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「ムシトリスミレ」とは?可愛い花を咲かせる食虫植物の特徴と育て方をご紹介!

ムシトリスミレはとても可愛らしいスミレに似た花を咲かせる食虫植物です。食虫植物は湿り気のある山地などに自生する植物で、育てる場合には水やりや管理など少しハードルの高い部分も。ムシトリスミレのおすすめ品種、水やりや育て方のコツなどをご紹介いたします。
2020年8月27日
Yukari.S
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ムシトリスミレってどんな花?

ムシトリスミレは、多年草に属する植物です。虫などを捕獲して栄養分を吸収する食虫植物のひとつです。ムシトリスミレは、スミレによく似た可憐な花を咲かせることから、その花名がつけられました。日本では、日光連山や赤城山などに自生していることで知られています。ただし、日本に自生している種類のムシトリスミレは、水のきめ細かい管理など、自宅での栽培には少し不向きです。栽培して楽しむためには、熱帯高山性という種類に属するムシトリスミレを入手すると良いでしょう。また、ムシトリスミレは高山植物なので、水やりや季節ごとの管理など育てるには少しハードルの高い植物です。

ムシトリスミレの花の特徴

ムシトリスミレの花の咲く時期は、品種や育つ場所にもよるのですが、だいたい2~6月頃です。ムシトリスミレの花姿はスミレに似ているのですが、スミレとはまったく別の種類です。ムシトリスミレの花は、食虫植物と思えないほどの可憐で可愛いらしい花です。ムシトリスミレの花びらは、合着しています。ムシトリスミレは花茎を5~15センチ伸ばし、そのあと次第に曲がります。花茎の先に下を向いた格好で花がつきます。ムシトリスミレの花の色は、紫や白などがあります。

ムシトリスミレの葉の特徴

ムシトリスミレは、その根元にいくつかの葉っぱをひろげます。ムシトリスミレの葉っぱは、ロゼット状を形づくっています。品種にもよるのですが、一般的にムシトリスミレの葉っぱの形は、長細い楕円形で長さは3~5センチです。ムシトリスミレの葉っぱの表面には、小さな無数の毛が生えています。ムシトリスミレは葉っぱの表面から粘液を出して、虫を捕らえて消化する食虫植物です。ムシトリスミレが出す粘液は、ムシトリスミレの葉っぱ全体にしっかりと付着していて、その粘液がこぼれ落ちないように、ムシトリスミレの葉っぱのふちは、少し反り返ったような形をしています。

ムシトリスミレは食虫植物

ムシトリスミレは食虫植物です。食虫植物とは、おもに葉や茎などに捕虫機能を有し、昆虫などを捕らえて消化吸収する能力を持つ植物のことを指します。食虫植物は、他の植物と同じように、光合成による栄養補給をしながらも、その一方で、捕らえた昆虫を捕食することで、その栄養分を補い生育しています。食虫植物は、一般的に、窒素やリンなどの必要栄養分の不足した痩せ地に生息していることが多く、そのため昆虫などから栄養分を補っている、との見解がなされています。

食虫植物の分類

食虫植物は、虫などの捕獲方法により大きく4タイプに分類されます。落とし穴式(ウツボカズラ科、サラセニア科)、はさみわな式(モウセンゴケ科ハエトリグサ属、ムジナモ属)、粘着式(モウセンゴケ科モウセンゴケ属、タヌキモ科ムシトリスミレ属)、袋わな式(タヌキモ科タヌキモ属)です。ムシトリスミレは、粘着式の食虫植物に分類され、葉っぱから粘着物質を出して虫を捕まえる特徴を持っています。

ムシトリスミレの花言葉

花言葉1「幸福を告げる」

ムシトリスミレのひとつめの花言葉は、「幸福を告げる」です。虫を捕らえて消化してしまう食虫植物であるムシトリスミレの特質とはまるで反対のような言葉です。ムシトリスミレの花は、とても可憐で可愛らしいもので、そうしたムシトリスミレの花姿からつけられた花言葉なのでしょう。

