はじめに
東京都内で座禅体験が気軽にできる寺院を紹介します。座禅といえば厳しい修行のようですが、日本人としては憧れる行為ですし、外国人にも注目を集めています。今回はそういう座禅初心者の方でも気軽に都内で体験できるところを中心に厳選しました。ちなみに「座禅」を「坐禅」という文字で表記するところも多いですが、今回は原則「座禅」の表記を用います。
禅について
禅の歴史
禅(ぜん)の歴史は、その源流となる教えを南インド出身の達磨(ダルマ)大師が中国に持ち込み、中国で広まり体系化していきました。その禅(禅宗)の教えを鎌倉時代に、栄西が臨済宗(りんざいしゅう)を道元が曹洞宗(そうとうしゅう)として日本に持ち込まれました。そのほかに黄檗宗(おうばくしゅう)という宗派が江戸時代に日本に入りましたが、ほとんどの禅宗寺院は臨済宗と曹洞宗です。
座禅の準備・注意点
座禅の準備で基本的には動きやすい服装で行います。ジーンズやスカートなどは不可で、大抵のところでは着替える場所があるので、着替えを持って参加しましょう。また足が弱い人でも参加できる椅子で座禅ができる所もあります。また警策(きょうさく)とよばれる座禅の途中で叩く棒の儀式がありますが、それを行うところと行わないところがありますので、詳細は各寺院に問い合わせてください。
東京で座禅体験できる寺院①
「林泉寺」は座禅教室がある寺
曹洞宗の林泉寺(りんせんじ)は、東京都文京区にあります。江戸時代の名町奉行大岡忠助(おおおか ただすけ)由来の「大岡政談」に登場する「縛られ地蔵」があります。これは願掛けのために地蔵を縛っていて、叶えばその縛りをほどくものとされます。そういう林泉寺には座禅会が1984年から行われており、外国人の参加も多いです。
座禅会・瞑想の日程とアクセス
林泉寺の座禅会は、先代住職の江田和雄老師より開始されました。ここは開かれていますので誰でも参加できます。初参加の初心者の場合は、住職からの指導を受けるので毎月第四土曜日の会に参加します。以降は土日ではなく、平日の月曜日の6時とと水曜日の19時に毎週行われます。日帰りのみで宿泊はできません。林泉寺のアクセスは東京メトロ丸の内線茗荷谷駅(みょうがだにえき)より徒歩5分です。
東京で座禅体験できる寺院②
「香林院」は座禅教室がある寺
臨済宗大徳寺派の香林院(こうりんいん)は、1665年に建立されました。三河奥殿藩主松平真次の菩提を弔うためでした。建物は江戸後期の文政年間のものですが、文化遺産としての価値があります。現在の住職は寺を「文化活動の発信地」として各種教室に貸し出しを行い、寺主催の写経会や写仏画教室と共に座禅会を開催しています。
座禅会・瞑想の日程と場所
座禅会は、毎週ほぼ毎日のように行われており、平日は午前7時より、土日は日曜日の午後5時からです。初心者でもわかるような座禅のやり方を書いたプリントがあるので安心です。予約も不要なので気軽に通えます。日帰りのみなので、試しに近くで宿泊して朝の座禅会に参加するのもよいでしょう。香林院へのアクセスは、東京メトロ広尾駅徒歩3分です。
東京で座禅体験できる寺院③
「静勝寺」は座禅教室がある寺
曹洞宗の静勝寺(じょうしょうじ)は、北区の赤羽にあります。元々この場所には江戸城を立てた大田道灌(おおたどうかん)が戦国時代に築城した稲付城(いねつけじょう)の一角にに、大田道灌の師匠「雲鋼」が1504年に寺院を建立しました。城は江戸時代に廃城になりましたが、寺院は太田氏の菩提寺として現在まで残り、写経や座禅会が行われています。
座禅会・瞑想の日程と場所
座禅会は、定期的に開催され土日の早朝や午後に行わています。その他朝の会というのが行われており、平日ではありませんが、申し込み不要で、無料なので初心者でも気軽に参加できます。(電話確認をしたほうが無難)団体の場合は日時の相談も承ります。日帰りのみなので、宿泊等はできません。静勝寺へのアクセスは、JR赤羽駅より徒歩3分です。
東京で座禅体験できる寺院④
「長昌寺」は座禅教室がある寺
曹洞宗の恵日山長昌寺(ちょうしょうじ)は、東小金井にあります。群馬県館林で「文福茶釜」で有名な茂林寺の末寺として、1767年に認可されました。本堂は昭和50年、山門は平成13年に建立され、立派な寺院として現在に至ります。年間行事とは別に、予約制で写経やヨガなどの体験会が行われ、その中に座禅会もあります。
座禅会・瞑想の日程と場所
