タカサゴユリとは?
「タカサゴユリ」という花の名前はあまり聞きなじみがないかもしれません。ユリで有名なのは白くて大きなテッポウユリですよね。しかし、このタカサゴユリはテッポウユリにそっくりな花で、特徴をよく知らない方は普通に勘違いしてしまう程なのです。今回はそんなタカサゴユリの特徴やテッポウユリとの違い、また日本原種のユリまで紹介していきます!
タカサゴユリの外観の特徴
タカサゴユリの高さは1.5mに達する
非常に背の高い野生植物で、最大で1.5mもの茎を出します。茎の幅は大体1㎝くらいあり、立派な太さですね。また、葉にも特徴があり、葉が少し細めで、長さは15㎝ほど。花の見た目でも他のユリとの違いに気付くことが出来ますが、花の特徴を忘れてしまっても、細めの葉が密に生えているならタカサゴユリだと分かります。
大きなラッパ状の花をつける
花は上記画像のようにとても大きく、そしてラッパ状になっているのが特徴です。花の大きさは、長さが15㎝、直径は13㎝ほどになります。花弁は全部で6枚あり、内側は白色ですが、外側には少しくすんだ紫色の線が入っていますよね。この紫褐色の線が見た目の最大の特徴で、ここだけ覚えておけば他のユリと判別が出来ます。
タカサゴユリの名前の由来
タカサゴユリという特徴的な名前は、実は沖縄の方言から来ています。タカサゴユリは元々は台湾から来た外来種で、沖縄の方言で台湾は「タカサング」と言います。そこからタカサゴユリという名前になったのですね。因みに、テッポウユリにとても似ている、葉の細いユリということで「ホソバテッポウユリ」と呼ばれることもあります。
タカサゴユリの生息地や環境
元々は台湾で自然分布している外来種植物
少し先述しましたが、タカサゴユリは元々は台湾で繫殖していた外来種でした。それが19世紀にイギリスに入りはじめ、日本には1924年にやってきたのです。このタカサゴユリは雑草の如き繫殖力を持っており、すぐに野生化をはじめ、日本中に広がっていきました。気温としては亜熱帯から温帯を好み、雑草の如き生命力で荒地で生息することが出来ます。
観賞用として導入後、日本で広がっていった
元々は観賞用として日本に入ってきましたが、タカサゴユリは風に乗せて種子を広範囲に飛ばすことが出来、道路脇などでも繫殖するほどの生命力を持ちます。しかし、連作障害をする植物であるため、何年かすると同じ場所では生きられなくなり、パタっと姿を消す存在でもあるのです。見た目も綺麗ですので、雑草扱いではなく、生えてきて嬉しい花というイメージもあります。
タカサゴユリとテッポウユリの違い
テッポウユリとは?
少し先述してきましたが、タカサゴユリはテッポウユリに酷似しています。上記画像がテッポウユリなのですが、知識が無いと一緒な花に見えてしまいますよね。このテッポウユリは大体50㎝から1m程度の大きさまで成長します。葉の形は長めの楕円形。原産地は沖縄付近となっており、香りはとても爽やか。鉄砲のような形なのでテッポウユリと名付けられました。
タカサゴユリとテッポウユリの違い
タカサゴユリとテッポウユリはとても似ていますが、第一の違いとして、テッポウユリは純白であるのに対し、タカサゴユリは花の外側に紫色の線が入っています。形は似ていても色で見分けがつきますね。また、タカサゴユリの方が背丈が伸びやすく、葉も細めですので、並べてみると色々な違いを感じられるはずです。ただし、テッポウユリとタカサゴユリが交雑したものが野生化して生えており、両方の特徴をもったものもいます。
その他の日本原種ユリ
日本原種のユリ①ヤマユリ
日本で野生に生えているユリは10種類以上ありますが、中でもよく知られている品種をいくつか紹介します!まず一つ目の種類が「ヤマユリ」です。ヤマユリは上記画像のように葉がくるっと外側に巻いており、また色と斑点があるのも特徴的です。生息地は本州の平地・山地で、7月から8月頃に、香りの強い大きな花を咲かせます。
日本原種のユリ②ササユリ
二つ目の種類が「ササユリ」です。こちらは少しピンクがかった色をしているのが特徴で、もう少し白い色のものもあります。生息地は本州中部から九州にかけて自生しており、日本固有のユリとして知られています。実はこのササユリは、種を植えてから花をつけるまでに7年以上の時間がかかる上に、最近は勝手に盗掘されていることもあって野生のものが減っている種類でもあります。
日本原種のユリ③オトメユリ・ヒメサユリ
三つ目の種類が「ヒメサユリ(オトメユリ)」です。こちらは可愛らしい名前の通り、少し小さめの花が特徴で、大体サイズは5㎝ほどです。色もピンク色で可愛らしいですよね。普通のユリはある程度成長してから花芽をつけるのですが、ヒメサユリは前年の夏から蕾を作りますので、手間暇をかけなくても蕾がちゃんとつき、確実に開花するというメリットがあります。
日本原種のユリ④カノコユリ
四つ目の種類は「カノコユリ」です。こちらは四国や九州、また台湾や中国などにも分布しているユリです。海外の壁や草原など至るところで野生植物として繫殖しており、案外身近な植物と言えますね。開花期は7月中旬から8月中旬と少し遅め。花のサイズは大体10㎝ほどになり、草丈は大きめの1.5mほどです。花の色は決まっておらず、ピンクや黄色、白色など様々あります。
日本原種のユリ⑤オニユリ
五つ目の種類は「オニユリ」です。こちらはアジア圏に生息しているユリで、日本では北海道から九州まで幅広く生息しています。オニユリの特徴は繫殖方法で、種ではなく、葉の付け根のところにムカゴという実をつけます。このムカゴは芽のようなもので、球根のように扱い繫殖させていくことが出来ます。草丈は最大で2mまで伸びますのでとても立派なユリですね。
日本原種のユリ⑥スカシユリ
