イソマグロはマグロじゃない?
いきなりですが、イソマグロは、名前に「マグロ」とついていますがマグロの仲間ではありません。スズキ目サバ科イソマグロ属に分類される海水魚で、どちらかというとスズキやサバに近い魚とされています。 マグロの仲間だと思って期待すると、大きさや見た目の違いにガッカリしてしまうかもしまうかもしれませんが、イソマグロはマグロとはまた異なる魅力があり、名前が似ている「まがい物」だけでは片付けられない魚なのです。
なぜマグロと呼ばれている?
なぜ見た目も分類も異なるのに、イソマグロには「マグロ」の名がついているのか?それはマグロの名の由来にまでさかのぼります。マグロはもともと「眼(ま)が黒い」ことから付けられたもので、スズキ目サバ科マグロ属に属しており、見た目からは想像がつきませんがスズキの仲間で、その中で磯などの岩礁帯を回遊する種のことを「イソマグロ」と呼んでいるのです。 といっても最近はマグロの中でも「クロマグロ」のみをマグロと呼ぶケースが多く、カジキマグロやこのイソマグロのように「名前にマグロとついているが、マグロではない魚」は結構多いのです。
イソマグロの分布/生息環境
イソマグロは日本の南方からポリネシア、オーストラリア北岸や紅海、はたまたアメリカ東岸からインド洋まで幅広く分布し、名の通り磯に多く生息し、沿岸部や島の周辺でその姿を見ることができます。 さらにイソマグロの特徴として、数十尾の「群れ」を作って泳ぐという習性があり、1匹1匹が1メートルを超す大物のため、その光景はなかなか壮観で、スキューバダイビングの観賞魚としても人気があります。
イソマグロの好むエサ
イソマグロは肉食性で、同様の環境を好むアジやタカサゴなどの魚、あるいは小魚やイカを捕食し、釣りの際もアジの切り身や活きたアジをエサにつかった泳がせ釣りを用います。マグロに近いわけでもないのにイソマグロと呼ばれているのは、広く分布していることや、好むエサがマグロに似ているというのも含まれており、釣りの際に使用するエサはほぼマグロと同じ、と思ってもよいでしょう。
イソマグロの生態や特徴
イソマグロの体色は背中側が鈍い藍色、腹側が銀灰色となっており、体形はマグロに比べると細長く、下あごに厚みがあり、さらに尖った歯を持つと、どちらかというとマグロというよりカツオに近い姿をしています。カツオとの見分け方は背中に縦線がないのがイソマグロ、と覚えるようにしましょう。 性質もカツオと似ており、高速で泳ぎ続けるために「奇網(きもう)」という特殊な血管構造をしており、静脈と動脈が隣接し、酸素を豊富に含んだ新鮮な血液と、体温で温まった血液を同時に循環させることで体温の上昇を抑え、休みなく泳ぎ続けられるというわけです。 一見便利なように見えますが、この「奇網」が機能するのが泳いでる間のみ、止まると機能しなくなり死んでしまいます。マグロやカツオが「止まると死ぬ」のは、その特殊な体の構造にあるのです。
イソマグロの釣り方
釣りの対象としてのイソマグロは「磯のダンプカー」の異名を持つほどの暴れん坊、並のタックルでは歯が立たないパワーと、小さなものでも1メートルを超える巨体が魅力です。 イソマグロは潮通しのいい沿岸部の周辺や、外洋に面したエリアを数十尾の群れを作り回遊していることが多いですが、その群れは大型になるほど小さくなっていき、2メートル超の大物となると単独で泳いでいることも少なくはありません。大物を狙いたいなら小さな群れを、数を釣りたいという場合は大きな群れを狙うとよいでしょう。 イソマグロの釣り方はルアーを投げ狙うルアーキャスティング、活きたアジを使った泳がせ釣りなど、数多くありますが、この記事では金属製の仕掛けを用いた「ジギング」を用いた釣り方をピックアップしていきます。
ジギングでイソマグロを釣る!釣るときのコツ
「ジギング」は他の仕掛けより重量がある分、イソマグロに大きく負荷をかけられますが、同時に釣り上げる側にも負荷がかかるため、どっちか力尽きるかの強烈なファイトとなります。ジギング釣りには負荷に負けない頑丈なタックルが必須で、用意するジギングも水深に応じ、300gまで用意しておきましょう。 ジギングは重くすればいうわけではなく、好き勝手に変えると潮の流れによっては仕掛けが絡んでしまい、絡まった釣り具を外すのに手間取るうちに獲物を取り逃がす…と言うことも。船の真下に落とし巻き上げるやり方と、魚がいそうなエリアを流すというやり方が存在するため、獲物や釣り方によって使い分けるようにしましょう。 船長からの指示があったら従うようにし、ほかの釣り人に迷惑をかけないよう気を付けましょう。
