アメフラシって食べられる?
アメフラシの名前を聞いたことはあっても、具体的にどのような生物なのかを知っている方はあまり多くはありません。ウミウシとよく間違われる生物であり、見た目の特徴や、紫色の液体を出すことで子供たちから人気がある生物ですよね。
今回はそんなアメフラシの特徴や生態、食べ方やウミウシとの違いなどを詳しく解説していきます!
アメフラシの特徴
アメフラシとは?
まずはどういった生物なのかから知っていきましょう!アメフラシ科アメフラシ属に分類されている生物で、大きさは大体のものが15㎝程度。大きく育った場合でも30㎝くらいですので、大人の手のひら1枚分から1.5枚分くらいのサイズになります。
大型の種類はなんと75㎝ほどまで育ちます。名前は、体から出る紫色の液体が雨雲のように見えたことが由来です。漢字で書くと「雨降らし・雨虎・雨降」です。
アメフラシの頭はどこ?
まるでナメクジのような外見をしており、どちらが頭でどちらがお尻なのか、一見すると分からないかもしれません。よく見ると2本のつのが生えているのですが、このつのがある方が頭です。また、背中にはヒダがあるのも特徴ですね。
英名は「Sea hare」なのですが、これは頭のつのがまるでウサギのように見えることが由来となっており、中国名も「海兎」で、海外では兎のように見えたみたいですね。
アメフラシは貝殻を持っている?
アメフラシの貝殻は退化している
貝の仲間ですが、画像のように、貝殻は見えませんよね。実は貝殻は退化して見えなくなっていますが、内部に取り込まれている状態になっているのです。外見上は分からなくとも、背中を触ると硬い貝殻が内側にあるのが分かるはずです。
内側に貝殻があったのでは身を守るのに使えませんが、あまり必要が無かったので退化したのでしょうね。
貝殻を持っていないアメフラシもいる
内側に貝殻が隠されていることを先述しましたが、中には貝殻が完全に退化して無くなった種類もいます。上記画像、「クロスジアメフラシ」という種類で、インド洋、西・中部・東太平洋、大西洋に分布しています。
色は半透明の褐色や半透明の緑色で、細かい縦線が入っているのが特徴です。大きさは大体5㎝程度ですので、中でも小さい種類ですね。
アメフラシは毒性がある?
アメフラシは毒性を持つ
特徴で最も知っておかなければいけないのが「毒性」についてです。本種自体には毒性は無いのですが、普段食べている海藻の毒性が少しずつ体内に溜まっています。
一般的には食用にされていない生物ではありますが、もし興味本位で食べようとするなら注意が必要ですね。食用にしている地域では毒性の無い海藻を食べているものが食べられています。
アメフラシの紫色の液体に毒性は?
刺激を与えた時に紫色の液体を出すのが特徴ですよね。この紫色の液体は毒性がありそうに見えるかもしれませんが、実は癌を抑える作用があるとされ、研究対象となっています。
つまり、我々人類にとって、毒どころか有用なものである可能性があるのです。因みに、この紫色の液体は、海にいる他の生物にとっては嫌なものとなっており、襲われにくくなる効果があります。
アメフラシとウミウシの違い
アメフラシとウミウシの違いは?
アメフラシとウミウシはよく間違われる生き物ですよね。本種をウミウシと呼ぶ地域もあるので仕方がないかもしれません。違いはさまざまありますが、まずサイズが違います。
種類にもよりますが、ウミウシの方がサイズが小さいのです。また、ウミウシは鮮やかな色の種類が多いこと、ウミウシは海藻を食べず、肉食の食性を持っていることも違いとして挙げられます。
クリオネも実は近縁
貝の仲間であることを紹介させて頂きましたが、それはつまり、水族館でも大人気な「クリオネ」の仲間ということになります。あの可愛らしいクリオネはハダカカメガイ属に分類されている巻貝の仲間なのです。
因みに、ナマコとも外見が似ていますが、ナマコは貝の仲間ではなく、ウニやヒトデの仲間です。外見上はナマコの方が近しいように見えても、クリオネの方が近しい存在なのですね。
アメフラシの生態
アメフラシは何を食べている?
