カルトナージュとは
カルトナージュとはフランス語で「厚紙細工」という意味です。似たような手芸方法はたくさんあり、同じカルトナージュ作品でも別の呼び名で呼ばれることもあります。デコパージュと良く似ていますが、貼り付ける素材によって分けられていることがほとんどです。18世紀のヨーロッパ生まれの伝統的でエレガントな手芸テクニックです。
カルトナージュの基本:リメイクペン立ての作り方
まず、カルトナージュの基本となるような簡単な作り方を通して、その工程をご紹介していきます。今回できあがるのは写真のような牛乳パックリメイクのペン立てです。内側に厚紙が入ることでしっかりとしたものに仕上がります。初心者でも簡単にできる作り方です。お好みの布や紙を貼って、かわいいリメイクペン立てを作っていきましょう。
カルトナージュの簡単な作り方手順1/材料
今回作り方をご紹介する牛乳パックの空き箱のカルトナージュでは、こんな材料を使いました。表側に貼る紙、内側に貼る紙の2種類(布でもOK)。手芸用ボンド(木工用ボンドでも可能)。テープのり。ハサミ。この他下地づくりに白い紙が必要なので白い紙を用意します。
カルトナージュの簡単な作り方手順2/印つけ
カルトナージュの作り方は、まずは利用する空き箱などをカットしていくことからはじめます。作り方工程の最初は、そのカットしていくための印つけです。ここで作るペン立ては牛乳パックなど1リットルの飲み物の空き箱を切って本体と内側のパーツを取っていきます。
リメイクレシピ①印つけ
まずは、洗った牛乳パック(ここではレモンティーの1リットル紙パックを使用)の空き箱をカットしていくための印つけで寸法をご紹介します。ペン立ての高さは8.5センチです。まずは底から8.5センチにぐるりと印つけします。
そのほか、内側のパーツのために4枚の厚紙を切り出すために先ほどの線から8.3センチのところに印つけします。
カルトナージュの簡単な作り方手順3/牛乳パックのカット
出来上がり寸法に合わせて、空き箱の印付けができたらカットしていきましょう。厚紙のカットはハサミではやりにくいことがありますのでカッターナイフが便利です。平らなものはカッターボードを利用してテーブルを傷つけないように行いましょう。牛乳パックなどの立体もカッターボードの上で行った方が安心です。焦らずゆっくり丁寧にカットしていきましょう。
リメイクレシピ②牛乳パックのカット
上の線は、牛乳パックの口を開いてそこからハサミを入れてハサミでカットしてあります。ペン立て部分と内側の部分は少しも無駄に出来ないので、カッターで丁寧に先ほどの印に添ってカットしていきましょう。硬い部分もありますので、カッターのご使用には十分ご注意ください。
内側の厚紙は8.3センチの高さで幅が6.7センチ程度です。まずは角で切る感じで4枚の厚紙の板にします。差し込んでみて、抵抗なくするりと入ればそれてOKです。差し込んで抵抗があれば1ミリくらいカットする感じで内側の寸法に合わせていきましょう。
このように4枚の厚紙が切り出せました。重なっている部分は剥がしてしまいましょう。紙や布を貼ってしまうので多少汚くなっていても大丈夫です。
カルトナージュの簡単な作り方手順4/下準備
真っ白い空き箱を利用するときは不要ですが、牛乳パックなどの模様入りのもの、地色が濃いものは下準備として白く塗装したり紙を貼ったりする工程が必要になります。ここでは、その下準備をおこなっていきます。
リメイクレシピ③下準備
使う厚紙のカットが終わったら、底から8.5センチの高さにカットした空き箱に白い紙を貼っていきます。これは牛乳パックなどの模様が表に透けて見えなくなるようにする大切な工程です。初心者の方は、いきなり紙や布を貼ってしまって牛乳パックの模様が透けてガッカリということがよくあります。まずは下地を整えることでカルトナージュが綺麗に仕上がります。
カルトナージュの簡単な作り方手順5/紙のカット
下地づくりができたら、早速カルトナージュらしい紙や布を扱っていくことになります。お気に入りの紙や布を扱うので楽しくなってきますね。張り合わせることを考えて、よりやりやすく、綺麗に仕上がるようにカットしていきます。
リメイクレシピ④紙のカット
下準備が終わったら次は紙(布)のカットに入りましょう。ここで大切なのは折返し部分を上下に作ることです。ここでは、下に1センチ、上に1.5センチの折返し部分をとりました。8.5センチですから11センチの高さでカットしたことになります。空き箱の周囲を巻ける分だけ幅を用意しましょう。
ここで初心者の方への綺麗に仕上げるコツ2つめです。折返し部分の角はこのように三角にカットしておきましょう。折って内側や底に貼っていく時、格段にやりやすくなります。ただ切込みを入れるだけでも違いますが、三角にすることでさらに綺麗に仕上がります。
内側になる厚紙にも折り返しをつけて紙(布)をカットしていきます。まわりにぐるりと1センチつけて印をつけました。やはり角は斜めに落としていきたいので写真の線のようにカットします。初心者の方は角を一気に三角にカットしてしまってもよいですが、それだと少しカットしすぎかもしれません。
