ヒヤシンスの球根は保存できる?
ヒヤシンスの育て方と来年までの球根管理
ヒヤシンスはもしかしたら、小学生の頃に理科の水耕栽培の教材として育てたことがある人もいるかも知れません(筆者は小学生の頃に学校で育てました)。学校で育てたことがないという人でも、ヒヤシンスの花くらいは見たことがあるのではないかというくらい、ポピュラーな花のひとつです。ヒヤシンスの花の育て方、また花の後の球根はどうしたらいいのか、植えっぱなしではダメなの?等、来年までの管理方法を見ていきましょう。
ヒヤシンスの花・基本情報
原産地
ヒヤシンスの原産地はトルコやシリア、ギリシャなどです。しかし、観賞用のヒヤシンスとしては、オランダが有名な産地。ダッチヒヤシンスなどという名前で多く流通されているもののほとんどがオランダで作られた球根。花や球根も大きく、植えっぱなしでも素敵な花を咲かせてくれることで知られています。
植え付け時期
ヒヤシンスといえば、春の花ですね。植えっぱなしなら時期になれば、ヒヤシンスのタイミングで芽吹いてきますが、新たにヒヤシンスの球根を植え付ける時期は、球根が出回りはじめる10月ころから。12月ころまで植え付けすることができます。
花の見ごろ・旬
そして、10月ころから植え付けたヒヤシンスの球根は、冬の間スクスクと育ち、春の訪れを感じる、暖かくなってきた3月~4月ころに花の見ごろ(旬)を迎えます。花の時期は春。春の花壇に良い香りを運んでくれます。
人気のヒヤシンスの種類・仲間①
ヒヤシンスの種類
ヒヤシンスの種類は、実は特別な名前がなく、白花や黄花、ピンク花や赤花など、花色で呼ばれるものがポピュラーです。もちろん、園芸用の名前がつけらけたものもありますが、ヒヤシンスは花の種類ではなく色の種類によって種類分けがされ「ヒヤシンス(白花)」などとと呼ばれています。これは、ヒヤシンスは種類によって花の色が違うから。もう少し詳しく花色と種類名をご紹介しましょう。
オレンジ色の種類
ヒヤシンスは花色によって花の種類が分けられているというお話をしましたね。その中でも、ちょっとめずらしいオレンジ色の花を咲かせる種類が「オデッセイ」(またはオデッセウス)と呼ばれるものです。
黒い色の種類
ヒヤシンスの中でも、非常にモダンな黒に近いような濃い色の花を咲かせる種類が「ミッドナイトミスティック」。春の花としては、ちょっとダークな花は他の花と合わせにくいかも知れませんが、花壇の花でなく、鉢植えで家の中でインテリアのひとつとして栽培すると、使いやすそうですね。
白い花の種類
白いヒヤシンス。ピンクと並んで、ヒヤシンスらしい花色として好まれている白の種類は「カーネギー」というものがあります。ヒヤシンスの原種の花色はブルー(紫がかっている)なので白は珍しい花色といえるでしょう。
人気のヒヤシンスの種類・仲間②
ムスカリ
日本では、ヒヤシンスと比べるとあまり一般的ではないのかも知れませんが、海外ではヒヤシンスというとムスカリが出てくるくらい人気の花の種類です。ちょうどヒヤシンスの根元に植えられたムスカリの花の写真がありました。比べると一目瞭然。ヒヤシンスと比べて背丈も低く、茎も細い。花は釣り鐘型の小さな花がたくさん付いていてかわいいですね。花色はブルーが一般的、白もあります。こちらもとても良い香りがする花です。ヒヤシンスと一緒に花壇に植えたり、寄せ植えにすると映えるお花ですよ。
ヒヤシンスの球根:育て方・管理方法①
育て方1.地植え
ヒヤシンスの基本的な育て方として、地植えの植え方、育て方をご紹介しましょう。ヒヤシンスは、涼しくなってきた秋に植え付けて、春に花を咲かせる種類の植物。冬の間大きくなる植物は耐寒性が高いものが多いですが、その中でも特にヒヤシンスは耐寒性にすぐれていて、積雪が多い地方でも地植えできちんと育ってくれます。
育て方:水やり
植えっぱなしの球根を含め、地植えの球根には水やりはほとんど必要ありません。もし、何日も雨が降らずに、葉の先が萎れてきたようであれば、たっぷり水をあたえる程度で良いでしょう。
育て方:肥料
ヒヤシンスは球根植物なので、放置しておいても花は咲きます。しかし、来年も同じ球根を育てたい。もしくは、球根を増やしたいというのであれば、元肥として粒タイプの化成肥料を、花が終わったあとに、球根から少し離して追肥をあげるようにして育てます。
花壇への植え方
ヒヤシンスの根は、水耕栽培しているとわかるのですが意外と長く伸びます。地植えの場合の植え方は、植え付ける前に30~40センチくらいは土を耕して柔らかくしましょう。また、深さも必要で球根の頭の部分から地表までちょうど球根の背丈と同じくらいの深さで植えていきます。球根と球根の間隔も、同様に球根の横幅と同じくらい間を開けて植え付けるという植え方をします。
