アクリル絵の具について
画材のひとつのアクリル絵の具
絵の具といえば水彩を思い浮かべるかもしれませんが、アクリル絵の具も聞いたことはないでしょうか。このアクリル絵の具も、水彩絵の具と同じように塗装するための画材のひとつです。アメリカ発祥の絵の具で、いろいろと便利に使えます。
絵の具は絵画用として紙やキャンバスへ使うものと思われがちですが、実はアクリル絵の具はさまざまなものへ塗装が可能なんですよ。そのためDIYで簡単に利用できる塗料としても、よく活用されています。
アクリル絵の具の塗り方と書き方は簡単
絵画はもちろん、さまざまなものを塗装できるアクリル絵の具は、使い方が簡単なこともポイントです。使い方とは、色の塗り方や絵柄の書き方などのことになります。絵画に関しては水彩絵の具も使いやすいです。
でもDIYで活用する場合は、ほかの塗料が対象となります。それらと比べれば、塗り方や書き方が簡単なことに気づけるでしょう。仕上がりもアクリル絵の具ならではの特徴があります。DIYの塗料のひとつに加えてみてください。
アクリルと水彩の使い方の違い
水彩絵の具との違い
アクリル絵の具の比較対象にされやすいのが水彩絵の具です。名前に絵の具が含まれているためでもありますが、絵画においては色の塗り方や絵柄の書き方といった使い方が似ている点も原因になります。
小学生の頃に誰もが使ったことのある絵の具が水彩です。絵の具を水で薄める使い方を覚えていませんでしょうか。アクリル絵の具も基本的には水で薄める使い方をします。これらが決定的に違うのは、それぞれを作っている素材です。
メディウムがある
DIYで使う塗料によってはメディウムと呼ばれるものがあります。これはメインの塗料と一緒に使うことで、つや消しやサビ加工にコーティングなど、いろいろな効果を得られるものです。
メディウムの種類ごとに特殊な性質があり、重ね塗りなどではマネのできない効果になります。このメディウムはアクリル絵の具にもあって、普通の塗り方や書き方をしたり、重ね塗りをしたりといった使い方とは違う仕上がりにすることが可能です。
アクリル絵の具の使い方を覚える利点
すぐに乾くアクリル絵の具
アクリル絵の具は塗装してから乾くまでの時間が短いです。そのため乾くのを待ちながら塗装する必要はなく、重ね塗りを含めてインターバルなしで作業を進められます。
水彩絵の具であれば、水分が完全に乾くのを待ってからでないと、色が混ざってしまうので重ね塗りはできません。この点でアクリル絵の具の塗り方や書き方は異なってきます。すぐ乾くため早く進めないと意図しない状態になる可能性があるのが、使う時に気を付けなければいけない点です。
アクリル絵の具は水に強い
水彩絵の具は乾いても、水に濡れると流れ落ちてしまいます。これは水に溶ける性質の塗料ためで、水彩絵の具に関わらずほかの塗料も水に溶けるタイプは同様です。アクリル絵の具は水で薄めて使うため、水に溶けるタイプと思われることでしょう。
ですが塗装後に乾いて水分が飛んだ状態になると、水をはじく性質に変わります。そのため水に濡れても流れ落ちたりしません。水に強いだけでも、水彩絵の具に比べ活用の幅も広がるものです。
劣化にも強いアクリル絵の具
塗料は塗装したばかりの状態がそのまま続くわけではありません。しだいに劣化していきます。劣化した状態は塗料の性質によって異なりますが、色が変わったり薄めるようになったりや、表面にヒビが入るなどの現象が起こりがちです。
こういった劣化を防ぐため、コーティング加工や一定の年月で重ね塗りをおこなうなどの対処が必要になります。ですがアクリル絵の具は劣化しづらい塗料のため、対策をとる必要がほとんどありません。
アクリル絵の具は屋外でも安心できる
水分に強く劣化しづらいアクリル絵の具は、屋外に置く物の塗装にも適しています。自然とコーティングされたかのような特徴があるため、塗装の状態をあまり気にしなくてすむためです。
