オニオコゼの生態
オニオコゼはカサゴ目オニオコゼ科の魚です。オコゼにはたくさんの種類が存在しますが、一般的にオコゼと言えばこのオニオコゼの事を指します。主に本州中部から東シナ海の広範囲に生息し、浅瀬から水深200メートルぐらいまでをすみかにしており小魚などを捕食しています。全長は20~25センチほどで、最大で50センチほどの大きさまで成長します。6月~7月が旬で、味が良く可食部が少ないので高級魚として扱われています。
オニオコゼの特徴
オニオコゼの特徴はなんといっても、凹凸に富んだグロテスクな見た目です。オニオコゼは鱗が無く触ってみるとぷにぷにと弾力のある魚体をしています。体色と斑紋は個体によってそれぞれで、褐色の赤や黒みを帯びた黄色や乳白色も見られます。民俗ではその醜悪な見た目を山の神が好み(山の神は醜女とされている)、よく供え物として祈願に使われていたそうです。
オニオコゼの毒
ところでこのオニオコゼ、味が良い高級魚として知られるのと同時に、毒魚としても広く知られています。その毒性は強く毒に侵された部分は赤く腫れ、激しく痛みます。ふぐ毒のように死に至らしめるほどの毒ではありませんが、けいれんや呼吸困難を起こす恐れもあるので、オニオコゼの毒には細心の注意を払う必要があります。
毒があるのは背びれと胸びれ
オニオコゼの毒は、鋭くとがった背びれと胸びれに存在します。この部位が指先などに刺さることで毒に侵されてしまうんですね。手などに刺さるとまるでグローブのように腫れあがるそうです。一般的に海釣りでもよく釣れる魚ですので、釣り上げた際に仕掛けやフックを外すときに誤って触れてしまうことが多いです。オニオコゼを釣り上げた際は素手で触らないのはもちろん軍手なども容易に貫通するので、ペンチなどの道具を使って仕掛けを外すのがマストです。バス持ちも出来ないことはないですが自己責任でお願いします。
毒に触れてしまった時は
オニオコゼの毒に触れてしまった場合はすぐに病院へ向かうのが最善です。と言っても釣り場からすぐに病院というのも難しいこともあると思います。そこでまず応急処置としては、まずは傷口をよく洗浄し、棘などが患部に残っている場合にはしっかりと取り除きます。オニオコゼの毒は、熱で分解されるので患部を35℃~42℃ほどのやけどしない程度の温水に浸けましょう。症状が改善されない場合は速やかに病院へ。オコゼは大なり小なり毒を有しますがオニオコゼの毒は他のオコゼ毒の追随を許さないほどの強毒なので応急処置のみで痛みが引くことは少ないでしょう。
オニオコゼの釣りかた
基本的にオニオコゼは狙って釣れる魚ではありません。しかし防波堤や磯などの浅瀬にフラッと入ってきたオニオコゼが釣れることがあります。つまり他の魚を狙っているときにたまーに釣れることがある、オニオコゼはいわゆる「外道」と呼ばれるポジションなんですね。そのため他魚種のルアーやワームでも釣れますし、タックルもシーバスやライトゲーム、バス用のスピニングタックルをそのまま流用することが可能です。オニオコゼを釣るための仕掛けを下に紹介。根魚を狙う際、一緒にオニオコゼを狙ってみてはいかがでしょうか。
リアル系ハードルアーで釣り上げる
「仕掛け」と言われるとどうなんだ、というところではありますが小型のミノーなどでゆっくりと海底をスローリトリーブがオニオコゼには有効です。(オニオコゼは底にいるので)この際、海中の水草などにルアーを引っかけてしまわないよう上手くロッドを手繰ってリトリーブしてください。ただ底に沈めすぎたりゆっくりと巻きすぎると根がかりしてしまいますのでそれも注意です。
リアル系ワームで釣り上げる
