アボカドの種から発芽させたい!
種からアボカドを育てるには
アボカドを食べたあと、大きくて立派な種を見て「アボカドを育てることはできないか」と誰でも一度くらいは思ったことがあるのではないでしょうか。
スーパーなどで売られていたアボカド。食べたあとの種から発芽させ、苗にして木に育てるということは可能なのでしょうか。美味しくいただいた後の種で、ふたたびアボカドの実がなるまで栽培できたらとってもお得ですね。
まずアボカドを知ろう!
分類
アボカドはクスノキ科ワニナシ属というちょっと聞き慣れないの植物です。クスノキは知っていても「ワニナシってなに?」と思う人もいるでしょう。
ワニナシは、ズバリ!アボカドの別名です。これは日本で考えられた別名ではなく、アメリカで「alligator pear」と呼ばれていたことから、直訳して付けられた別名です。
原産地
アボカドの原産地は中南米メキシコから中央アメリカあたりまで。熱帯から亜熱帯の地域で育つ植物で、本場アメリカでは30メートルにもなる大樹もあるそうです。寒い気温に弱い植物なので、冬の寒さ対策が必要となるでしょう。
アボカドの栄養成分
アボカドに含まれる脂肪分は、体によいといわれるオレイン酸。腸内の悪玉菌と善玉菌のバランスをとる働きがあるだけでなく、アンチエイジング作用があります。その他、血圧を下げるカリウム、血のめぐりをよくして、肌ツヤをよくしてくれるビタミンEも豊富に含まれています。
アボカドの活用方法
実ったアボカドの実は、皮を剥いて種を取り、スライスしてわさび醤油でいただくのが一番シンプルな味わい方です。アメリカでは「カリフォルニアロール」という名前でアボカドの巻き寿司が人気なのだとか。
食用にする以外にも、脂肪分が多いアボカドはクリームや石鹸に配合されている他、アボカドからとったオイルを肌に塗るスキンケア方法もあります。
アボカドの種を育てる
1.水耕栽培
水耕栽培からアボカドの種を育てる人が多いです。やはり、あの種からどのように根が出て、芽が出るのか見られた方がワクワクしますね。植物を育てる楽しみも実感できます。発芽したアボカドの種は、後から植木鉢に植えることもできるので、まずは水耕栽培にチャレンジしてみるのがおすすめです。
2.植木鉢に植える
アボカドの種から発芽したら、もっと大きく、いつまでも元気でいて欲しいものですね。アボカドをしっかりと観葉植物の木として、または、実るまで育てたいと思われる人は、水耕栽培で発芽を楽しんだあと、植木鉢に植え付けをおこないしっかりと育てていきましょう。
3.庭に直接植える
観葉植物として部屋の中で愛でるアボカドの木も良いですが、大きく育てたい、長くお世話をして花を咲かせたいというときは庭に地植えしてしまうという方法もあります。最初から地植えにすると早く成長するという人もいますが、温かい地域に限ります。
発芽しやすい・発芽しにくいアボカドの種
発芽しやすいアボカドの種
発芽しやすい種とは、発芽能力が高い種です。アボカドの実が十分に熟して種の中にもしっかりと栄養が蓄えられている状態のものです。そのためには、アボカドの実が収穫された後でも生き続けている必要があります。このようなアボカドの実の中の種が発芽しやすいアボカドの種といえます。
発芽しにくいアボカドの種
冷蔵庫などの低温で保存されているアボカド。それは植物の成長を止めて、傷みを抑えるため(食べるため)の保存方法です。そのために、アボカドもアボカドの種も休眠状態になっていたため、発芽能力が低いアボカドの種になってしまいます。
若くて硬いアボカドを買って、冷蔵庫で長期保存していた実の中の種は、発芽しにくいので育てるのには難しいでしょう。
アボカドの種の水耕栽培のやり方1
育て方1-1:用意するもの
さて、それではまず、アボカドの種を育てるための道具からご紹介しましょう。
1.アボカドの種がすっぽり収まる容器。発根の様子が観察できるガラス製がおすすめ。
