植物に必要な成分
花や野菜作りには欠かせない
肥料とは植物に必要な成分で肥料を使用することで花なら色鮮やかになったりたくさん咲いたりします。野菜の場合甘みが強まったり風味が豊かになったりと美味しさを左右する重要な成分です。一般的に肥料ははじめから土に混ざっている元肥と後からまく追肥に別れています。植物によって特に必要な成分など変わりますが植物を育てる時に必ず必要な成分が3種類(3要素)あり必ず肥料には含まれている大切な成分です。
植物の葉を育てる窒素(N)
肥料のパッケージにはNと表記されていて窒素のことです。主に葉に影響する成分なので観葉植物や葉物野菜などには特に窒素を与える必要があります。しかし窒素が過多になったり肥料自体の量が多くなると逆効果になり花や野菜など全ての植物に悪影響を及ぼしてしまいます。また葉の成長に大きく影響するので実を食べる果樹や野菜などは実をつけないでとんどん葉や茎だけ成長するようになって結果としては収穫量が減ったり病気になりやすくなってしまうので肥料の与えすぎには注意です。
花や実を育てるリン酸(P)
リン酸は花や実つきを良くします。そのため花にや果樹には特に必要な成分でリン酸が不足すると葉が枯れたり葉が小さくなり果実が熟れななったり(生育不良)します。いちごなどでは糖度が低くなり甘くない実になります。逆に過多になる草丈が伸びず、生育不良になったり微量要素と言われる「健康に育成する上で少しだけ必要な成分」である鉄や亜鉛などの欠乏症に繋がります。このように肥料は使い方が大切です。
根張りなどに関わるカリウム(K)
カリウムのことですが肥料ではカリと呼ぶことが多く根や茎を育てる他に暑さや寒さに対する抵抗性、病気への耐性などを高めて植物を元気に育てます。カリウムが欠乏すると古い葉が葉先から枯れていったり、根の伸びがなくなり腐ってしまうことも多くなります。トマトなどの場合は食味も落ちたり見た目も筋が入り悪くなることが多いです。過多になるとマグネシウム、カルシウムの吸収を阻害してしまいます。
元肥とは
植物を育てる為の準備
元肥は植物を育てる為の土台です。プランターなどの容器栽培や花壇の場合は市販されている土を使用する場合があると思いますがパッケージに元肥入りなどが書かれている場合があります。元肥とは植物植え付けた後、元気に育つようにするためにあらかじめ土と一緒に肥料を混ぜること、混ぜ込む肥料のことです。使い方は土に混ぜて耕すだけですが市販されている土はほとんどの場合元肥は含まれているので使い方を詳しく知らなくても問題ありません。
肥料のタイプ
肥料と一言に言っても効き目が現れる速さが違ってたり、原料が違います。肥料は大きく分けて有機肥料とか化成肥料に分けられます。そこからゆっくりと長く効き目のある肥料と速効性で吸収される肥料に分類されます。有機肥料は動物の糞、米ぬか、魚骨などからできていてこれらを微生物が分解することで花や野菜の肥料になります。化成肥料は科学的に窒素などを集めて肥料を作る方法で、空気中の窒素など無機物からできているのが特徴です。水に溶けると根から吸収される速効性です。
元肥に向いているタイプ
どちらの肥料も植物を育てる時には役立ちますが元肥に使う場合は効き目が長くゆっくり効くほうが良いので有機肥料をベースするか化成肥料でも効き目がゆっくりな緩効性肥料を使用します。しかし有機肥料は野菜や花など植物を育てる時に必要な三要素を全て揃えているわけではないので追肥を行うことを忘れないようにしましょう。
追肥とは
植物の生育に応じて肥料を使うことで、植物の種類によって使用する肥料を変えることが大切です。例えばトマトなど実を収穫する野菜や花を楽しむ植物は実付きなどを良くするためリン酸が多く入った肥料を使うようにします。追肥の時期はそれぞれ植物で変わってきますが花や実の収穫時期、収穫後にするお礼肥など一定の時期にする追肥もあります。追肥は速効性の肥料が良く化学肥料の使い方は土の表面にまくだけで大丈夫です。
元肥の使い方
追肥を混ぜ込む方法
元肥は混ぜ込む方法が一般的です。後から地表にばらまく方法もありますがそれでは有機肥料特有の土をふかふかにする効果が期待できません。元肥は植え付ける前に行う土作りの一環として作業します。例えば土作りの時に植え付け一週間前に1平方メートルあたり、堆肥を1キロ、苦土石灰を100グラムとありますがこれらが元肥です。あらかじめ土作りとして混ぜ込む方法でゆっくりと長く効きます。
追肥を下に敷く方法
この方法は溝施肥とよばれ混ぜ込む方法と比べると根がしっかりと深くなる植物に使い キャベツ、トマト、ナス、白菜などに適しています。やり方は苗や花を受け付けたい場所に通常より深く穴を掘ります。掘った穴に肥料をいれて更にその上から土をある程度入れてから苗や花を植えることで根に直接肥料が当たることもなく収穫時期前後までゆっくりと長く効きます。
元肥のタイミング
植え付ける時
元肥は名前の通り植物が元気に育つためなので植え付ける前、植え付け時に使う肥料です。使い方は前述のように混ぜ込む方法や穴のそこに施肥する方法があります。
移植する時
株分けなどで他の場所に移植する時などにも元肥をすることで元気に育ちます。植え付ける時と同じようにできますが直接肥料が根に当たると根が傷む原因にもなる場合があるので気をつけて施肥します。
