タンジーってどんな花?
タンジーは、多年草のハーブです。アジアからヨーロッパにかけて広い範囲で生息しています。日本でも北海道で自生していて、北海道を指す「蝦夷(エゾ)」を冠した「蝦夷蓬菊(エゾヨモギギク)」と呼ばれることもあります。タンジーの草丈は70~150センチくらいです。
繁殖能力の優れたハーブ
タンジーは大変強い植物で繁殖能力の優れたハーブです。タンジーは地植えにも鉢植えにもでき、また、種まき、株分けなどで容易に増やすことができます。愛らしい花模様と育て方が簡単なことから、ガーデナーにも人気があります。またタンジーは葉っぱに強い香りを持っていて、猫よけ・虫よけの効果があります。
タンジーの花の特徴
タンジーの花の咲く時期は夏です。暑い季節のはじまりとともに、長く伸びた茎の先に大変たくさんの可愛らしい小花を次々に咲かせます。タンジーの花の色は、なんとも言えず美しい、色鮮やかな黄色で、ガーデンにもとてもよく映えます。小さくて真ん丸の花の形は、まるで洋服に使われるボタンのようでもあり、その形状から英語でタンジーは「Golden buttens」と呼ばれているのだそうです。
タンジーの葉の特徴
タンジーの葉っぱは、美しい深いグリーン色をしています。タンジーの葉っぱの形は細長く、細かく切れ込みがはいっています。タンジーはヨモギ属の植物で、葉の色や形は雑草のヨモギによく似ています。
タンジーの葉の香り
タンジーの香りは、花ではなく主に葉っぱからもたらされます。タンジーの葉っぱには、例えてみれば「樟脳(ショウノウ)」のような、独特の香りがあります。強い香りで、猫よけや虫よけの効果に優れています。日本では古来より、土間の片隅にタンジーを摘み取ったものを置いて、アリが来るのを防ぐといった風習があったそうです。葉っぱをしっかりこするなどしなくても、通りがかるだけでふわりと香ります。タンジーの鉢植えを窓辺に飾る、庭の片隅にタンジーを植える、などタンジーの香りの効能を生活に取り入れるとよいでしょう。
タンジーの毒性
タンジーはとても可愛らしい花ですが、花や葉っぱすべてに毒性成分が含まれています。タンジーから抽出される精油には強い毒性があり、嘔吐やけいれん、子宮からの出血といった状態を引き起こします。さらに重篤な場合には、呼吸停止、多臓器不全といった深刻な状況を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。現在までのところ、タンジーの毒性成分の詳細は解明されていません。タンジーは、直接口にいれることはせずに、虫よけなどポプリの役割で楽しむことが賢明です。
タンジーの花言葉
タンジーの花言葉は、「平和」「挑戦する」「婦人の美徳」の3つです。いずれも、タンジーの鮮やかな黄色の花色からイメージされてつけられた言葉のようです。またタンジーの葉っぱには、猫よけになるくらいの独特の強い香りがあります。その香りだけで、生き物たちが暴力や争いなく平和のうちにそれぞれの場所に住み分けできることから「平和」という花言葉が生まれたのかも知れません。
タンジーの基本データ
科名属名
キク科ヨモギキク属
学名
Tanacetum vulgare
和名
蓬菊(ヨモギギク)・蝦夷蓬菊(エゾヨモギギク)
英名
Tansy・Buttons・Golden buttons
原産国
アジア・ヨーロッパ
タンジーの育て方1・土づくりと肥料
土づくり
タンジーは水はけの良い土壌を好みます。水はけさえクリアすれば、土質はあまり選ばずどんな土でも比較的育ってくれます。鉢植えの場合、小粒の赤玉土に少し腐葉土を混ぜ合わせた土か、もしくは市販のハーブ用培養土を利用するとよいでしょう。地植えの場合には、水はけの良い場所を選んで植えましょう。
肥料
タンジーは強い植物なので、肥料はほんの少し施す程度で良いでしょう。植えつけの際に、緩効性の化成肥料を土に混ぜておきましょう。そのあとの様子をみながら、どうしても生育の悪い場合にのみ追肥を少し与えると良いでしょう。追肥の時期としては、3~5月、9~11月の春と秋。気候が良くタンジーのよく成長する時期に施すのがよいでしょう。
タンジーの育て方2・場所と水やり
場所
タンジーは、風通しがよく日当たりのよい場所を好みます。タンジーは、冬になると地上部がなくなり、まるで枯れたように見えますが、春になれば、またしっかり力強く芽吹いてきますので心配ありません。逆に、タンジーは、繁殖力が旺盛なので、地下部分で根っこを伸ばして、気づけば想像以上に広がってしまっていたということがあります。植えつけの際にはこの点に留意して場所選びをしましょう。
水やり
タンジーは水はけのよい場所を好むので、あまり過度に水やりするのは厳禁です。過度な水やりは、根腐れなどを起こしてしまい、タンジーの枯れる原因となります。鉢植えの場合には、土の表面がよく乾いているのを確認してから水やりをしましょう。地植えの場合は、ほとんど水やりをする必要はなく自然に任せるとよいでしょう。
