底なし沼ってなに?
底なし沼ができる場所
湿原や湿地、河川流れ込む海域の水辺は、理想的な底なし沼の条件を満たします。常に適度な泥が一定量堆積しているからです。しかし底なし沼は世界の乾燥した砂漠に、「流砂」として現れることもあります。条件さえ合えば、日本の湿潤気候や世界の乾燥気候には関係なく生み出されます。
底なし沼の土壌成分
土、粘土、砂、植物などと水が適度に混ぜ合わさったドロドロな泥が、底なし沼に溜まっています。水が多すぎれば物体は沈まず、土が多すぎれば泳げる泥水なだけです。だから完璧な底なし沼の泥とは、自然が土と水を適度に調整してイタズラを仕掛けているかのようです。
底なし沼の解釈
言葉の表面で使われる「底なし」は、正確な写実的意味を捕らえているかと言えば、全然正答ではありません。地中にある以上は、物理的に沼の底は存在するはずなのだから。多くの場合「一度はまると抜け出せない泥沼です」の意味合いで、底なし沼と名付けられています。
底なし沼の恐ろしさ
死者も出ている底なし沼
ズブリと音を立て下半身が底なし沼に沈んだ時点で、沼の状態によっては死に直結する事実を忘れてはいけません。実際に泥沼にハマってしまい、あっという間にズブズブ全身を捕らえられます。世界の底なし沼は伝説のみならず、現実の死亡事故も起こっているのです。
日本の底なし沼で行方不明?
失踪者と呼ばれる人々は、ある日突如として行方をくらまし、警察などに届け出が出された人です。年間8万人も日本で発生する行方不明者には、一人でハイキングに出かけ、人知れず底なし沼で消えた人も含まれるかもしれません。だから登山者なら、底なし沼情報は抑えておく必要があります。
わずか水深1メートルでも死ぬ
タカダカ深さ1メートルの泥沼なら、大したことないと余裕で高をくくってしまいがち。しかし底なし沼は運が悪ければわずか深さ1mであっても、命を奪うには充分です。水深3メートルであるとしても、底なし沼と呼ばているのは、底なしの危険を秘めているからです。
底なし沼にハマらないために
湿地と無縁な森林でも、乾燥した大地でも、地面の異様な僅かなぬかるみを見逃さないことが大切です。そこは万が一にも底なし沼かもしれないからです。発見したら安易に踏み込まないことや、絶えず注意深く歩くことも必要です。
日本の底なし沼①(和歌山県)
浮島の森・蛇の穴
希少性が評価され、昭和2年に晴れて国の天然記念物と化した浮島の森。意外にも新宮市の中心街に位置し、「蛇の穴(じゃのがま)」の底なし沼伝説が残る、不思議過ぎる島です。草木に覆われてはいますが、島全体が沼の上の泥炭浮遊体という珍しい構造だからです。
浮島の森の底なし沼伝説
老若男女で知らぬものは皆無、「おいの伝説」は、浮島の森の底なし沼的特徴を把握できる手がかりでした。むかし新宮市に住んでいた、娘のおいのと父親が薪を取りに分け入った時、弁当用の箸を作るために森に踏み込んだおいのは、大蛇の口の異名を持つ底なしの穴に飲み込まれたというのです。
蛇の穴を見に行く
不運なことに娘おいのが脱出できず、吸い込まれていった伝説的な蛇の穴は、浮島の森に残存しました。整備された浮島内の樹木が密生した遊歩道を歩けば、それは浮島のちょうど中央付近との話です。新宮市旅行するなら、神社参拝と共に浮島の森も訪ねてみてください。
日本の底なし沼②(鹿児島県)
釧路湿原・やちまなこ(北海道)
蔓延るヨシやスゲに、無数の動物が潜む釧路湿原は、1.8万ヘクタールのもの面積に広がる大湿原です。周囲を低山に囲まれて、くねくねと湿原を流れる釧路川の湿原には、底なし沼の異名を取る谷地眼(やちまなこ)という不思議な沼が幾つも点在しています。
