はじめに
「ホトトギス」と聞けば多くの方が野鳥を思い浮かべるのではないでしょうか。今回は園芸植物として人気が高いホトトギスについてご紹介します。
ホトトギスって鳥じゃない?たくさん種類がある?花言葉の意味は?育て方は?開花時期はいつ?そんな疑問を解決していきます。
ホトトギスとは?
学名:Tricyrtis(トルキルティス)
和名:ホトトギス属(杜鵑草属)
ホトトギスはユリ科ホトトギス属の多年草本植物で、夏の終わりから秋の終わりの季節に直径2~3センチほどの小さな花を咲かせます。
日本原産の植物とされており、現在確認されている種は19種類になります。ホトトギスと聞くと野鳥のホトトギスを思い浮かべる方も多いと思います。今回紹介する植物のホトトギスの名前はその野鳥のホトトギスから由来しています。
ホトトギスの由来は?
ホトトギスの名前の由来
ホトトギスという名前は、若葉や花弁の斑点模様が、鳥類のホトトギスの胸毛の模様とよく似ていることから由来しています。
学名のTricyrtisは、花の特徴である「3枚」の外花被の基部が「曲がっている」ことから、ギリシャ語で3を意味する「treis」と、曲を意味する「kyrtos」が学名の由来となっています。
ホトトギスにはどんな種類がある?
ホトトギスの種類
ホトトギスは現在19種類確認されております。
19種類のうち半数以上の13種類が日本に自生しております。そのうち10種類が日本の固有種とされ、絶滅危惧種に認定されている貴重な種もあります。ほかに園芸用品種として交配種がたくさん作られております。代表的な種は以下です。
ヤマジノホトトギス
ヤマジノホトトギスは日本固有種で、その名の通り山路の途中でよく出会うことが由来となっています。
花は葉腋に2~3つ咲かせます。
白い花被に紫色の斑点があるのが特徴になります。似ているものにヤマホトトギス、セトウチホトトギスな
どがある。
タイワンホトトギス
台湾に多く自生しており、日本では西表島でわずかに生息が確認されています。
滝の周辺など山地の湿った場所に自生します。絶滅危惧種に認定されており、今後保全活動が必要とされています。
花被はやや上向きに開き、花の縁はやや紫色。花糸にも赤い斑点があります。
ジョウロウホトトギス
ジョウロウホトトギスは日本固有種で、高知県や四国の太平洋側の地域の急峻な崖に自生しています。
花は葉腋に釣鐘型の花を咲かせます。外側が黄色い花で、内側に紫色の斑点があります。つぼみは上向きにつけますが、徐々に下垂し開花します。
紀伊半島に自生するものでキイジョウロウホトトギスがある。
ヤマホトトギス
ヤマホトトギスはヤマジノホトトギスとよく似た花をつけます。白い花に紫色の斑点があり、花被片は下に大きく反り返ります。ヤマホトトギスは茎の先に花をつけますが、ヤマジノホトトギスは葉腋に花をつけるので、見分けるのはそう難しくありません。
キバナノホトトギス
キバナノホトトギスの野生種は分布が狭く、九州の南西部の林に自生します。名前の通り黄色い花を葉腋に咲かせ、紫色の斑点が花被の内側にあります。
日本に自生するほかのホトトギス
ほかにも多数のホトトギスが日本に自生しております。
ホトトギス
セトウチホトトギス
チャボホトトギス
タカクマホトトギス
タマガワホトトギス
など
ホトトギスの原産国
ホトトギスは日本のほかにも朝鮮半島、台湾などに分布しており、19種類が確認されています。
19種類のうち日本には13種類が自生しており、そのうち10種類が日本固有種です。種の半数以上が日本に自生していることや、日本列島を中心に分布していることから、日本原産であるとされています。
ホトトギスの花言葉は?
