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食虫植物の育て方!生育が良くなる土作りや肥料の必要性など11つのポイントを紹介!

日本ではあまり馴染みのない食虫植物ですが、近頃はホームセンターなどでも気軽に購入できるようになりました。しかし、いざ育てるとなると勝手がわからない人が多いのではないでしょうか。今回は食虫植物の育て方の11のポイントをご紹介します。
更新: 2021年4月30日
杠葉 狼
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食虫植物ってどんな植物?

食虫植物はその名の通り、「昆虫を食べる」植物のこと。肉食植物と呼ばれる場合もあります。葉や茎がアリや蚊などの昆虫を捕獲するのに適した形状になっていて、昆虫を捕らえ消化・吸収を行います。昆虫を養分にしていますが、日当たりがよく湿度の高い土を好むものが多く、光合成も行います。 食虫植物について知りたい方はこちらのまとめ記事も読んでみてください。

食虫植物の飼育は難しい?

食虫植物と聞くと通常の植物のような肥料や水ではなく、ハエや蚊といった昆虫を与えなければならないから飼育が大変と思いがちです。 意外かもしれませんが、食虫植物に無理に昆虫を与える必要はありません。他の植物と同じように置き場所や日当たり、水やりなど飼育のポイントとなるものを抑えておけば飼育は簡単な植物です。

飼育しやすい食虫植物は?

食虫植物の飼育初心者におすすめなのはやはり日本と気候の似た、温帯性に生息しているモウセンゴケや丈夫なハエトリソウがおすすめ。ある程度食虫植物の飼育に慣れてきた段階で、ウツボカズラや少し変わった珍しい食虫植物の飼育をすることをおすすめします。 代表的な食虫植物を4つご紹介しますので、まずはこの中から選んで飼育すると良いでしょう。

1/4.初心者におすすめの食虫植物:ハエトリソウ

北アメリカで自生しているハエトリソウは日当たりの良い場所を好みます。水やりは腰水でOKなので手間があまりかかりません。冬場は霜よけできる場所で管理します。

2/4.初心者におすすめの食虫植物:サラセニア

北アメリカのブナ林などにある沼地に生息しています。通年直射日光の当たる場所に置き、水やりは腰水で管理します。夏場は葉が多く蒸れやすいため適度に枯れた葉などをカットし、風通しを良くすることで病気などを防げます。

3/4.初心者におすすめの食虫植物:ネペンテス

ネペンテスは一般的に「ウツボカズラ」の名称の方が知られている食虫植物です。熱帯雨林の低地~標高3000mの高山と幅広く生息しています。 室内の日当たりの良い場所で、水は土が乾いた状態を確認してから与えます。冬場は室内か温室で育てます。

4/4.初心者におすすめの食虫植物:ドロセラ

ドロセラは「モウセンゴケ」という名で知られている食虫植物です。世界各地で自生しています。 日当たりの良い場所で水やりは腰水で管理します。冬場は霜よけのできる場所で管理する必要があります。

1/11.食虫植物飼育ポイント:生息地の環境について理解する

食虫植物に限らず、植物飼育で失敗しやすいのが生息している場所や環境をきちんと理解せずに飼育することでしょう。自然の中での生息場所にあった環境を作ってあげないと、食虫植物は枯れてしまいます。 食虫植物を飼育する前にまず、その生息環境や気候をきちんと理解して、最適な飼育場所で最適な環境を作ってあげることです。

2/11.食虫植物飼育ポイント:日当たりの良い場所で飼育する

食虫植物を長く育てるポイントとしてまず、日当たりの良い場所で飼育ということが挙げられます。 食虫植物の生息場所は、湿気の多い環境を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、基本的にほとんどの種類が日当たりの良い場所に生息しています。ウツボカズラなどは日当たりが悪いと捕虫袋をつけなくなることも。まずは日あたりの良い場所を確保してあげましょう。

3/11.食虫植物飼育ポイント:土はどんなものを選ぶ?

基本的にほとんどの食虫植物は水はけがよくかつ保水性があり、肥料分の少ない土を好む傾向にあります。 食虫植物を育てる土は鉢植えなら水ゴケ単用、もしくは小粒の赤玉6:小粒の軽石2:ピートモス2の割合で混ぜた土を使います。 庭に地植えする場合は、庭の土にパーライトやピートモス、砂利などを混ぜて少しやせた土を作って植えます。


4/11.食虫植物飼育ポイント:種まきや苗植えはいつどうやる?

