はじめに
栽培すれば芝生のかわりになる植物!
雑草などの繁殖を抑えながら、一面に見た目が美しい花を栽培するのは「グランドカバー」と呼ばれるメジャーなガーデニング手法の一つです。ローマンカモミールはそんな「グランドカバー」の目的で芝生のかわりによく栽培されています。
ローマンカモミールはリンゴのような香りがする
「なぜ、ローマンカモミールが芝生のかわりに栽培されているのか?」というと、その理由はこの花の豊かな香りにあります。開花期になると花からまるでリンゴのような甘酸っぱい香りが周囲に漂うのです。
別名「香る芝生」
芝生をただ植えるだけでは、雑草などは防げても香りを得られませんよね。カーペットのように一面に繁殖するローマンカモミールであれば、庭先を緑で美しく覆いながら豊かな香りまで得られます。そのため、この花は「香る芝生」の別名で呼ばれているのです。
ローマンカモミールとは?
ローマンカモミールは代表的なハーブの一種
この花はキク科の多年草です。フルーツのような芳醇な香りを持ちながら生薬として利用できるだけの成分があり、古くから「ハーブ」として人類に活用されてきました。
ローマンカモミールの品種
ローマンカモミールはガーデニングではポピュラーな植物です。栽培品種としてよく知られている品種は主に3種類があります。通常のローマンカモミールと、よりハーブとして活用しやすい「ダブルフラワーカモミール」。そして、芝生のかわりに利用しやすい「ノンフラワーカモミール」です。
ローマンカモミールの成分とは?
この植物の成分としてはアンジェリカ酸イソブチルが代表的です。この成分はエッセンシャルオイルとしてはメジャーなもので、中枢神経の昂ぶりを沈めてリラックスさせる作用や痛みを和らげる作用がある成分とされています。
ジャーマンカモミールとは?
ローマンカモミールとよく似た品種としてジャーマンカモミールがあります。両種とも中心部が黄色く花びらが白い特徴的な形態をしており、よく混同されますが明確に別種の植物です。
ローマンカモミールとジャーマンカモミールの見分け方
この2種のカモミールは成分もよく似ており、利用方法もほぼ同じです。どちらも主な原産地はヨーロッパで、ローマンカモミールはスウェーデンなどの北欧で、ジャーマンカモミールはドイツなどの東欧でハーブとして利用されていました。両種の見分け方は花にあります。ローマンカモミールの方が花の黄色い中心部が平らで、ジャーマンカモミールの方が盛り上がっています。
ローマンカモミールは「コンパニオンプランツ」
ローマンカモミールを花壇に植えると、他の植物の生長によい効果がもたらされるとされています。一般に「コンパニオンプランツ」の名前で知られており、高い香りと薬効成分だけではなく、この効果を期待して栽培している方も多く存在します。
ローマンカモミールの基本情報
ローマンカモミールの形態
この花の形態としては、開花時期以外は丈がそこまで伸びない植物で、一面に広がるように生長していくという特徴があります。開花期になると丈が30センチほどに伸びますが花茎はほぼ真っ直ぐに枝分かれせず育ち、その頂点から一厘の花を咲かせます。形態としては常緑性で、一年を通して緑の葉を茂らせています。香りだけでなくこの形態も芝生として利用される理由になっています。
ローマンカモミールの開花期
この花の開花期は5月から6月です。ゴールデンウィーク明けから梅雨が終わるまでの期間が、この花が開花する時期。花は開花後にはだんだんと香りが薄くなり見栄えも悪くなるため、この開花期に花の部分を収穫しておきましょう。
ローマンカモミールの花言葉
ローマンカモミールを含めてカモミールと呼ばれる品種には「逆境や苦難に耐える」という花言葉があります。ヨーロッパは日本と比較して寒さの厳しい地方ですから、寒波が吹き荒れるなかでも耐えて春を待ち開花する姿にこの言葉が付けられたのでしょう。
ローマンカモミールの利用方法
踏みつけられても枯れないだけの頑丈さがあるため芝生として利用されますが、それ以外にも薬効成分をハーブティーとして利用したり、胃腸薬や皮膚病のための塗り薬にしたりと成分の利用方法も多岐に渡っています。ただ、ジャーマンカモミールと比較してハーブティーにすると独特の苦味が出るため、少しだけクセがあります。