外気や雨と湿気などの水分にさらされやすく、湿度や気温の変化が大きい屋外でも、コーティングのような特徴により守られます。さらにコーティング効果のあるメディウムを併用すると、より安心できることでしょう。場所を問わずに使えるのです。
アクリル絵の具は安い
100均のアクリル絵の具
アクリル絵の具の特徴や利点を知ると高価な画材に思えるかもしれません。でも一般的に安く手に入れられるものになります。どれほど安いかというと、100均のお店でも購入できるほどです。
DIYに使う本格的な塗料には高価なものもあり、敷居の高さを感じる場合もでてきます。ですが100均のアクリル絵の具であれば、気軽に試せることでしょう。もし自分にあわなかったとしても、100均のお試し感覚なら買って後悔はしないはずです。
安いアクリル絵の具も使える
100均などで安く購入したアクリル絵の具だからといって、その特徴や利点が損なわれているわけではありません。安くてもアクリル絵の具としてちゃんと使用できます。強いこだわりがない状況なら安いアクリル絵の具で十分でしょう。
色の塗り方や絵柄の書き方、水で薄める方法に重ね塗りなど、使い方に慣れるまではできるだけ安いアクリル絵の具を使うのがおすすめです。本格的に使うようになってから高価なタイプを選んでください。
種類が豊富なアクリル絵の具
アクリル絵の具は価格の違いや色など種類が豊富です。しかも100均のお店には、ラメが含まれたアクリル絵の具も販売されています。安いだけでなく特殊なタイプも選べるのが、豊富な品揃えをしている100均のよいところです。
色を変えるほかにもラメの有無によって、仕上がりの印象を変えられます。また、同じ種類のアクリル絵の具であっても、重ね塗りの具合や薄める水の量などの使い方によって完成した姿を調節することが可能です。
アクリルガッシュも活用する
アクリル絵の具についての知識に触れる中で、アクリルガッシュという言葉を聞いたことはないでしょうか。このアクリルガッシュはアクリル絵の具のひとつです。
普通のアクリル絵の具よりも透明感やツヤがなく、まんべんなく塗りつぶすような仕上がりになる特徴を持ちます。普通のアクリル絵の具とアクリルガッシュを使い分けたり、組み合わせて使ったりなど、それぞれの特徴を上手に活かした使い方をおこなっていきましょう。
アクリル絵の具の使い方①道具
パレットは紙製がよい
絵の具はチューブに入っているので、使用する分を受け皿などへ取り出してから使います。その受け皿となるのがパレットです。複数のくぼみがあり、各くぼみへ色ごとに絵の具をのせられるようになっています。
子供の頃学校で水彩絵の具で使ったときに見たことがあるのではないでしょうか。アクリル絵の具もパレットを利用しますが注意しないといけません。すぐ固まるためパレットにこびりつき、洗浄が大変になってしまうのです。使い捨ての紙製パレットが便利に使えます。
使いやすい筆にする
色の塗り方や絵柄の書き方は、人によって細かなクセがあります。高価な筆がよいというわけではなく、自分の塗り方や書き方にあった筆を使うのがベストです。とはいっても慣れていない人は、どの筆が自分に最適なのか分からないことでしょう。
こればかりはいろいろと試してみるしかありません。また、筆には複数の種類が存在します。クオリティの高い塗装を目指すなら筆の使い分けも重要になってきます。最適な筆を探してください。
筆を洗う容器が必要
使った筆はすぐに洗わないといけません。筆を洗うためには容器が必要になります。絵の具の筆を洗う専用の容器があり、これも学校の授業で水彩絵の具を使った際に利用したことがあるでしょう。
水彩と同じく、アクリル絵の具も水で洗い流せます。容器に水を入れておき、そのつど筆を水に浸して洗ってください。この容器は、大ざっぱに絵の具を落とすもの、その次によく洗い流すものと、役割に応じて複数あった方が洗いやすいです。
便利に使える雑巾
絵の具を使うなら雑巾は必需品です。いろいろな用途があるため、複数枚を用意してください。まず筆を水に浸して洗う前に、付着している絵の具をできるだけ雑巾へ移すのに使用します。
