ハサミの握力がすごい「ノコギリガザミ」とは?
とても高級品として扱われている美味なカニ「ノコギリガザミ」をご存知の方は少ないかもしれません。釣りをしていると出会うことがあったりしますが、市場に多く出回るものではありませんので、見かけることは少ないですね。このカニはハサミの力が非常に強く、その握力は恐ろしい程です。今回はそんなノコギリガザミの生態・食べ方・調理レシピ・捕り方などをご紹介していきます!
ノコギリガザミの特徴
ノコギリガザミとは?
ノコギリガザミとは、ワタリガニ科ノコギリガザミ属に分類されるカニの仲間です。甲羅の大きさが20㎝程度にまで成長するとても大きなカニで、足まで含めるとかなりのサイズになります。3種類ありますが、どの種類も茶色がかった色をしています。特徴は巨大なハサミで、非常に握力が強く、うかつに近寄ると危険です。
ノコギリガザミの名前の由来
ノコギリガザミという名前は、甲羅にノコの歯のようなギザギザがついていることから名づけられました。このギザギザ部分などで、どの種類のノコギリガザミなのかが判別出来ます。因みにガザミという名称は、挟まれると危険なカニハサミとされていて、それがいつしかガザミと呼ばれるようになったと言われています。
ノコギリガザミの地方名
ノコギリガザミは海外にも生息していますが、日本にも生息しており、地方によって名前が違います。有名なのは、浜名湖産の「どうまん」ですね。他にも、高知県では「えがに」や「本がに」と呼ばれたり、「真がに」とよばれることもあります。マングローブにも生息しているので、関東では「マングローブガニ」と呼ばれることもありますね。
ノコギリガザミのハサミの握力は?
ノコギリガザミのハサミの握力
ノコギリガザミの最大の特徴が、大きなハサミです。このハサミ、実は非常に握力が強く、1トンもの握力があると言われることも。一般的には握力は800㎏と言われているのですが、非常に強いことが分かりますよね。上記の動画ではボールペンをノコギリガザミに挟ませているのですが、ペンチでもこうならない程に曲がっています。
ノコギリガザミのハサミは要注意
仮にノコギリガザミに指を挟まれたとすると、指の骨が折れる、もしくは指がちぎれてしまう可能性すらありますので、大変危険です。もし見つけても、迂闊に手を出してはいけません。市場に流通する際は生きたまま流通することが多いのですが、画像のように、しっかりとしばって流通されます。どれだけ危険なのかが伝わりますよね。
ノコギリガザミの生態
生態①ノコギリガザミの分布
生息分布は主に熱帯域となっており、アフリカやオーストラリア、ハワイなどのマングローブに生息しています。泥に大きな穴をあけて隠れていますので、マングローブで大きな穴を見つけたら、中にノコギリガザミがいる可能性があります。日本では千葉県より南に生息しており、浜名湖、高知、沖縄などでも見かけます。
生態②ノコギリガザミの成長
ノコギリガザミの寿命は大体2~3年程とされています。地域によって違いはありますが、大体5~8月頃が産卵期となっており、一度に200~500万匹も出産します。孵化したあと、ゾエア期から計6回の脱皮を経て稚ガニ(3~4㎜程度)となり、そこからはスクスクと成長して、すぐに甲幅10㎝程度になります。
生態③ノコギリガザミは気性が荒い
ノコギリガザミは大きなハサミを持っていることからも分かる通り、非常に攻撃的なカニです。特にオスは好戦的であり、縄張り意識も強いので、同じ種類とはいえ、オス同士が出会うとすぐに喧嘩をしてしまいます。喧嘩になるとハサミや脚がとれてしまうことが多いのですが、脱皮をする内に再生されます。
ノコギリガザミの種類
種類①アミメノコギリガザミ
日本にせいそくしているノコギリガザミは3種類います。こちらは額中央の4歯が鋭く長く尖っているのが特徴。また、ハサミなどに黒い網目模様があります。インド洋や南アフリカ、太平洋諸島や台湾などにも生息しています。
種類②アカテノコギリガザミ
こちらは名前の通り、手が赤いのが特徴です。額中央にある4歯は低めとなっているのも見分けるポイント。また、網目もありません。手が他の種類と違って色づいていますので、見分けるのは簡単ですよね。こちらはオーストラリアやベトナム、マレーシアやパキスタンなどにも生息しています。
種類③トゲノコギリガザミ
一番よく見かける種類が、こちらのトゲノコギリガザミです。額中央の4歯は、高さと幅が同じくらいとなっています。お腹は少し赤っぽく、脚の一部に網目も要があります。中国や台湾、ベトナムやジャワ島などでも見かける種類ですね。
ノコギリガザミの味と旬
ノコギリガザミの味は?
