いらという魚が美味しいらしい
いらという魚は、スーパーだけでなく市場などでもあまり見かけることのない魚です。それもそのはず、食べ方を知らない人たちは食べないということで、捨てられてしまう魚なのだそうです。でも、それは損をしています。
いらは食べ方を知っているととても味がよい魚です。もし、ご自分でいらを釣り上げたときは捨てずにぜひ調理していら料理を召し上がってみてはいかがでしょうか。今日はいらの食べ方、さばき方、いら料理のレシピをご紹介します。
いらについて
まずはいらという魚がどのような生態なのか、いらの漢字名はどう書いてどんな意味なのかといういらの基本的な知識からご紹介します。
科名
いらという魚はスズキ目ベラ亜目ベラ科に属する魚です。スズキといえばシーバス。ちょっとした高級魚としても知られています。しかし、スズキ目の中でもベラ科はかなり下位の分類にあたり、いらと同じベラ科の仲間はベラやクマノミ、スズメダイとどちらかというと観賞用の魚です。
生態
いらは沿岸の岩礁域に生息している魚です。群れは作らず一匹で行動しています。そのせいか、漁獲量はあまり多くなく、それがいらが市場に出回らない理由のひとつでもあります。
形・姿
いらの全長は40センチほどとなり、けっこう大きめの魚です。さばき方を知っていて自分で調理ができるなら、けっこう満足できる肉を取ることができるでしょう。その顔は頭頂部から口までの角度が急で独特の顔をしています。この顔を何かに似ていると思った人もいるでしょう。いらはブダイとよく似た姿をしています。
分布
いらの分布は日本では中部地方以南、台湾、朝鮮半島や南シナ海・東シナ海に生息しています。
別名
イラは別名が多い魚で、地方によって呼び名が変わります。地方によってはアマダイなどと混合されて「アマ」や「アマダイ」と呼ばれることもあります。東京だと、クジ、ケサ、カンノダイなどと呼ばれます。
このほか、イソアマダイ、オキノアマダイ、ナベ、ハトノメ、ホテイ、モクズなどなど、wikiで確認しただけでも25種類以上の別名がありました。
漢字名
いらという名前はちょっと変わっていますが、「 苛」や「伊良」がいらの漢字名として使われています。苛々(いらいら)するというときに使われるあまり良くない漢字である「苛」が使われるのは、捕まえようとすると逆にこちらに向かって攻撃(噛み付いて)くるのでいらいらするという、そのままの意味から付けられたといわれています。
いらの味・旬は
いらを食べるには、まずどんな味か知っておくことで調理法が決まるでしょう。ここでは、いらの味やその美味しい旬の季節を見ていきます。
味
いらの味は美味しいという人から不味いという人まで様々です。嫌な癖はないのですが、少し水っぽく「味が足りない」と感じる人がいるようです。肉は柔らかい魚で、煮付けなどにすることが多いですが、その他の料理にも利用できます。
旬
いらの脂が乗った旬の時期は晩秋から初夏まで。かなり旬の時期が長い魚といえるでしょう。いらの肉質は癖がない柔らかい身ですが、味は好きでないという人は、この旬の長さを利用して釣り上げたときは「だし」としていらを利用するのもよいですね。
いらの食べ方・さばき方
さばき方
いらのさばき方手順は他魚と変わりありません。 ①ウロコと内臓を取り除く ②三枚におろす ③腹骨を切り取る ここで、刺身などにする場合は皮を引く場合が多いですが、いらは刺身で食べる場合でも皮付きが美味しいです。皮は引かずにここでさばき方は完成となります。
さばき方注意点
いらのさばき方は他の魚をさばき慣れている人は難しいことはありませんが、ひとつだけ注意点があります。それはいらの顔の横にある線の部分。この部分はとても鋭利で手を切ってしまうことがあるので、いらの顔の部分を触る時は怪我に気をつけましょう。
食べ方
いらの身は柔らかいというお話をしましたね。この柔らかい肉質も物足りなく感じる人が多いようです。実の柔らかさが気になる場合は、煮付けにするとよいでしょう。