ローマンカモミールの育て方①:栽培のポイント
ローマンカモミールの栽培環境
よく太陽の光があたり、なおかつ風の通りがよい場所を好みます。多年草ですが、もともとヨーロッパの寒い地方の品種で日本の風土にはあまり相性がよくありません。
ローマンカモミールの栽培に最適な土作り
土は水はけのよいものを選びましょう。赤玉土の小粒と腐葉土を6対3程度の割合でブレンドしていき、そこに川砂を1割程度加えます。観葉植物用の培養土を使う場合にも川砂を1割程度混ぜ込んでおけば万全です。
ローマンカモミールは酸性土に弱い
もしも地植えでこの花を育てたい場合には、あらかじめ種まきや苗植えの2週間ほど前に石灰を土壌に混ぜ込んでおきましょう。日本の土はローマンカモミールが苦手とする酸性の土壌であることが多いため、もしも手元に酸度計があれば土壌を測定してから栽培に望みましょう。
耐暑性が低いため夏越しには工夫が必要
多年草の植物は年をまたいで生育できる品種ですが、ローマンカモミールの場合は耐暑性が低いため、日本の猛暑による蒸れに耐えられずに枯れてしまいます。そのため、あらかじめ夏が来る前に鉢植えの場合は屋内への避難を、地植えの場合は蒸れにくくするために花の部分の収穫をしておく必要があります。
栽培時にはアレルギーに注意!
ローマンカモミールはキク科の植物です。そのため、キク科植物にアレルギーがある方は栽培を避けたほうがよいでしょう。
ローマンカモミールの育て方②:種まき
栽培方法は2通りの方法がある
この品種を育てる場合には種まきから栽培するか、あるいは苗植えから栽培するかの2通りの方法から選べます。どちらの方法も簡単ですが、最近では苗の状態で市販されている場合が多いため手間をかけずに栽培したい場合には苗植えで始める方がよいでしょう。
ローマンカモミールを種まきから栽培する
ローマンカモミールの種は軽く、風や雨で簡単に飛んでしまうためある程度の大きさになるまでは風除けのための仕切りをするか、鉢植えや苗育成用のポットで栽培しましょう。
種まきのシーズンは?
種まきの時期は春と秋の2シーズンがあります。種まきをしたら、上から軽く土をかけておきましょう。ダブルフラワーカモミールとノンフラワーカモミールの場合にはそもそも種を結びません。そのため、後述する種まき以外の方法で増やしていくことになります。
ローマンカモミールの育て方③:苗植え
ローマンカモミールを苗植えから栽培する
種まきで鉢に植えてから苗が育ってきた場合や、市販されている苗を購入してきた場合には庭先に植え替えるか新しい鉢に移しかえて栽培していきます。苗の植え方には手順がありますので確認しておきましょう。
苗の植え方1.地植え
庭先などへ地植えする場合の苗の植え方ですが、まず2週間ほど前に土を40センチほど掘り返しておきます。そして、そこに前述した用土と石灰をカップで2杯分ほど入れて混ぜ寝かせておきます。その後で、15センチから20センチほどの間隔をあけて穴を掘り苗植えていきます。
苗の植え方2.鉢植え
鉢で栽培する場合の苗の植え方は地植えでの植え方よりも手間がかかりません。まず鉢の下に鉢底石を容器の2割ほどが埋まるくらい敷いておきます。そして、その上から用土を入れていき、苗を植え替えていきましょう。
ローマンカモミールの育て方④:水やり・肥料
ローマンカモミールへの水やりは控えめに行う
この花はあまり水を必要としない植物です。そのため、水やりは土が乾燥したら与える程度の頻度で行います。ただ、夏の時期には高温多湿の環境になりやすいため、早朝のうちに葉に水をかけていくように与えていきましょう。
種まき直後の水やりは霧吹きを使う
植え方の項目でもふれましたが、ローマンカモミールの種は非常に軽いため通常の感覚で水やりを行うと簡単に流れてしまいます。そのため、苗の状態になるまでは霧吹きを使って水やりを行うとよいでしょう。
肥料は元肥・追肥の2通り
肥料は種まきや苗植えの際に、あらかじめ用土に化成肥料を混ぜ込んでおきましょう。また、開花後の収穫時には液体肥料を水に薄めに混ぜて、水やりと一緒に与えておきます。
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ローマンカモミールの育て方⑤:害虫
カモミールはアブラムシが天敵!