2.爪楊枝
3.水
水耕栽培でアボカドの種を発芽させるのに必要なのは、こんなシンプルな材料だけです。とっても気軽にはじめられますね。
育て方1-2:植える前にもう一度種チェック
先程、保存方法による「発芽しやすい種と発芽しやすい種」の簡単な分け方をご紹介しましたが、実は水耕栽培をはじめる前に、もう一度したい種チェックの方法があります。下でその方法を、ご紹介しましょう。
アボカドの種の水耕栽培のやり方2
育て方2-1:種を水に浮かべてみる
アボカドの種を水に入れると、発芽するかしないかがわかります。水に入れて浮いてしまうのは中の栄養分がもう使われてしまっている、いわばアボカドの種の抜け殻。発芽するのは無理でしょう。逆にしっかり種の中に栄養がつまっていると重いので沈みます。水耕栽培には沈む種を使いましょう。
育て方2-2:発芽を促す薬
しっかりと重いアボカドの種を選んでも、硬いアボカドの種殻を破って発芽するのはアボカドも結構大変な作業です。少しでも発芽しやすくするために「メネデール」という薬品につけておくとよいでしょう。
メネデールの使い方は簡単。半日ほど種をつけておくだけです。メネデールの中の"発芽に必要な栄養分"を含む成分がしっかり浸透して、アボカドの種の発芽率をあげてくれます。
アボカドの種の水耕栽培のやり方3
育て方3-1:植える時期
植物の発芽には、適した温度があります。アボカドを種から育てるなら4月から6月くらいの気温が最適です。室内で発芽させるなら4月から6月にこだわらなくても、発芽させることは可能です。その場合はしっかりと室温を一定に保つような工夫をして「暑すぎる」「寒すぎる」気温にならないよう調整してあげましょう。だいたい20度程度がアボカドの発芽の適温といわれています。
育て方3-2:水栽培のセッティング
アボカドの種から発芽させて観葉植物にするのは、とても簡単です。実から外して、果肉を水でよく洗い流した種の真ん中くらいに、3本の爪楊枝を差します。これは種が全部水に浸らないようにするためのストッパーです。あとはガラス容器に平らな面を下にしてセットするだけ。これで水が腐らないよう取り替えながら、発芽を待ちましょう。
アボカドの種の水耕栽培のやり方4
育て方4-1:発芽しないときは
アボカドの種の中には、発芽能力が下がってしまっているものもあります。どのくらいで発芽するのかは、個体差がでます。違う種を水栽培したらそちらの方が先に発芽するということも。種によっては全く発芽しないものもあります。保険のために、いくつかアボカドの種の水栽培を作っておくとよいですね。
育て方4-2:発芽までの日数は
育て始めたときの気温、室温によります。20度程度の安定した室内で、アボカドの種から水耕栽培をはじめた場合、発芽までの目安は1ヶ月程度といわれています。でも、根気よく発芽までねばった人の中には、半年程度かかってやっと発芽した種もあるそうです。発芽までの日数の1ヶ月は、「あくまでも目安でバラつきがある」と考えた方がよいようですね。
アボカドの種の水耕栽培のやり方5
育て方5-1:発芽した後の置き場所
アボカドの種から水栽培で発芽させようとするとき、乾燥しないように直射日光に当てないようにします。でも、発芽したあとはできるだけおひさまに当ててあげたいですね。植物は太陽の光を使って光合成をしますので、自然と明るい方へと伸びる習性があります。日当たりが悪いと、ひょろひょろと徒長した株になってしまいます。
育て方5-2:日光に慣らす
でも、急に直射日光に当てるとせっかくの観葉植物のアボカドの葉が「日焼け」してしまいます。部屋の中の直射日光が当たらない場所から、午前中日が当たる場所のカーテン越しの光に1ヶ月くらい慣れさせます。そのあとカーテン越しの窓際に1ヶ月くらいと、順序よく陽の光の強い方へと移動させてアボカドの木を太陽に慣らしていきましょう。
アボカドの種の水耕栽培のやり方6