気になる味ですが、とても美味なカニであり、味は非常に濃厚です。殻がとても硬いのですが、その中には身がしっかりと詰まっており、食べ応えは抜群。プリっとした身で、甘みが強く、高級ガニとして扱われています。そのまま茹でるか、蒸して食べるのが一般的ですが、様々な調理方法で美味しく食べられるのもポイントですね。
ノコギリガザミの旬は?
ノコギリガザミは地方や性別によって旬の時期が少し変わります。メスのノコギリガザミは冬時期が旬で、オスのノコギリガザミは夏~秋頃が旬とされています。普通のカニは冬が旬ですので、夏頃から旬が始まるのは特徴的ですよね。南へいくほど気温が暖かくなりますので、少し寒い季節になっても、地方によっては旬の味を楽しむことが出来ます。
美味しいノコギリガザミの選び方は?
ノコギリガザミが一般的な場で販売されることはあまりありませんが、もし選ぶ機会があれば、なるべく美味しいものを選びましょう!とはいえ、見た目で判断出来る部分はあまりありませんので、生きている状態であることはもちろん、なるべく元気そうなものを選びたいですね。
ノコギリガザミの捕り方・釣り方
罠を放置するタイプの捕り方
カニマンションなんとかしてよ!って帰ってくるなり怒られました pic.twitter.com/QVhiRsBy9M
— やす(チーム⑦賑やかし担当) (@yassa___n) July 28, 2018
高級品として扱われているノコギリガザミですが、実は自分で釣りをしたり、工夫した捕り方で捕まえることが出来ます。一番簡単なのは、長時間かけて捕まえる罠での捕り方です。上記画像はカニマンションというアイテムなのですが、これをノコギリガザミが生息している場所に仕掛けておくことで捕れることがあります。ただし、規制がかかっていることもありますので、確認してから使用しましょう。
シンプルなタモでの捕り方
あまり多くは無いのですが、釣りをしていると、堤防の壁などにノコギリガザミが沢山張り付いているシーンに出くわすことがあります。これは絶好のチャンスですので、手持ちのタモでどんどん捕っていきましょう。釣りをしているとそういう場合もありますので、タモはいつでも持っておきたいですね。ただし、ハサミがとても危険ですので、取り扱いには注意して下さい。
釣りで釣れるパターンもある
普通に釣りをしていたつもりなのに、いきなりノコギリガザミが釣れてしまうことがあります。あまり一般的には知られていなかったりしますので、釣ったあと、これは食べられるのか、名前はなんなのか分からない状態になる方も沢山いますね。とても高級品であり、もちろん食べられるのですが、知らないと危険なカニですので、是非周りの方にも教えてあげて下さい。
ノコギリガザミの食べ方
食べ方①ノコギリガザミの捌き方動画
こちらの動画では、ノコギリガザミを捌いている様子が撮影されています。そのまま丸ごと蒸したり茹でたりする場合は別ですが、捌いて使いたい場合は参考にしましょう。まずは危険なハサミを落として、次にふんどしをとっていきます。殻がかなり硬いので、指を怪我しないよう注意して下さい。また、元気な状態ですと危険ですので、仮死状態にしておくことも大切です。
食べ方②ノコギリガザミの自切について
ノコギリガザミをそのまま茹でたり蒸したりする際、生きたままいきなり高温状態にすると、驚いて脚を切り離してしまいます。これを「自切」と言うのですが、自切してしまうと旨味が流れてしまいますので、先に仮死状態にしておくことが大切です。また、調理する際はふんどし、もしくは口から棒などを入れてトドメをさしておくと良いでしょう。
