籾殻(もみがら)くん炭とは
籾殻とは
籾殻とはお米を精米する時できる1番外側の皮でお米を収穫して脱穀するまでの過程でできます。近年ではボイラーの燃料にしたり固形燃料にしたり再利用する方法が増えましたが昔はくん炭にして土壌改良や堆肥の一種として畑や田んぼで使用されてきました。
籾殻の効果
くん炭にしなくてもそのまま堆肥として田んぼにすきこんで使われることもありますが自然分解されにくく堆肥としては籾殻くん炭に加工したほうが使いやすくなり、籾殻のままでは保温対策、土壌改良としては通気性改善ぐらいにしか使われません。
籾殻くん炭の特徴
そのままの籾殻からくん炭になると炭なので少し特徴が増えます。炭の特徴は微細な穴が開いたり、その穴のおかげで脱臭効果などがありますが籾殻くん炭も同じ特徴があります。
そのため通常の籾殻と同じようにすき込んで使いますが炭になることでより通気性が高まってふかふかとした土になったり水はけなどが良くなるため堆肥としてつかうというより土壌改良がメインで使われ、堆肥としては窒素などの成分はあまり含まないため少ししか効果はありません。
もみ殻くん炭の成分
堆肥としての有効成分
100リットル充填した籾殻くん炭の中に堆肥として植物の成長を促進させる成分はカリ(カリウム)が1%程度となりあまり肥料としての成分はありません。
その他植物の成長に欠かせない微量要素として銅、マンガン、鉄などの成分を含んでいるので堆肥として使うより微量要素を土に足しつつ土壌改良に使う用になっています。
その他成分
籾殻くん炭の主成分はケイ素になりちょうど50%ほどになります。ケイ素は土によく含まれている成分なので籾殻くん炭は土とほとんど変わらない成分で構成されているので安心です。また残りの4割が炭素で他の成分が前述したカリだったり鉄などの成分がそれぞれ微量含まれています。
籾殻くん炭の土壌改良に有効な効果①
特徴を生かして保水性、排水性、通気性を改善
籾殻くん炭の特徴の1つである形がある程度大きく水をよく吸水するので土に混ぜるだけで保水力があがったり隙間ができることで通気性も上がります。
特に保水力は比重に対して600倍以上も吸水するので水持ちが格段に良くなります。
また炭の特徴である微細な穴がたくさんあるため粒で隙間できる他にも空洞ができやすく通気性と排水性もよくなり多湿による植物の根腐れ、夏季に起こりやすい水切れを防止するメリットがあります。
籾殻くん炭の土壌改良に有効な効果②
土の中の微生物について
植物にいい土というのは微生物が豊富な土のことです。例えば空気中の窒素を微生物の働きによりアンモニアに変換しそれを今度は植物が吸収することで栄養として初めて植物利用できるようになります。
そのため化学肥料だけ使用していても微生物がいないと肥沃な土壌とは言えず土の硬さはは有機質に由来するので微生物が居ないと保水性、排水性や保肥性、土が硬いので根張りも悪くなりやがて植物の成長などに悪影響をおよぼします。
籾殻くん炭は微生物が住みやすくする
籾殻くん炭の無数の微細な穴が通気性と排水性などを改善するとそのぶん微生物が住みやすい環境に変化します。植物によい影響を与える菌を土壌菌と呼びますが、その土壌菌が増えることで前述したようにいろいろな成分が分解されて植物の栄養になります。
籾殻くん炭は土壌菌を活性化する
くん炭は炭なので色が黒く太陽のからの熱を吸収し地温が上がりやすくなり土壌菌が活発に活動開始します。
また籾殻くん炭の無数の微細な穴が土壌菌の住処のようになりよりたくさんの土壌菌が土に住み着くので土壌感染性の病害である斑点細菌病、バラ根頭がんしゅ病などの悪い菌の発生なども抑えてくれるので土壌菌が活発になるのは良いことばかりです。