毒性の項で少し先述させて頂きましたが、普段は海藻を食べて生きています。1m~3m程度の浅い海の中を動き回って、いつも海藻を探しています。海藻が見当たらなくなった時は穴を掘って餌を探したりもします。
見た目からはあまり感じられないかもしれませんが、実は嗅覚が発達しており、微弱な臭いも感じることが出来ます。
アメフラシの産卵
どのように増えるのかも気になりますよね!卵を産んで増えていくのですが、上記画像、「海素麺(ウミゾウメン)」という面白い外見の卵を産みます。これは数万個の卵が連なっている状態で、まるで麵類のようですよね。
産卵期は春から夏頃で、雌雄同体となっていますので、頭にオスの機能が、お尻にメスの機能があります。交尾の時期になると、複数の個体が連結して交尾しているシーンも見られます。
アメフラシの種類
種類①アマクサアメフラシ
一つ目の種類は「アマクサアメフラシ」です。生息分布は、日本各地、韓国、中国、朝鮮半島などです。大きさは大体20センチほどですので、大人の手のひら一枚分くらいの大きさですね。
区長は、基本的に班模様が多く、色彩の変異が激しいとされています。また、通常の種類は、紫色の液体を出しますが、こちらの種類は紫色ではなく、白色の液体を出します。
種類②ゾウアメフラシ
二つ目の種類は、「ゾウアメフラシ」です。こちらは世界最大の種類で、大きさは何と70センチにもなります。大人の手のひら4枚分ほどありますので、かなりの大きさであることが伝わるかと思います。
色は暗褐色、また紫色で、黒い色の斑点や網目状の模様があります。現在はゾウアメフラシと呼ばれていますが、元々はジャンボアメフラシと呼ばれていました。
種類③クロヘリアメフラシ
三つ目の種類は「クロヘリアメフラシ」です。生息分布は世界中の熱帯や温帯海域です。春頃から夏頃まで活発に活動しています。こちらはとても小さな種類で、体調はなんと2センチメートルほどしかありません。
大きく育っても10cm程度と、とても小さな種類です。色は褐色、または黒色で、白色の斑点が体にあります。画像を見ると目立ちそうな色をしていますが、赤色の階層の間に隠れていることが多く、意外と見つけにくいかもしれません。
アメフラシの食べ方は?
アメフラシの身は一般的には食べられていない?
食べることはできますが、一般的には食用にはされていません。毒性があることも食用にされない理由の一つではありますが、そもそも味があまりなく、好んで食べる方が少ないというのも理由の一つです。
また卵である海素麵も昔は食べられていましたが、あまり美味しいものではないためよく食べられているわけではありません。現在でも食べている地域は千葉県や島根県、鳥取県や鹿児島県の一部で食べられています。
アメフラシの味と旬
あまり味はありませんので、よく味つけをして食感を楽しむというのが一般的です。ちなみに旬の時期は春となっています。かつては昭和天皇も甘辛く煮つけたものを食べたことがあり、煮て小さくなった身を笑いながら食べたそうですね。味もなく中々噛み切れない本種ですが、3口食べたと言われています。
アメフラシの食べ方
幡ヶ谷にある山陰料理屋よこや。赤星、島根の焼酎七冠馬、グチのカマボコとかなり良い感じの和な雰囲気で進んだところ、この黒い物体は何と隠岐島だけで食べるというアメフラシ(ウミウシ) 。興味本位で頼んだら、触感スポンジの旨味のある貝でした。しかしアメフラシ初めて見たよ(笑) pic.twitter.com/EI9i8QPVlV
— 酒野巳之助(さかの みのすけ) (@sakenominosuke) March 24, 2017
アメフラシを食べるには、まず臭いの強い内臓部分を取り除きます。そのあと湯がいて、冷凍しておき保存します。調理する時は、噛みにくいのでよく刻んで、煮付けにしたり味噌あえなどにして感触を楽しみます。
お酒のつまみにちょうど良いとされていますね。ゆがく時間を長くすればより柔らかくなりますので、感触が苦手な人は時間を延ばすと良いでしょう。
アメフラシに関するTwitter
海素麵は海藻?
