検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

ヒラタクワガタ採集に行こう!生息する場所や時期、トラップの作り方まで解説!

力強さが魅力なヒラタクワガタ。しかし、オオクワガタと同様に採集に行っても中々お目にかかれないということも…ヒラタクワガタを捕まえるコツはあるのか?ヒラタクワガタの生息地や、それにあった採集方法を実体験も踏まえてご紹介いたします。
更新: 2022年8月1日
amarunba
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

ヒラタクワガタとは?

学名 Dorcus titanus

ヒラタクワガタというのはオオクワガタ属(Dorcus)内のヒラタクワガタ種(titanus)に当たるクワガタを指し、日本国内では離島による生息地の亜種も含めて12種類。学名のtitanusとはギリシャ神話におけるティターンに由来しており、大きさや力強さのイメージから命名されたとされています。


日本国内のものではオスが70-80mm、海外では100mmを超える野生個体が見つかる大型のクワガタです。

ヒラタクワガタの生態

日本国内での生息地は本州、四国、九州となっていますが、原種の生息地は東南アジアのような熱帯地域とされています。比較的温かい西日本を生息地としている個体は大型化する一方で、東日本では個体数も体長も小さくなる傾向があるとされています。湿度が高い場所を好む傾向があるので河川付近で多く見られます。

闘争心が高くて気性が荒い一方で、人間に対しては警戒心が強く、大きなオスほど木の洞に潜んでいることが多いです。成虫の状態でも越冬が可能で、成虫としての寿命は1-3年とされています。

ヒラタクワガタはどうやって採集するか?

まずは基本 ヒラタクワガタが採集できそうな時期や場所を把握

ヒラタクワガタが居ない場所では採集なんてできないので、採集に出かける前に目星をつけておきましょう。


他のクワガタやカブトムシと同様にクヌギやコナラなどの樹液をエサにしています。これらは「ドングリの木」「シイタケ栽培の原木」ですので、ホームセンターなどで樹皮の特徴を覚えておくのもよいかも知れません。

ちなみにシイタケ栽培後に朽ちて廃棄された物が昆虫マットや産卵木になりますので、クワガタにとっては一生お世話になる木。これらの倒木があるかというのも生息地を知る上でのポイントになります。

また湿度のある所を好むというのが、ヒラタクワガタ採集のポイント。河川周辺に採集場所を絞ってもいいでしょう。河川周辺ではヤナギの木から出る樹液が、ヒラタクワガタのエサになります。また人間への警戒心への高さから、木の洞などの狭い場所に潜むようにしていることが多いということも覚えておきましょう。

エサで捕まえるという方法

単純明快 生息地を見つければ期待大

エサである樹液に集まっているヒラタクワガタ狙うシンプルな捕まえ方です。しかし、樹液が出ている木があっても、蹴飛ばして落とす捕まえ方はあまり効果的ではありません。

ヒラタクワガタは木の洞に身を隠しながら生活しています。そのため蹴飛ばしても落ちてくることは少ないのです。ヒラタクワガタを狙うなら、木の洞の中を目視で確認するルッキングという捕まえ方を併用する形で、樹液の出ている木の周りを探るのがよいでしょう。

エサでの捕まえ方 樹液採集

大きなヒラタクワガタのオスに有効な捕まえ方

エサを使う捕まえ方として一番理にかなっていると言えます。
ヒラタクワガタは大型種なので不必要に飛び回りません。エサ場を見つけたら居座るタイプなので、大型のオスが目当てならこの方法で捕獲します。

樹液にはアタリハズレがある

カブトムシやクワガタというのは結構グルメでして、樹液以外にも果樹園のブドウ・モモ・リンゴもエサにします。飼育する上で不適切とされるスイカにも寄ってきます。そして樹液が出ていれば虫が無条件に集まってくる…という訳ではないようです。

実は樹液はただ甘い糖質の蜜ではなく、夏の時期は気温によって発酵することでアルコールや酢を含んでいます。この匂いに誘われて虫が集まるので、樹液採集をするなら、樹液が多く発酵しやすい7-8月が時期として調度よいと言えます。