それから筆を水で洗い、その水分を拭き取る用に雑巾が必要です。そして絵の具は水を使用しますから、まわりに水分が飛び散りがちになります。この水分を拭き取る雑巾も別に必要となります。道具と一緒に、雑巾も多めに用意しておきましょう。
描く用紙を準備する
絵画を描くなら用紙を準備してください。紙以外にも布地のキャンバスがあります。水彩絵の具や油絵と同じような書き方で、アクリル絵の具でも絵画を描くことが可能です。
仕上がりは絵の具の種類それぞれで異なるため各特徴を覚えておき、描く絵画によって使い分けましょう。重ね塗りや水で薄める方法などを活用すれば、慣れていなくても素敵な絵画になるはずです。
木材など塗装するアイテムを用意する
アクリル絵の具の利点は、水彩絵の具と違って用紙以外にも塗装できることです。木材はもちろん下塗り材を使えばプラスチックなどにも塗装できます。そのためDIYの塗料として最適です。
木材は塗装しやすいアイテムなので、まずは木材から練習してみてください。木材の着色に加えてコーティングにもなります。木材は外気や湿気などに弱いためコーティングが大切です。せめてアクリル絵の具で木材をコーティングをほどこしましょう。
アクリル絵の具の使い方②注意点
フタの閉め忘れに注意
アクリル絵の具はチューブの中に入っていても、フタが開いたままだと中身が固まってきます。使う分だけをパレットへ取り出したら、チューブのフタを閉めるようにしてください。
色など使う種類が多くなるほど、ひんぱんにチューブから取り出すことになります。最初のうちは面倒に感じるかもしれませんが、フタを閉める作業が当たり前になれば気にならなくなるはずです。
口を拭いてから閉める
固まったアクリル絵の具は硬くなります。チューブのフタを閉める際に口へ絵の具が付着していると、その絵の具が接着剤のように硬く固まり、フタを開けられなくなってしまうので注意してください。絵の具をチューブの口へはみ出さないように取り出すのがコツですが、付着した場合には雑巾やスポンジなどで拭き取ってからフタを閉めましょう。
筆はそのつど洗うようにする
アクリル絵の具は硬く固まるということを、つねに念頭において使うようにしてください。筆に付いたアクリル絵の具も固まります。固まってしまった筆はもとに戻すのは難しいです。
そうならないように、アクリル絵の具の付いた筆はすぐ水洗いしましょう。使ったら洗うというクセをつけるのがコツになります。もし固まった時のために、代わりの筆を何本かストックしておくのがおすすめです。
まわりへ付かないように注意
木材などのさまざまな物に塗装でき、水分や劣化に強くコーティング効果もあるというアクリル絵の具の特徴は、塗装目的としては素晴らしい内容です。でも意図しないところへ付着してしまった場合には、厄介なことになります。
この特徴のせいで落とせなくなるのです。固まる前であれば水に薄めることが可能なため、ある程度は落とせます。ですが固まってしまったらシミというレベルではなく、まるまる落とせないと諦めてください。
使った水の捨て方に気を付ける
アクリル絵の具の付いた筆や雑巾などを水洗いすると、その水にアクリル絵の具が移ります。このアクリル絵の具が混ざった水は捨て方に気を付けないといけません。
どこへ捨てても水分はやがて蒸発し、アクリル絵の具だけが残って固まります。普通の流し台も固まって詰まる恐れがあるため捨ててはだめです。アクリル絵の具が固まっても問題のない捨て場所を先に作っておきましょう。
アクリル絵の具の使い方③水で薄める
薄める水が重要
どの種類のアクリル絵の具であっても、薄める水の量で濃さを調節できます。絵の具の濃さは当然ながら、薄める水の量が多いほど薄まりますし、薄める水の量が少ないと濃くなるものです。
色の塗り方や絵柄の書き方、重ね塗りの仕上がり具合などにも影響してきます。種類に関わらずこの性質を上手にコツとして活かし、表現の幅を広げていきましょう。なおコーティング効果は濃い方が強いです。
アクリル絵の具の使い方④ステンシル
ステンシルでかっこよく
