵な風景や動物などを刺繍していると心がやすまります。
これから、そんな素敵なフランス刺繍をやってみたいという初心者の人に、用意したい刺繍道具や刺繍用の生地の選び方、刺繍図案の決め方やその写し方などの初歩的な刺繍のことから説明していきます。
刺繍道具や図案・生地が揃ったら、簡単なステッチ(刺繍の縫い方)から少しずつできるステッチを増やせば、非常に幅広いフランス刺繍作品を作っていけるようになります。
フランス刺繍とは
中世ヨーロッパでは刺繍は上流階級の女性の教養として広まった
フランス刺繍といえば、優雅なドレス姿の御婦人が庭のテーブルに刺繍道具や生地を持ち出してチクチクとする手芸なんて、古い映画の描写がありますね。
その刺繍の描写は、演劇の世界だからといったおおげさでも何でもなくて、まさに古い時代のヨーロッパの女性のあこがれの姿でした。フランス刺繍をはじめとする刺繍は、裕福な上流階級の女性の"たしなみ"だったのです。
刺繍の種類
刺繍のやり方種類にもたくさんあります。今回スポットを当てるフランス刺繍の他にも、リボンで刺繍するリボン刺繍、ビーズを刺して刺繍をほどこすビーズ刺繍。
短い糸を針で生地に刺して立体的な動物や風景などを作るニードルポイントなどなど。簡略化された繰り返しの図案を差す日本の刺し子も、刺繍の種類の中のひとつです。
フランス刺繍は基本
刺繍は針と糸を使って生地に装飾をほどこす手芸です。その中でも、フランス刺繍はすべての刺繍の基本、一般的なやり方として他の刺繍をやりたい人でも一通りやり方を知っておくことをおすすめする刺繍の種類です。
生地の扱いや、刺繍針の動かし方だけでなく、数多くのステッチを学ぶことができるフランス刺繍。基本的な種類の刺繍ですから、初心者がはじめるのにもおすすめの刺繍です。
フランス刺繍の道具・材料
①枠
刺繍を始めるにあたって、まず用意したい独特の道具に、刺繍枠があります。多くは木の枠に引き締めるための金具が取り付けられた「フープ」とも呼ばれるもの。フープとはドーナツ状になったもののこと。
フラフープなどといいますよね。あのフープと同じです。この刺繍で使うフープは、刺繍を刺す時の道具であるとともに、壁飾りなどに出来上がった刺繍を飾り付けするときの道具としても使われます。
刺繍枠の種類
刺繍枠は木製のものがおすすめですが、100均などではプラスチック製の刺繍枠も売られているのを見かけます。フランス刺繍を長く続けたいという人は、木製枠を購入することをおすすめします。
それほどお高いものではありませんし、何年使っても木枠ならばそれほど劣化せず使い続けられます。大きさ別の種類になっていますので、刺繍のサイズに合わせて枠の種類を選びましょう。
刺繍枠を使い始める前に
最近のSNSの作品などを見て驚くのですが、木製の刺繍枠をそのまま使って刺繍をされている方が多いです。でも、基本的に刺繍枠には、刺繍をほどこす生地の痛みを防ぐために、買ったらすぐに薄い生地を枠に巻きつけて、クッション性をもたせるようにするとよいでしょう。
生地の締り具合は金具で調整できますので、薄い生地を枠に巻きつけても生地の抑え具合は変わりません。
②針
フランス刺繍の針は、一般的な刺繍針です。初心者の方は、針の種類の中から選ぶときは、針穴の太さで選ぶとよいでしょう。特に刺繍針でなくても針穴さえ太い針であれば、どんな種類の針でも刺繍できます。
フランス刺繍は6本取りの刺繍糸1本から太くするステッチなら6本そのまま針に通す必要も出てきます。特に少ない手数で作品を完成させたいと思っている初心者さんは、針穴の太いタイプの刺繍針も用意してください。
刺繍針は消耗品
良い刺繍針は、買ったときに丁寧に油紙に包まれています。これは、刺繍針が錆びやすい性質を持っているから。手で握って、生地の間を通し、使っているうちにこの刺繍針の油は取れてしまいます。
針山は針を差して保存するという意味の他に、針に油を補充するという意味もあります。昔は女性の長い髪の毛で針山を作ったのは、頭髪の油がちょうど良かったからです。
安い針でも
話がそれましたが、そんなわけで、刺繍針はどうしても針山から出ている部分が錆びてきます。
刺繍に限らず、針は消耗品です。確かに、100均の針よりもメーカー品の方が扱いやすい、丈夫という利点はありますが、錆びるときにはどの刺繍針も錆びて使えなくなります。針に関しては安いものでもいいかなという気がします。
初心者の方は、お店の方の意見も聞いて、実際手にとって見て、自分の使いやすい、手に入りやすい刺繍針を選びましょう。
③生地
刺繍をする生地を激しく限定するクロスステッチと比べて、フランス刺繍は刺すものにこだわらないという一面があります。ハンカチのような薄い生地から、ウールなどの分厚い生地まで。
どのような生地、どのような服にも刺繍することができます。それは、フランス刺繍の針が一般的な縫い針のように先が尖っていることに起因します。
初心者におすすめの刺繍生地
ハンカチ白無地 44cm 5枚組
ただし、フランス刺繍は何にでもできるけれど、刺繍しやすい生地、刺繍しづらい生地は当然あるわけで…。初心者の方が刺繍はじめるのにおすすめしたいのは、綿のハンカチでしょう。
サイズも大きすぎず、小さすぎず。色も選べて、生地は薄手で針が差しやすいという特性を持っています。何より誰でも手に入りやすく、刺繍をしたあとすぐ使えるというところが一番のおすすめ理由です。
フランス刺繍をはじめる際にかかる費用は?