樹液採集は安全な服装で

樹液採集では雑木林に入ります。安全に配慮した服装を基本とし、道具を揃えます。

上下は共に袖の長い物を選び、この上から虫除けスプレー併用して虫除けにします。可能であれば頭部に帽子や虫除けネットを被るとよいでしょう。場所によっては竹や笹などがありますので、踏み抜きによる怪我も考慮すると靴は頑丈なブーツや長靴がよいです。

ヒラタクガタに合わせた採集道具

捕獲した時のための虫かごやケース、懐中電灯、捕獲用具を携帯します。ここでは実際に私が使っている物も例にして紹介します。


ケースはケンカにならないように個別に分けられる物がよいです。私が使っているのは「リングスター スーパーピッチディープ SP-3400DD」と言う物です。深さがあるのでカブトムシにも対応可能。

懐中電灯はLEDの物がオススメ。LEDは特殊な物でない限り紫外線を殆ど発しません。完全な暗闇でもない限り虫はこの光に殆ど反応しませんので、ビックリした虫が隠れたり落下したりというリスクが少なくなります。「シュアファイア E2DL」は200ルーメンの強い光で、ヒラタクワガタが隠れる狭い場所でも照らし出します。

実際に捕獲する道具としては30cmピンセットと手袋。素手で捕まえてもよいのですが、狭い場所に届かないこともあり、皮膚にガッチリと爪を立てられると中々離れないので、虫にとって掴み所の少ないピンセットを用います。

その他には隙間から引きずり出すための棒として「自転車のスポーク」を使ったり、狭い場所を確認するための「スマホ接続型内視鏡」を使う人も居るようです。

エサでの捕まえ方 バナナトラップ・パイナップルトラップ

樹液採集ができないときに

ヒラタクワガタが集まるような木々は見つけることは比較的簡単かもしれません。しかし採集に適しているかは運任せ。

例えその場所が確実に虫が集まる場所であっても「樹液の出が悪い」「雨が降って樹液が流れてしまった」「高い場所にあって届かない」というケースもあります。そういう時にはバナナやパイナップルをエサとして誘き寄せる方法があります。

ポイントは「アルコール」の匂い

より捕獲率を上げるなら虫を誘き寄せる強烈な匂いが必要。そこで使うのが「アルコール」です。バナナトラップ・パイナップルトラップでは、焼酎などにそれらの果物を漬け込み、夏の外気温で1-2日発酵させたものを使用します。

人によってワインであったり、お酢や黒糖やドライイーストを加えるなどの試行錯誤をしますが、いずれも発酵によって生じるアルコールやお酢の匂いがポイントとなります。

発酵させる際には強烈な悪臭とガスが発生しますので、臭いの付着や漬け込み容器の破裂などに注意が必要です。

バナナトラップ・パイナップルトラップは捕獲率が低い?

バナナトラップ・パイナップルトラップ以前より、エサを用いる捕まえ方はいくつも考えられてきましたが、期待通りの結果となるかは運次第。

というのも樹液の供給が十分であれば、虫達はそれで満足してしまいますので、わざわざリスクを犯してまで移動することはありません。天然の樹液の方が期待度は高いです。

では、期待値をあげる要素は?考えられるのは要素の一つとして時期があります。つまり「樹液が少ない」となれば虫達は移動しますので、「雨の降った後」「樹液の出が悪い初夏および初秋」などの時期が効果的ではないかと考えられます。

またヒラタクワガタが木の洞などに潜むという性格上、それを発見しても捕獲が困難な場合もあります。もしその洞の中に樹液が流れ込んでいないのであれば、誘き出す手段として使用するのもよいかもしれません。

ヒラタクワガタの樹液採集の様子

ヒラタクワガタの捕獲実績のある場所で樹液採集

過去に実績のある場所で樹液採集を行いましたので、その時の様子も含めてご紹介。雑木林の傍には川が流れており、ヒラタクワガタを探す上でポイントとなる「湿度の高い河川敷付近」という条件を満たしています。

下見の段階でバナナトラップが不要なほど天然の樹液が出ているのも高ポイントでした。おそらく長年に渡って樹液を出していると思われ、このような場所を調べるのがヒラタクワガタ採集では必要です。

ヒラタクワガタが好む場所は湿度の高い水源の近く。竹も生えていることがあります。竹で踏み抜きする可能性があります。ミリタリーブーツに見られるような皮系の靴を着用するのがよいでしょう。