食虫植物の種まきやホームセンターなどで市販の苗を買ってきて植える時期は、その種類に合わせた時期に行うようにしましょう。ウツボカズラは6~8月、ハエトリソウは1~2月頃が良いようです。

種まきのポイント

食虫植物を種から育てる場合、最初は3号程度の育苗ポットに土や水コケを入れて覆土をせずにばらまきします。種をまいた後は、育苗ポットが乾かないよう水やりを行い、十分な大きさに育ってから地面や鉢に植え替えます。 この時注意したいのがサラセニアやモウセンゴケなど涼しい気候に生息する種類です。この手の種類の場合、一度水で湿らせた種を寒気に当てて冬化処理を行わないとうまく発芽しない場合が多いようです。

地植えにするときのポイント

庭で地植えするなら比較的丈夫なハエトリソウや、日本と気候の似通った場所に生息するモウセンゴケがおすすめです。食虫植物を植える場所は日当たりの良い場所、かつ地面が常に湿っている場所が理想的です。 耐寒性の弱い種類は冬のことを考え、フレーム内で管理できるような場所で、風や霜に当たらない場所を選びましょう。

鉢植えにするときのポイント

食虫植物を鉢植えで育てる場合は、素焼きの鉢や駄温鉢がおすすめです。これらの鉢は通気性や水はけがよいうえに、適度な保水性があるからです。 しかし、水はけがよすぎるために水切れしやすい場合は水やりを腰水にすると上手くいく場合が多いようです。

5/11.食虫植物飼育ポイント:水やりはどうする?

食虫植物の水やりはその生息環境によって異なります。高温多湿や水切れを嫌う種類に関しては水やりは基本腰水で行います。 腰水とは水を張った受け皿に鉢を置いて水やりする方法です。受け皿の深さは2~3センチ程度のものがベスト。水切れを嫌う種類に関しては基本この腰水で春~秋の水やりを管理します。

ただし、夏場の気温で温まった水や、古くなった水は害虫や病気の原因になるので受け皿の水は枚に気交換しましょう。 乾燥を好む種類は腰水ではなく通常の植物と同じように、土の表面が乾いてからたっぷり水を与えます。

6/11.食虫植物飼育ポイント:肥料は必要?

食虫植物の多くは土地が痩せている場所に生息しているものが多いです。そのため肥料は基本的に必要ありません。 不必要な肥料を与えると、肥料焼けを起こして枯れてしまったり、捕虫袋がつかないといったことが起こってしまいます。

7/11.食虫植物飼育ポイント:剪定は必要?方法は?

つる性のウツボカズラのような種類は、茎が長く伸び樹形が崩れてきた段階で切戻しして、株元から新芽を伸ばして育てます。 黄色くなって枯れてしまった葉や病気の葉などは茎の付け根から切ります。剪定は気温が高い6~8月頃がちょうどよい時期です。

8/11.食虫植物飼育ポイント:植え替えはどうする?

鉢植えの場合、水ゴケは傷みやすいため、1年~2年ごとに植え替えをする必要があります。 植え替えの際は根を傷つけないよう気を付けながら、古い水ゴケを取り除いて植え直すことで、株が受けるダメージを減らす事が出来ます。 ハエトリソウなら休眠期に当たる1~2月、ウツボカズラは温度の高い6~8月頃がちょうどよい時期でしょう。

9/11.食虫植物飼育ポイント:害虫はつくのか

意外だと思う人も多いかもしれませんが、ハエや蚊などの昆虫を捕食する食虫植物にも害虫はつきます。主な害虫とその対策方法をご紹介しましょう。

1/5.【害虫】アブラムシ

アブラムシはほとんどの植物に寄生し、栄養を吸い取ってしまう害虫です。食虫植物の場合は、元気な状態ならあまりつくことがありませんが、夏の暑さや葉で株が蒸れて弱ってしまった時に、茎や葉にびっしりとついていることがあります。 鉢植えの場合は水を張ったバケツを用意し、15分程度鉢ごと沈めてアブラムシを駆除します。 地植えの場合は市販の霧吹きタイプの殺虫剤などで駆除すると良いでしょう。


