エアプランツとは?
エアプランツ(エアープランツ)は、チランジアとも呼ばれ、ブルメリア科に属する植物です。エアプランツの原産国は南米や中米で、現地ではサボテンや岩などにくっつくようにして自生しています。エアプランツの葉っぱの表面にはトリコームがあり、開閉することにより空気中の水分を得ながら育ちます。エアプランツは、土のないところで育てることができ、またとても可愛いので、日本でもインテリアプランツとしてとても人気があります。多くの種類のあるエアプランツから自分にあった選び方で、素敵な品種をチョイスしましょう。
エアプランツの基本データ
科名属名
ブルメリア科ティランジア属
学名
Tillandsia
和名
エアプランツ、エアープランツ
別名
チランジア
英名
Tillandsia
原産国
南米、中米
エアプランツの種類と選び方
ひとくちにエアプランツと言っても、その種類はとてもたくさんあります。エアプランツの種類は、現在わかっているだけでも700種類あると言われています。エアプランツは、自生しながら新たな変種が作り出されることもあるので、今後も種類が増えていく可能性があります。エアプランツを育ててみたい、と思うものの数あるエアプランツのなかから選び方が分からないという方もいらっしゃるでしょう。エアプランツの選び方のポイントを5つに分けて見ていきましょう。
選び方1・葉色の種類で選ぶ【銀葉種か緑葉種か】
エアプランツは、葉っぱの色の種類で大きく「銀葉種」と「緑葉種」の2種類に分類されます。銀葉種のエアプランツは、葉っぱの色がグリーンに銀色がかったようなシルバーグリーンをしています。エアプランツの葉っぱの表面にはトリコームという水を取り込む気孔があるのですが、銀葉種のエアプランツは、トリコームが発達しているため、葉色が銀色に見えます。一方、緑葉種は、葉っぱの色が緑でつるっとした表面をした種類です。緑葉種のエアプランツは、銀葉種に比べてトリコームが少ない種類となります。一般的に、銀葉種のエアプランツは緑葉種のものに比べると乾燥に強く育てやすいと言われています。
選び方2・大きさの種類で選ぶ【小型品種か大型品種か】
エアプランツは、成長すると大きくなる大型品種と、小さいままのタイプの小型品種があります。エアプランツを飾りたい場所に応じた選び方をしましょう。大型品種の代表的なものとしては、カクティコラ、キセログラフィカ、ストラミネアなどがあります。また、小型品種の代表的なものとしては、フネブリス、ブルボサ、ブルイノサなどがあります。
選び方3・花の美しい種類を選ぶ
エアプランツは、葉姿が美しく花の印象が薄いのですが、実は、可愛い花を咲かせる品種も多くあります。エアプランツの花の色は、ビビットなピンクや紫色、オレンジ色などです。花の美しいエアプランツの代表的なものとして、キアネア、カッパーペニー、ストロビリフォルミスなどがあります。
選び方4・育てやすい種類を選ぶ
エアプランツをはじめて育てる場合の選び方として、なるべく管理が簡単で育てやすいタイプのものを選ぶのもひとつです。エアプランツのなかには、とても繊細でちょっとした気温や湿度の変化で枯れてしまうものも。比較的強くて育てやすいエアプランツとしては、ストリクタ、コットンキャンディー、ハリシーなどが挙げられます。いずれも育てやすく増やしやすい品種なので、100円均一ショップなどでも見かけることがあります。
選び方5・珍しい種類を選ぶ
エアプランツの栽培に少し慣れてきたら、珍しい種類のエアプランツを育ててみましょう。あまり出回っていない珍しいエアプランツは、ちょっとした気候の変化に弱い、成長速度がとても遅い、など手のかかるものがほとんどですが、その分うまく育てられると達成感が得られます。希少なタイプのエアプランツとしては、カピラリス、ヒルタ、アレキタエなどが挙げられます。
エアプランツの基本的な育て方
エアプランツは、土を必要とせず葉っぱから空気中の水分を吸収して育つ植物。そのため、水やりは必要ないと思っている方もいるようですが、これは間違い。エアプランツには、ミスティング、ディッピング、ソーキングという独自の方法で水やりをおこないます。エアプランツ全般の育て方のコツを見ていきましょう。
場所と管理
エアプランツは明るくて風通しのよい場所を好む植物で、直射日光を苦手とします。また、気温が30度以上のところは苦手で、枯れてしまうこともあります。とくに真夏の暑い時期には、できるだけ風通しのよいところで管理しましょう。