雑木林に入ると樹液の甘酸っぱい匂いが立ち込めていました。この匂いが強いほどそこは生息地として適している証拠です。

ツタでできた隙間にヒラタクワガタのオスを発見。この様な場合はピンセットや棒を用いた捕まえ方になります。指が届かないような場所では有効な捕まえ方です。生息地を維持するために、樹木を傷つけたりはしません。

素手の場合なら木の根元を探る捕まえ方もあります。ちょうど樹液が根元付近から出ているので掘ってみました。

根元に隠れていたヒラタクワガタのオス。今回はクヌギの木で行いましたが、ヤナギの木で行うなら非常に有効な捕まえ方です。捕まえた後は落ち葉を戻しておきます。木の洞や根元の落ち葉というのは隠れ家なので、これらを破壊するのは生息地の破壊を意味しています。

光で捕まえるという方法


月の出てない日は外灯の下に集まる

なぜ夜の虫は外灯に集まるのか?それは月明かりに含まれる紫外線を目印に飛行しているためと考えられています。太陽の反射光が月明かりなので紫外線が含まれています。

これを月明かりがない状態で紫外線を発する水銀灯や蛍光灯の光を出すことで、月明かりと勘違いした虫が寄ってくるという原理です。逆に言えば月が出てしまうほどその効果が薄くなる捕まえ方でもあります。

光での捕まえ方 外灯採集

飛翔性の高いヒラタクワガタのメスや小型のオスに

外灯に集まってきた所を捕獲するわけですが、ひたすら外灯があればいいという物ではありません。むしろ一箇所に固まる形で設置されているほうが分散することなく集まるので効率的だといえます。

主な外灯としてはダムや橋などの水銀灯、無人駅、小さな物では自動販売機などがあります。コンビニの出入り口に虫除け目的で大型の扇風機を使用しているのであれば、そこに集まってきている可能性もあります。

お手軽な捕まえ方

外灯採集は人が設置した外灯で採集を行いますので、基本的にインフラ整備がされた場所です。コンビニや自動販売機の光でも集まってきますので、雑木林を分け入る時の様な装備も不要。ラフな服装で行えるお手軽な方法だと言えます。

今後は採集場所が減っていく?

捕まえ方としてはお手軽な外灯採集ですが、今後はLED照明の普及で減っていくと思われます。LEDやオレンジの外灯というのは、虫が集まらない外灯として採用されていますので、これらの外灯での採集は不向きなのです。

実際に雑木林でヒラタクワガタを見つけてきましたが、数年前にメスを採集した橋の外灯は、LED化に伴い殆ど虫が居ない状態となっていました。

光での捕まえ方 ライトトラップ

外灯がない場所で光を灯す

自前で光源を用意する場合はライトトラップとなります。大掛かりな昆虫採集と言えばこの方法ではないでしょうか。大きな水銀灯と電源である発電機を用いて、山全体を照らし出すことも可能。そのため光が照射される山全体の無視に対して効果を発揮します。

ただ、最近はHIDを光源にする場合もあります。水銀灯ですと1000Wを超える出力とそれに見合う発電機を必要としていましたが、HIDなら200W以下に抑えることも可能で、従来よりも軽装備で行えるようになりました。

服装は 黒 の方がよい?

光を灯すことでおびき寄せるわけですが、ライトの前に虫が落ちたときに白い服装だとどうなるでしょうか?ライトトラップでは光を拡散させる目的で白い幕を使い、その白い幕目掛けて虫が飛んできます。

つまり白い服を着ていると自分自身が幕と同じ状態になってしまいますので、ライトトラップに限っては白い服装は避けたほうがよいと思います。

ライトトラップの作り方

運用し易いHIDを使用

HIDサーチライト 55w ハンディライト

出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon

光源は12V・24V兼用55WのHIDライトです。大型の水銀灯も考えられますが、今回は電源にポータブルバッテリーを使用することを想定して、消費電力の少ない物を使いました。こちらを12Vシガーソケットから電源を取れるようにして、電源のポータブルバッテリーと繋ぎます。また角度が調節し易いようにカメラ用の三脚で固定します。

闇雲に山を駆け回るよりは楽

やってみるとわかることなのですが、最初はノコギリ・ミヤマ・コクワガタといずれも飛翔性の高いクワガタが多く集まります。大型のヒラタクワガタやオオクワガタはコクワガタ以降に飛んでくる傾向がありますが、これは長距離を一度に飛行せずに休憩を挟んでいると考えられています。


樹液採集の時のように、生息地がピンポイントで分かっていると言う場合なら、自分で踏み込む方が効率的です。オオクワガタのようピンポイントで探すのが困難な場合は、まずライトトラップで広範囲から誘き出した方が楽ですし、当ても無く山を彷徨うよりはよいと思います。

時期で考えるヒラタクワガタの採集方法

ヒラタクワガタは時期で採集方法が変わる?