アクリル絵の具でしっかりとした文字や絵柄を描きたいなら、ステンシルがおすすめです。カッコイイデザインのものが多く、おしゃれな仕上がりになります。
自分で作るステンシル
市販のステンシルを使うのもよいですが、描きたいデザインがなければ自分で作りましょう。クリアファイルや下敷きなどを、好みのデザインで切り抜けばできあがります。
ステンシルでの塗り方
ステンシルを使ったアクリル絵の具の塗り方は簡単です。デザインを描きたい部分にステンシルをあてて、その上から塗っていきます。コツとしてスポンジで塗るのがおすすめです。
アクリル絵の具の使い方⑤サビ加工
渋いサビ加工をほどこす
ヴィンテージ感のあるサビをアクリル絵の具で表現可能です。新品の物でもサビ加工をほどこすことで、味わい深い雰囲気に仕上がります。かっこいいデザインによくあう加工です。
サビ加工のための塗り方
サビ加工をほどこすには、あまり水で薄めていない粘度が高い状態のアクリル絵の具を使いましょう。サビのイメージにあう濃い色の種類がよいです。スポンジを使ってアクリル絵の具をのせていくように重ね塗りしてください。
木材もサビ加工できる
サビといえば金属に付着するものですが、アクリル絵の具なら木材にもサビ加工をほどこせます。木材のアイテムをアイアン調に仕上げたい場合に効果的です。
アクリル絵の具の使い方⑥サンドペーパー
サンドペーパーで削る
使い古してさびれた感じもアクリル絵の具で表現できます。ただしサンドペーパーを併用します。塗装するアイテムにサンドペーパーで傷を付け、その上からアクリル絵の具を塗ってください。
仕上げに削る加工をする
より簡単にさびれ具合を演出するなら、アクリル絵の具を塗って固まった後に、サンドペーパーで傷を付けるのがおすすめです。こすれた痕にみえるよう上手に当てましょう。
アクリル絵の具の使い方⑦塗装
塗装して作り直す
塗装をし直すことで、違った印象の物に変えることが可能です。色だけでなく塗料の種類による特徴も反映されます。見飽きた物があれば、アクリル絵の具で塗装してみると素敵に変身するかもしれません。
空き缶をおしゃれにする
いらない物でも上手に塗装すると、おしゃれなオブジェになることがあります。空き缶がよい例です。空き缶をアクリル絵の具で塗れば、オブジェはもちろん小物入れや植木鉢にもなります。
アクリル絵の具の使い方⑧創作
自分だけの布製品にする
アクリル絵の具は固まると取れません。布地であっても同様です。水彩絵の具だとできないことですが、アクリル絵の具なら布製品に絵柄を描けるのです。自分だけのTシャツも作れます。
アクリル絵の具の使い方とコツ①ムラをなくす
ムラがなくなる塗り方
あえてムラを作って味をだす場合を除き、ムラがあるときれいな仕上がりに見えません。そのためムラはなくしたいところです。薄める水を増やして伸ばしやすくするのが、ムラをなくすコツになります。加えて重ね塗りをあわせておこなうこともコツのひとつです。
アクリル絵の具の使い方とコツ②マスキングする
マスキングをして狙い通りに塗装する
アクリル絵の具を決めた部分にだけきれいに塗るコツは、マスキングをおこなうことです。塗りたくない部分をマスキングテープで保護するだけと簡単にできます。
まとめ
アクリル絵の具についての解説や、使い方とコツなどをご紹介してきました。アクリル絵の具は乾きやすい、水分や劣化に強い、コーティング効果もあるなど、いろいろな特徴を持っています。
さまざまな物に塗装できることもポイントです。特徴を押さえておけば、塗料としてDIYで便利に活用できます。塗装DIYのバリエーションを増やすためにも、アクリル絵の具を使いこなせるようになりましょう。
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今回はアクリル絵の具について解説しましたが、塗装DIYについてもっと詳しく知りたいという方は、下記のリンク記事を読んでみてください。
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