花言葉2「欺きの香り」

「欺きの香り」という花言葉は、まさにムシトリスミレのミスマッチな外観と特徴をうまく表現しています。ムシトリスミレは、その美しい花模様とは裏腹に、虫を捕らえ食べてしまう食虫植物。その両面をあらわした花言葉となっています。

ムシトリスミレの花名の由来

和名「ムシトリスミレ」の由来

ムシトリスミレの名前は、ムシトリスミレのスミレによく似た花模様とムシトリスミレの食虫植物としての特性からつけられました。

学名「Pinguicula vulgaris」の由来

ムシトリスミレの学名は「Pinguicula vulgaris」です。その一部である「Pinguicula」には「油性」という意味があります。ムシトリスミレの葉っぱから出されるどろりとした粘液の状態からつけられた学名です。

ムシトリスミレの基本データ


科名属名

タヌキモ科ムシトリスミレ属

学名

Pinguicula vulgaris

和名

ムシトリスミレ

別名

ピンギキュラ

英名

Butterwort

原産国

日本、北米、ユーラシア大陸

ムシトリスミレの種類

ムシトリスミレの種類に属する植物は、世界中で80種類くらい生息していると言われています。ムシトリスミレの種類を生育の型で分けると、大きく3つに分類されます。冬芽を作り越冬する「寒地性」、周年生育する「暖地性」、メキシコ原産の「熱帯高山性」です。種類により微妙に育て方が違いますので、苗を購入する際には注意しましょう。3つの種類のうち熱帯高山性のものは、メキシカンピンギキュラとも呼ばれます。

栽培には熱帯高山性・メキシカンピンギキュラのムシトリスミレがおすすめ

熱帯高山性、メキシカンピンギキュラの種類は、花が美しいものが多く、そのため観賞用に品種改良されたものも多く販売されています。また熱帯高山性のものは、ムシトリスミレのなかでも、やや育て方が容易なのも魅力のひとつ。自宅で栽培や鑑賞を楽しむ際には、熱帯高山性のメキシカンピンギキュラに属するムシトリスミレを選ぶとよいでしょう。

ピンギキュラ エッセリアナ

「ピンギキュラ エッセリアナ」は、一瞬、本当のスミレかな、と見間違えそうな花色と花姿をしたムシトリスミレです。薄紫と白のグラデーションカラーがなんとも美しい品種です。

朧月(おぼろつき)

日本らしい名称の「朧月(おぼろつき)」。淡い紫色の花がはかなげな印象さえ醸し出すムシトリスミレです。


プリムリフローラ(ローズ)

「プリムリフローラ」は、八重咲の花びら模様が可愛らしいムシトリスミレです。紫のようなピンクのようなカラーとあいまって、魅力的な花模様を作っています。

ウェサー

「ウェサー」は、少し深いトーンの紫色が美しいムシトリスミレです。

福娘

「福娘」は、花茎が短いためややずんぐりした印象のムシトリスミレです。

ムシトリスミレの育て方・土づくりと肥料

育て方1・土づくり

ムシトリスミレは、湿り気のある土壌を好む植物です。赤玉土に鹿沼土を混ぜたものを準備しましょう。市販の山野草用の土を利用してもよいでしょう。またミズゴケのみに植える方法もあります。

育て方2・肥料

ムシトリスミレは、基本的に肥料を必要としません。ムシトリスミレは、自然界において、アルカリ性の石灰岩土壌にも自生する植物なので、肥料により土壌をアルカリに傾ける必要がないからです。また、ムシトリスミレは食虫植物ですが、だからといって虫をあたえる必要はありません。

ムシトリスミレの育て方・水やりと場所

育て方3・水やり

ムシトリスミレは、加湿の環境を好む植物なので、いつも土を湿らせて管理する必要があります。水やり、水の管理はムシトリスミレを育てるうえでとても重要なポイント。また、ムシトリスミレの熱帯高山性の品種は、株の真ん中に水がたまった状態のままにしておくと、傷んで枯れてしまう傾向があります。水やりする場合には、ムシトリスミレの上からジョウロで水を与えるのではなく、根本にピンポイントに水やりしましょう。また、お皿に水をためたなかに、ムシトリスミレの鉢を入れて水を吸収させる「腰水」と呼ばれる水やり方法もおすすめです。