カルトナージュの簡単な作り方手順6/接着
牛乳パック程度の大きさの作品なら、のりやボンドを塗り拡げる方法を考える必要はありません。牛乳パックリサイクルが初心者でもやりやすいところです。大きな作品を作るときは、のりを出す容器(小皿のようなもの)や刷毛があると広い範囲に接着剤をつけやすくなるでしょう。
リメイクレシピ⑤接着
先ほどカットした紙(布)を空き箱に貼り付けていきます。まずは表から見える空き箱の面に貼り付けてから、底、入れ口の折返しを折って貼るという工程になります。折り返して貼ることで、仕上がりの綺麗さが段違いです。布や紙がギリギリの場合は仕方ありませんが、特に初心者の方はできるだけ折り返し部分は取るようにしましょう。
底を折り返して貼った写真です。三角にカットしたので角に厚みがでずに仕上がっています。このような形を目指してくださいね。
牛乳パックの空き箱に紙が貼れたところです。表側はこれでもうすることがないので、乾かしておきましょう。次に内側に入る厚紙部分に紙(布)を貼り付けていきます。
内側の厚紙板への貼り付け
内側の厚紙板には白い下地づくりは不要です。裏の白い部分が表に出るように貼ればよいからです。模様のある面は内側に隠れて見えません。のり(ボンド)をつけた紙の真ん中に厚紙を置き、まわりを折り返していきます。これを4つ作ります。
ここで、またまた初心者の方への綺麗に仕上げるポイントです。ひとつの内側パーツの厚紙に紙を貼ったら牛乳パックに仮置きしてみましょう。紙は厚みがないので良いですが、厚手のデニム生地などを貼るときは厚みが出てサイズが大きくなってしまうことがあります。まず1枚貼ったら入れ込んでキツイようなら乾いていない内なら剥がして内側の厚紙サイズを1~2ミリ様子をみながらカットして小さくしましょう。
仕上げ
内側の厚紙に紙や布が貼れたら、内側にボンドやテープのりなどをつけて1枚ずつ貼り付けていきます。もし、底が気になるという人は底用の厚紙もカットして最後にはめ込んで置くと綺麗に仕上がるでしょう。お疲れ様でした!完成です。
カルトナージュの簡単な作り方手順7/丸みを綺麗に編
カルトナージュではなくてデコパージュになってしまいましたが、丸みのあるものへの布の貼り方レクチャーということで、不要なメガネケースに布を貼り付けていく工程をご紹介します。
メガネケースリメイク①材料
まず、材料として用意したのが使っていないメガネケース。貼り付ける布(26センチ×28センチ用意)。銀貨無チェクのバイアステープ(25センチ)。小花のモチーフレース(花3個分)。レースは小花モチーフを使いますのでレーステープになっていなくても小花3個あればOKです。
道具
上記の材料の他、道具としてハサミ、手芸用ボンド、爪楊枝(あると便利。無くても可)。手芸用ボンドの代わりに、セリアなどの100均でも売られているデコパージュ用ののりでもOKですがボンドで十分です。初心者の方は濃度の濃いボンドよりもデコパージュのりの方が扱いやすいかもしれません。デコパージュのりを使用するときは塗る用の刷毛と取り出す用の小皿も用意しましょう。
カルトナージュの簡単な作り方手順8/布のカット
メガネケースなど丸みのあるものに布を貼る時は、大きめに、それでも扱いにくくないような大きさにだいたいの大きさにカットしてから作業をはじめるとやりやすくなります。布は作業していくうちに端がほつれてくることも考えられますので最初は少しだけ大きめにカットすることをおすすめします。
メガネケースリメイク②布カット
材料で用意した布はかなり大きめのサイズです。リメイクする元のメガネケースのサイズに合わせて、だいたいの大きさにカットしていきます。このときのカットする目安はメガネケースをぐるりと包めるくらいの長さ、幅です。
布をカットしたときにチェックして欲しいのは、布を内側にくるんでパチンと留まるかという点です。今回リメイクで使用したメガネケースは強力な磁石で留まるタイプでしたので布を内側に折り返しても問題なく蓋がしっかりしまりました。はめ込むタイプであれば布をできるだけギリギリにカットするなど対策が必要です。
角に丸みがあるのでそこに合わせて丸くカットしておきます。ここも後で貼りながら調整しますので、少し大きめにだいたいの丸みで大丈夫です。もし、だいたいでは心配という方は、メガネケースを採寸して0.5センチほど内側に折り返すようなサイズにカットしましょう。
カルトナージュの簡単な作り方手順9/貼り付け
貼り付けの前に、牛乳パックリメイクでも下準備で白い紙を貼りましたが、ここでもメガネケースの色や模様によっては、下地を白く塗る必要が出てきます。使用するのは白いアクリル絵の具です。アクリル絵の具をお持ちでない方は100均で手に入ります。今回使用したメガネケースは薄い色だったのでそのまま貼り付けてしまいました。
メガネケースリメイク③貼り付け
