スマは美味しい魚
美味しいけれど珍しい
スマという魚を知っているでしょうか。スマは非常に美味しい魚ですが、まだ市場に流通していない珍しい魚でもあります。現状では私たちにあまり馴染みのない魚と言えますが、スマは近い将来にマグロに代わって私たちの食卓の定番になる可能性もあります。
定番の刺身におすすめレシピも
まだ認知度が高いとはいえないスマの生態や、養殖の情報、また気になる釣り方などを紹介します。また現段階ではあまり購入する機会はないですが、捌き方や食べ方なども併せて紹介します。定番の刺身のほか、その他おすすめのレシピもあります。一度食べてみたい珍しくて美味しい魚です。
スマの基本情報
マグロの代用魚
スマが注目されている理由としてマグロの代用魚になる可能性があります。近年マグロが乱獲などにより数の現象が懸念されています。この中でスマはマグロの代用魚のひとつとして期待が集まっています。スマが今後私たちの食卓で定番になる可能性もあるというのはこの点が理由になります。
クロマグロに似た味
スマはマグロの代用魚と期待されるだけあり、非常に美味しい魚として知られています。その味の良さは全身トロと評されるほどです。マグロの種類の中ではクロマグロによく似た味だと評されます。特に養殖のスマの方がクロマグロに似た味になる傾向があるようです。
養殖が進められる
スマはまだ一般への流通が多くない状態にあります。漁獲量自体も決して多くはないのが実情のようです。現在ではマグロの代用魚として養殖などの試みも積極的に進められており、安定して流通するかは養殖次第です。スマの養殖の可否に注目が集まります。
スマの生態
サバ科に分類される魚
スマはサバ科スマ属に属する魚です。サバ科に分類されますが、先にも紹介したとおりマグロに近い味を持ちます。見た目としてはカツオに似ているとも言われます。主に生息しているのはインド洋や太平洋の熱帯・亜熱帯地域になります。日本では本州の中部以南に生息しています。
クロマグロより小さい
スマは成魚では全長が1メートルほど、体重は10キロほどに成長します。味が似ていると言われるクロマグロは全長が3メートル、体重が400キロを超えることも珍しくないので、大きさは全く異なることがわかります。群れて泳ぐことは珍しく、単独で泳いでいることが多いようです。
満2歳で成熟
スマは満2歳程度で成熟すると言われています。受精して1日ほどで孵化をする魚です。比較的成長の早い魚で釣りの対象としては1歳くらいからだと考えられています。なお1歳での大きさは1キログラム程度だそうです。寿命は6歳前後だと考えられています。
様々な地方名
スマには様々な日本各地での地方名もあります。西日本ではヤイトガツオ、ヤイトマス、ヤイトバラなど頭にヤイトとつく呼び名が多いです。このヤイトというのはスマの背中の後ろ部分にある帯模様から来ていると言われています。また、中国ではバージエン、台湾ではイエナヒーなどと呼ばれます。
スマの養殖
愛媛県でスマの養殖
スマは漁獲量も多くなく、養殖への期待が集まる魚です。日本においては愛媛大学南予水産研究センターでの養殖が代表的です。愛媛県は養殖が盛んな県で水産養殖の生産額は全国1位を誇ります。スマの養殖においても第一線の研究が進められています。
養殖の歴史は浅い
スマの養殖の歴史はまだ浅く、未知の部分があるというのが現状のようです。愛媛大学南予水産研究センターでスマの養殖が始まったのは前身のプロジェクトを入れても2012年からになります。研究の蓄積がない段階での試みであり、またその分だけ今後の展望に期待が持たれます。
よりクロマグロに近い味に
また愛媛大学南予水産研究センターによると養殖のスマは味の変化という観点もあるようです。天然のスマはマグロとカツオの中間のような味と表されることもありますが、養殖のスマはよりクロマグロに近い味になるそうです。マグロの代用魚としてさらに期待も高まります。
2016年に販売スタート
愛媛大学南予水産研究センターのスマの養殖は2016年に本格的に販売をスタートさせ、2017年の出荷予定が2000匹、将来的には年間6万4000匹の出荷を目指しているそうです。現状においては数はまだ多くはないですが、少しずつでも出荷量が増えていってほしいです。
スマの釣り方
夏から秋がシーズン
スマは養殖だけでなく釣り上げることも可能です。伊豆・小笠原諸島、九州の南側、琉球半島などが日本でのスマを釣れる場所になります。釣りやすいシーズンは夏から秋にかけてです。ちなみに食べる旬は秋から春と言われています。とは言え、年間を通して美味しく食べられるそうです。
スマ専門は難しい
スマはそもそもの個体数が多くないことと、群れを作って泳がないことから、スマを専門で釣るような釣り方は適しません。天然ものの市場への流通が少ないのもこの点が理由になります。スマは他の魚を狙いつつ、スマも釣れたらラッキーというようなスタンスの釣り方で臨むのがよいでしょう。
釣れたら嬉しい魚
スマは沖からの釣りのほか、磯や堤防からでも釣ることができます。特に沖縄では岸からでもよく釣れるそうです。釣り方はカゴ釣りやショアジギングが適しています。大変美味で値段も高価な魚なので釣れると嬉しい魚のひとつです。
スマの購入方法
購入が難しい魚
スマは漁獲量、養殖の量も非常に少なく現状においては購入することが難しい魚です。その中で、和歌山の黒潮市場、大阪では阪急うめだ本店、東京では日本橋三越本店の3箇所に安定して出荷されているそうです。購入を考えている方はこれらの場所を利用するのが確実かもしれません。