クロバー(Clover) 刺しゅう枠 15cm
ここまで、刺繍に使う道具や生地をご紹介してきましたが、これは全部でどのくらいの費用になるのか…。ハンカチの大きさの刺繍をする場合、刺繍枠で1,000円、刺繍針はメーカー品でも1セット200円程度。
ハンカチ代金として1枚500円も見ておけば良いでしょう。全部で2,000円もせずにとりあえず道具は揃えることができます。ここに糸代を足せばフランス刺繍を始める費用が計算できます。
DMC 刺繍糸 25番 ecru
刺繍糸の有名メーカーといえばDMCをご存知でしょうか。刺繍をはじめると、嫌というほどその社名を聞くことになるであろう、大手の糸メーカーです。
こちらの25番手のフランス刺繍糸で1束100円程度。DMCの通販サイトなら80円台くらいで1束買うこともできます。これを使う色の分必要とします。糸の値段は、ハンカチサイズといっても、使う色数によって変わってきますので、各々計算してみてください。
1作品にかかる時間は?
刺繍の手の速さも人によって違いますが、初心者の方でも慣れてくれば、ハンカチ程度のサイズの刺繍のものならば、一晩(2時間~4時間)程度で刺繍することができるでしょう。これには図案を選んだり、図案を写す作業にかかる時間は含まれませんのでご注意を。
図案について
図案の入手方法
さて、刺繍をはじめるには図案が必要になってきます。中にはごくごく稀に、何も図案を用意せず刺繍をする方もいるようですが、ほとんどの方が図案を用意してそれを生地に写して刺繍をします。この図案、どのように入手するかというと…。
①自分で描く
刺繍をしたいデザインがある場合は、自分で図案を描きましょう。フランス刺繍は、図案を刺繍にする技法(ステッチの数)が豊富です。その図案を何ステッチで刺したらよいのかは、描かれた御本人のセンスになりますが、たいていのものは、刺繍にすることができます。
②図案を借りる
フランス刺繍用の図案を、公開されているサイトからのダウンロード、刺繍キットなどに図案が含まれているものを二度目に使うなど、できあいの図案を使うことも、もちろん可能です。
ただし、借りている図案はハンドメイド作品として売ることはできませんので、いずれ出来上がった作品を売りたいという人は注意が必要です。
図案の写し方
自分の刺繍したい図案が決まったら、早速生地(ハンカチ)に写していきましょう。写し方の説明です。まずは、用意するのは刺繍する生地、図案、チャコペーパー、書けないボールペンなどです。
写し方の順番
写し方の順番は、まず、生地、チャコペーパー、図案とサンドします。その上から図案どおりに、書けないボールペンなど先が少し丸くなった硬いもので図案をなぞれば、生地に図案を写すことができます。
写し方のコツ
小さなものなら良いのですが、図案サイズが大きなものを写すときは、写し方に工夫しないと、せっかくの図案がズレてやり直しということも。広範囲に図案を写すのはとくに難しいと感じる人も多いです。そんなときの写し方は、まずしっかり生地と図案を固定することがコツです。
チャコペーパーが無い場合の写し方のコツですが、トレーシングペーパーなどにまず図案をトレスします。トレーシングペーパーの裏に、4Bなど黒くて太い鉛筆で塗りつぶします。
そのまま、生地の上に図案のトレーシングペーパーを置き、硬いものでなぞります。鉛筆の線は洗濯すると消えますのでチャコペーパーがなくても、図案を写すことができます。
ただし、不要な部分まで汚れてしまうこともありますので、チャコペーパーをおすすめします。
図案を写した紙が薄くて破れそうなときの写し方のコツです。図案の上に透明ビニールを一枚置いてから、上から硬いものでなぞれば、図案の紙が破けずに生地に写すことができます。
この透明ビニールはある程度の硬さのあるものでなくてはいけないので、少し力が必要です。ラップなどのペラペラなものでは、薄すぎて代用不可です。
透明ビニールは、テント屋で購入可能です。厚みもいろいろありますので、専門店で買うのが見ながら選べて便利です。
フランス刺繍の基本のやり方
①ストレートステッチ
フランス刺繍は一般的な刺繍なので、使うステッチの数は非常に多いです。まずは、アウトラインなどを引くのに便利なストレートステッチをご紹介しましょう。その名の通り、ストレートに刺す刺し方(ステッチ)です。コツは糸目を揃えること。それ以外気をつけることもなく、簡単な刺し方です。
ストレートステッチの使い方
その名のとおり、まっすぐな1本の糸で表現する刺繍のやり方です。図案のアウトラインなど(アウトラインステッチというものもあります)、輪郭に使用すると良いでしょう。
②レイジーデイジーステッチ
これも初心者さんに覚えて欲しい、ひとつのステッチで花びらのような形ができる刺し方(ステッチ)です。このやり方は、まず