ミスティング
エアプランツの葉っぱに霧吹きで水を吹きかける水やり方法を「ミスティング」と呼びます。ミスティングは、だいたい週に2回の割合でおこないます。ただし、梅雨時期など湿度が高い時期にはミスティングの頻度を減らしましょう。また、エアプランツにミスティングしたあとは、しっかりと乾かします。葉っぱのあいだなどに水が溜まっていたら、さかさまにするなどして、きちんと水を取り除きましょう。
ディッピング
「ディッピング」は、バケツや洗面器などの容器に水を張り、そのなかにエアプランツを1~2分浸けておく水やり方法です。とくにたくさんのエアプランツを育てていてひとつずつミスティングするのが大変、と言う場合などに有効です。
ソーキング
バケツや洗面器などの器に水を張り、エアプランツを6時間くらい漬け込む水やり方法を「ソーキング」と呼びます。ソーキングはディッピングの長時間版です。ソーキングは、だいたい月に1~2度の割合でおこないます。なお、6時間以上の長時間エアプランツを水に浸けたままにしておくと、腐ったり枯れてしまいます。また、ソーキングを終えて水から出したエアプランツは、しっかりと乾かしましょう。エアプランツの葉っぱの隙間や根元に水が溜まったままにならないよう、エアプランツを逆さにして吊り下げておくといいでしょう。
肥料
エアプランツは、肥料がなくてもある程度育つ植物ですが、肥料を施すとより成長速度がアップします。なかでも、大型品種や成長速度の遅い品種には、少し肥料を施しましょう。エアプランツへの肥料は、液体肥料をミスティングのときに一緒に与えましょう。
エアプランツ【葉の種類:銀葉種1】ウスネオイデス
ウスネオイデスは、スパニッシュモスという名前で呼ばれることもあります。スパニッシュモスを直訳すると「スペインの苔」。その昔、スペイン人がヨーロッパにウスネオイデスをもたらしたことに由来する名前です。ウスネオイデスは30~50センチになる大型種で、原産地などでは宅急便の梱包材に利用されるそうです。
花や葉の特徴
ウスネオイデスの花は、黄色みを帯びた黄緑色の小花です。ウスネオイデスの葉っぱは細くもさもさとした印象です。ウスネオイデスの葉っぱの色は銀葉種ならではの美しいシルバーグリーン色です。
育て方と管理
ウスネオイデスは、エアプランツのなかでも乾燥に強く育てやすい種類です。ただし急激な気温の変化が苦手なので、玄関先や窓辺など、一年中風通しのよい場所に飾るとよいでしょう。ウスネオイデスは、花を咲かせたあとそこに子株ができます。子株を切り取って株分けすれば、比較的簡単に増やすことができます。
エアプランツ【葉の種類:銀葉種2】イオナンタマキシマ
イオナンタマキシマは、イオナンタの変種で、15センチくらいに成長する大型品種です。以前は「イオナンタ・ウメルラ」という名前でしたが、再分類され現在は「イオナンタマキシマ」という名前になっています。大型品種なので少し値段が高くなりますが、育てやすい品種でおすすめです。
花や葉の特徴
イオナンタマキシマの花の色は、ビビットな紫色です。イオナンタマキシマの花の形は筒状で、先のとんがった花が葉っぱのあいだからすっと咲きます。イオナンタマキシマの葉っぱは、やや肉厚で、細くて長い形をしています。
育て方と管理
イオナンタマキシマは、大型品種のエアプランツのなかでもとても育てやすい種類です。イオナンタマキシマは、肥料がなくても育ちますが、肥料を与えるとよりグングン成長速度がアップします。イオナンタマキシマの花はとてもきれいなので、肥料を定期的に施しすことで成長速度を少し速くして、花を観賞するのもおすすめです。
エアプランツ【葉の種類:銀葉種3】キセログラフィカ
キセログラフィカは、「エアプランツの王様」という名前で称される美しいエアプランツです。キセログラフィカは、大型品種のエアプランツで、丈夫で初心者にもおすすめです。
花や葉の特徴
キセログラフィカは、銀葉種のなかでも、かなり白っぽい葉色をしたエアプランツで、葉っぱはくるりとカールして個性的なものです。大きく育ったキセログラフィカは、不定期に紫色の美しい花を咲かせ、そのあと子株をつけます。ただし、キセログラフィカは成長速度が遅めのエアプランツなので、じっくり育てましょう。
育て方と管理
