出窓ってどんな窓?
道を歩けば、皆さんの家のご近所にも出窓のある家がちらほらあるはずです。出窓といえば、「飾り窓」のイメージがありますが、現代の出窓にはどのような種類のものがあるのでしょうか。そのメリット・デメリットや使い方について、具体的に解説してまいります。
出窓部分は床面積には含まれない?
建築基準法では、外壁から張り出した長さが50cm未満であれば、この突き出した部分は床面積には参入されないことになっている。
大抵の出窓は外壁から50cm未満の張り出しとなっており、床面積には含まれません。また、出窓部分は外壁として捉えられるケースがあるため、リフォームの際は隣家との距離50cmを保てるよう気を付けなければなりません。
出窓の開閉機能
出窓というと開閉機能がないと思われがちですが、開閉機能のついた出窓もあります。中央がFIX窓で両サイドが開閉するタイプや、逆に両サイドはFIXで中央が開閉するタイプなどです。開閉方法も引き戸や上げ下げ窓、縦すべり出し窓などさまざまで、風通しを良くし、出窓部分に滞留しがちな湿気や熱を換気することができます。
出窓の素材
かつて、出窓サッシの素材は木かスチールが主流でした。現在では樹脂製、アルミ製などがあり、結露に強い樹脂製サッシが人気でリフォームされる方もいます。ログハウスなどでは、家の外観に合わせて木製サッシを選ぶこともあり、ナチュラルな雰囲気が人気です。
出窓はいつ生まれたの?
日本に西洋の文化がもたらされると、窓の素材も障子から窓ガラスへと自然に推移してきました。日本では、外観の美しさよりも採光や景色といった機能性が重視される傾向があります。が、機能性の他に、窓には「住まいの外観を印象付ける」という役目があるのです。出窓はその洋風の外観から次第に人気が高まり、日本の住宅をおしゃれに彩り続けてきました。
出窓の意味
垂直壁面に対して外部に張出した窓。窓扉の下部が棚状になっていて,器物などを置くために利用されることが多い。西洋建築に特有の一形式。ゴシックやルネサンスの主として住宅建築に使われ,18世紀以降は広く一般化し,現代ヨーロッパの住宅建築に根強くその伝統を伝えている。日本でも近年取入れられるようになった。
出窓は、なぜ壁から突出しているのでしょうか。その歴史の背景を探り、外観の意味を解説してまいります。
西洋の窓の特徴
西洋では、家具や家を大切にする文化があり、それらは古ければ古いほど価値があるとされます。当然日光が室内に差し込みすぎると家具や建具の劣化が早まるため、どちらかといえば窓は少なく、小窓や出窓であることが多いのです。
装飾の愉しみ
出窓はひとつの小世界であり、花を生けた壺や雑貨を飾るといった使い方をします。優美なウインドウトリートメントを施し、額絵を飾るかの如く窓辺を飾り、住まう者はもちろん訪問客にも喜びをもたらすのです。そこに自然光が加わるという点において、ニッチや飾り棚とは一線を画します。
出窓にするメリット①物が置ける
出窓のメリットの第一は、やはり貴重な収納スペースになるという点です。キッチンの収納が足りない時、キッチンの出窓スペースに収納棚をDIYすると、雑貨が片付いてかなりスッキリ!リビングの出窓なら雑貨をおしゃれに並べて置いて、飾り棚のような使い方もできます。
出窓にするメリット②空間が広く見える
出窓の奥行きのぶん、空間が広く感じられるというメリットがあります。また、採光面でもたくさんの光を取り入れることが出来るので、通常の窓よりも明るいです。狭小国日本で、出窓が好まれる所以と言えます。
出窓にするメリット③外観がおしゃれ
もともと西洋からもたらされた出窓ですから、輸入住宅や洋風建築で出窓を採用するケースが多いのです。おしゃれな外観の建物には出窓があり、出窓がある家はおしゃれ、ということになります。特にボウ・ウィンドウなど、外から見ても分かる洗練されたデザインは、道行く人の目を引き付けて放しません。
出窓にするメリット④カーテン装飾を楽しむ
出窓をおしゃれに演出するのに欠かせない、レースカーテンの装飾。出窓向きの独特のカーテン形状があり、世の奥様方の心をつかんでいます。裾の形によってバルーン、スカラップ、オープンクロス、アーチなどの種類がありますので、うまく活用して優美な空間の使い方を楽しみましょう。
出窓にするデメリット①結露が発生しやすい
出窓は他の窓に比べて外側に張り出しているため、外気の影響を受けやすく結露が発生しやすというデメリットがあります。角型や台形の出窓の場合、両サイドをはめごろしにして中央のガラスに開閉機能をつけるか、その逆を検討するなど、とにかく換気が出来るようにデメリット対策を考えましょう。
出窓の結露対策法