①下から出した針を同じ場所から下に戻します。
②糸を引ききってしまわずに、少し上(花びらの頂点)に針を出し糸を引っ掛けます。
③花びらが丸くふっくらする程度に糸を引きます(引きすぎ注意)。
④その花びらの糸を留めるように針を下に戻してできあがり。
レイジーデイジーステッチの使い方
デイジーとはひなげしの花のこと。花びらのようなステッチという名前のとおり、花びらの表現で使うことが一番の目的でしょう。レイジーデイジーステッチの応用で、チェーンステッチというものがあります。
花びらをひとつひとつ留めずに、つなげていくステッチです。これを太めのアウトラインにする技法もあります。
③フレンチノットとバリオンステッチ
どちらも花の表現によく使われる刺し方(ステッチ)です。写真上の丸い小さなステッチがフレンチノット。黄色いバラの花びらを表現しているのがバリオンステッチです。
フレンチノットの刺し方
初心者の人でも馴染みやすいのがフレンチノットでしょう。いわゆる、お裁縫で使う「玉止め」の要領でやれば良いので簡単です。玉止めが上にくると思えばいいのです。
下から針を出してきて、1回(または2回)針に刺繍糸を巻き付けます。1ミリ程度間をあけて針を下に差します。そのまま綺麗なノット(玉止め)になるように、引き加減を注意しながら引いていけばできあがりです。
バリオンステッチの刺し方
バリオンステッチは、フレンチノットの応用編のような差し方です。やり方は
①針を下から出してくる。
②バリオンステッチの終点になる部分に針を入れて、1の穴の隣に出してくる。
③作りたい長さのバリオンステッチ分だけ針に糸を巻きつける。
④引きすぎないように糸を引いて形を整えながら、2と同じ穴に針を差して完成です。
④サテンステッチ
フランス刺繍でよく使うステッチですが、苦手という人が多いのがこのサテンステッチです。図案の中をストレートステッチで埋めるような感じの差し方になります。写真は、芯入り(真ん中をふっくらさせるために中に隠しストレートステッチを入れている)のサテンステッチです。
サテンステッチのコツ
筆者もそれほどサテンステッチが得意な方ではありませんが、コツは針を刺す間隔を一定にすること。カーブがあるものは内側と外側の針を出す間隔を調整すること…でしょうか。
特に、刺す間隔を一定にするとでこぼこしたり、隙間があいて見苦しいなどという失敗は減るでしょう。存在感のある、素敵な刺繍になるサテンステッチは、見栄えを良くするにはたくさん使っていきたい差し方です。
⑤ロングアンドショートステッチ
サテンステッチのように、図案の中を糸で埋めたいときに使う差し方(ステッチ)です。サテンステッチで一気に端から端まで刺すと長すぎると感じるような広い面を、ステッチで埋めるときに使用します。
ロングアンドショートステッチのやり方
差し方はサテンステッチと同じですが、短い針目、長い針目を交互に差していくのが特徴です。長いもの、短いものも、全て同じ長さで揃える必要はありません。
むしろランダムの方が良いでしょう。ひとつの面を何段かに分けて、でこぼこのサテンステッチで刺すというイメージでやるとうまくいきます。
作品が完成したら
①飾る
クリスマスなどのイベント用の飾りとして、オーナメントに刺繍を入れて飾る方も多いです。オーナメントだけでなく、普通にハンカチなどに刺繍をしたものを枠ごと壁飾りとして飾っている方もたくさんいらっしゃいますよ。
使い道は特にないけれど、素敵に出来た刺繍は、飾りにして眺めて楽しみましょう。
②身につける
ハンカチに差したイニシャルでしょうか。かわいい花の英字の刺繍です。自分のハンカチに、旦那さまやお子さんのハンカチに、ちょっとした刺繍を入れてみましょう。使う度に刺繍が目に入って、あなたのことを思い出してくれます。あたたかい愛情を感じる瞬間ですね。
③贈る
ご結婚祝い、誕生日祝い、長寿のお祝いなどに、そのシーンに合わせた図案を選んで刺繍をして額縁に入れてプレゼントしてみてはいかがでしょうか。贈る相手のことを思ってひと針ひと針心をこめた、その気持が相手の方にきっと伝わります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。フランス刺繍を始めるために用意するものから、図案について、基本的な刺繍の差し方数種類をご紹介してきました。
出来上がった作品も、飾ったり使ったりといろいろなアイデアで、たくさんの人にあたたかな気持ちをおすそ分けできます。誰でも簡単にできる、基本的な刺繍テクニックで作るフランス刺繍。これを機会に、ぜひはじめてみてください。
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