ヒヤシンスの球根:育て方・管理方法②
育て方2.鉢植え
ヒヤシンスを大きく、立派に咲かせるなら何といっても地植えがおすすめですが、鉢植えのヒヤシンスもかわいいですね。鉢植えの植え方も、1本だけ植えて仕立てる植え方のほか、たくさんの球根を1つの鉢に植える植え方もあります。どちらかというと、鉢植えは翌年のことは考えずに、来春に綺麗に見えるよう、新しい球根を買って1年で終わりとして育てる植え方が主流です。寄せ植えなどに使うのも同様で、球根は使い捨てと考えた方がよいでしょう。
1株だけなら来年も育てられる
プランターは素焼きの鉢などでも、十分な土と養分があれば、地植え同様来年も同じ球根を育てることが可能です。ただ、下に30センチの高さがある鉢というのはなかなかありませんので、できるだけ大きな鉢に植え付けるという植え方で良いと思います。
植え方・育て方は地植えを参考に
鉢植えだから時期が変わるということはありません。肥料のやり方なども同様です。基本的なヒヤシンスの植え方、育て方は地植えと同じとなります。そちらを参考にしてくださいね。
ヒヤシンスの球根:育て方・管理方法③
育て方3.水耕栽培
ヒヤシンスといえば、水耕栽培という人もいるでしょう。小学生の理科の教材になるくらい簡単なヒヤシンスの水耕栽培。初心者の方でも簡単におこなうことができ、春には素敵な花を見ることができますよ。始める時期は地植えと同じ。遅くとも年内いっぱいには、はじめるようにしましょう。
水耕栽培は簡単
ヒヤシンスの水耕栽培の方法はとってもシンプルです。ただ球根を水耕栽培用のポットに入れて、芽が出るまで暗い靴箱の中に入れて管理。育ってきたら日が当たる玄関の良い位置に移動してあげる…ということくらいしかしません。それでも、球根が太って大きなものであれば、立派な良い匂いの花を咲かせてくれます。
植え方ポイントは球根選びにあり
ヒヤシンスの水耕栽培に必要なものは何だと思いますか。水耕栽培においては、土から養分を吸収できないので球根が命づなになります。この時、前の年に土で育てていた球根は不向きです。きちんと1玉で売られている、コロコロとよく太った大きな球根を買いましょう。お値段はしてしまいますが、それだけで綺麗なヒヤシンスの水耕栽培ができますので、それを考えればお安いものではないでしょうか。「今年は何色にしよう」、「どんな花が咲くかな」と考えながら球根を選ぶのも楽しいですよ。
育て方ポイントは水位
ヒヤシンスの水耕栽培での育て方ポイントは、「水耕栽培時の水位」です。植え付ける時は、球根の下にふれるか触れないかくらいの水を入れておきます。暗いところに置いておくと、球根から根が出てきます。そこからは、勝手に球根が水を吸って水位が下がってきますが、水は足しません。最低限、根の下が水についていればOKです。球根を水につけてしまうと腐る原因となりますから、「お世話をしない」ことがヒヤシンスの水耕栽培の育て方のポイントかも知れませんね。
ヒヤシンスの球根:腐る原因
球根が腐るのは
水耕栽培でも触れましたが、球根が水に浸かっていると、腐る原因となります。水耕栽培で球根が腐るという人は、気にしすぎて水やりのお世話をしすぎかもしれません。植物の管理は「甘やかしすぎない」ことも大切です。
あたたかすぎるのもNG
このほか、球根が腐るのは、水耕栽培セットを置いておく場所があたたかすぎるせいという場合もあります。水温があがるとどうしても水の中の微生物が繁殖して、水自体が腐るのです。どうしても水が腐ってきたときは水換えをするのですが、根のためには、水換えをしないで育てたいところです。そのためには、水が腐るのを防ぐことも大切です。水が腐ると球根も腐ることになります。
腐るのを防ぐには
球根が腐るのを防ぐには、「水が腐るのを防ぐ」のが一番です。そのためには、「圭酸塩白土(けいさんえんはくど)」という根腐れ防止剤が売られています。これを水耕栽培のポットの中に入れると良いでしょう。入れ方や分量は、根腐れ防止剤のパッケージの分量を守ってください。
ヒヤシンスの球根管理:地植え
花後は球根のお世話を
球根の保存して来年も育てるにはどうすればよいのでしょうか。まずは地植えから見ていきましょう。掘り起こす前に、来年用に球根を太らせたいのであれば、花が咲いたヒヤシンスは茎の根元から、清潔なハサミでカットしてしまうのが球根のためには一番良いでしょう。花のほうに、球根の栄養がどんどん吸われてしまうからです。花をカットすることによって、今後の根から吸われた養分は球根に蓄えられます。花の後は球根を育てる時期となります。
球根の掘り起こし時期
花の後の球根を掘り起こす時期は、残った葉が枯れてくるまでが目安となります。葉が枯れ始めたら掘り起こして良いでしょう。
球根の植えっぱなしは可能?