カブトムシやクワガタの採集が可能な時期は地域によって異なりますが、5-10月の初夏~初秋にかけての時期だと言われます。

実際に飼育してみると分かるのですが、結構早い時期から越冬した個体は動きますし、温度管理とエサがあればノコギリクワガタも越冬してしまいます。なので、時期による環境の変化というのも、採集する上で押さえておくポイントなのではないかと思います。

5月~6月のヒラタクワガタの採集方法


越冬してきたヒラタクワガタの活動開始時期

実は5月頃からクワガタ達は動き始めます。オオクワガタ・ヒラタクワガタ・コクワガタなどの成虫のまま越冬する種類の場合、早い段階から活動を始めます。

この時期に有効とされるのがトラップ系

この時期はまだカブトムシやノコギリクワガタなどは出てきません。しかし、樹液の出がまだまだ悪く、樹液を求めて放浪する時期ではないかと考えられています。

なので、この時期はバナナトラップやライトトラップで誘き出すのがよいと思います。樹液が少なければバナナトラップに集まり易く、樹液を求めて飛翔するのであればライトトラップが有効。街灯採集でもOKです。

7月~8月のヒラタクワガタの採集方法

大型のオスは樹液のある木に定着

7月なるとノコギリクワガタなどが活動を開始。8月にはカブトムシも加わります。この時期にはヒラタクワガタのオスは隠れ家を確保し、樹液が流れ込む木の洞からは殆ど出てきません。

一種の縄張りを形成することで、メスとの出会いを待つ状態になり、オスが飛び回るのは稀になりますので、街灯採集やライトトラップでの捕獲は難しく、樹液採集でも隠れている場所を見つけなければなりません。

「ヒラタクワガタが見つからない」というの人の多くは、この隠れているヒラタクワガタを見つけられないのが原因だと思います。

9月~10月のヒラタクワガタの採集方法

この時期になると下火に

9月からは確実に活動が下火になり、10月はほぼシーズンオフと言った感じです。実際にはヒラタクワガタは越冬の準備をしていることが考えられますので、倒木の下などに隠れていそうなところを探してみるのもよいかもしれません。

ただ、河川敷の様な木々の少ない場所では越冬は難しいので、これらの場所から山地の方へ移動するのではないかと思われます。
 

ヒラタクワガタの採集ポイントを知る術は?

捕獲した実績のあるポイントは非公開が鉄則に

ネット上でヒラタクワガタを捕獲する動画は数多く見られます。ですが、その捕獲した場所をピンポイントで紹介されることはまずありません。

これは以前のオオクワガタに端を発したクワガタブームでの乱獲が原因。採集する際に樹木を破壊したり、発生したゴミを回収しないなどモラルに欠ける採集が横行し、なにより一箇所に集中して捕獲が行われることでその生息地の個体数が激減してしまいました。採集地の公開は生態系の破壊を意味しているのです。

まとめ

焦らず地道に探すのが一番

私自身が野生のヒラタクワガタを目にしたのは数年前。外灯採集でメスを見つけたのがきっかけで、採集場所もほとんど自分の足で見つけています。

その中で思ったのは採集できる場所=人の手が入った山林であること。実はある程度人の手が入った里山がオオクワガタやヒラタクワガタには必要。過去に採集実績のある場所ではシイタケ栽培や木炭製造のために、樹木を切り出していたケースも多く、そのための道も確保されて居たりします。

山の奥深くに行かないと採れないのではないか?と思われる方が多いと思いますが、決してそんなことはありません。人の存在を感じると隠れてしまうだけで、少し覗き込んでみれば、ヒラタクワガタは結構身近なところに居るクワガタなのです。