座禅会は、平日ではなく土日に行われていて、通常は第1日曜日の14時からです。ネットから事前申し込みが必要ですが、参加費は無料で初心者でも気軽に参加できるだけでなく、足の不自由な人でも参加できるように、椅子を使った座禅も可能になっています。日帰りのみなので、宿泊は不可です。長昌寺のアクセスは、JR東小金井駅よ北口より徒歩8分です。
東京で座禅体験できる寺院⑤
「長光寺」は座禅教室がある寺
曹洞宗の玉寶山 長光寺(ぎょくほうざんちょうこうじ)は、東京都心の真ん中新宿にあります。織田信長によって滅ぼされた武田家の菩提を弔うために1594年に建立しました。平成13年に現在の建物になりました。幕府鉄砲百人隊の頭「久世三四郎」が見た夢により「新宿しあわせ薬師」が建てられ、今での多くのお参りがあります。この長光寺にも座禅体験ができます。
座禅会・瞑想の日程と場所
座禅会は、毎月第2土曜日の初心者向けと、第1・3土曜日の2回目以降向けに別れています、何れも土日で平日ではありませんが、14時からという事と、更衣室もあるので、新宿に遊びに来たついでに通う事ができます。初めての場合のみ予約が必要です。戦国時代の徳川鉄砲百人組の子孫・末裔が、檀信徒である長光寺のアクセスは、JR新大久保駅から徒歩5分、新宿駅東口より徒歩11分です。
東京で座禅体験できる寺院⑥
「万福寺」は座禅教室がある寺
曹洞宗の万福寺(まんぷくじ)は、映画「男はつらいよ」でおなじみの東京都葛飾区柴又にあります。この界隈では柴又七福神巡りがあり、万福寺は、中国の神で福(幸)禄(給)寿(長命)を授けてくれるという「福禄寿」の担当です。有名な帝釈天までは徒歩5分と近いので、セットで回れます。この万福寺でも座禅会や写経会、ヨガ教室などを行っています。
座禅会・瞑想の日程と場所
座禅会は、毎月第2土曜日の夕方におこなわれ、写経会も土曜日と土日に開催されています。それに対して、ヨガ教室や遊書の会は平日に開催されています。但し参加希望者が多いこともあり、継続的に参加することが前提になっています。また座禅会については現在初心者などの新規参加者が参加できない状況ですので、注意が必要です。日帰りのみ、宿泊不可な万福寺のアクセスは、京成柴又駅より徒歩5分です。
東京で座禅体験できる寺院⑦
「野沢龍雲寺」は座禅教室がある寺
臨済宗妙心寺派の大澤山(野沢)龍雲寺(りゅううんじ)は、世田谷区にあります。1699年に建立されました。幕末の安政地震で建物が全壊し、しばらくの間、復旧困難になり別院にうつりましたが、昭和の時代になり再興が叶い昭和49年に客殿を含めほぼ完成しました。禅を学ぶための教室として法話と写経、そして座禅体験ができます。
座禅会・瞑想の日程と場所
座禅会は「洗心坐禅会」と言う名前で平日ではなく土日で毎週日曜日の朝6時30分から2時間の予定で実施しています。自由参加で、初心者でも丁寧な指導があります。また座禅椅子の用意もあるので安心です。なお初めての場合のみ事前予約が必要です。ここも日帰りのみで宿泊はできません。HP上から日本語版と英語版の「座禅のしおり」がダウンロードできる龍雲寺のアクセスは、各地よりバス「野沢龍雲寺」バス停下車すぐです。
東京で座禅体験できる寺院⑧
「相国寺 東京別院」は座禅教室がある寺
臨済宗相国寺派の大本山「相国寺」は京都にある大寺院で、あの金閣寺や銀閣寺も傘下(塔頭寺院)です。そしてこの寺院の直系の支部寺院が東京にある「東京別院」です。場所は港区の南青山にあります。室町幕府三代将軍足利義満が建立した相国寺は消失や再建を繰り返しながら現在まで生き続け、平成14年に東京別院が完成、毎月2回京都から月2回の座禅会の指導のために東京に出向いています。
座禅会・瞑想の日程と場所
相国寺では座禅会のことを「維摩会(ゆいまえ)」は明治時代から在家信者向けに行われ、現在東京別院でも、平日ではなく土日に管長と大師により行われます。定員は45名です。坐禅の他に茶礼も行われます。ただ初心者というより経験者向けの座禅会です。日帰りのみで宿泊は不可です。相国寺東京別院のアクセスは、東京メトロ表参道駅より徒歩15分です。
東京で座禅体験できる寺院⑨
「高乗寺」は座禅教室がある寺
曹洞宗「高乗寺」は、東京の八王子、高尾山の麓、にあります。1394年に創建され、当初は臨済宗でしたが、1457年に復興させた「空海禅忠」により曹洞宗寺院になりました。この寺院には高尾山の麓の広大な土地に大きな墓地「高尾霊園」があります。そしてここでも座禅会が行われています。
座禅会・瞑想の日程と場所