花言葉の意味と誕生花
ホトトギスの誕生花は9月12日、10月9日です。
花言葉はとてもロマンチックで「永遠にあなたのもの」「秘めた意志」「秘めた恋」「永遠の若さ」など意味があります。
「秘めた意志」「秘めた恋」という花言葉はホトトギスが日陰でひっそりと、しかし力強く花を咲かせていることから由来しています。
ホトトギスの花の利用
ホトトギスの花が開花する季節
ホトトギスの花が開花する季節は、夏の終わりごろから秋の終わりごろで、約二か月ほどの期間その花を楽しむことができます。
「永遠の若さ」という花言葉の意味も、ホトトギスの花の持ちの良さに由来しています。
生け花や茶花としての利用
ホトトギスは特徴のある魅力的な花をつけることから園芸植物のとして庭に植え付けたり、鉢植えでガーデニングに利用されます。園芸品種としての交配も盛んにおこなわれており、とても高い人気がありますが、地域固有種などは園芸用に盗掘されることがあり、絶滅が危惧されてる品種も多いのが現状です。
名前の由来となった野鳥のホトトギスは霊鳥であったとされ、ホトトギスの花も格式高く、生け花や茶花としての利用も盛んです。
ホトトギスの生育環境
ホトトギスは日本、朝鮮半島、台湾、中国などに分布しています。
概ねの種類が山野の風通しがよく、日当たりが弱い林縁などに自生しておりますが、品種によっては水の滴る崖や傾斜地などに自生する種もあります。
ホトトギスの育て方
日本全国に自生しているだけあって、日本でとても栽培しやすい山野草です。(育て方にクセのある難しい品種もあります)
風通しの良い日陰で良く育つので、マンションのベランダや日当り条件がイマイチという場所などでも栽培が可能です。
ホトトギスの植え付け時期
ホトトギスに限らず、植物の植え付けは適切な時期に行うことがとても重要なポイントになります。
植え付けのタイミングが悪いと最悪の場合、植物を枯らしてしまうこともあります。
ホトトギスは冬の間、上部が枯れてなくなり地下部で休眠して越冬します。春が近づき、休眠を打破して芽吹き始める前が植え付けのベストなタイミングになります。地域によって違いはありますが、2月~3月頃がこのタイミングにあたります。鉢植えの場合は1年に1度の植え替えが理想です。
ホトトギスの植え付け方
用土はホームセンターなどで購入できる山野草向けのもので問題ありませんが、ポイントとしては水はけの良い用土を選ぶようにしましょう。
ホトトギスを土ごと鉢から取り出し、根の周りの土を優しく落とします。この時に腐って黒ずんだ根があればハサミで切って取り除いておきましょう。
植え付け後はたっぷり水を与えて半日陰で管理しましょう。また、ホトトギスは挿し木のほか、株分けで増やすことができますので、植え付けの際に株分けも行いましょう。
ホトトギスの季節ごとの育て方、管理方法
ホトトギスの季節ごとの育て方、管理方法を以下でご紹介します。
春の管理
冬の間、越冬のため休眠していたホトトギスは春の訪れとともに芽吹き、次々と葉を展開します。
日陰を好む植物ですが、春~初夏は生育が旺盛な季節になります。
この季節にあまり日に当たらないとヒョロっと弱弱しく育ってしまいますので、適度に日の当たる場所で管理しましょう。
ホトトギスは乾燥に弱いので、潅水は用土の表面が乾いてきたら行います。肥料あまり与えずとも旺盛に生育しますが、2週間に一度程度、希釈した液体肥料を与えると良いでしょう。
夏の管理
夏の時期の直射日光は強力なので、葉焼けを起こすことがあります。半日陰で管理するか、遮光ネットを利用して日の光を和らげてあげましょう。夏の時期の潅水は気温と時間に注意しましょう。日中、気温が上がる時間に潅水をすると鉢植えの中の水の温度があがり、根を傷めてしまうことがあります。
潅水は朝の気温が上がり始める前、10時以前に行うのがベストです。乾いているようであれば、夕方にもう一度潅水しても良いでしょう。乾燥に弱いので霧吹きで濡らしてあげたり、潅水時に周りにも水を撒くと湿度を上げることができます。
秋の管理
水管理は土の表面が乾いたら潅水を行いますが、休眠が近づいてきたら少しずつ潅水量を減らすようにします。
9月~10月は週に一度、希釈した液肥を与えます。冬に向けて休眠の準備を始めますので、休眠に入る前に肥料を与えて栄養貯蔵を手助けしてあげると、休眠から覚めたホトトギスの成長が良くなります。