スマの2大ブランド
スマは和歌山産「海の三ツ星」、愛媛産の「伊予の媛貴海(いよのひめたかみ)」が現段階における2大ブランドとなっています。まだまだ流通は少ないものの、その味の良さからかテレビで放送されるなど注目は高いです。
値段は高め
気になるスマの値段ですが、スマは値段の高い魚でもあります。高いものでは1キログラム3000円という値段が目安だと言われています。本家のクロマグロよりも高い値段での取引となることも珍しくはないようです。天然ものや小ぶりのものはもう少し安価な値段のものもあります。
養殖の現地では流通
養殖が盛んな愛媛県の愛南町では、スマを提供しているお店もあるようです。養殖の現地ということもあり、他の地域よりも流通が盛んなのかもしれません。飲食店で提供されるスマも値段は決して安価ではないようですが、訪れる機会があったら探して食べてみるのもよいかもしれません。
スマの捌き方
スマの捌き方を紹介
スマを刺身などで食べるときの基本的な捌き方を紹介します。現時点では都市部においてはスマを自分で捌くという機会はなかなかないでしょうが、参考程度に覚えておくのもよいかもしれません。
清潔な状態で調理開始
はじめにスマを真水で洗い流します。また自分の手や調理に使う器具も清潔な状態を保って置きます。スマは鮮度が落ちやすいため、特に意識的に菌を増やさない状態にしましょう。準備を終えたら、背中や胸ビレ周辺の厚皮を包丁で落としていきましょう。下準備としてはここまでで終了です。
スマを三枚におろす
スマの頭を切り落とします。頭を切り落とす際にワタも一緒に中から取り出します。頭とワタを取り除いたらスマを再度真水で洗って血などを流します。洗い終えたら、三枚におろして腹骨を切り取ります。これでスマの三枚おろしの完成です。
スマの食べ方と基本的な料理
スマの食べ方と料理を紹介
スマは全身トロとも言われる絶品の魚です。なかなか家庭で料理する機会はまだないかもしれませんが、もしも手にする機会があったら美味しく料理して頂きたいものです。スマの食べ方と基本的な料理について紹介します。
刺身などは鮮度に注意
スマの食べ方の最大の注意点として鮮度があります。スマは鮮度が落ちやすい魚としても知られています。そのため、刺身などの生食として食べるのは新鮮なスマのみにするようにしましょう。せっかくなら魚の醍醐味とも言える刺身として食べたいところですが、その点だけ注意です。
刺身以外に寿司も絶品
スマの刺身以外での生での食べ方ではお寿司として食べる方法も人気です。ただでさえ全身トロとも言われるような美味しい魚ですから、寿司にして美味しくないわけがありません。ぜひ一度食してみたい贅沢な一品です。
生以外での食べ方
刺身や寿司といった生での食べ方以外ではしゃぶしゃぶや竜田揚げなどの料理もスマとの相性がいいようです。また大きめのサイズのスマであればカブト焼きも楽しむことができます。またスマのアラ汁もおすすめです。魚の基本的な料理であれば概ね相性が良さそうです。
スマのおすすめレシピ
スマはたたきにしても美味しい
スマの食べ方としておすすめのレシピを一品紹介します。レシピといっても難しいものではなく、スマのたたきになります。特に天然のスマはカツオにも似た味とも言われ、たたきにしてもとても美味しいです。スマのたたきの基本的なレシピを紹介します。
強火で焼いて冷水で締める
はじめに下準備としてたたきに合わせるタマネギをスライスしておきます。たまねぎを準備したらブロック状のスマの表面を強火で焼きましょう。焼いた後は氷水でスマを締めます。十分に水気を取った後にスマを薄く叩き切ります。
好みで薬味を追加
後は準備しておいたタマネギと合わせてお好みの薬味をつけて完成です。シンプルにわさび醤油で食べても美味しいですが、薬味にこだわることでさらに美味しくなります。みょうがや大葉、また柑橘類を絞ることでさらに美味しくなります。お好みで味をアレンジしましょう。
スマについてまとめ
近い将来に食卓に?
スマの生態やおすすめの料理やレシピなどを紹介しました。スマはマグロの代用魚として注目が集まっています。今はまだ珍しい魚でかつ、高価な魚と言えますが近い将来にもっと手軽に食べられるようになるかもしれません。スマの今後の養殖の動向にも注目したいです。
本家のマグロ情報はこちら
本記事ではマグロの代用魚と言われるスマを紹介しました。本家のマグロは既に私たちに馴染み深い魚ですが、意外に知らない情報などもあります。マグロについても知りたいという方はこちらの記事もおすすめです。マグロのランクや生態などを知ることができます。
本マグロとは?マグロの種類とランクで違う味や値段をご紹介!
マグロは国民食と呼ばれるほどに、私たちの生活と縁の深いものです。その中でも本マグロは最高級品になります。しかし本マグロとはどの種類なのかを知...
絶滅危惧種?クロマグロの生態や基本情報まとめ【魚図鑑】
クロマグロは、「タイヘイヨウクロマグロ」と「タイセイヨウクロマグロ」がいて、有名な王様の様な存在の魚です。そんなクロマグロが絶滅危惧種として...
イソマグロ(磯マグロ)を釣る!食べる!全てを満喫できるまとめ情報!
「磯のマグロ」の名を持ち、大柄な体躯と引きの激しさから「磯のダンプカー」ともいわれる磯の暴れん坊「イソマグロ」。マグロとはどう違うのか?どう...