ハーブの虫除け効果とは?
ハーブには様々な薬効があることが知られていますが、ハーブの中には虫を遠ざける成分を持つものがあります。 「センテットゼラニウムを窓辺に置くと蚊除けになる」、「ラベンダーを乾燥させてリネンの防虫にする」という使い方を耳にしたことはないでしょうか。 ハーブにはどのような虫除け効果があるのでしょう?
ハーブの持つ忌避効果
ハーブには「シトロネラール」「シトラール」「L-メントール」などの成分が含まれています。その香りは虫にはとてつもなく嫌な匂いとして感知されるので、その匂いがすると虫は逃げていきます。 嫌がって逃げていくことを「忌避」といい、ハーブを使った虫除けは、その忌避効果を利用します。 人にとっては心地よい香りで虫除けができるのはありがたいですね。
殺虫成分を持つハーブ
ハーブの中には殺虫成分を持つものもあります。 除虫菊は「ピレトリン」という天然の殺虫成分を持ち、数百年も前から農薬や殺虫剤の原料として利用されてきました。 天然の「ピレトリン」をもとに開発されたのが、化学合成した「ピレスロイド」で、蚊取り線香や殺虫剤に使われています。 ただし除虫菊は、置いておくだけでは虫除け効果は期待できません。
虫除けとしてハーブを利用する時の使い方
ハーブを虫除けに使う場合は、成分を濃縮させた形で使うことで効果が高まります。 熱湯につけて成分を抽出したり、アロマオイルを利用するのが良いでしょう。 香りの成分は揮発しやすいため、虫除けとして使う時は、こまめに塗り直すことが必要になります。
虫除け効果のあるハーブ10種類
では、虫に対して忌避効果のあるハーブや、古くから虫除けとして使われてきたハーブを10種類紹介します。
1.ペパーミント
ペパーミントは、種類の多いミントの中でも「L-メントール」の含有量が多い品種です。虫はL-メントールのスーッとした香りを嫌がります。 清涼感のある香りは、歯磨き粉やお菓子などに広く使われています。 繁殖力が旺盛で丈夫な植物なので栽培しやすく、ガーデニングに慣れてない方でも扱いやすいハーブです。
2.レモンユーカリ
ユーカリの中でもレモンの香りのする品種で、「シトロネラール」含有量がとても多く、古くから虫除けとして使われてきました。 他にも鎮痛・鎮静・殺菌効果などがあります。 レモンユーカリは寒さや強風に弱いので、鉢植えの方が管理がしやすいでしょう。庭などに地植えすると大木になります。
3.センテッドゼラニウム(蚊連草)
センテッドゼラニウムはニオイゼラニウムとも呼ばれ、代表的なものにローズゼラニウムがあります。 葉から出る匂いを虫が嫌がるため、窓辺に置いて蚊除けとして使われてきました。 高温多湿を嫌うので、風通しの良いところで育てましょう。 鉢植えやプランターで育てると、虫を除けたい時に移動させて使えるので便利ですね。
4.ニホンハッカ
ニホンハッカはミント類の中でも特に「L-メントール」の含有量が多い種類です。 化学合成されたL-メントールが出てくるまでは、北海道の北見が一大産地でした。 ハッカの匂いはゴキブリも嫌うので、台所でも役立ちます。 ハッカの香りがきつく感じられる時は、ゼラニウムやラベンダーのアロマオイルと一緒に使うといいですよ。 他のミントと同様に繁殖力旺盛で栽培しやすいハーブです。
5.レモングラス
ススキに似た姿のイネ科の植物で、「シトラール」を含有し、レモンのような香りがします。この香りを虫が嫌がるので忌避効果があります。 熱帯の植物なので寒さが苦手です。冬は上部を刈り取り、株を土ごと鉢に上げて室内で越冬させます。庭などに地植えすると1.5mもの大きさに育ちます。
6.シトロネラ
スリランカ原産のイネ科の植物で、シトロネラ製油の原料として栽培されています。 「シトロネラール」の含有量が多く、蚊に対する忌避効果が高いと言われ、多くの虫除けスプレーやキャンドルに使われています。 レモングラス同様熱帯の植物なので寒さが苦手です。 猫は中毒をおこす危険があるので、注意して下さい。
7.ラベンダー