ローマンカモミールに限らず、カモミールはアブラムシによく狙われる植物です。アブラムシ対策としては、一般の殺虫剤を使用するか、茎の部分にアルミホイルを巻いておきましょう。アブラムシは反射する光を苦手とするため、このアルミホイルで巻く方法はよく使われます。
栽培時にはハダニにも注意しよう
ガーデニングを趣味としている方にはお馴染みの害虫「ハダニ」も、この花によくつく害虫の一つです。ハダニは文字通り葉につく害虫で水を嫌います。そのため、水やりの際に茎や花ではなく葉にかけるようにすればハダニの発生を予防できます。
ローマンカモミールの育て方⑥:増やし方・その他
ローマンカモミールの増やし方.1 挿し芽
挿し芽に適した時期は4月か10月です。形態として花茎は枝分かれがほとんどありませんのでそれ以外の横に伸びた茎を15センチほど切り、水につけて根が出るまで待ち、根が出てきたなら土に植え付けていきます。
ローマンカモミールの増やし方.2 株分け
ローマンカモミールは多年草で上手に栽培すれば5年以上花を咲かせてくれますが、根の部分は密集して老いていきます。そのため、根を掘り起こして株分けを行い、それぞれの株を15センチ程度の間隔で植え付けていきましょう。
ローマンカモミールの収穫
開花期が終わり花が落ちる前に、ローマンカモミールの花を収穫しておきましょう。天気のよい日に1輪ずつ丁寧に摘み取っていきます。摘み取りには剪定バサミを使います。収穫した花はビンなどで保存すれば1年程度は香りが維持できます。
ローマンカモミールの刈り込み
花を収穫した後で、伸びすぎた丈を刈り込み夏の蒸れに備えておきましょう。開花期には30センチほどまで伸びるローマンカモミールですが、10センチほどまで刈り込みをしておけば多湿環境に陥りにくいため効果的です。
芝生として利用する場合にも刈り込みは有効
刈り込みをすると、隙間に生えている雑草が姿を現します。この雑草を刈り込みのついでに除去しておけば、翌年以降によりローマンカモミールが密集して繁殖するため芝生として利用する場合には効果的です。
刈り込み後には成分を利用してハーブ風呂に
刈り込みをした後のこの植物にも薬効成分があります。ハーブティーなどで利用してもよいですし、お風呂に入れてハーブ風呂を楽しまれている方も多いですよ。
まとめ
小規模な栽培でも十分な香りを発する
花だけではなく葉や茎からも十分な香りを発するローマンカモミールは維持していくのに少しだけ手間がかかる植物です。小規模な栽培であっても十分な香りを発するため、専用の区画を庭先に作り、そこで管理していけば手軽に自宅を芳醇な香りで満たせますよ!
ハーブの栽培方法について知りたい方はこちらもチェック!
ローマンカモミール以外でもハーブとして重宝されている植物はたくさんあります。「タンジー」と「セージ」の形態や植え方などについてまとめた記事が当サイト「暮らし~の」には掲載されております。是非、それらの記事もご覧になり、これからのガーデニングにお役立てください!
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