丸みのあるものの貼り付けは、平な部分を先に貼り付けてしまい、あとから丸み部分を貼り付けていくという流れになります。まずは、使用するメガネケースの中の平なところに接着剤をつけて布を貼り付けていきます。この時の初心者の方へのアドバイスは、丸みのある部分はまだ接着剤を付けないという点です。メガネケースなら付いてしまってもあとで剥がすことができますのでそれほど心配することはありません。
カルトナージュの簡単な作り方手順10/角の切り込み
角の丸みのあるところへの貼り方がこの作り方の一番のポイントとなります。貼るものの形に合わせて、少しずつ様子を見ながら細かな切り込みやカットをしていきましょう。
メガネケースリメイク④角の切り込み
平な部分の貼り付けが終わったら、丸みの部分を貼るための準備として布に切り込みを入れていきます。丸みのカーブの具合をみながら、まずはカットする前に面に布を添わせてみて、シワがよる部分に切り込みを入れます。重なる部分は切り取ってしまいます。写真のようになります。
そして、貼り付けたものがこちらです。丸みにそって貼り付けることはできましたが、少し切り込みを深く入れすぎてしまった部分があります。このような失敗はなさらないよう、切り込みの深さにも注意してくださいね。ボンドなどのりが付いていますので、切込みからほつれてくることはありませんので安心してください。
カルトナージュの簡単な作り方手順11/仕上げ
お気に入りの布を貼るだけでもかわいいですが、もっと満足度をあげるために少しデコってあげると良いでしょう。どうデコるかがカルトナージュの楽しみであったりします。100均などで手に入る材料で揃えたり、使えそうなものを取っておいて「どれを貼っていこう」と色々考えるのも楽しい時間です。
メガネケースリメイク⑤デコ
メガネケースに布がピンと貼れたら、それだけでは寂しいので少しデコってみました。バイアステープを斜めに巻いて、小花モチーフを3つあしらいました。地色が濃ければレーステープをそのまま貼り付けてしまいたかったのですが、白地でしたのでバイアステープをプラスしました。すべてボンドで接着して仕上げています。これで、リメイクメガネケースは完成です!
爪楊枝の使い所
道具の爪楊枝の使い所は、あらかた貼り付けた後の接着の甘い部分への接着剤の塗布です。また、こまかく切り込みを入れた部分への接着剤の塗布にも便利です。爪楊枝の先にボンドなどをつけて、接着剤が足りない部分に差し込みます。あとは指で押さえると剥がしてボンドを塗り直さなくても綺麗に接着できます。
カルトナージュ作品・アイデア例
基本的なカルトナージュの作り方はご理解いただけたかと思います。ここでは、もっと自由に、もっと素敵な作品・アイデア例をまとめてみました。カルトナージュをどう利用したらいいの?という初心者の方にも、その魅力を感じていただけるでしょう。あなたの作品作りの参考にしていただければ幸いです。
作品・アイデア例①
カルトナージュ作品の中には、自分が刺繍したクロスステッチ作品を使ったものもたくさんあります。リバティープリントなどを使った作品とはまた違った、癒し系の要素も感じられるやわらかい作品に仕上がるのが特徴です。
作品・アイデア例②
カルトナージュの中には、中に接着芯を入れてふっくらさせた作品も見られます。こちらは、リモコンやスマホなどテーブルの上で散らかりがちな小物を入れておくスタンドに持ち運びができる皮の持ち手がついたアイデア作品です。カフェ柄の布なので、キッチンでレシピ入れとしても使えそうなアイデアですね。
作品・アイデア例③
カルトナージュで作られたお薬箱だそうです。旦那さまからのリクエストで使いやすさと色合いを選ばれたということで、シンプルな感じにしあがっています。男性が使うものだからあまりデコらずに使いやすさ重視で仕上げたアイデア作品です。でも、しっかり吟味した材料で作られているところに奥様のこだわりを感じます。
作品・アイデア例④
お掃除に使うコロコロケースも、カルトナージュすればこんなにロマンチックなインテリアのように仕上がるアイデア作品です。こんなにロマンチックなのに、材料も空き箱やお気に入りの端切れなどを利用して安価で作れるのも魅力です。
作品・アイデア例⑤
使えそうな空き箱ができたらストックしておいて、何か作りたくなったら活用できるのがカルトナージュのよいところ。自分でステッチした刺繍やもう着なくなったお気に入りの服からのリメイクなど材料が身近にあります。自分の好きなものを集めるから、色合いやデザインに統一性が出て素敵な作品に仕上がります。
まとめ
家にある空き箱や厚紙で作ることができるロマンチックな手芸、カルトナージュの魅力が伝わったでしょうか。材料は捨ててしまうようなものですので、あまりお金がかからないのがカルトナージュのよいところです。使う布や紙にリボンや素敵なデコレーションをしてあなたならではの素敵な作品を作ってみてはいかがでしょうか。自分のお気に入りの作品がひとつでもあると、毎日の生活が楽しくなりますね。
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