リラックス・安眠効果があることで知られているラベンダーですが、抗菌・殺菌作用とともに防虫効果もあり、古くからリネンの防虫に使われてきました。 高温・多湿を嫌うので、梅雨時期から夏にかけては株が弱らないように配慮が必要です。
8.タンジー
別名ヨモギギク。日本では北海道に生息しています。 寄生虫の駆除剤として使われてきました。殺菌・防虫効果があり、家の出入り口付近に置いたり、乾燥させたものをペットの虫除けなどにします。 タンジーは毒性があるため、食用には向きません。 地下茎で伸びる丈夫な植物で、背丈は120cm程になります。 夏に花が咲き、花には独特の強い香りがあります。
9.ペニーロイヤルミント(目草薄荷)
アリ、ノミ、カメムシなどの防虫効果が知られています。 乾燥させたものはペットのノミよけとして使われてきました。 ペニーロイヤルミントは毒性があるので、ハーブティーになどの食用には向きません。 他のミント類とは異なり、地を這うように育つので、庭のグラウンドカバーとして使われます。
10.ローズマリー
ローズマリーには樟脳に似た「カンファー」と呼ばれる成分を持ち、その香りを虫が嫌がります。 地中海沿岸の岩場で自生するローズマリーは、痩せた土地でも元気に育つ丈夫なハーブです。 乾燥を好むので、梅雨時期には配慮が必要です。 立ち性、匍匐性、半匍匐性の3種類があるので、苗を選ぶ時はチェックして下さい。
ハーブを使った虫除けグッズの作り方
ハーブは組み合わせると、虫除けだけでなく、殺菌・消臭など複数の効果が期待できます。 数種類のハーブを合わせることで、素敵な香りも生まれますので、組み合わせを楽しんで作ってみて下さい。
ハーブを煮出して作る虫除けスプレー
1.水洗いしたハーブをボウルや鍋の大きさに切って準備します。 2.鍋にハーブとひたひたの水を入れてを火にかけ、沸騰したら5-10分ほどコトコト煮出します。 3.冷めたらスプレー容器にいれて完成。
アロマオイルを使った虫除けスプレー
アロマオイルは植物の成分を濃縮したものなので、植物そのものよりも高い効果が期待できます。 ・エタノール5ml ・アロマオイル2-10滴 ・精製水45ml ・50mlのスプレーボトル スプレー容器にエタノールを入れ、アロマオイルを垂らし良く混ぜ、精製水で薄めて完成。 アロマオイルを数種類使って、お好みの香りに仕上げてください。
虫除け効果のあるハーブの育て方
虫除け効果のあるハーブが身近にあると、使いたい時に使うことができて便利です。 ハーブは種から育てることもできますが、種が小さくて扱いにくい種類や、大きくなるのに数年かかる種類もあるので、苗を買ってくる方が手軽に始められます。 スペースが限られている場合は、寄せ植えをすると、数種類のハーブを一度に楽しむことができますよ。
プランターを使って寄せ植えする
一年草のハーブの苗は春に出回ることが多いことから、寄せ植えをするタイミングは春がおすすめです。 ハーブの寄せ植えは、生育環境の似ているものを集めると、日当たりや水やりなどの管理がしやすくなります。 「生育環境が似ていないけれど寄せ植えしたい」という場合は、上の画像のように鉢の上にもう一つ鉢を置いて、土の配合や水やりのタイミングなどを変えてお世話して下さい。
庭でハーブを育てる
庭に地植えすると根を伸ばすことができるので、鉢に植えるよりも大きく元気に育ちます。 庭にハーブを植える時はレイアウトも重要です。一度植えると移動させることができないので、ハーブが育った時の背丈を考慮して計画を立てることが必要になります。 ミントのように地下茎で伸びるものは、鉄板で仕切りを作るなどの工夫が必要です。
植物の力で安全に虫除けを
虫除け効果のあるハーブ10種類を、使い方、育て方を含めて紹介してきました。 ハーブを使った虫除けは、安心して使え、しかも香りの癒し効果もあるので、まさに一石二鳥。 自宅の環境によっては栽培の難しいハーブもあると思いますが、その時はアロマオイルと併用すれば大丈夫です。 ガーデニングのお供に、台所の虫除けに、ハーブを利用した虫除けを活用してみて下さいね。