やちまなこの構造
谷地眼は、湿原の上から見れば単なる小さな水たまり。しかし谷地眼の内部を見れば、水瓶のように左右に膨らみ、内部に水と泥が堆積している構造です。大きな谷地眼は深さが3m~4mに達しています。湿原の散策路から離れて歩いた時、落ちると命の保証がありません。
やちまなこができる仕組み
猛然と鼻水もツララ化する、氷点下の厳寒に達する釧路湿原。ここは枯ヨシや枯スゲの生える地面も凍結します。凍れば根っこから持ち上がる地面に雪解け水が侵入し、それを繰り返して谷地眼ができるとされます。地下で常に供給される水流により、谷地眼が凍てつくことがありません。
世界の底なし沼の例①
砂漠の流砂
降水量が日本より遥かに少ないアフリカの砂漠地帯でも、クイックサンド(Quicksand)と呼ばれる底なし沼、流砂が発生します。流れる砂と書くので水と無関係にも思われますが、実は流砂の仕組みはよくある抜け出せない泥沼と全く似たようなものでした。
砂漠の流砂ができる仕組み
猛灼熱のお天道様が燦々と照り付け、ラクダが笑ってる砂漠地帯は、普段は乾燥しきってサラサラとした砂が堆積しています。ところが雨季を迎えればまとまった雨が降り、地面を濡らします。時に凹んだ地形の土・砂に水が混ぜ合わさり、ドロドロの流砂を生み出すことがあります。
砂漠の流砂が怖いワケ
流砂に入ってしまうと沈み込んでいく恐怖が支配しますが、恐ろしいのはそれだけじゃありません。仮に腰の高さまでの深さしかなくても、抜け出せないままでは太陽にジリジリと焼かれていくのです。熱中症や脱水症状を引き起こし、助けが無ければ太陽によって絶命するだけです。
世界の底なし沼の例②
モーカム湾の流砂(イギリス)
地球の裏側のイギリスのグレートブリテン島西部には、有名な流砂が存在します。ロンドンの北北西340キロ地点のモーカム湾(Morecambe Bay/モーレキャンべ湾)で、地元住民に危険視されています。湾内に広範囲に堆積している砂泥と、潮の満ち引きが関わって驚異を生み出しているのです。
モーカム湾の流砂の危険性
湾内の砂泥では、干潮時に人が足を取られると身動きが取れなくなります。それに加えて満潮を迎えれば急激な潮の流れにより、人を海水が飲み込んで脱出は絶望的です。実際に2004年には難民船に乗った中国人が流砂に下りて足を取られ、満潮を向えた結果21人が溺死する事故も起きました。
野生動物もハマる底なし沼
強運の枯渇を象徴する如きに底なし沼に陥るのは、何も人族だけじゃありません。野生の生き証人な動物たちは、時に森の中の底なし沼にはまり込み、そこで命を燃やし尽くしてしまうのも珍しいことじゃないのです。
底なし沼で繰り広げられる狩り
遠くアフリカの湖にできた泥沼は、草食動物と肉食動物による生存競争の舞台ともなっていました。逃げ場を失ったガゼルは泥沼に飛び込み、そしてライオンも泥沼を追いかけます。体の構造ゆえか不思議と泥にはまらず抜け出し方も熟知するライオンが、強さを発揮していました。
ユーチューバーもハマる底なし沼
大切なものを隠蔽できても好奇心はちっとも隠せないYouTuberなら、チラッと底なし沼を見かけても近寄っちゃいけないかもしれません。その理由はユーチューバーなら推して知るべしところです。
そこに沼があるから
普通と思いきや奇特な精神の持ち主は世界に溢れかえる現代ですが、中でも奇抜な行動を好むのが小遣い稼ぎのユーチューバーです。時として命も張ってアクセスを伸ばしたがります。そんな世界中の彼らですが、どうやら底なし沼があるからと言って、どっぷりと体を埋没させ始めたようです。
