トウモロコシについて
イネ科の夏野菜
トウモロコシはBBQなどでお馴染みの夏野菜で、イネ科に属し北海道ではとうきびとも呼ばれていて日本国内で流通しているトウモロコシの5割以上が北海道産です。米、麦とならぶ三大穀物で日本だけではなく世界各国で作れています。トウモロコシの主な利用方法は食料の他に家畜の飼料、デンプン(コーンスターチ)、油、バイオエタノールとして燃料に使われたりします。品種により加工用に向くものやそのまま食べれるものなどがあります。
品種の違い
品種によって用途だけではなく栽培方法に違いがありデンプンの構造も違います。主に食用に利用されるのはスイートコーンと爆裂種とジャイアントコーンがあります。爆裂種はポップコーンに利用されるトウモロコシでそのままでは皮が固く食べれないのが特徴です。近年では爆裂種の苗もホームセンターなどで見かけるようになりました。ジャイアントコーンはペルーの山地で作られている粒が非常に大きなトウモロコシで日本では揚げて塩をかけたものがおつまみ、お菓子として流通しています。
スイートコーンの品種
栽培した品種によって色や味が違う
爆裂種、ジャイアントコーンを除く食用向けの品種です。茹でる、焼く、蒸すなどの調理方法で食べられる他糖度が他の品種よりもあるのでコーンフレーク、コーンミールの原料にも使われます。収穫後も粒の糖度を消費し呼吸などをするため長期保存する場合は冷暗所やすぐに茹でておく必要があり生のトウモロコシが市場に出るのは暦の上での夏の始まりである立夏以降です。品種により実が黄色のもの、白色のもの、白色と黄色が混ざったものなどがあります。
実が黄色い主な品種
味来(みらい):皮がやわらかいので生食も可能ですが若干小さく平均糖度は12度です。 おひさまコーン:粒皮がやわらかく糖度も高めの品種で早生なの栽培暦はやくなります。 サニーショコラ:糖度が19度とバナナに匹敵する糖度です。 キラキラコーン:極早生で作りやすく、甘くやわらかめの品種です。 ゴールドラッシュ:生食が可能で糖度も高いのが特徴。爽やかな甘味です。
実が白い主な品種
ルーシー90:白色で光沢のある実が特徴で甘味も強く皮もやわらかめなので食味がいいです。 バニラッシュ:バニラアイスの様なクリーム色で皮がやわらかいので生食もできます。 ピュアホワイト:光沢のある白い粒が美しく糖度は多い時では約19度もある甘いコーンです。 ホワイトレディー:真っ白の美しい品種で、濃厚な甘味と見た目の美しさが魅力です。
実の色が混ざっている主な品種
甘々娘:平均糖度が15度、革が薄く生食もできます。フルーツコーンとも呼ばれるほど甘い。 ピーターコーン:皮がやわらかいため食味がよく甘い品種です。栽培暦も早いです。 ハニーバンタム:昭和60年に登場し、代表品種です。現在では改良型の品種があります。 カクテルコーン:皮がやわらかくて糖度が高いのが特徴で作りやすい品種です。
近所でトウモロコシを作ってる場合
黄色一色の品種も白一色の品種もどちらも近くで他のトウモロコシがあると必ず一色になるとは限らないので注意してください。それぞれの花粉が混ざると白と黄色が混ざっているコーンが出来ます。また飼料に使う種類のトウモロコシとスイートコーンが混ざると甘みの少ないトウモロコシができてしまいます。
スイートコーンの育て方:植え付けの時期(栽培暦)
栽培暦がわかると管理しやすい
栽培暦とは種まきから収穫までを1月~12月で表した暦です。どの植物にも撒き時や肥料を与えるタイミングがあり栽培暦がわかると農薬のタイミングなどもわかってきます。栽培暦は日本の気候によって3種類あり暖地、中間地、寒冷地と分かれているので住んでるいる場所にあった栽培暦を見ることが大切です。苗にはないのですが種のパッケージに栽培暦が書かれていて早生、極早生などの品種は栽培暦より収穫時期などが早まります。
スイートコーンの植え付け時期
暖地:種まき2月下旬から5月中旬、植え付け時期は3月。 中間地:種まき3月中旬から6月上旬、植え付け時期は4月。 寒地:種まき4月中旬から6月下旬、植え付け時期は5月。 品種によって変わるので種のパッケージの裏に記載されている栽培暦を参考にしてください。この栽培暦はハニーバンダムのものです。
スイートコーンの育て方:植え付け前の準備
土地の条件
スイートコーンは日当たりがよく水はけのよい土地を好みます。また肥料を多く吸収するので肥料を与えすぎた土地でスイートコーンを育てると綺麗な土ができるのでおすすめです。
土の準備 ポットの場合
スイートコーンは根を広げずに深く伸ばすためポットは60cmほどいります。土は市販の培養土でも大丈夫ですが自分で配合する場合は赤玉土7、腐葉土2、バーミキュライト1の割合で混ぜ元肥として入れる肥料は苦土石灰を用土10リットルあたり10グラム、化成肥料を30グラムほど入れます。
土の準備 畑の場合
植え付け2週間前までに1平方メートルあたり70グラム苦土石灰を撒きよく耕します。植え付け1週間前までに元肥として化成肥料を1平方メートルあたり150グラム、堆肥を2キロほど撒きよく耕し土の準備は終了です。マルチをしなくても植え付け可能ですがマルチがあったほうがいいです。
