サンショウ(山椒)とは
小粒でもしびれるような辛味
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」と言われているサンショウをどういう食べ物か知っている人は料理をが好きな人かもしれません。実はサンショウは「ミカン科」の日本古来からある背の低い落葉樹です。ミカン科は種類が多く柑橘類だけではなくサンショウのように香辛料として利用される種類も含まれています。鰻の蒲焼にふりかけるサンショウは粉末にされた完熟したサンショウの実です。中華料理(特に麻婆豆腐)に使われているサンショウもありますが日本のサンショウとはまた違う種類になります。
サンショウ(山椒)の種類
ミカン科「サンショウ」属
サンショウはミカン科サンショウ属という分類になります。数が多く世界中に250種ほどあり、日本では縄文時代の遺跡からサンショウの化石が発掘されているほど古来から独特の風味と辛味がスパイスとして使われてきました。日本で利用される種類と利用できない種類を紹介します。
カラスサンショウ
サンショウですが独特の辛味と香りがあまりないため人間が利用しないことからカラスサンショウという名前がついた説とカラスが種子を好のむという2つの説がありますが、カラスがあまり実を食べないことから人間が利用しない方が有力です。あまり一般的ではないのですが味が無いだけであって食用にできないことはなく新芽(葉)を天ぷらにしたりして食べることができます。またカラスサンショウから集められた蜜は独特の清涼感がある蜂蜜として利用されています。
アサクラサンショウ
兵庫県養父郡朝倉で発見された突然変異としてできた棘がない種類のサンショウです。自然にあったサンショウと比べると雄雌株に分かれておらず、1本で実を付け、実の数も多く少しだけ実も大きく食用に向きます。実は佃煮によく利用されますが葉も利用可能です。食用のサンショウはこの朝倉山椒から更に細かく分類した種類を利用します。
ブドウサンショウ
朝倉山椒を親とする種類で樹高は低く、朝倉山椒の実より少し大きく、果房も大きくブドウのようになります。そのため現在では香味料に多く利用されている代表種です。鰻の蒲焼にふりかける粉のサンショウはこのぶどう山椒の実を乾燥させて作ったもので、現在では和歌山県が一大産地となっています。ブドウサンショウに限らずサンショウは一部のものを除いて木が硬いためすりこぎにも利用されます。
タカハラサンショウ
他のサンショウ(アサクラサンショウ、ブドウサンショウ)と比べると実が小さいのですが、香りが他の種類より良く、深い緑色をしているのが特徴です。標高約800mの奥飛騨地方の高原川流域の半径約5kmの狭い範囲のみで栽培されています。使用するのは実の皮で他のサンショウと同じような利用方法です。
カホクザンショウ
一言で紹介すると中国のサンショウで日本のサンショウとは同属異種です。日本のサンショウとの違いは日本のサンショウより香り、辛味など全ての風味が強くしびれるような感じがあります。中華料理ではかかすことのできない香辛料ですが果皮は漢方薬として使われ効能は鎮痛などの効果がありますが、日本薬局方ではサンショウの成熟した果皮で、種子をできるだけ除いたものを生薬・山椒(サンショウ)と規定しているためカホクザンショウは日本では食用としての利用しかできません。
イヌザンショウ
サンショウとついていますが食用にまったく使えなぐらい実から香りがしないサンショウです。葉には悪臭あり葉も利用できません。咳どめやなどの効能があるようですが正確な文献がなく詳細は不明です。他にも整髪として使われているようですが同じく詳細は不明です。アサクラサンショウなど食用に利用されるサンショウとは同属異種になります。
サンショウ(山椒)の花
黄色く雄花と雌花は分かれている
サンショウの花は一部のものを除き雄花と雌花が株で分かれています。雌雄異株(しゆういしゅ)といい身近なところではキウイフルーツ、イチョウ、柳などが雌雄異株です。花は夏に雄花、雌花ともに黄色く小さな花を房状につけます。雌花も食用に利用できますが実がなるため基本的には雄花を花山椒として利用します。
花山椒
蕾の状態で摘み取り吸い物、天盛りや佃煮に利用する他に焼き魚などの薬味のように使います。花山椒は黄緑色で小さいのですが香りがよく辛味は実よりも少なく淡雪のような食感であまり市場に出ないため希少な食べ物です。
サンショウ(山椒)の実
熟す前の緑の実
実の特徴
完熟前の実は緑色の小さな丸い実で完熟すると褐色や赤黒くなったり赤くなります。完熟する前は辛味はあまり強くないので食べやすいです。
実山椒
まだ完熟する前の緑色をした実は実山椒として、そのまま佃煮などで食べることができます。5月上旬頃から収穫され香り、辛みもまだそこまでは強くなく爽やかな風味です。6月に入ると種の殻が半分くらい白くなり殻が固くなってくるので佃煮には不向きです。しかし香りや辛みが5月のものと比べると強く主な利用方法はぬか床にいれて風味をつけたり防カビ対策として利用されます。
熟した後の実
よく塾した6月以降の実を乾燥せ種を取り除き粉末状にしたものが粉山椒として売られています。一般的に一番知られていて利用されているのが粉山椒で、鰻の蒲焼やカレーの隠し味やフライドポテトやおつまみなどいろいろなものにふりかけて使用します。自家製の場合、粉末にする時に種がきれいに取り除けていないと種自体は風味が無いので粉山椒の味が悪くなりやすいです。乾燥させることで水分がなくなり辛味や風味が凝縮されます。
サンショウ(山椒)の葉
和食ではかかすことの出来ない葉