換気以外の結露対策として、出窓の内側、つまり家の壁の延長線上に「内窓(二重窓)」を設置することで、断熱性が高まり結露が発生しにくくなります。内窓は後付けでDIY設置も出来ますし、おしゃれで種類も豊富なので、あまり結露がひどいようなら一度検討してみましょう。
出窓にするデメリット②温度が上昇しやすい
日光が集まりやすい出窓は、常に外気にさらされているため温度が上昇しやすくなっています。南面に出窓を設けたものの、色あせの問題から大切な装飾品を飾れなかったり、温度が上がりすぎて植物が置けないなどのデメリットが発生するのです。
出窓の温度上昇対策法
後付けも可能な庇(ひさし)を活用し、物理的に太陽光を遮断するという方法があります。庇は種類も豊富で、真夏の真上からの太陽を遮り、真冬には斜めに差し込む日光を取り込むことが出来るので、効率的です。
出窓のおしゃれな外観と種類
出窓には、実は多くの種類があります。西洋の歴史ある建造物には、審美的価値の高い出窓が存在し、圧倒的な存在感を放ち見る者を魅了するのです。西洋建築に見る出窓を始め、日本ではどのような出窓が存在しているのか、以下にご紹介してまいります。
角型出窓
オーソドックスな出窓のスタイルです。この種類は、出窓に沿ってカーテンをつけずに、手前の壁部分にシェードなどをつけ、カーテンを下ろせば窓全体を隠すことができます。内部に収納棚を設置する予定があるなら、最もDIYしやすいのがこの角型です。
台形出窓(ベイ・ウィンドウ)
宝石のカットに似た台形ガラスは日光を効果的に反射し、美しいきらめきを生み出します。この種類は室内と窓をゆるやかにつなぐ形状なので、見た目にもナチュラル。西洋の歴史的建造物にも多く見られ、外観も美しい出窓です。
三角出窓
変形地に建つ家などで、このような三角出窓が採用されるケースもあります。また、外観をモダンにしたい場合、アクセントとして敢えて三角にすることも。ただ、収納という観点からはややハードルの高い形になります。
弓型出窓(ボウ・ウィンドウ)
人気が高く、曲線的でエレガントな外観を誇るのが、この弓型出窓。収納やディスプレイといった目的ではなく、リビングの一角に設け、広がりをもたせると同時にフォーカルポイントとするケースが目立ちます。輸入住宅や、リフォームなどで採用されることの多い出窓です。
コーナー出窓
コーナーを活用し、湖や緑の森など、外の景観を取り入れるのに最適なのが、このコーナー出窓です。外観も特徴的で目立ち、人の目を引き付けます。床からの高さを低くし、コーナーベンチとして活用することもできます。リフォームや新築時に、要望の多い出窓の種類です。
トップライト出窓
出窓の側面だけでなく屋根の部分もガラスが使われている窓のことを「トップライト出窓」といいます。日当たりが良く、より明るく感じられるのがメリットです。浴室やランドリールームに採用されることがありますが、台風などの強風時に雨もりしやすいというデメリットもあります。
ハーフ出窓
外への張り出しが普通の出窓の半分ぐらい、という意味でハーフ出窓と呼ばれます。出窓のデメリットである湿気のたまりやすさや温度上昇、雨音なども軽減されるのが特徴です。収納やベンチといった使い方はできませんが、通常の窓よりは奥行きが生まれます。
オリエル窓
オリエル窓は、種類的には台形出窓(ベイ・ウィンドウ)の一つで、上の階の壁から突き出しており、ブラケットやコーベルと呼ばれる構造物で下から支えれています。19世紀より前にはすでに存在していた出窓の形態です。
テラス出窓
テラス空間がそのまま出窓の中に納まった、サンルームやテラスルームとも呼ばれる空間のことです。この写真では土間兼玄関として設置されています。採光性は抜群で、寒冷地などでは暖をとるために活用されることも。また、敷地が広ければリフォームやDIYで後付けすることも可能です。
出窓の使い方①収納
そこにスペースがあれば、ついつい収納に活用したくなってしまうのが人の性です。特にキッチンシンクの奥にある出窓は、調理の際に手も届きやすく、調味料やマグカップの類を置くのにちょうどいい収納場所。窓枠とピッタリ同じサイズの木枠をDIYではめ込めば、取り外すときに跡も残らずきれいです。
出窓の使い方②ガーデニング
日当たりの良さを活用して、寒さに弱い観葉植物などを育てるガーデニングスペースにするのも一案です。特に鉢植えの大きな植物は、窓辺の床に直接置いておくと子供に倒される危険もあり、落ち着きません。出窓なら、並べたりハンギングで吊るしておしゃれに飾りながら、十分な日光を浴びせることができます。
出窓の使い方③ディスプレイ
おしゃれな出窓の使い方として、最も多いのがディスプレイ。マントルピースやニッチ同様、奥行50cm未満の棚はディスプレイスペースとして活用できます。キャンドルやドライフラワー、フォトフレームやランプなど、洗練されたインテリアグッズを活用して、おしゃれなディスプレイを楽しみましょう!