何故か助けない仲間
動画を見ていると嬉々として底なし沼にダイブし、瞬時に泥パックされて自業自得に埋まっていますが、そこに周囲からの手助けはありません。面白いビデオが撮れれば万事okと考えているのかもしれませんが、とても危険な行為ですので、皆様は絶対に真似をしないようにしましょう。
底なし沼からの抜け出し方
黄泉を地で行くような沼の姿を前にして、自分だけは平気と根拠なき自信を備蓄する人もいそうですが、時に意表をついて底なし沼に浸かるかもしれません。その際の最適泥沼対処策がこちらです。
小規模な沼からの抜け出し方
信じられない驚愕の表情をしつつ、底なし沼に嵌まり込んでも、もしも幅が小さく深さも身長ほども達しない小さな泥沼なら、抜け出せる確率は高めです。まずは力を振り絞り片足を沼面に上げ、沼の外側へと泳ぐように移動すると脱出を図ることができます。
深さがあると抜け出し方が難しい
ねっとり感と深さを兼ね備えた完璧底なし沼にハマることはまずないですが、もし遭遇したら、素早い判断と冷静な対処が鍵を握ります。まず藻掻くほど沼の泥は全身を飲み込むことを知るべきです。そして深さのある底なし沼では、必要以上に暴れないことも肝要です。
周囲に手がかりが欲しい
両腕がまだ自由な段階なら、飲み込まれる前に助かる可能性は高いです。すぐに周囲を見渡して、掴まれそうな樹木や草の束があれば、それに手をかけます。体が安定したら腕樹木などに捕まっている手で、全身を持ち上げて足を抜き出して外に脱出します。
ジャケットやバッグを手がかりとする
構造物や植物が周辺になにもない状態でも、絶望するのはまだ早いです。身につけている衣類やバッグが命を救う可能性があります。固い場所を探し、着ている上着を畳んで置いたり、背負っているバックパックを置きます。そこに全体重を預けつつ、上体の力でソロリと這って脱出してください。
人手による抜け出し方
手を差し伸べるのは危険なことも
予期せずハイキング中に底なし沼に的中した場合、周囲に人がいれば僥倖です。しかし安易に手を差し伸べて助けようとすれば、救助者すらも飲み込んでしまうのが底なし沼。だから救助する側は、安易に手を伸ばして助けるかどうか、状況判断が必要です。
ジャケットやロープを使う
身につけている頑丈なジャケット、それに登山中なら持ち歩いているロープなどの片側を、素早く沼にハマった人に掴ませるのが、リスクを回避する救助方法です。そして体重をかけて支えたら、力を込めて一気に引っ張り上げてください。
倒木などを底なし沼に渡す
腕を猛烈に伸ばしても、ジャケットを放おっても届かないなら、頑丈な樹木などを周囲で探し、底なし沼に橋渡し脱出の足がかり・手がかりにする抜け出し方があります。樹木を渡せば嵌まり込んだ人も体重を預けて浮き上がりやすくなるためです。
大型動物の抜け出し方
野生の象、馬や牛などの大型の家畜なども、時に底なし沼や流砂の餌食です。体重500キロを超える彼らは4つ足を泥に固定されてしまうと致命的です。人力では脱出不可能なので、ロープで動物を固定し、乗用車やトラクターなど、車を使って引っ張り上げるのが一般的です。
底なし沼に気をつけたい
万が一の事態に備えよう
人類の英知を持ってしても攻略できない、落とし穴の最終形態、底なし沼。そこには幸せを瞬時に不幸のドン底に取り替えてしまう猛烈な危機が備わっていました。もし底なし沼に遭遇してもまずは近寄らないこと、抜け出し方を覚えておくこと、これを徹底したいですね。
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