籾殻くん炭を土に混ぜるだけでこれだけのメリットがります。
籾殻くん炭の土壌改良に有効な効果③
酸性を中性に
日本の露地は何もしていなくても酸性雨などの影響で土壌のphはほとんどが酸性に傾いています。
ブルーベリーなど一部の植物は酸性を好みますが酸性の土壌はあまり植物良くないので土壌を改良して傾いたphを中性にする必要があり主に石灰(苦土石灰)が使われますが籾殻くん炭もアルカリ性のため中和する効果があります。
苦土石灰のようにマグネシウムなどの成分は少ないですが通気性改善や微生物の増加などのメリットと共にphを調整できるので便利です。
酸性土が植物に悪い理由
酸性だとアルミニウムの成分が溶けやすくなり、植物にはアルミニウムは有害で成長に大切なリンの吸収も阻害してしまいます。そのため害虫も避けとしてアルミホイールを長期株元に敷いているなどの場合は注意が必要です。
アルカリ性なので注意
逆に考えるとアルカリ性なので酸性を好む植物を植える時はメリットがデメリットに変わります。酸性を好む植物は日本ではブルーベリー、サツキ、ツツジ、お茶、アカマツなどがありアルカリ性でも問題ない植物は主にヤマモモやバラ科、マメ科、モクセイ科などがあります。
籾殻くん炭の土壌改良に有効な効果④
炭の特徴である脱臭効果
脱臭効果は備長炭で有名ですが籾殻くん炭も炭なので同じように脱臭効果があります。炭が臭いを吸い取ることができる理由は無数の微細な穴があるためです。
そのため腐葉土や有機肥料を使用した土に混ぜ込むと嫌な臭いを軽減してくれる効果があり土に混ぜ込んで使うので他のメリットも同時に得られるため籾殻くん炭をしようするだけで植物の土作りがはかどります。
悪臭の原因
腐葉土や有機肥料を使用した時に発生する悪臭の原因は主に土壌菌以外の雑菌が発生したからです。ヨーグルトの発酵も失敗するとヨーグルト独自の香りではなく悪臭に変化します。
籾殻くん炭を使用すると臭いを吸収して悪臭が辺りに広がらないように抑えてくれるのと無数の穴に住む土壌菌が雑菌の出す成分や汚水などを分解して浄化してくれるため臭わなくなります。そのため炭はアクアリウムなどでも使用されている浄化力の高い天然由来のろ過装置です。
籾殻くん炭のその他の効果
害虫予防
あまりメインとしては使わない使い方ですが畑の表面に籾殻くん炭を薄く蒔いておくと籾殻くん炭の臭いを嫌ってアブラムシが来なくなります。無農薬でアブラムシを退治する方法はたくさんありますが籾殻くん炭は安くて量が多いのでコストパフォーマンスに優れます。
このようにたくさんのメリットがありますが害虫予防は表面にまかないと意味がなく籾殻くん炭は水分が少なくスカスカなので風ですぐに飛んでいくので防虫効果としては少し使いにくい素材です。
保温効果、保湿効果
同じように表面に撒くと太陽光を吸収して暖かくなり発芽率などが上がりやすくなり地面から蒸発する湿気を吸収して保つので保湿効果もあります。そのためポリポットで種を蒔いてから苗を育てる場合などにも利用されています。
籾殻くん炭のデメリット
デメリット①:混ぜ過ぎ厳禁
たくさんメリットがありますが使用量を間違えるとデメリットになります。
まず軽いので土に混ぜすぎると根を張ったとしても土自体がもろく植物が自立できたとしてもグラグラになり西日本では台風のときなどに支柱をしたとしても支柱ごとひっくり返される可能性があり危険です。
またやわらかすぎると植物が自立できない可能性もあるうえ水を大量に保水しすぎてぬかるむ土壌に変化する可能性もあり籾殻くん炭を使用する時は量が大切になります。
デメリット②:アルカリ性の土壌になる
phがもともとアルカリ性なため大量に使うと中和を超えてアルカリ性に土壌が傾いていしまいます。