地植えのヒヤシンスの球根に関しては、保存管理が難しそうとも思うなら、植えっぱなしでも来年花を咲かせてくれます。しかし、その場合も花は早めに刈り取ってしまい、花後に追肥をしてあげましょう。こうしないと、来年、また来年と、だんだんとヒヤシンスの花が小さくなって、最後には花をつけなくなってしまいます。ヒヤシンスは分球(球根が増えていくこと)しにくい植物なので、多くの場合、葉しかつけないヒヤシンスになってしまったら、その球根は植えっぱなしでは毎年花は付けることはありません。球根にも寿命があるのではないか…と思っています。
ヒヤシンスの球根管理:鉢植え
球根の掘り起こし時期
春の花・ヒヤシンス。鉢植えの球根も地植えのそれと同様に、花が咲いて来年も同じ花がみたいな…と思ったら、花は早めに切ってしまいましょう。残りの花は、生け花として楽しめますよ。そして、地植えと同じように追肥をあげて、球根を太らせます。時期も葉が枯れ始めるまで。
来年までの球根管理
花が咲いたら、花を茎ごとカット。追肥を与えてあげましょう。そのうちに、だんだん葉が枯れ始めたら掘り起こすタイミング。土から掘り起こした球は、土を水で丁寧に洗い流しましょう。そのあと、しっかりと乾燥させて、みかんのネットなどに入れて、風通しの良い涼しい場所に吊るしておくのがベストです。
球根の植えっぱなしは可能?
鉢植えに関しては、来年も育てたいなら「植えっぱなしは厳禁」です。できるだけ長く楽しむために、きちんと休ませてあげましょう。
ヒヤシンスの球根管理:水耕栽培
水耕栽培の球根
最後になりますが、水耕栽培の球根について。こちらは植えっぱなしでなくても、来年は花を咲かせることはまずありません。土のように養分のない水だけで育てているので、花が咲いている球根を見れば、その力のなさは一目瞭然。もうスカスカ状態になっているのがわかるでしょう。
同じ球根は使える?
残念ですが、水耕栽培はその1年で寿命と考えた方が良いでしょう。人によっては、花が終わる前に土に植え替えて太らせれば…という人もいますが、先程も触れましたが、前年土で育てた球根を水耕栽培にするのは難しいです。よしんば、葉が出たとしても花が咲かないことも多いです。地植えや鉢植え用の球根と、水耕栽培用の球根は全く別物と考えた方がよいでしょう。
ヒヤシンスの球根を管理して来年も花を
ヒヤシンスの球根を管理・育てよう
ヒヤシンスの球根の育て方、保存方法をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。疑問が解決しましたでしょうか。地植えなら、花が終わったらカットする。肥料をあげるという管理だけで、特別な保存方法をせずとも植えっぱなしで翌年も花を咲かせてくれるものが多いです。鉢植えではこの植えっぱなしは危険ですので、気をつけたいですね。球根の保存や管理をしっかりおこない、来年も可愛らしい姿を見られるようにしましょう。
植え方・育て方か気になる人はこちらをチェック
球根の保存や育て方などのほかに、多くの植物の植え方、育て方をご紹介しています。植物が気になるという方は、ぜひこちらも参考にしてくださいね。
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