じっくり火を通すことで身が締まりいらの肉質の柔らかさがなくなり、適度な繊維質でほろほろと口に入れるととろける美味しい料理になります。その他のいら料理のレシピを次でご紹介しましょう。
いら料理のレシピ
刺身、カルパッチョ
いらの食べ方でベーシックなものは、刺身やカルパッチョです。材料は先ほどさばき方で三枚におろしたいらの身を使います。特に癖のないいらの身にはカルパッチョなど他の野菜やドレッシングと合わせた食べ方が合います。
<カルパッチョの材料> 白身魚のお刺身4切 玉ねぎ1/8個 小口ねぎ少量 オリーブオイル 適量 塩胡椒適量 マヨネーズ適量
作り方 ①野菜はスライスして水にさらしておきます。 ②皿に塩コショウをふりかけてから、玉ねぎらスライスしたものを敷きその上にいらの刺身を並べます。 ③塩コショウをしてから、マヨネーズやオリーブオイルなどかけていただきます。
カルパッチョひとくちメモ
とても簡単でいらによくあう食べ方なのでぜひお試しください。いらの刺身はカルパッチョによく合います。
ソテーやムニエル
いらは加熱調理をした方が美味しく感じる人が多いです。刺身はあまり好みではないという方は、ソテーやムニエルにしてみてはいかがでしょうか。身が引き締まり柔らかさの中にもほどよい繊維質が感じられ、食感が楽しい魚料理になります。
材料 (二人分) 白身魚2匹 塩コショウ適量 小麦粉適量 バター(マーガリン)大2~3 オリーブ油 大2 酒大2位
作り方 ①三枚におろしたいらの水気を拭き取り、しっかり塩コショウで下味をつけてから小麦粉をまぶします。 ②オリーブオイルとバター(またはマーガリン)を入れたフライパンを火にかけ、温まったら1を入れます。 ③両面こんがりと焼き目がつき、中まで火が通ったら完成です。
焼き物ひとくちメモ
最初に下味をしっかりつけておくと、そのままでもバターの風味が食欲をそそる美味しい白身魚のソテー・ムニエルになります。いらを初めて食べるという人はまず洋風の焼き物から入るのもよいでしょう。
鍋物の具材
いらの良さが一番感じられる料理は、何といっても煮物でしょう。刺身で食べるいらからは想像できないような、とても良い出汁がでます。日を通すことで難点である柔らかい身がキュッと締まって食感も良くなります。
三枚におろしたいらをぶつ切りにして鍋物の具材として使用するのもよいでしょう。冬はいらの旬の時期になりますから、ぜひ鍋にも入れてください。
材料 (3〜4人分) 白身魚(たら、鯛など)切り身4きれ 白菜1/4カット黄緑のぶふ 白ネギ2〜3本 生椎茸3枚 えのき茸1パック 豆腐半丁 生カキ(130g〜150g)1パック 葛切り(本葛粉入り90g袋)半袋 春菊(菊菜)又は水菜1把 ◾️和風顆粒だし(小袋)1パック ◾️水900cc ◾️生姜1かけ ◾️酒大さじ1.5 ◾️薄口醤油大さじ3 ◾️塩1つまみ ■ 柚子七味または柚子こしょう
作り方 ①鍋に入れるきのこや野菜類をカットします。 ②葛きりは袋の表示通りに戻しカット、豆腐は8等分くらいにカットしておきます。 ③■がついた材料が鍋の汁になります。鍋に入れて軽く煮立たせてからいらのぶつ切りをいれましょう。 ④野菜などを入れ、火が通ったら食べごろです。柚子こしょうなどでいただくのがおすすめです。
鍋物ひとくちメモ
冬場など鍋が美味しい時期には、いらの出番といえるでしょう。どんな鍋でも白身魚が合うものならどんな種類でもいらを使うことができます。味の癖がないいらなら、和風にも洋風にもピッタリな具材となってくれます。
まとめ
いらという魚。ベラ類の魚にしては大型で、売られているときは比較的高値であることもある魚です。旬が長いので真夏以外、だいたいいつ食べても美味しい魚です。手に入ったときはぜひ、その味を自分の舌で確かめてみてはいかがでしょうか。
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