オニダルマオコゼ/分類
脊索動物門 条鰭綱 カサゴ目 フサカサゴ科
オニダルマオコゼ/外国名
Reef stone fish
オニダルマオコゼ/学名
Synanceia verrucosa
オニダルマオコゼ/由来
オニダルマオコゼという名前を分解してみると 「オニ」「ダルマ」「オコゼ」という3つのパーツからなります。 それぞれ 「オニ」=鬼のような形相をしている 「ダルマ」=ダルマのように他のオコゼ類に比べ体が丸い 「オコゼ」=(おこ)というのは顔が笑えるくらいに愚かで怪奇な珍妙な顔をしているということ。 これらの意味が名前の由来になっているのです。
オニダルマオコゼ/生息地域・分布
オニダルマオコゼの生息地域は主にインド洋・太平洋の西の温かい海域に生息していて、海中の珊瑚礁などの近くに住み着いていることが多いです。 日本でも小笠原諸島や奄美大島、沖縄周辺の海域にも生息していることがあり、水族館などでも見かけることがあるかもしれません。
オニダルマオコゼ/生態・生育環境
生態としては、食性は肉食で海底の岩などに擬態しつつ、小魚や甲殻類などが近くにくるのを待っていることが多く、近くに獲物が来ると急にパクッと獲物を捕食します。その見た目のゴツゴツした岩のような体はとても迫力があります。 この魚には浮き袋がないため、他の魚のように海中をふわふわと泳ぐのではなく、その生態は海底にじっと潜むことが多いです。
オニダルマオコゼ/特徴・形態
体長は約40cmで、あまり大きくはありませんが、全身胃昆布のような突起や凹凸が見られ、体内に浮き袋はありません。 背びれ・臀びれを構成するとげの数は決まってはいないが通常は13棘6軟条・3棘5軟条あります。 背びれの太いとげには猛毒が入った袋があり、この毒は非常に協力で刺されると死に至るほどです。 それほどとげの先は鋭利にはなっていないので、触ってすぐに刺されるというよりは、海底にいるオニダルマオコゼを踏むなどして刺されることが多いと思われます。
オニダルマオコゼ/釣り情報
オニダルマオコゼは一年中釣れるが、よく釣れるのは12月から2月ぐらいの寒い時期が釣れます。
釣果ポイント
・沖縄県 うるま市 ・鹿児島県 奄美市 ・宮崎県 宮崎市 などの九州地方の暖かい海で釣れる傾向にあり、海岸付近の港などの投げ釣りで釣れます。この魚は肉魚性なので、釣りには竿にルアーをつけたもので、投げ釣りをするのが良いでしょう。 オニダルマオコゼの生態は海底でじっと獲物を待つことが多いので、オモリにワームなどをつけ、海底に沈め、少しずつ動かして行くことで食らいついて来るでしょう。
オニダルマオコゼ/味・選び方
料理する際、新鮮なものを選ぶ方法は、触った時に皮がブヨブヨになっているではなく、しっかりとハリがあるものが新鮮で、美味しいです。 上記にも述べたようにその最大の特徴は背びれのとげに含まれている猛毒なので、それを最初に切り取ることを忘れないようにしましょう。非常に分厚い皮をしており、鱗はありません。この皮は熱を通すことで非常に固く食べにくくなりますので注意しましょう。皮の表面には少し粘り気のあるような海綿状の物質が付いており、こちらは害はないが、食べると少し苦いので注意しましょう。調理の最初に洗ったり、こすったりしてしっかり落とした方が良いでしょう。 オニダルマオコゼ自体の身は白く透明感がありますが、時間が経つと白く濁ります。
値段
オニダルマオコゼは沖縄や九州の暖かい海で、釣り上げられることが多く、その数も少ないため、比較的値段は高いです。また、猛毒を持つ魚で取り扱いも大変なので市場に出回っている数は少ないでしょう。 値段はピンからキリがありますが、大きさによってだいたい7千円~2万5千円(2018.1.15日現在)位の値段手取引されています。高級ですが味は絶品ですので、一度市場などを探してみても良いかもしれません。
オニダルマオコゼ/栄養・寄生虫
栄養は1匹あたりカロリーに対してタンパク質が非常に多いです。その中でもビタミンB12とナイアシンが非常に多く含まれています。
ビタミンB12
この栄養素は水につけることができる水溶性のビタミンで、貧血などの防止に有効な成分です。 体内で他のビタミンと協力して血液中の酸素を運ぶヘモグロビンという物質をたくさん生成するように働きます。 その結果血液の流れや質をよくできます。 このように血の巡りに対する効果が大きいことから貧血などの症状が見られる人に対してオススメです。
ナイアシン