出窓の使い方④ベンチ
ちょっと思いつかない使い方ですが、実物を見ると納得。明るい窓辺に座って読書…想像しただけでも素敵です。少し窓を開けてそよ風を取り込んで、外の景色を眺めながらベンチでお茶を飲むのもくつろげます。腰掛ける部分と窓枠を同じ種類の木で揃えると、空間のつながりが生まれ家具のような雰囲気に。
出窓の費用
出窓が欲しい!と思っても、今住んでいる家に後からつけるとなるとリフォーム工事が必要です。プロのリフォーム業者に依頼すると、一窓いくらぐらいするのでしょうか。
新築時の費用
出窓自体の大きさによっても異なりますが、15万円から30万円ほどかかります。浴室にTVをつけたり、エアコンを設置するのとほぼ同じ位の価格です。
リフォームの費用
出窓を新設するリフォームにかかる総費用は、10~60万円位です。今ある窓枠を活用するかどうかでも、費用が変わります。新しい出窓の本体価格に加えてどのような費用がかかるのか、順に見て行きましょう。
①既存の窓の廃材処分費
既存の窓を解体した際に出る廃材の処理は、廃品回収業者に依頼すれば4、5千円で済みますが、リフォーム業者に委託すると1万円~2万円と割高になります。
②出窓の製品価格
人気の樹脂サッシタイプ!W1690×H1370[mm] 、税込み約11万円です。サッシ部分の色も選べます。
ネットショップで販売されているもので、約5万円~50万円と幅広いです。製品の素材や大きさ、ガラスのグレードなどによって異なります。まずは自宅の出窓取り付け予定箇所の採寸をしてみましょう。欲しい出窓のサイズが分かれば、調査もしやすくなります。
③出窓取り付け工事費
業者にもよりますが2万円~6万円です。取り付け工事費よりも、製品本体の方が高くつきます。
出窓リフォームの際に気をつけたいこと
外観がおしゃれで、いろいろな使い方ができ活用性の高い出窓ですが、リフォームに踏み切る前に、知っておくべきことがいくつかあります。
隣家との距離
建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
出窓も壁面として捉えられることがあります。大ごとにならないよう、隣家との適切な距離が確保されるかどうか、必ず事前に確認しておきましょう。
カーテンレールの取り付け位置
出窓にカーテンを取り付ける際、窓に沿って取り付けるのか、室内の壁に沿って手前に取り付けるのかで悩むことがあります。出窓に何も置かないのなら、しっかり遮光できるので後者でも構いません。ただ、植物や装飾品を飾ったり収納スペースとして使う場合、それらに直接日が当たらないよう、保護の意味でも窓に沿ってカーテンレールを取り付けた方が良いでしょう。
出窓のDIYは可能か?
既存の窓を外側へ張り出すようにDIYするのは、正直素人では難しいでしょう。ただし、木材を使って棚を作り、手前に張り出させることで、見た目を出窓のようにアレンジすることは可能です。収納やディスプレイ目的で、そのようなDIYを楽しんでおられる方は大勢いらっしゃいます。
出窓のメリット・デメリットは?まとめ
①出窓のメリット・デメリットを考えると出窓の取り付け位置は日差しの穏やかな東面が良いです。
②紫外線対策(庇・カーテン・ガラスの種類)と結露対策(開閉機能)はしっかりしておきましょう。
③床からの高さは、高すぎるとかえって使いにくい場所になるので、注意して設計します。
内窓が気になる方はこちらもチェック!
DIYで内窓を作り!自作二重窓に必要な材料や作り方から参考例までご紹介!
寒い冬、窓から感じる冷気や窓枠が結露で水浸しになった経験はありませんか。断熱・結露対策には二重窓が一番です。内窓をDIYで作るのは大変に思い...
DIYで内窓を作る!おしゃれな自作二重窓で断熱&防音対策ができる!
冷暖房の効きが良くないとお困りの方、DIYで作る自作二重窓がおすすめです。窓枠に内窓をつけ二重窓にすることによって、断熱・防音効果が高まりエ...
二重窓・内窓効果で断熱・防音!簡単でおしゃれなDIY方法をご紹介!
冬場イヤな結露!でも二重窓・内窓をdiyで取り付けることで改善するんです。 さらに外気をシャットダウンすることで、室内の熱を逃がさない断熱...
出窓を美しく彩るさまざまな形のカーテンがあり、エレガントで魅力的です。