タンジーの育て方3・種まきと苗の植えつけ
種まき
タンジーの種まきに適した時期は、春と秋の年に2回。3~5月もしくは9~10月の気候の良い頃です。育苗ポットに土をいれたものを準備して、指で3か所ほど土にくぼみをつけます。そのくぼみに1粒ずつタンジーの種をまきます。ごく薄く土をかぶせて、水やりをしましょう。芽が出るまで、日当たりの良い場所で管理して、適度な水やりを続けます。タンジーが成長して本葉が4~5枚になったら、タンジーの苗のできあがりです。好きな場所に植え替えると良いでしょう。
苗の植えつけ
タンジーの苗の植えつけに適した時期は、5~6月もしくは10~11月。タンジーは、蒸れに少し弱い性質があるので、株同士の間隔をしっかり開けて蒸れを防ぎましょう。株同士の間隔の目安は50~60センチです。鉢植えの場合、10号鉢に1株のサイズが目安となります。植える苗よりひとまわり大きな穴を堀り、タンジーの苗を植えつけます。その際に苗についている土が崩れ落ちないように注意しましょう。日当たりの良い風通しの良い場所で管理して、根付くまではしっかりと水やりを続けましょう。
タンジーの育て方4・植え替え
タンジーはとても繁殖力に優れた植物で、どんどん地下茎を伸ばす性質を持っています。ですから、鉢植えのタンジーを育てる場合には、毎年定期的な植え替えを必要とします。タンジーの植え替えに適した時期は、春と秋の気候の良い頃です。タンジーを植え替える際には、それまで植えていたものより、ひとまわり大きな鉢を準備しましょう。またタンジーは植え替えの時に一緒に株分けするとよいでしょう。
タンジーの育て方5・株分け(増やし方)
タンジーは、種まき、株分け、挿し木で、比較的簡単に増やせる植物です。またタンジーは大変生命力にあふれた植物なので、こぼれ種や地下茎で自然のままに増えていくことも多いでしょう。ただし、鉢植えの場合は、こぼれ種がちょうどよく根付かない、地下茎を伸ばしていくことができない、ということも多いので、株分けなどをして増えるのをサポートしてあげると良いでしょう。
株分け
タンジーの株分けに適した時期は、春と秋です。株分けは、前述の植え替えを兼ねて行うのが手軽でおすすめです。タンジーを植え替える際に、土から掘りあげた株を、手頃な大きさ、だいたい2~4つに分けましょう。根に付いている土を手で払いながらきれいに取り、清潔なハサミやカッターを使って切り分けます。そして、切り分けた苗を好きな場所に植え替えます。日当たりの良い風通しの良い場所で管理して、株分けした苗がしっかり根付くまで水やりを続けましょう。
タンジーの育て方6・病気と害虫
病気
タンジーはとても強健なハーブで、病気の心配はあまりありません。
害虫
タンジーは猫よけになるほどの香りを葉に持っていて、害虫などはあまり寄り付きません。
タンジーの育て方6・収穫
タンジーの花は可愛らしいので鑑賞用にするのも良いのですが、せっかく育てるならその猫よけ、虫よけ効果の利用のために、収穫するのがおすすめです。タンジーの収穫は、花の咲く夏の時期に、茎ごと摘み取るのが手軽です。また葉っぱだけで良い場合は、春から秋にかけてどの時期に収穫しても大丈夫です。
タンジーの利用法1・ドライフラワーに
タンジーの花のドライフラワーはとても簡単に作ることができます。花の黄色も比較的そのまま残ります。開花の時期に茎ごと収穫したタンジーの束をひもでくくって逆さにつるして置くだけです。そのままでもインテリアのアクセントとしてとても素敵です。また、できあがったドライフラワーをサシェにする、リースにする、などしてお部屋に飾っておけば、可愛らしいうえに、その香りによる猫よけ・虫よけ効果もあるので一石二鳥でしょう。
タンジーの利用法2・染色に
タンジーの花の色鮮やかなカラーは、草木染としても利用されます。染める際の媒染剤の種類や染める布質や材料にもよるのですが、タンジーからもたらされる色は、なまの花の色そのもののような鮮やかな黄色のほか、ベージュや茶色などがあります。タンジーの花が収穫できたら、自然のめぐみから得られる美しい色の魔法を楽しむのもおすすめの利用法です。
タンジーを育ててみよう
とても強くてでエネルギーに満ち溢れたハーブ「タンジー」。ガーデニング初心者さんも比較的簡単に育てられる植物です。タンジーの花の美しい黄色は、私たちにそのありあまるほどのエネルギーを分けてくれるようで、見ているだけで元気をもたらしてくれます。また、タンジーの葉っぱには、猫よけになるくらいの強い香りがあります。たくさん収穫してドライフラワーやサシェを作って楽しみましょう。タンジーのドライフラワーは、可愛くて虫よけにもなるので一石二鳥、プレゼントしても素敵でしょう。
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