高乗寺の座禅会には、通常の座禅会と日帰り禅体験があります。通常の座禅会には毎月第三土曜日に行われる「座禅友の会」という名前で、ユーザー登録するとネットから申し込みができます。日帰り座禅体験は平日に行われる企業・団体向けの研修として行われています。宿泊などは出来ません。高乗寺のアクセスは、JR・京王高尾駅より徒歩20分、土日には駅から送迎バスがあります。
東京で座禅体験できる寺院⑩
「成願寺」は座禅教室がある寺
曹洞宗「成願寺(じょうがんじ)」は、東京中野区にあります。室町時代に「中野長者」と呼ばれた商人「鈴木九郎」が、一人娘を病気で亡くしてから、仏門に生きる決意をし、小田原の最乗寺で修行をしたのち僧侶として邸宅を寺院にしました。幕末には新選組の近藤勇一家が身を寄せていたという記録もあります。そして座禅会も行われています。
座禅会・瞑想の日程と場所
成願寺の座禅会は、土日ではなく平日の毎週金曜日に行われます。夜18時30分から2時間くらいで、事前申し込みも不要なので、仕事帰りに気軽に立ち寄れます。週によっては写経などの講義が行われることもあります。ただし5名以上と外国人は定例会の参加は不可、団体座禅会のみです。12月には宿泊を兼ねた本格的な座禅会も開催しています。成願寺のアクセスは地下鉄中野坂上駅下車徒歩3分です。
東京で座禅体験できる寺院⑪
「補陀山長谷寺」は座禅教室がある寺
曹洞宗「長谷寺(ちょうこくじ)」は、東京港区にあります。ここは福井県にある曹洞宗の大本山「永平寺」の東京別院です。古くから観音堂があったこの場所に徳川家康の時代に2万坪の場所が与えられ、創建されました。東京大空襲で焼失したものの、1977年に寺院と本尊の麻布大観音と共に再興され、現在に至ります。こちらでも座禅会が行われています。
座禅会・瞑想の日程と場所
長谷寺の座禅会は、「月曜参禅会」と呼ばれ、土日ではなく平日の毎週月曜日の18時30分から2時間の予定で行われます。予約は不要です。外国人は2回目までは通訳同伴が必要となります。座禅会は3段階あり、初心者向けの初心者講習と、5回目までの中級、6回目以降の上級(参禅)に分かれています。日帰り専門で宿泊は不可です。長谷寺のアクセスは、東京メトロ表参道下車徒歩10分です。
東京で座禅体験できる寺院⑫
「東京禅センター」は座禅教室がある寺
臨済宗妙心寺派東京禅センターは、平成17年に設立された施設で、寺院ではありませんが、首都圏に禅を紹介・普及させる目的と、上京する檀信徒のために設立した宗教施設です。座禅教室をはじめ、写経教室や座談会、法話会など臨済宗妙心寺派のことが良く詳しく知る事ができます。本物の寺院だと敷居が高く感じる初心者でも気軽に座禅に参加できます。
座禅会・瞑想の日程と場所
東京禅センターの座禅会は平日の火曜日や土日(土曜日)に定期開催されている座禅会や夜の座禅会、座禅会よりさらに気軽に椅子で座禅を行う「ZEN cafe」など多彩で、他にもキリスト教との関連性や大学の講義など、禅を幅広く知るには非常に良い場所です。日帰り専用で宿泊は不可です。東京膳センターのアクセスは、東急三軒茶屋駅より徒歩19分、東急学芸大学駅より徒歩18分です。
東京で座禅体験できる寺院 番外
擇木道場
寺院ではないので番外編ですが、初心者から本格的な参禅まで可能な「人間禅 澤木道場」が東京都内にあります。東京支部は1967年から設立されましたが、その歴史は明治の初期にさかのぼります。臨済宗の流れを汲んでいるものの、寺院ではないので、寺院での参加に抵抗がある人でも参加できます。場所はJR日暮里駅のすぐ近くにあります。
東京坐禅道場 釈迦牟尼会
もう一つ、都内には釈迦牟尼会(しゃかむにかい)という座禅体験ができる場所があります。座禅会の他に初心者向けの「坐禅の基本」という講習会があります。座禅を気軽に始められるきっかけになるでしょう。座禅会の場所は東京都内では門前仲町と三鷹に道場があります。日帰りがメインですが、静岡の道場では宿泊を兼ねた本格的な座禅体験が可能です。
まとめ
以上で、東京都内で座禅体験ができる寺院を紹介しました。曹洞宗、臨済宗の寺院を中心として、都内各地に初心者でも受け入れられる座禅体験の場所が多くあります。朝の仕事前、夜の仕事帰りなど参加可能なところも多く、無料の場所もありますので、思い立つことがあれば、一度座禅を体験してみてください。今回の記事がお役にたてれば幸いです。
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