オフセットフックやジグヘッドにリアル系ワーム(小魚をイミテートしたもの)をセットした仕掛けを使用します。基本的にはハードルアーと同じように底近くをスローリトリーブ。小刻みにシェイクを加え自然なアクションで食いを促すのも良いですね。(オニオコゼがいれば、の話ですが)こちらも沈めすぎると仕掛けが根がかりしてしまいますので要注意です。オニオコゼはエサが着底する瞬間に食うことが多いのでロッドを煽りリフト&フォールで食いのタイミングを演出するのも良いでしょう。
オニオコゼを本気で獲りに行くならエサ釣り
まずは仕掛けから。PE3~4号を巻ける中型リール(電動が望ましい)と6フィート前後のロッドを用意。中か大の天秤。オモリは150~200号くらいの重たさがボトムを取りやすくおすすめです。サルカンに夜行玉は合っても無くても大丈夫です。ムツ針は15号以上、ハリスは6号以上であれば問題ありません。針にサバやアジの切り身をつけキャスティング後は着底を待ちます。ボトムを取ったらロッドを煽り1メートルほど仕掛けをリフトさせもう一度仕掛けを着底。基本的にこの繰り返しでオニオコゼの食いを誘います。アタリを取ったら一呼吸おいて落ち着いてリーリングに入って下さい。巻き合わせで構いません。オニオコゼはかなり暴れるのでネットや船上に揚げるまで油断しないようにしましょう。
オニオコゼの味
綺麗な白身をしており、弾力のあるしっかりとした歯ごたえで大変美味とされています。皮も内蔵も美味しく食べられ、アラからは旨味溢れる素晴らしい出汁が取れます。流石は高級魚と称されるだけありますね。そんなオニオコゼを活かした料理を紹介します。
オニオコゼの刺身
薄造りはオニオコゼの定番料理です。オニオコゼの身はフグに匹敵するほど、とも言われるのでその美味しさは折り紙付き。もみじおろしやポン酢と合わせて食べるのがおすすめです。皮が付いたまま湯引きするのもおすすめ。自分で釣ったものを料理する際は棘に細心の注意を払って作業しましょう。死んだオニオコゼにも毒はしっかり存在します。鮮魚として購入した場合は棘は取り除かれているので、三枚におろすだけです。オニオコゼのおろし方はこちらの動画を参考にしてください。
オニオコゼのあら汁
基本的には刺身にした際に余ったアラを利用する形ですね。オニオコゼのアラから出るコクのある出汁は極上の旨味です。シンプルにお吸い物でも美味しいですが白みそなどで仕立てると甘みが広がり美味しい汁ものとなります。他にも醤油で仕立てたり、合わせ味噌でシンプルなみそ汁にしても大変美味しく頂くことが出来ます。オニオコゼの汁ものはバリエーション豊かに調理することが出来るので、それぞれに好みの汁ものを見つけてみてください。
オニオコゼの煮付け
おろすのも出汁をとるのもめんどくさい!といった方におすすめの料理です。水300mlに日本酒、醤油、みりんを100mlずつ。これをベースに各調味量を好みに合わせて調節してください。甘みが欲しければみりんを、濃く仕上げたい場合は醤油を追加で。オニオコゼは脂は少ないのですが、持ち前のプリっとした食感が美味しく、且つ崩れにくいので煮付けにぴったりの魚と言えます。内臓や卵も一緒煮付けると非常に美味です。
まとめ
その不細工な見た目からは想像できせんが、高級魚として知られるオニオコゼは大変美味しく頂くことが出来る魚です。しかしオニオコゼのその毒は大変強力で、死に至ることは無いものの刺された箇所は激痛と腫れに見舞われます。たまに釣り上げられたオニオコゼがそのまま陸上に放置されていることがありますがオニオコゼの毒性は死んでも残ったままなので安易に触れたりしないようにしてください。そして自分で釣った場合はしっかりとリリースまで行いましょう。釣ったものを自身でさばいて食べる場合は背びれと胸びれをまずハサミで落とすことを忘れないよう要注意です。
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