植物は中性か弱酸性を好むものが多いのでこのままでは籾殻くん炭を使用するメリットが活かせなくなり、アルカリ性の土壌だとマグネシウムなどのミネラルが溶け出さず植物が栄養として利用できなくなりデメリットしかありません。
マグネシウムが吸収できないと植物はマグネシウム欠乏症となり下の方の古い葉から黄色くなり最終的には葉は枯れて落葉します。
籾殻くん炭の使い方
土壌改良メインの使い方
土壌改良をメインにする場合は植え付け前の土作りの段階で他の土と混ぜて使用します。よく混ぜて籾殻くん炭が層にならないようにしないと狙ったどおりの効果は発揮できないことがありデメリットだけになるのでよく混ぜることが大切です。
使用量の目安
比較的安価ですが家庭菜園ではなく畑での使用をする場合はたくさん必要になります。そのため費用対効果を考えると大きな畑では籾殻くん炭はあまり使用されません。
籾殻くん炭の使用量の目安は10センチの深さの土で1坪の場合必要な量は3リットルになります。家庭菜園など小さな畑でもわかりやすくすると用土の1割ほど必要になるので10リットルに対して籾殻くん炭は1リットル必要です。
保湿効果、防虫効果で使い場合
後から使い場合は株の周囲に数センチうっすらと覆うように撒きます。あまり多すぎると逆効果になるので気をつけてください。乾燥している状態だとサラサラしていて軽いので風で飛びやすいので注意が必要です。
籾殻くん炭の作り方
意外と自作できる
籾殻くん炭はホームセンターなどでも売られている土壌改良用の資材でいろいろな効果がありデメリットも多く使わない限りは少ないので便利です。また自作することもできるので家庭菜園用に少量を作る場合に役立つ作り方などがあります。
作り方①
大量の籾殻を燻炭器使ってたくさん作る作り方もありますが大量に作らない場合の作り方を紹介します。必要な材料は籾殻、薪、水になります。
籾殻は通販などでも購入することができます。作り方はまず焚き火をして籾殻の量に合わせて火種を作りその上に購入した籾殻をかぶせて待つだけでになります。上手く作れない場合は籾殻がよく乾燥しているか確認してみてください。
作り方②
しばらく(数時間)するとかぶせた籾殻が黒くなり炭化してくるので炭化していない場所と炭化している場所を少しずつ混ぜていきムラが出ないようにします。
その後全体的に炭化して真っ黒になると水を大量にかけて消火します。炭は消えにくくたくさんの籾殻がある場合は仲間で水が浸透しにくいので多すぎるぐらい水をかけて完全に消火した後はよく乾かして袋などにいれて完成です。
注意点
籾殻の量によりますが割と時間がかかります。量が多かったり湿気ていると5時間以上なんてこともよくあります。煙も非常にたくさんでるため周りへの配慮も必要です。
また作り方自体は簡単ですが火が完全に消えたかわかりにくく、長靴で歩いても火傷する可能性があるので気をつけてください。
籾殻くん炭のまとめ
メリットが多くデメリットが少ないで土壌改良に便利
植え付け前の土作りの段階に混ぜておくだけでたくさんの効果があるのに使う量を大幅に間違えない限りデメリットが少なく便利な資材です。価格も比較的安いのですが自作することもできます。
土がふかふかになるので蕪、大根などの根菜類に特に効果があります。雑菌が繁殖しにくいので挿し木や育苗ポットに使用することもできますし使い方はたくさんあるのでおすすめです。
土壌改良、土作りが気になる方はこちらもチェック!
暮らし~のには家庭菜園やガーデニングに関する記事がたくさんあるので土作りのヒントになるような記事もあります。よかったらチェックしてみてくださいね。
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