六つ目の種類は「スカシユリ」です。こちらはとても綺麗な花を持った種類で、特徴は花と花の間に離れている部分があることです。このことから「透かし」という言葉が入っています。大きさは大体60㎝ほどと少し小柄。花期は場所によって違いがあり、太平洋側では7月から8月頃ですが、日本海側のものは5月から6月に花を咲かせます。
タカサゴユリは冠婚葬祭で好まれる
タカサゴユリとテッポウユリの使われ方
台湾から入ってきて野生化した外来種ですが、決して雑草のような扱いをされている訳ではありません。元々観賞用として入ってきたのが雑草の如く広がっていっただけで、とても美しい花であることに変わりはないのです。タカサゴユリやテッポウユリはその見た目の華やかさから、よく冠婚葬祭に使われ、切り花としても重宝されています。
球根の分球で増やすことが出来る
タカサゴユリを見つけて育ててみたくなったら、球根の分球がおすすめです。基本的な繫殖方法は実を風で飛ばすことなのですが、球根を分球すれば確実に、容易に増やすことが出来ます。ただし、連作障害がある為、数年に一度は植えてある場所を変えてあげなくてはいけません。生命力は雑草のように強いので、育てるのは容易です。
タカサゴユリの花言葉
花言葉は「正直・甘美・威厳・純潔・無垢」となっています。元々白いユリは威厳や純潔といった誇り高いイメージのある花言葉がつけられており、タカサゴユリも同じような言葉が並んでいますね。特に白いユリは純潔のイメージが強く、無垢や正直といった言葉も色のイメージからついた言葉でしょう。どなたかに贈る際には、花言葉も添えて贈ると喜ばれるかもしれません。
タカサゴユリの育て方
もしタカサゴユリを育てる際には、水はけの良い土で育てるのがおすすめです。とはいえ、あまり環境を選り好みしすぎない外来種植物でもありますので、気軽に植えてみましょう。一旦しっかり育ちはじめると、どんどん繫殖していきます。シーズンになると大きなラッパ状の花が沢山咲き、お庭が賑やかになりますね。野生化する外来種はとても強いので、育てやすくおすすめです。
タカサゴユリに関するTwitter
生息域を広げすぎている外来種
あのユリ、外来種のタカサゴユリといって、道端や荒れ地、高速道路端によく生息するそう。風媒体で受粉して大量に種が飛ぶとか…
— はちわれ (@hachiware880) August 9, 2015
ということはやはり進行してきてる。
さっき買い物に出たら、それはもうわんさか咲いてるお宅があった(笑
こちらは外来種であるタカサゴユリがどれだけ生息域を広げているのかがよく分かるツイートです。実は近年、タカサゴユリの生息範囲が大きく広がっており、高速道路や荒地などにどんどん生息域を広げているのです。見た目がとても美しいので伐採する方は少ないのですが、あまりに広がってきている為問題視されていたりもします。
タカサゴユリってどんなユリ?
これはタカサゴユリかねぇ(´⊙ω⊙`) pic.twitter.com/hIepUluhsL
— anzutann@ティアつ08a (@anzutann) July 10, 2018
こちらは何ユリか分からず、なんとなくタカサゴユリではないかと書いてあるツイートです。少し距離が離れた写真ですが、沢山の斑点がありますのでタカサゴユリでは無さそうですね。しかし、タカサゴユリは現在生息域を広げており、他のユリと交雑することも多く、雑種のユリも多数登場しているのが現状。案外混ざっていることもあるかもしれません。
タカサゴユリの大量の種子
今日の冬至は里山散歩。
— ヒメ (@tanpopo507) December 22, 2017
わー!凄い種子が。#タカサゴユリ が種子を飛ばす準備をしています。
3個の部屋に1000個程の種子が。 pic.twitter.com/mRYiLdqj1Q
こちらはタカサゴユリの大量の種子が紹介されています。大きく生息域を広げている外来種ですが、その原因は強い生命力と繫殖力です。1000個もの種子が風に乗ってどんどんばらまかれていけば、全部がちゃんと育つ訳ではなくとも、増えていくのは納得ですよね。あまりにも増えていくようであれば伐採も考えなくてはいけないかもしれません。
雑草が枯れだす時期でも頑張るタカサゴユリ
今日の里山散歩です。
— ヒメ (@tanpopo507) December 1, 2017
12月なのに、まだ頑張っている。#タカサゴユリ の花は、咲くことができるかナ? pic.twitter.com/B5rQBDWbWn
こちらは雑草も枯れる12月にまだ頑張っているタカサゴユリが紹介されています。基本的な花期は7月から9月ですので、かなり遅めに成長してしまったようですね。普通の花であれば枯れてしまうところですが、その生命力の強さから、周囲の雑草が枯れてもまだ頑張っています。また、周囲の土地も全然整備されていないのに生えていることから、繫殖力の強さを感じますよね。
まとめ:タカサゴユリとは
今回の「タカサゴユリとは?その特徴や日本の原種まで解説!テッポウユリとの違いは?」はいかがでしたでしょうか?
タカサゴユリの歴史や特徴からテッポウユリとの違いなどまで様々な点について解説させて頂きましたが、どのような花か大体把握出来ましたでしょうか。生命力が強い外来種として、日本でも野生化したものが普通に見られるようになりましたので、まだ見たことが無い方もいずれ見られるかもしれませんね!
タカサゴユリが気になる方はこちらもチェック!
今回はタカサゴユリについて解説しましたが、他にも花・ガーデニングに関する記事が沢山あります。気になる方は是非見てみて下さい。
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