キセログラフィカは、成長にともなって根元の古い葉っぱが少しずつ枯れていきます。枯れた葉っぱをそのままにしておくと蒸れの原因となりますので、枯れた葉っぱを見つけたら手で取り除いてあげましょう。キセログラフィカは成長速度の遅いエアプランツなので、定期的に液体肥料を施して少し成長をサポートするとよいでしょう。
エアプランツ【葉の種類:銀葉種4】コットンキャンディー
コットンキャンディーは、名前のとおり、とても可愛らしいエアプランツで女性に人気があります。さらにコットンキャンディーは、強くて育てやすい小型品種で、さらに可愛い花が咲くので、初心者におすすめです。
花や葉の特徴
コットンキャンディーの花は、ポップなピンク色でとても可愛くて、エアプランツのなかでも美花品種と称されています。コットンキャンディーの葉っぱは細長く、まっすぐな形です。
育て方と管理
コットンキャンディーは丈夫で育てやすいエアプランツです。比較的子株がつきやすいので増やしやすいのも嬉しいところ。コットンキャンディーの花が枯れたら、こまめに花がら摘みをしましょう。またコットンキャンディーに子株がついたら、切り離して株分けしてあげましょう。そのままにしておくと親株の成長速度がストップしてしまいます。
エアプランツ【葉の種類:銀葉種5】テクトルム
テクトラムは、モフモフとした個性的な外観をしていて、「エアプランツの女王」という名前で称される美しい小型のエアプランツです。
花や葉の特徴
テクトラムのモフモフとした葉っぱは、トリコームが長いことによるものです。テクトラムの葉っぱは、白っぽい銀色です。テクトラムは成長速度が遅いので、花はなかなか開花しません。
育て方と管理
テクトラムは、頻繁に水やりをすると表面のトリコームが乱れて美しくなくなるので、水やりを控えめに乾燥気味に育てます。水やりを控える分、成長速度が遅くなるので、水やりの際に液体肥料を定期的に施して、成長速度をサポートしてあげましょう。
エアプランツ【葉の種類:銀葉種6】ベルゲリ
ベルゲリは、草丈20センチくらいに成長する大型品種のエアプランツです。ベルゲリは、耐寒性が高く、東京以西の地域では屋外で育てることもできるほどなので、入門品種としておすすめです。ベルゲリは、有茎種と呼ばれるエアプランツで、長く茎を伸ばしながら成長します。
花や葉の特徴
ベルゲリは、茎から細長い葉っぱを出しながら成長します。ベルゲリの花は薄紫色をした可愛いものです。また、ベルゲリは、開花せずとも子株を出すので、群生させることもできます。
育て方と管理
ベルゲリは、とても強いタイプのエアプランツです。冬の寒さに強いので屋外にエアプランツを飾りたいときにもおすすめです。子株をたくさん出すので、クランプを作って流木などに着生させるといった楽しみ方もできます。
エアプランツ【葉の種類:緑葉種1】ブッツィー
ブッティーは、つぼ型の緑葉種エアプランツです。とても個性的な外観をしていて、エアプランツ愛好家のあいだで人気のある品種です。
花や葉の特徴
ブッティーは、葉っぱの下部分がぷっくりと膨らみ、まるで球根のような壺のような形をしています。ブッティーの葉っぱは、緑葉種ならではのグリーンで、モザイクのような白っぽい斑点模様が入っています。ブッティーの花は、筒形で美しい紫色をしています。ただし、ブッティーの成長速度はあまり早くなく、年数をかけないと花の開花を見ることはできません。
育て方と管理
ブッティーは、エアプランツのなかでも湿度を好む品種です。そのため、ブッティーは、空気中にぶらさげておくより、水苔などに植えこんで水分を補給するほうがよく育ちます。また、ブッティーは花が咲かずとも子株のできる品種なので、群生させてもよいでしょう。
エアプランツ【葉の種類:緑葉種2】トリコロール
トリコロールは、緑葉種のなかでもメジャーな品種で、ホームセンターなどで見かけることもあります。トリコロールは丈夫で育てやすく初心者にもぴったりです。
花や葉の特徴
トリコロールの花は、赤色と黄色、紫色から構成されています。その花姿から、トリコロールという名前がつけられました。トリコロールの葉っぱは、硬くて細長い形状をしています。葉っぱはあまり広がらずに成長します。また、トリコロールの葉っぱは、ふんわりと赤や黄色に紅葉する特徴を持っています。
育て方と管理