イソマグロ釣りにおすすめなタックル
イソマグロ釣りに用いるタックルは、釣り方によって微妙に変化しますが基本部分は同じです。竿は大物用のものか、短めの専用ロッド、或いはルアーロッドを用意しましょう。頑丈さや軽さは勿論、第一に食い込みを重視し、イソマグロのパワーにも耐えうるものを選ぶことが大切です。 リールは性能が安定している大型のものか、電動リールを用意し、ジギング同様に水深に合わせ複数用意しておきましょう。リーダーは10m以上用意し、ガイドからすっぽ抜けてしまわぬよう、編みつけた個所をライターで炙るなどして「コブ」を作っておきましょう。 イソマグロは活きたアジやカツオ、イカ等を好むため、エサを使って釣る場合はイソマグロのついでに、ハタ類やスズキなど、他の魚も狙ってしまいましょう。
イソマグロと泳ぐ!ダイバー情報
イソマグロは釣りの対象としてのみでなく、ダイビングの対象としても人気者で、大物好きのダイバーの中にはイソマグロと泳ぎたいと積極的にリクエストする人もいるほど。イソマグロは潮の流れが速い場所を回遊しており、ダイビングとしては沖の付け根部分を潮流に流されながら泳ぐ「ドリフトダイビング」が主流。 伊豆諸島や小笠原諸島などの暖かい海を好み、春先に見かけることが多いですが、エサが豊富な場所なら年中その姿を見ることができます。
イソマグロと写真を撮るコツ
イソマグロは警戒心が強く泳ぐスピードも速いため、普段は近寄ることができませんが、数十尾の「群れ」を作っている場合はゆっくり泳いでいることが多く、一緒に写真を撮るチャンスです。イソマグロが大きな群れを作るのは、潮の流れが速くエサが豊富な場所。「ドリフトダイビング」のポイントになるような場所でその姿を見ることができます。 群れに出くわしても、すぐ撮影しようとするのは禁物、イソマグロを驚かせないよう気を付けて近付き、立ちふさがるように前に出るのは避け、群れに並走するように横からゆっくり近付くようにしましょう。1匹1匹が大型なので、ついつい大きめのカメラで撮りたくなりますが、イソマグロは近寄るのが難しい魚なので、水中モードに設定したデジタルカメラなど、小型のカメラを使用し、ちょっと遠目でもバシバシ撮影していきましょう。
イソマグロの味/おすすめの調理法
イソマグロはマグロの名がついているからと期待すると、ちょっと拍子抜けする味をしており、身は全体的に白っぽく味も薄く、クセのないサッパリした味わいが特徴です。日にちが経つと不快な臭いを放つようになる、水っぽく不味い、など悪評の多い魚ですが、新鮮なうちはどう料理しても大丈夫。 マグロやカツオに比べるとやや薄味ですが、決して不味くはなく、料理次第で美味しくなる魚です。
イソマグロ料理
イソマグロは全体的にさっぱりした味わいなので、揚げ物と相性がよく、竜田揚げやフライにすると臭みも気にならず、美味しく食べることが出来ます。好みによりますが下味を濃い目にし、ソース要らずと言うほどしっかりした味付けにするとよりオススメです。塩焼きもオススメですが、イソマグロはやや臭みがあるので、ショウガ等で臭みを消し、処理をしっかり行ってから食べるようにしましょう。 マグロの食べ方として有名な料理「ヅケ」もオススメで、しょう油とミリンで味付けしたイソマグロを丼に乗せ、海鮮丼感覚で頂ましょう。イソマグロ以外でも、脂が少なめのサッパリした味の魚はヅケに向いています。
イソマグロ/まとめ
「イソマグロ」は名前にマグロとは付きますがマグロではなく、好むエサこそ似ていますが特徴も性質も全く異なるもの。マグロの仲間と思って期待すると拍子抜けしてしまうような姿をしていますが、「磯のダンプカー」とも呼ばれる激しさと、海中で見る姿はマグロとは違う魅力が詰まっています。 マグロじゃないのかとは思わず、イソマグロにも目を向けてあげてくださいね。