育て方4・場所

ムシトリスミレは高山植物の一種なので、明るい日陰でかつ、風通しのよい場所を好みます。ムシトリスミレは管理が少し難しい植物なので、できれば鉢植えにして、季節ごとに管理する場所を変えるほうがよいでしょう。春や秋の気候のよい時期には、外に出して日光に当ててあげましょう。ムシトリスミレは、夏の暑さを苦手とする植物なので、夏の暑い時期は、できるだけ涼しい場所に移動させましょう。

ムシトリスミレの育て方・植えつけと植え替え

育て方5・植えつけ

ムシトリスミレの植えつけに適した時期は、ムシトリスミレが冬芽のあいだ、もしくは芽出しの時期です。植えつけ用の土やミズゴケを準備して、ムシトリスミレを植えつけましょう。

育て方6・植え替え

ムシトリスミレは、生育期の前に植え替えをおこないましょう。ムシトリスミレは、それほど頻繁に植え替える必要はなく、多くとも年に一度くらいの植え替えで充分です。ただし、ムシトリスミレがどんどん成長し、群生して、植えている場所が手狭になった場合には、積極的に植え替えをおこないましょう。植え替えた株がしっかり根付くまで、よく観察しながら管理しましょう。植え替えの際に、一緒に株分けの作業を行うと便利です。


ムシトリスミレの育て方・病気と害虫

育て方7・病気

ムシトリスミレは、あまり病気の心配はありません。

育て方8・害虫

ムシトリスミレは食虫植物なので、あまり害虫はつきません。ただし、ムシトリスミレには、まれにナメクジがつくことがあります。

ムシトリスミレの増やし方・葉挿し、株分け、種まき

増やし方1・葉挿し

ムシトリスミレの増やし方のひとつめは葉挿しです。葉挿しはコツをつかめば、比較的簡単な増やし方で、たくさんの株をつくることができる増やし方でもあります。葉挿しの適期は12~3月です。冬のあいだのムシトリスミレの葉っぱは肉厚で葉挿しの成功率があがるからです。ムシトリスミレの葉っぱを基部から外し、湿らせた水ゴケにのせます。ムシトリスミレの葉っぱを葉挿ししたミズゴケごと明るい日陰に置いて管理します。葉挿ししたものから根っこが出てきますので、ひとつづつの株を好きな場所に植えつけましょう。

増やし方2・株分け

ムシトリスミレの増やし方のふたつめは株分けです。株分けはムシトリスミレの増やし方のなかでも、比較的簡単な増やし方です。ムシトリスミレの株分けの適期は、2~5月です。株分けしたい株を植木鉢から抜いて、適度な大きさに分けます。あまり小さくしすぎないように注意しましょう。ムシトリスミレを植え替えする際に、一緒に株分けしてもよいでしょう。

増やし方3・種まき

ムシトリスミレは、花を咲かせたあと、種をつけます。その種を採取してすぐにまくと芽が出てきます。種まきから発芽まではだいたい1~2カ月です。ただし、その発芽苗がしっかりとした株になるには、だいたい3~4年の年月を要します。そのため、種まきによる増やし方は、少し難しいムシトリスミレの増やし方と言えるでしょう。

食虫植物の面白い世界を見てみよう

食虫植物のなかでも、可憐な花を咲かせる「ムシトリスミレ」。まるで本当のスミレのような可愛らしい花姿からは、その花の下にある葉っぱの部分で虫を捕らえていることなど想像できません。ムシトリスミレは、管理が少し難しい植物ですが、その分上手に育てて花が咲いた時の感動はひとしお。ムシトリスミレを育てて、植物が虫を捕らえて消化するという興味深い姿を見てみませんか。

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