2/5.【害虫】カイガラムシ

食虫植物につく害虫でよく目にするのがカイガラムシです。カサブタのような茶色いマルカイガラムシ、ワラジ状の白いコナカイガラムシなどがよくつくようです。 カイガラムシは成虫になってしまうと殺虫剤が効きにくいため、観葉植物を傷つけない柔らかい布でこすって落とすか、ピンセットなどではぎとりましょう。

3/5.【害虫】カタツムリ・ナメクジ

食虫植物だけでなく、植物全体の害虫のカタツムリとナメクジ。植物の新芽を食べるのですが、サラセニアなどの捕虫葉が被害に遭うことが多いようです。被害にあった葉が多くなれば、光合成をおこなうことが出来なくなりやがて枯れてしまいます。 対策としては市販の害虫駆除剤を使用するのが一般的な方法です。農薬を使いたくないという場合には、塩や砂糖、熱湯をかけて対処するかビールトラップを作ります。

ビールトラップは少し深めのプラスチックの容器などに10センチほどビールを注いで置いておくだけです。ビールの匂いにカタツムリやナメクジが寄ってきて、そのまま中で溺れてしまうというトラップです。 なお、砂糖や塩、熱湯を使う方法は植物にも影響が出ることがあるのであまりおすすめは出来ません。

4/5.【害虫】クチブトゾウムシ

クチブトゾウムシは成虫ではなく幼虫が食虫植物に害を与えます。幼虫は土の中に潜んでいて、サラセニアやダーリングトニアの根や茎を食べます。 成虫・幼虫共にを見つけたならすぐに捕殺します。

5/5.【害虫】ミミズ

園芸好きな人にとって、ミミズが害虫になるというのは意外なことでしょう。ミミズが土を食べることで植物の育ちやすい肥沃な土に変わるのですが、痩せた土を好む食虫植物にとっては逆効果です。 ミミズを見つけた時は捕獲して他の場所へ逃がしてあげましょう。

10/11.食虫植物のよくあるトラブルと対処法

食虫植物を育てていると「これは病気なんだろうか?」「もしかして枯れてしまった?」と思うようなトラブルがでてくることもあります。ここでは食虫植物の主なトラブルと対処法をご紹介しましょう。

1/7.黒くなって枯れてしまった

ムシトリスミレでこの状態になった時は、水やりが原因でしょう。土が乾いてから水やりを行う、腰水で管理している場合は受け皿の水が乾いてから足すようにしてください。 また、株の成長点に水がかかってしまうと、腐って枯れてしまう場合があるので水やり時は注意が必要です。

2/7.ハエトリソウが黒くなった

直射日光が大好きなハエトリソウは、室内で長期間育てているとだんだん弱ってきます。なるべく外で太陽の光に当てるようにしてください。また、ハエや蚊などの昆虫を与えたり、指で捕虫葉を触ることで弱ってきてしまったため、黒くなってしまった可能性があります。 ただし、11月頃から黒くなり元気がなくなってきたようなら、休眠期に入る状態なので心配する必要はありません。

3/7.ウツボカズラの袋が枯れてしまう

ネペンテスなどのウツボカズラ類は湿度や温度が足りなかったり、補虫袋に意図的にハエや蚊などの昆虫等の餌を入れると、だんだんと弱ってきます。 湿度や温度が原因の場合は温度を15度以上に保つようにして、霧吹きで水をかけるなどして湿度を上げるようにしてください。 ハエや蚊などの昆虫やチーズ、肉といった餌を与えている場合はすぐに餌やりをやめましょう。

4/7.葉の表面が白くなってしまった

葉の表面が白い粉末がかかったように見える場合はうどんこ病に罹ってしまった可能性が高いです。セファロタスがかかりやすいようです。 葉っぱの表面に白いカビの菌が発生してしまい、放置しておくとどんどん広がって枯れてしまいます。早期発見することで回復する事が可能です。 対策としては病気になった葉を摘み取る、市販の薬を使用する、またお酢や重曹を薄めたものをスプレーする方法があります。

5/7.葉の表面が黒いすすが付いたように見える

葉の表面にだんだんと黒いすすのようなものが広がってきている場合はすす病に罹ってしまった可能性があります。この病気はカイガラムシやアブラムシといった害虫の分泌する物質により引きこされる場合が多いようです。すす病の菌が葉の上で増殖している状態です。 もしこの病気が発生したなら、害虫がいないかをチェックし見つけたなら速やかに駆除しましょう。