育て方6-1:植え方
しばらくは観葉植物として室内で楽しんでから、もっと大きな株に育てるために植え替えをおこないましょう。植え替えは、早く鉢植えにしたい場合でも発根してから1ヶ月後くらいを目安にしましょう。土に植えるには、しっかり根が出てからが好ましいです。
育て方6-2:鉢と土
種から発芽させたアボカドの種を大きな木にしたり、花を咲かせたい場合は鉢植えや地植えにします。鉢植えよりも地植えの方が花が咲きやすいです。植え替えに使う鉢は種を入れて少し余裕があるくらいの大きさ。植える鉢の大きさ目安として、3~4号(9~12センチ)鉢になります。植えるのに使う土は、観葉植物用の土で良いでしょう。
育て方6-3:植え替え
アボカドを鉢植えで育てていると、大きくなるにつれて根が鉢いっぱいになってきます。そうすると、だんだんアボカドの成長が止まってしまい元気がなくなることも。アボカドの木にくらべて「鉢が小さくなってきたな」と感じたら、4~6月ころに植え替えをしてあげましょう。今までよりもひとまわり大きな鉢か、思い切って地面に植えてしまってもいいですね。
アボカドの種から木に育てるには
花を咲かせよう
アボカドの花は、緑色に近いちょっと地味な花です。花を見るための植物とはいいにくいですね。アボカドの花が咲く時期は春先、つくしが土の中から顔を出すころです。そして、その花の中には他の多くの植物と同じように雄しべと雌しべが存在しますが、この花、実はすぐに咲いてくれるわけではありません。
鉢植えでは花が咲きにくい
アボカドは2年に1度実をつけます。実に栄養をたくさん取られるために、毎年実をつけていると木が栄養不足で枯れてしまうため。アボカドも考えて、自分で調整して実をつけているんですね。
そして、なぜか鉢植えでは花が咲きにくいといわれています。まったく咲かないというわけではないので、咲くかも知れないという範囲ですが、「花を咲かせて実を付けさせたい」と思ったら、鉢植えよりも地植えの方がおすすめです。
地植えに適した場所
温かい地方の植物なので、アボカドは寒さに弱い性質があります。真冬に霜が降りるように場所は、アボカドの木に適した植える場所とはいえません。植えるのに避けたいのは北風が当たる場所、霜が降りる場所。植えるのに好ましいのは、日光がたくさん当たる場所です。庭の中のそんな場所を選んで、アボカドの木を地植えしてあげてください。
アボカドの木の育て方
肥料
アボカドを鉢植えや地植えにしたら、肥料をあげてもっと大きく育てたいですね。肥料を与えることで、大きな株に育ちます。肥料を与える時期は春。4月から5月ころに、緩やかに効く化成肥料を株元に与えます。パッケージや説明書にかかれている規定量を守ってあげましょう。
地植えで10メートル
アボカドは熱帯の植物ですが、日本でも庭に地植えにするなら10メートルくらいにまで成長することもある木です。10メートルといったら、軽く2階建て家の屋根を超える高さ。公園や森の中ではないので、庭に植える木にそんなに大きくなられては困りますよね。
木の大きさ管理
放っておくと10メートルにもなってしまうアボカドの木。大きさ管理をしてあげないと、おとなりの家が近いところでは日当たりが悪い、景色が見えなくなったなど近所から苦情がくることも。そこそこの大きさで成長を止めましょう。
肥料をあげる量を抑えたり、剪定して大きさ管理をします。次の章では摘芯や剪定の仕方についてご紹介しましょう。
アボカドの摘芯・剪定の仕方
木のサイズ調節(剪定)
アボカドの木の成長を抑えるために、サイズ調整をする方法に摘芯・剪定があります。自分が育てたい大きさにまでなったら、枝を摘芯・剪定して脇芽を成長させサイズ調整しましょう。剪定に向いている時期は、植物の成長期を迎える前です。種まき・植え付けの時期と一致します。4月から6月頃が剪定にも向いている時期です。
摘芯のコツ