また、夏の終わりから秋にかけてがホトトギスの開花時期になります。直径2~3センチほどの小さな花を咲かせます。これまで苦労して開花させた可憐な花をじっくり愛でましょう。
冬の管理
花の季節が終わり、種をつけるので翌年に発芽させたい場合は採種しておきましょう。植物の種は低温、低湿で保存すると翌年まで発芽率を高く保てます。
冬の季節、ホトトギスは休眠に入ります。上部が枯れてなくなることがありますが、地下部で生きていますので慌てないようにしましょう。休眠期は成長がとまり、貯蔵栄養で越冬しますので施肥の必要はありません。潅水を止めて乾燥気味に管理することで凍結、凍害を防げます。
その他栽培上の注意点
ホトトギスの害虫、病気
ホトトギスはナメクジ、カタツムリ、毛虫などの食害に遭いやすいです。
初夏ころから害虫が増え始めますので注意しましょう。ナメクジ、カタツムリはホトトギスの新芽、若葉を食しますので忌避剤を鉢植えの周りに散布しておいたり、鉢の裏側を確認して見つけ次第駆除します。薬剤を有効に利用して予防、駆除しましょう。
また、ホトトギスは白絹病やモザイク病などの病気にかかることがあります。病気にかかった株は、ほかの植物への病気の拡大を防ぐために抜いてしまいましょう。
ホトトギスの増やし方は? 挿し木、株分け、種子採種
挿し木
ホトトギスは挿し木で容易に増やすことができます。
挿し木の適期は梅雨の季節で、葉をつけたまま5~6センチほど切り取ります。発根を確認しやすいよう、浅い鉢に鹿沼土を用意し、切り取った茎を挿し木します。根が確認できるまでは、明るい日陰で湿度を高く保つようにしましょう。しっかり発根したら鉢に植え付けを行いましょう。
株分け
ホトトギスは挿し木のほか、株分けでも増やすことができます。
ホトトギスは1~2年に一度植え替えを行いますが、その際に株分けを行いましょう。
大きく育った株は植え替えの際に根を優しく解し、分けて植え付けると容易に増やすことができます。
実際に栽培してみましょう!
ホトトギスの買い方
ホトトギスの由来から育て方までをご紹介してきましたが、実際に栽培するためにホトトギスを入手しましょう。ホトトギスの入手は簡単で、近所の花屋さんや、ホームセンターなどで販売しておりますので気に入った株があれば買ってみましょう。
ネット通販でも購入が可能です。
ネット通販では愛好家や専門の店員が管理、販売しておりますので、株の状態も良好です。また、品種も多彩で交配種が出回ることもあるので変わった花のホトトギスが手に入るかもしれません。
[ ホトトギス ] 百恵 ( ももえ )
「百恵(ももえ)」は赤紫色の斑紋の入る品種です。シェードガーデンや鉢植えに最適な秋の花です。 ■育て方 【ポイント】 年間を通して風通しの良い場所で管理しましょう。夏場は半日陰に置くと葉が焼けなくて良いでしょう。 【水やり】 水は好みますので表土が乾いたらたっぷりとやります。 【肥料】 春に化成肥料を置き肥しましょう。 【用土】 水はけの良い用土を使用しましょう。鹿沼土や火山レキがおすすめです。
[ ホトトギス ] 白花ホトトギス
「白花杜鵑(しろばなほととぎす)」は白い花びらに少し黄色い斑点模様が入る花を咲かせます。「白楽天」と呼ばれる園芸品種と思われます。 ■育て方 【ポイント】 年間を通して風通しの良い場所で管理しましょう。夏場は半日陰に置くと葉が焼けなくて良いでしょう。 【水やり】 水は好みますので表土が乾いたらたっぷりとやります。 【肥料】 春に化成肥料を置き肥しましょう。 【用土】 水はけの良い用土を使用しましょう。鹿沼土や火山レキがおすすめです。
[ ホトトギス ] 相模ジョウロウホトトギス
神奈川県産のジョウロウホトトギスです。やや小型のタイプで茎は無毛。茎の先に総状花序をつける。葯が黄色。 ■育て方 【ポイント】 年間を通して風通しの良い場所で管理しましょう。夏場は半日陰に置くと葉が焼けなくて良いでしょう。コンパクトに育てるには、5~6月に一度根元から3、4節残して切り戻しましょう。 【水やり】 水は好みますので表土が乾いたらたっぷりとやります。 【肥料】 春に化成肥料を置き肥しましょう。 【用土】 水はけの良い用土を使用しましょう。鹿沼土や火山レキがおすすめです。
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