和食には目でも楽しむという文化があり煮物などに季節ごとにあしらいがあります。あしらいとは一言で説明するとただの飾りです。食べることもできますが西洋料理の付け合わせとは違いあしらいは料理ではありません。冬は柚子の皮だったり夏ははじかみなどを使い、春にはサンショウの葉(若芽)を木の芽として使います。葉の特徴としては左右に対になるように葉が生えています。
葉山椒について
緑が鮮やかなためめあしらいとして使われるのが主ですが味噌和えや焼き物、煮物、味噌と混ぜて木の芽味噌など料理にも使われます。使う前に手で叩くこと葉の細胞と細胞の間にある油が溜まった場所(油点)が潰れることで香りがより強くなり風味が良くなりやすいです。
サンショウ(山椒)の効能
食べるだけでもじゅうぶんな効能
漢方薬として使われますが日常生活で例えば鰻の蒲焼にふりかけて食べるだけでも胃腸の働きを助けたり集中力が高まったり、血行を促進し冷え性の改善などに役立ちます。100グラムでのミネラルが多いのも特徴でカルシウム、鉄などを含んでいて漢方薬に利用される理由は栄養価が高のと珍しい成分があるからです。
漢方薬としての効能
サンショウにはさまざまの効能があり健胃、慢性胃炎、回虫症、整腸、駆風、食欲不振などに効くと言われています。
傷薬としての効能
漢方薬として飲むだけではなく塗ることで傷薬のようにして使うこともあります。果皮の煎汁を塗布することで漆かぶれ、ひび、あかぎれ、消毒などの効能があるとされています。
サンショウ(山椒)のしびれる理由と漢方薬になる理由
かなりしびれる感じがしたらすこし注意
しびれるような風味がありますがしびれる理由は珍しい成分にあります。サンショウに含まれているサンショオールが主にしびれる原因で辛さとしては唐辛子の辛味成分として唐辛子たくさん含まれるカプサイシンの200分の1程度しかありません。大量に食べすぎると危険といわれていますが玉ねぎを大量に食べることでおこる中毒とかわらないのでかなり大量に食べない限り問題ない成分です。
キサントキシン
サンショオール以外のしびれるような風味の理由としてはキサントキシンが含まれているからです。キサントキシンは麻痺性成分であり一種の麻酔のようなものなで痺れてくるように感じます。こちらもかなり大量に食べない限り問題ない成分なので安心です。
漢方薬になる理由①
サンショウにも含まれているリモネンはレモン由来の成分です。リラックスさせる効果、抗がん作用などがあると言わていて毛細血管を拡張子血流をよくする働きもあります。
漢方薬になる理由②
タンニンは渋みの成分で抗酸化作用、殺菌作用があります。お茶、紅茶、麦茶、ウーロン茶、などにも含まれていてカテキンもタンニンの一種です。タンニンの作用には胃腸に働きかけゆるい便を硬くするため調整作用があります。他にも動脈硬化、心臓病の予防にも効果があるといわれています。
サンショウ(山椒)の栽培法
サンショウの苗木
サンショウはホームセンターなどで苗木が売られていることがあり家庭で育てることもできます。植え付け時期は12月~3月の木が休眠している時に行い、鉢植えで育てる場合7号(21センチ)以上の深めの鉢がおすすめです。雄と雌が分かれているので実を食べたい場合や増やしたい場合は店員に聞くかよく調べて買うほうが目的にあったサンショウが買えます。
土の準備
サンショウは栄養のよい水はけのいい土地に育つので赤玉土5割、腐葉土4割ぐらいの土に水はけをよくするバーミキュライトを1割程混ぜます。
水やり
土の表面が乾いたら他の植物と同じように水を与えます。鉢植えの場合山あまり根が深くいかないので水が不足しやすくなりがちです。特に夏場は水が足りなくなり弱ってしまうので土の表面をよく確認します。
肥料
2月に油かすを与え、葉や実を収穫したにも場合によっては追肥をおこないます。株の大きさにもよりますが収穫した後株に元気がなく樹勢が良くないようなら油かすを適量与えます。
選定について
サンショウは一部のものを除くと樹形はまとまり背も低いのであまり選定する必要はありませんが枝が込み合っている場合などは落葉した後から植え付けまでの11月~3月頃におこないます。短い枝でも花がつくので切りすぎないようにしましょう。
サンショウ(山椒)の害虫
アゲハチョウの幼虫
ミカン科なので柑橘類と同じ害虫が付きやすいです。特に多いのがアゲハチョウの幼虫で幼木なら葉っぱが無くなるほど食べられてしまいます。幼虫は小さいことは鳥の糞のような白と黒で大きくなると緑色で頭の後ろに大きな顔のような模様があり刺激を与えると独特の臭いがする角をだします。被害を未然に防ぐには捕まえて殺すことが早いです。
サンショウ(山椒)のまとめ
なんでも利用できる木
サンショウはスパイスとしての粉山椒はもちろんですが、花も食べることができたり、実も食べることができます。そして葉は和食の飾りとして使われなんでも利用できる木です。こうなると捨てる所が樹皮師ありませんが、実はあまり一般的ではないのですが兵庫県では樹皮も食用に利用されています。正確にはサンショウの若枝の外の硬い皮を剥いだ薄皮です。
食べるだけでも整腸効果あり
食べるだけでも整腸効果などがあるので夏場の食欲ない時に鰻の蒲焼にサンショウをふりかけるのは理にかなっています。他にもリラックス効果などさまざまの効果、効能がありますが食べすぎては毒になるので注意です。基本的には食べ過ぎるとどんなものでも毒になるのでそれと同じで水も飲み過ぎると水中毒になってしまいます。
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