食べ方③ノコギリガザミの泥抜き
罠や釣りなどでの捕り方で捕まえたノコギリガザミは、体の中に泥を持っていますので、泥抜きをしましょう。そのまま食べてしまうと、泥臭さがありますので、綺麗な海水の中で1~2日ほど放置します。その後、仮死状態にしてから調理していきましょう。
ノコギリガザミの調理レシピ①
ノコギリガザミの調理レシピ「塩茹で」
ノコギリガザミはどのように調理しても美味しいのですが、まずは塩茹でで食べて、そのままの美味しさを味わってみましょう。塩茹でをすると、アスタキサンチンという物質が分離して、画像のように美しい赤色になります。この状態になると、一般的なカニのイメージに近づき、美味しそうに見えてきますよね。
ノコギリガザミの調理レシピ「蒸し蟹」
塩茹でと合わせておすすめなのが、蒸し蟹です。蒸し器にもよりますが、大体25~30分間程蒸せば出来上がります。蒸すと非常に美味しそうな匂いが漂ってきますので、食欲がそそられますね。こちらも、しっかりと下処理をしないと脚が自切されることがありますので、冷蔵庫・冷凍庫で仮死状態にして、しっかりトドメをさしておきましょう。
ノコギリガザミの調理レシピ②
ノコギリガザミの調理レシピ「内子」
トゲノコギリガザミが蒸しあがりました!
— 水夢 (@suimu2013) September 29, 2017
見た目が同じサイズで少し重い方を蒸しましたが狙い通り内子(マタゴ)たっぷり♪
やっぱりノコギリガザミは旨いですねぇ♪♪#蟹 #ノコギリガザミ pic.twitter.com/qzgOqo3O4Q
旬のメスが手に入った際に楽しみなのが、内子です。内子とはカニの卵巣、もしくは卵のこと。冬時期のものは内子を持っており、こちらも非常に美味です。メスを狙って捕まえることは困難ですが、もし手に入ったなら、蒸して美味しく頂きたいですね。上記のツイートでは、とても美味しく頂いている様子が紹介されています。
ノコギリガザミの調理レシピ「味噌汁」
【西表島名物料理】
— 八重山ツアーズ(西表島・石垣島・小浜島) (@iriomote_tour) March 7, 2017
西表島名物ノコギリガザミ!
この大きな爪と非常に美味しい出汁が特徴的です。特製の味噌汁でお召し上がりください。#海 #南国 #沖縄 #西表島 #西表島ツアーズ #泡盛 #villa西表 #ノコギリガザミ #ランチ pic.twitter.com/FU0POq80GO
そのまま食べるのが一般的ではありますが、他にも炒め物やサラダに使われることもあり、食べ方は様々です。中でもオススメなのは、お味噌汁。とても良い出汁が出ますので、非常に美味なお味噌汁になります。画像のようにそのまま入れても良いのですが、入りそうになければ切り分けて入れましょう。
まとめ:ノコギリガザミとは?
今回の「ハサミの握力がすごい「ノコギリガザミ」とは?その食べ方や調理法まで解説!」はいかがでしたでしょうか?特徴や握力、食べ方、捕まえ方など、様々な面をご紹介させて頂きましたが、とても興味深いカニでしたよね!高級品であり、一匹数千円しますので、中々食べる機会が無いかもしれませんが、捕まえることも出来ますので、興味がある方はチャレンジしてみましょう!
ノコギリガザミが気になる方はこちらもチェック!
今回はノコギリガザミについてご紹介させて頂きましたが、他にもカニ・魚に関する記事が沢山あります。気になる方は是非見てみて下さい。
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