トリコロールは、「半タンクタイプ」と呼ばれるエアプランツです。半タンクタイプのエアプランツは、水を溜めたなかで栽培することも可能です。穴のない器に水苔や軽石を設置してそのなかで育てます。ただし、風通しのよいところで育てることが必須。水をためたままの育て方で、風通しが悪いと蒸れの原因となり、エアプランツが枯れてしまうこともあるので注意が必要です。
エアプランツ【葉の種類:緑葉種3】ブルボーサ
ブルボーサは、メキシコを原産とするエアプランツで、ブルボーサという名前は、現地の言葉で「球根」を意味します。そのの名前のとおり、球根のような壺のような形をしています。
花や葉の特徴
ブルボーサの葉っぱは、細長くうねうねとしています。つぼ型の茎からうねりのある葉っぱが出ている様は、個性的なものです。ブルボーサの花は、紫色の筒形をしています。開花時期は決まっていず、ある程度成長すると花が咲くようです。
育て方と管理
ブルボーサは、成長速度がゆっくりめのエアプランツです。ただし葉っぱはすくすくと伸びやすいです。ブルボーサは比較的子株がつきやすいエアプランツなので、株分けして増やすことができます。ブルボーサは、どちらかというと多湿を好むエアプランツなので、水やり頻度をやや多くするとよいでしょう。
エアプランツ【葉の種類:緑葉種4】ブラキカウロス
ブラキカウロスは、緑葉種のなかでも花が美しいと言われる小型のエアプランツです。成長速度が早いので、鑑賞していて楽しい種類。葉っぱが紅葉するのも素敵です。
花や葉の特徴
ブラキカウルスの葉っぱは、細長くすっとしていてスタイリッシュな印象です。ブラキカウルスの花の開花時期は夏です。まず花の開花前に、葉っぱ全体が赤く紅葉します。そして葉っぱのあいだから、紫色の小花がいくつも咲きます。ブラキカウルスは、エアプランツのなかでも美しい花を咲かせることで人気があります。
育て方と管理
ブラキカウルスは、成長速度が早めのエアプランツです。それでも花が咲くまでには数年かかるそうです。江北日肥料を定期的に施してサポートすることで、より成長をアップさせることができます。また、花が咲くのは夏なので、夏に風通しよいところで管理して、健やかに育てることが大切です。
エアプランツ【葉の種類:緑葉種5】キアネア
キアネアは、「ハナアナナス」という名前で流通していることもある小型のエアプランツです。エアプランツのなかでも、土に植えて育てることができる珍しいタイプで、ガーデンに地植えされていることもあります。
花や葉の特徴
キアネアの別名である「ハナアナナス」のハナは「花」。名前の通りとても可愛らしい花を咲かせます。ピンクと紫色の大きな花はとても鮮やかです。ハナアナナス呼ばれるくらい、桃色の大きな花穂と紫色の花はとても美しく見栄えします。キアネアの葉っぱは細くてとても長くまっすぐの形です。
育て方と管理
キアネアは、土に植えることもでき、また日光を好み葉焼けの心配もあまりありません。屋外で楽しめるエアプランツとしてガーデナーに人気があります。キアネアは開花したあと子株をつけます。子株が育ち葉っぱが10枚前後になったら切り取って株分けしましょう。
エアプランツ【葉の種類:緑葉種6】フィリフォリア
フィリフォリアは、育て方次第で、小型にも大型にもなるエアプランツです。小型に仕立てるととても可憐な守ってあげたくなる印象。逆に大きいく育てると、存在感たっぷりの印象になります。
花や葉の特徴
フィリフォリアの葉っぱは、まるで針金のように細くて長いものです。葉っぱのあいだから葉っぱより太い花茎が上に伸びて、その先に百合のような花をつけます。フィリフォリアの花の色は、ピンク色です。
育て方と管理
フィリフォリアは、やや多湿を好むエアプランツです。水やりの頻度を少し多くしてあげましょう。また、空気中につらさげるだけでなく、水苔を用いて鉢で育てることもできます。
エアプランツの魅力に目覚めよう
エアプランツは個性的な外見がとてもキュートでインテリアプランツとして大人気です。土を使わずに育てられるので、ガーデン初心者も気軽にトライできます。エアプランツには多くの種類があり、大型小型のもの、銀葉種や緑葉種など、飾りたい場所や好みに合わせてチョイスできます。また可愛らしい花を咲かせる品種もあります。エアプランツの世界は奥深く、とても魅力的。はじめはちょっとしたインテリアとして何気なく購入したけれど、育てているうちに愛おしくなり、エアプランツの魅力に目覚める方もいらっしゃるようです。
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