元肥に使える肥料の種類:油かす
窒素が多い
油かすは菜種などの油の採れれる種子を搾った後のかすでできていて主に窒素を含んでいる有機肥料で、リン酸、カリウムも多少含まれているので使われることが多い肥料の1つです。時期によっては土の上から巻いた場合、有機肥料は虫、カビなどが発生するので気になるようなら土を薄く被せておくと防げます。発酵の過程を経て養分になるのですがその際に発熱、ガスが発生します。
油かすの使い方
元肥として使う場合は植え付け2週間ほど前にしっかりと土に混ぜ込むようにします。油かすは元となっている植物の種子の種類で早く効き目が現れるものとゆっくりと効き目が現れるものがあり例えば大豆油かすは効果が他の油かすと比べると早く菜種油かすはゆっくりになります。発酵油かすを使用すると既にある程度分解されているので普通の油かすより早く効き目が出てくるので使用する時期によって使い分けすることも可能です。
発酵油かすとは
一度発酵させているので分解がすすみ施肥後すぐに養分が溶け出します。一度発酵しているのでガスや汚臭を発生することがすくなく使いやすいですが、通常のものより少し軽減されただけなので注意が必要です。元肥より追肥に向いています。
元肥に使える肥料の種類:骨粉
リン酸が多い
骨粉は豚やにわとりの骨を高温、高圧力で処理し乾燥させ粉状にした肥料でリン酸が多いのが特徴です。そのため油かすと一緒に使われることが多い有機肥料で効き目はゆっくりと長く効くタイプとなっています。BSE(牛海綿状脳症)の影響から現在流通している骨粉は牛から作られているものはなくなりました。
骨粉の使い方
非常にゆっくりと溶け出すので植え付けの1ヶ月前に土に混ぜ込みます。分解を少しでも早めるには粒状が小さなものや微生物が多い堆肥などと一緒に使うことで分解が促進されます。
元肥に使える肥料の種類:米ぬか
リン酸が多い
骨粉と同じようにリン酸が多い肥料です。堆肥やぼかし肥料にすることもできます。米ぬかは生の米ぬかと脱脂米ぬかの2種類に分類され糖分やタンパク質も豊富で微生物の餌になるので微生物活性化させ豊かな土壌にする効果があります。ただし普通の虫も同じように湧きやすいので虫が苦手な人は注意が必要です。また虫が湧いていても効き目に変化はないので安心して使えます。
米ぬかの使い方
米ぬかを肥料として与える場合は脱脂米ぬかを使うようにします。生の米ぬかは脂肪があるので水を弾き分解もされにくく害虫や病原菌の温床になりやすいので注意しましょう。脱脂米ぬかは植え付け2週間ほど前に土に混ぜ込むだけです。
生の米ぬかの使い方
生の米ぬかは他の有機肥料や落ち葉などを集めて作るぼかし肥料に使われます。微生物の餌となるので発酵や分解が進みやすくなる特徴があります。この時よく発酵していないと汚臭や害虫が出てきて見た目にもあまり良いものではなくなるので注意が必要です。ボカシ肥料については後述します。
元肥に使える肥料の種類:バットグアノ
リン酸が多い
バットの由来はコウモリで、グアノとは、珊瑚礁や岸壁、島などに海鳥の死骸や糞、卵の殻などが長期間堆積して化石化なったものです。つまりコウモリの糞の化石からできた肥料で採取される土地によって成分が多少変動します。またグアノも肥料として使われています。リン酸が多いですが中には窒素が多い種類もあります。
バットグアノの使い方
バットグアノは根や微生物が分泌する有機酸に溶けてゆっくりと養分が染み出すので元肥に向いています。そのため表面にばらまいて使うよりしっかりと土に混ぜ込んだほうが養分になります。またコウモリの食性は肉食で昆虫を食べるので微量要素と呼ばれている「たくさん必要ないけどあったら元気に育つ成分」が入っているため野菜などは味が良くなります。使い方は製品により含んでいる成分が変わってくるのでパッケージをよく読むことが大切です。
元肥に使える肥料の種類:ぼかし肥料
自作する肥料
ぼかし肥料とは油かすや米ぬか、骨粉などを土や葉などと一緒に混ぜ込み発酵させてつくる肥料で使用時に土と一緒に混ぜて使うのでボカシ肥料と呼ばれています。配合比率など決まりがないため自作することも可能です。例えば窒素が多い有機肥料にはリン酸の多い有機肥料を足してバランスよく仕上げていったりリン酸を多めに配合することで収穫時期に花や実をたくさんならすなどができます。
作り方
米ぬか、骨粉など好きな材料を混ぜて市販されている発酵菌を混ぜます。水分がすくない材料を混ぜる時は手で握った時は固まっても指で押すとパラパラと砕ける状態を目安にして水分を混ぜていきます。その後は上部な袋(ゴミ袋など)に入れてしっかり空気を抜き密栓し常温で日陰で保存し2~3ヶ月後で完成です。しっかりと発酵できていたらヨーグルトのような酸っぱい匂いがします。
元肥のまとめ
元気に育つ秘訣は元肥
元肥は植え付け時の栄養補給から大きくなるまでの栄養にもなるので植物が元気に育つために大切な肥料です。またどんな肥料でもいいというわけではなく肥料の性質や植物の性質によっていろいろ使い分けることが大切になります。
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