こちらも水につけることができる水溶性のビタミンで、細胞で糖質や、脂質、タンパク質からエネルギーを生産する際、酵素を補助する働きがあります。 この結果皮膚や細胞や粘膜の健康の維持ができ、回復能力の高まりなどが期待できます。 このナイアシンが不足すると食欲不全や皮膚の湿疹が起こるなどの異常が起きるので、しっかりと摂取したほうが良い栄養の一つです。
寄生虫について
寄生虫は他の魚と同様アニサキスが見られます。 オニダルマオコゼの筋肉や肝臓に寄生していることが多く、このアニサキスを食べてしまうと食欲不全や食中毒・下痢や頭痛などの異常が見られます。 このアニサキスは寄生している魚の鮮度が落ちると肝臓から筋肉へ移動しようとするので、オニダルマオコゼの鮮度が良いうちに肝臓を処理してしまうことを、オススメします。
オニダルマオコゼ/料理・調理方法
調理方法
オニダルマオコゼを調理する際に一番気をつけなければならないことは、猛毒のあるとげです。 まずは生きている状態だと暴れるのがとても危険なので、首の上を包丁を突き刺すようにして骨まで切断するようにしましょう。 これで、魚をシメることができます。 そのあと、オニダルマオコゼのとげを取るために背中部分にV字型に切れ込みを入れて、とげを引き剥がすようにしましょう。 とげが切り離せたらあとは安心なので、その後ヒレやエラ、内臓などを撮って調理をしましょう。
刺身
オニダルマオコゼの身はとてもタンパクであっさりとしているのが特徴です。 刺身にするなあば、釣ったあとすぐよりも、さばいて切り身にしたあと、冷蔵庫で1〜2日ほど保存して熟成させたほうが身が引き締まり、味が濃厚になります。
鍋
しっかりと毒のあるとげを処理したのち、そのアラで出汁をとり鍋にするのもとても美味しいです。 魚のみは加熱することでぎゅっと引き締まり、かみごたえのある上品な味になります。
オニダルマオコゼ/毒について
このオニダルマオコゼという魚は猛毒を持つ魚で大変危険だと言われていることで有名な魚です。 この猛毒は背びれの毒腺から分泌され非常に強力な神経毒です。 オニオコゼの仲間には毒を持つものが多くいますが、その中でもこのオニダルマオコゼは格段に強い猛毒を持っています。 沖縄周辺などの海水浴場でも海底の岩や砂に半分埋まって、隠れた状態で擬態しているかもしれませんので十分に気をつけましょう。
オニダルマオコゼ/刺された場合の対処法は
まず刺されてしまった場合は傷口を洗浄することが大事です。 傷口から毒以外の菌などが入らないようにしましょう。 その時に棘が刺さって残っている場合は、症状が出る前に早めにしっかりと棘を除去しましょう。その後熱湯をかけたり、傷口を浸したりするのが一般的の領邦として言われています。 オニダルマオコゼの猛毒は神経毒ということはわかっていますが、詳しい成分などはまだ不明点が多いそうですが、血清はあるようです。 しかし場所がオーストラリアのみですので、残念ながら日本にありません 。刺された場合の症状は激痛を伴う患部の腫れ、頭痛や吐き気、呼吸困難を起こし、最悪の場合死にも至るような危険なものですので、暖かい海へお出かけする際は気をつけた方が良いでしょう。
オニダルマオコゼ/事件
2010.8.5には沖縄県名護市の海岸でダイビングインストラクターの男性がダイビングの講習中にオニダルマオコゼに刺されて、その後死亡したという事件もあり、この事件ではダイビングの講習中に男性が「オコゼに刺された!」と叫び、助けを求めた後急に意識を失い倒れ、搬送先の病院で死亡したという話です。 男性の左足の裏にはオコゼと思われる刺し傷が見つかったということです。
事件例
沖縄県の衛生環境研究所によると沖縄県内でオコゼ類に刺され、病院を受診する患者の数は毎年20件くらいあり、死亡件数はそのうちの1件ほどといわれています。 刺されたからといってすぐ死亡するケースは少ないそうなのですが、水中で心肺停止や意識を失うと危ないということです。また、過去に1度刺されたことがある人は、症状が重く刺された時にアナフィラキシーショックになり、症状が重傷になることもあるので、1度刺されたことがある人はより注意が必要になります。
オニダルマオコゼ/まとめ
このようにオニダルマオコゼは非常に強い猛毒を持っているということが最大の特徴の魚であり、海水浴場でも海底でじっと隠れていることもあるので、不用意に裸足などで海底を歩くのは危険です。 海底を歩くときはしっかりと靴のようなものを履いておくのが良いかもしれません。 しかし、料理にするとその味は大変おいしく、いろいろと料理方法もあるので、毒さえ気を付ければ美味しく食べることもできます。