今海素麺って呼ばれてるのは主に別の海藻なんだけどね。
— むう大根 (@muu_continents) May 19, 2016
実際アメフラシは肉は硬いし味は無い、更には食ってるものによっては毒があることもあるので食用には向かない。毒があるかもしれないのは海素麺(卵)も一緒だったりする。もう分っかんねえなこれ
こちらは、市販されてる海素麺は別の海藻であることが書かれています。海藻にもアメフラシの卵にも海素麺という名前が付けられていますので、少し紛らわしいですよね。
身や卵が一般に販売されることは毒性のこともあって少ないですので、もし海素麺を見かけたら、それはほぼ海藻であると考えられます。もし本当の海素麺が食べたい方は、食用にしている地域に赴きましょう!
違いはあまり気にしなくてもいい?
蛾みたいな蝶も、蝶みたいな蛾も存在しますからね…|ω・`)
— 六桜@9月ボクうみ (@rokuzakura) November 22, 2017
虫はあまり詳しくはない方だからあれだけどたぶん、ウミウシとアメフラシとかクジラとイルカくらい違いの境界線がほぼない生き物じゃないかなぁって思うのよね|ω・`) https://t.co/tHaNN2zR1w
こちらは、例え話を用いて、ウミウシとアメフラシ、またはクジラとイルカの違いについての意見を書かれています。クジラとイルカは大きさの違いだけというのは有名な話しですよね。
ウミウシと本種も似たような生き物ですので、もし本種のことをウミウシと言っている方がいたとしても、そこまで言及することでは無いのかもしれません。ただ、教えてあげると喜ばれる知識ではありますので、豆知識程度に教えてあげてみてはいかがでしょうか。
紫色に染まる海
硬い貝殻で身を守ることをやめた巻貝たち。いったいどのように身を守るのでしょう? 例えばアメフラシの仲間、「タツナミガイ」。触ったとたんにスタッフの足元の水の色が紫色に…。いったい何が起こったのでしょう?!https://t.co/feJQIsfzqj pic.twitter.com/im2VvTVrvE
— 葛西臨海水族園[公式] (@KasaiSuizokuen) June 12, 2017
こちらは、アメフラシの紹介から、紫色の液体で染まった海を投稿しています。元々は澄んでいて綺麗な海も、刺激した瞬間に画像のようになります。
先述して解説致しましたが、この紫色の液体は煙幕になるだけでなく、他の生物にとって嫌な成分が含まれている為、とても効果的な液体なのです。ただし、刺激を受けてから出しますので、最初の攻撃は受けてしまうのが難点ですね。
アメフラシの貝殻
アメフラシの貝殻 pic.twitter.com/65hBmu6dQM
— ままつこ sp. (@mtkszm) December 11, 2014
こちらは貝殻の画像が紹介されています。内側に貝殻が隠れるよう退化した本種ですが、実はこんなにも貝らしい貝殻を持っているのです。これだけを見ると、とてもアメフラシのものとは思えませんよね!
アメフラシの連結
これは交尾をしているところです。アメフラシは、体の前がオス、後がメスの機能を持つため、多い時は5匹以上で連結していることもあります。
— 溶井 (@instantdowner) February 11, 2016
ウミウシもアメフラシと同じように、1匹のからだの中で雄と雌の役割を持ったつくりになっています。 pic.twitter.com/09tCFlFC67
こちらは連結している様子が書かれたイラストとなっています。先述させて頂きましたが、雌雄同体となっていますので、このイラストのように連結しているシーンが産卵期には見られるのです。
3匹程度であればそれなりの頻度で見られるようですが、5匹以上になると圧巻ですよね。生息している場所で遊んだ際は是非探してみましょう!
まとめ:アメフラシの食べ方
今回の「アメフラシって食べられる?その生態や食べ方、ウミウシとの違いまで解説!」はいかがでしたでしょうか?アメフラシの生態や特徴から、食べることが出来るのか、また食べるとしたらどのような食べ方をするのかまで解説させて頂きましたが、中々興味深い生き物でしたよね!
一部の地域では今も食べる習慣がありますが、あくまで毒性が無いものを食べていますので、初めて食べられる方は、食べる習慣のある地域に赴いて食べることをおすすめします!
アメフラシが気になる方はこちらもチェック!
今回はアメフラシについて解説させていただきましたが、他にも海・釣りに関する記事が沢山あります。
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