摘芯は上への成長を抑えて、枝を横に広がるように形を整えるとともに、枝数を増やして株をこんもりと育てるのに、重要な作業となります。「もったいないな」と感じても思い切って下の方から摘芯してあげるとひょろひょろと上に伸びる株ではなく、横にもボリュームのある立派な木に仕上がります。
アボカドも透かし剪定をしよう
混み合った枝の中から、残す枝、剪定してしまう枝を見極めて、きれいに剪定していきましょう。形を整える剪定は、下からはじめて
1.下を向いている枝
2.3又に分かれている枝の真ん中の枝
このような枝を剪定していくと、アボカドの木も形が整います。食べるだけのアボカドの木であれば、好きな形に成長させても良いのですが、観葉植物や庭木としてアボカドを植えるなら、剪定して形よく仕上げたいですね。動画を参考にして剪定のコツを学びましょう。
アボカドの実をつけさせるには
雌雄異熟花
アボカドは2本の木があると実がつく植物です。このような、結実に2本の株が必要な植物の有名なものにラズベリーがありますが、アボカドはラズベリーとはちょっと違います。ラズベリーは雌雄異樹。イチョウと同じで雄株と雌株がありますが、アボカドは、ひとつの花にちゃんとおしべとめしべがあります。
でも、せっかくおしべとめしべがあるのに、それが熟す時期がズレるという面白い花の咲き方をする植物なのです。これを雌雄異熟花といいます。
アボカドの咲き方は2種類
雌雄異熟花をつけるアボカドの木。それほど複雑なシステムではありません。たった2種類の咲き方をするだけです。例えば、1つの木は午前中におしべが開き、翌日の午後にめしべが開きます。
そしてもう1本の木には午後におしべが開き、翌日の午前中にめしべが開くのです。花を見れば黄色い花粉がついているか、ついていないかで簡単に見分けることができます。
人工授粉
おしべとめしべの成熟期がズレて、1本の木では受精しにくいアボカドの木。結実させるには、2種類のアボカドの木を用意するか、人が受粉させてあげることが必要です。確実に受粉させるなら人工で受粉させてあげましょう。
もし、種から育てたアボカドが花をつけたら、おしべとめしべが咲く時期が同じな2本の木を植えることをおすすめします。それか、人の手で受粉させてあげましょう。あこがれの「自分の庭でアボカドを収穫」ができますよ。
アボカドの観葉植物・管理方法
夏場の管理のやり方
アボカドの管理で大切なのが、水やりです。アボカドは夏の暑さには強いですが乾燥には弱い植物です。水切れは致命的なダメージとなることもあるので、夏場のアボカドの観葉植物管理には注意しましょう。
だいたい人と同じく、暑くなってきたなと感じた頃からが、水管理の必要な時期です。初夏5月末ころから土が乾く直前に、たっぷりと与えるようにしましょう。
冬場の管理のやり方
アボカドの種から発芽させて、小さな観葉植物まで育ったアボカド。大きな木になれば冬場の寒さにも耐えられるのですが、小さなうちは寒さは大敵。地植えは翌年にして、鉢のまま冬は室内で管理するようにしましょう。冬の時期は、株を休ませる意味もこめて、水やりは控えるとよいでしょう。
まとめ
アボカドを種から育ててみよう!
アボカドを食べたら水栽培にしてあげれば、発芽して室内で楽しむ観葉植物にするのは比較的簡単です。大きな木に育てたり、花や実をつけさせるのには、コツや気長なお世話が必要となってきます。
大木にまでさせるつもりはないけれど、一度育ててみたい」という人は、ぜひ種を捨てずに、水栽培にしてみてはいかがでしょうか。部屋を飾る観葉植物が、捨ててしまう種から作れるかも知れません。
花木が気になる人はこちらをチェック!
アボカドの栽培の他にも、観葉植物やガーデニングもたくさんご紹介しています。花木が気になるという人は、ぜひこちらをチェックしてみてくださいね。
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