すす病になってしまったら、黒くなっていている葉は摘み取ります。そして市販の殺菌剤を散布しますが、同時に病気の原因となる害虫の駆除剤も散布すると良いでしょう。 この病気は原因となる害虫の発生を防ぐことで病気の発生を防ぐことができます。

6/7.株が急に弱って萎れてきた


特に病気などの予兆もなく、害虫が見当たらない。けれど急に株が弱って萎れてきた場合は、立枯病の可能性があります。食虫植物ではサラセニアがかかりやすい病気です。 地面付近の茎に症状が出ることが多く、成長中の幼苗がこの病気にかかると地面付近の茎が腐ってきてしまい、最終的に枯れてしまいます。

立枯病は3~11月に発生しやすく、湿度の高い土や酸性の土で発生しやすくなります。 初期段階では立枯病にかかった株を処分すれば良いのですが、土や周囲の植物に広がってしまっている時は市販の薬を使いましょう。 土の水はけの管理や風通しに気を付けていれば予防することができます。また、腰水で育てていると立枯病になることが多いと言う場合は腰水を思い切ってやめましょう。腰水をやめて通常の水やり方法(土が乾いてきたら水を与える)に切り替えることで防ぐことができる場合があります。

7/7.日当たりの良い場所に置いていたら葉が黒くなってきた

冬場室内に置いていて、春になり暖かくなったから外へ出したり、日陰からいきなり長時間日光の当たる場所へ飼育場所を移動すると、病気などの様子はないのに葉が黒くなってしまううことがあります。 これは「葉焼け」という現象です。強い太陽の光に当てられたために、植物の葉の細胞が壊れて死んでしまっている状態です。葉焼けした部分は元に戻ることがなく、株も弱ってしまうため最悪の場合枯れることがあります。

葉焼けを防ぐには長時間強い光に当てないというのがポイント。路面に面した場所に置く場合、アスファルトの照り返しなども考慮する必要があります。 家の中から外へ出す、室内でも明るい場所へと移動する際は新しい置き場所に徐々に慣らしていくようにしましょう。

11/11.食虫植物飼育でやってはいけないこと

誰でも初めての飼育時には失敗をするものですが、食虫植物の飼育ではこれだけはやってはいけないという3つのポイントがあります。これから食虫植物の飼育を考えている人は良く覚えて、食虫植物が枯れるようなことのないよう気を付けてください。

1/3.無理に昆虫や肉などを与えない

食虫植物は自然の中でじっとハエや蚊などの昆虫が来るのを待って捕獲します。ハエや蚊などの昆虫の栄養だけで生きているわけではないので、無理にハエや蚊を捕まえてまで与える必要はありません。 また、ハエや蚊の代わりに肉やチーズを与える人がいますが、サラセニアやネペンテスといった捕虫袋タイプの食虫植物に与えると、捕虫袋に塩分が入ることで枯れてしまうことがあるので与えないほうが良いでしょう。

2/3.指で捕虫葉を触らない

これは特に小さなお子さんのいるご家庭で注意した方が良いかもしれません。ハエトリソウのような蚊などの昆虫を挟んで捕獲するタイプの葉を閉じるところが見たいがために、指などで葉を触るのはいけません。 人にとっては大したことでなくとも、ハエトリソウにとっては大きなエネルギーを消耗するため、あまりに葉を触りすぎると弱って枯れてしまいます。 どうしても葉が閉じるところを見たいのならハエや蚊などの昆虫を与えるか、チーズや肉片などを与えます。しかし餌の与えすぎでも枯れてしまうので注意が必要です。

3/3.飼育場所はなるべく変えない

食虫植物だけでなく、植物全般に言えることですが、育てる場所はなるべく変えないようにしましょう。下手に育てる場所を変えると、移動した先の環境に植物が慣れることが出来ず、枯れてしまうことがあります。 これは鉢植えや苗を購入したときにも起こることで、お店で購入したり知人から譲ってもらった時などは、お店や知人宅での水やりや置き場所など育てている環境をチェックして、なるべく元いた場所と近い環境を作ることのできる場所で育てましょう。

食虫植物を育ててみよう!

今回は食虫植物の育て方のポイントについてお話しました。食虫植物の生息環境や生息地域の気候を知り、置き場所や腰水などの飼育ポイントをきちんと押さえておけばとても簡単に飼育することができます。 一昔前はマニアックな分野だった食虫植物も、近ごろではインテリアグリーンとして人気も高まっています。食虫植物を育てて幻想的な世界を演出してみませんか?