スイートコーンの育て方:マルチの効果
マルチがあると植え付け・栽培が簡単
マルチは地温上昇促進、雑草防止、ドロの跳ね上がりを防ぐ効果などがあります。その他マルチをすることで育て方が容易になったり植え付けるときも穴を開けるので株間などがわかりやすくなります。マルチの材質によって効果が変わってくるので植物にあった適切なマルチをしないと最大限に効果が発揮できません。
マルチの種類
マルチの色にはさまざまな種類があります。透明のマルチは地温上昇効果に優れていて、よく見かける黒のマルチは地温上昇効果より雑草防止効果が大きいです。白やシルバーのマルチは害虫対策に使われます。トウモロコシに必要なマルチは黒のマルチで大丈夫です。
スイートコーンの育て方:種からの育てる場合
苗と種
苗を買ったほうが楽だし種から植えても発芽させる自信がないという方もいるかも知れませんが家庭でもコーンは簡単に発芽させることができます。発芽後も育てると市販されている苗と比べても遜色なくスイートコーンを栽培することができ種の方が量も多いのでお得です。
種の発芽のさせ方① ポリポットで栽培する方法
市販の苗と同じようにポリポットで一定の大きさになるまで栽培し大きくなると植え付けていく方法です。9cmポット(三号ポット)に2、3粒蒔いていくのですが発芽しやすくなるように種を蒔く1日前に一晩水に浸けておきます。直接水に浸けるより濡らしたティッシュで包む方がおすすめです。種の植え付け方は指でそのまま種を押し込むだけです。この時深さは数cm(第一関節程度)で押し込んだ後は土を被せておきます。
種の発芽のさせ方② 直接畑で栽培する方法
直接撒く場合はあとから植え付け必要がなくスムーズですが株間など守らないといけないことがあります。プランターの場合は株間20cmほど必要でプランターの大きさも60cmほど必要です。畑の場合は株間をも少し広く取り30cmが目安です。トウモロコシは大型なので株間が狭いと互いに葉が干渉してしまいます。畑に直接種を蒔く時は鳥が種を狙うので気をつけてください。
発芽のポイント
発芽適温は25~30度のものがおおいですが適温は一つの目安で高くても低くても発芽する可能性があります。適温外では発芽率が下がってくるのでできるだけ25度~30度を守りましょう。
スイートコーンの育て方:株間の適切な植え方
上手に栽培するには株間が大切
植え方はスペースがある程度ある場合は株間30セcmで条間50cmの2条で植えます。条間は株間が株同士の間に対して列同士の間を指します。家庭菜園の場合畝まで作る必要はないですが畝を作る場合の植え方は通路60cm、幅90cm、高さ15cmほどの畝を作り株間、条間は同じです。
畑で栽培開始 苗の植え方(定植)
種をポットで発芽させてある程度大きくなると定植が必要になります。1個のポットから複数育っている場合一番いい苗をのこして他の苗は根本から切り草丈が1cmを超えたら定植の時期です。植え方は少し大きめの穴をあらかじめ掘っておきポリポットの土ごと植えます。この時にマルチをしていると株間がわかりやすいです。
スイートコーンの育て方:植えた後の管理
栽培方法 水やり
植え方は株間を守ると簡単ですが日々の管理は少し大変です。乾燥に弱く水を与えすぎると実成りに影響が出ます。土の表面が乾くとたっぷりと与えますが回数が多くならないようにします。
栽培方法 転倒対策
草丈50cmの頃にマルチフィルムをはぎます。ベランダなど風が強い場所で栽培する場合は支柱を立てて倒れないように対策します。また東日本より西側は台風がきやすいのであらかじめ支柱を立てておいたほうが安心です。支柱を立てるタイミングは肥料を与える前後が適切です。
栽培方法 整枝やわき芽について
根本から脇芽が生えてきますがトウモロコシは整枝やわき芽を取る必要はありません。ただし植え方が悪いと葉同士が干渉して受粉しにくくなる場合がありこうなると人工的に受粉するか葉の手入れを少しする必要があります。こうならないように植え方には気をつけましょう。
スイートコーンの育て方:有効な肥料・施肥するタイミング
有効な肥料
化成肥料を1握り(50グラム)を株元にばら撒き肥料が隠れるように土寄せをします。化成肥料は有機肥料とくらべ速効性で、高度化成肥料ではなく普通の化成肥料で大丈夫です。
二回ある肥料を与えるタイミング
肥料を与えるタイミングは草丈が50cmになった時にマルチをはいだ後に与え、この時に支柱を立てます。次に肥料を与えるタイミングは雄穂が出た時です。雄花は葉が6枚ぐらいになるとでてきます。
スイートコーンの育て方:受粉をうまくするためには
株数が多いなら自然交配でも大丈夫
株数が多い畑なら自然交配するので大丈夫ですが風があまり吹かない場合、植え方がわるく株間が詰まっている場合などでは自然交配が難しくなります。
人工授粉の仕方
雄花を根本から切ります。雄花の位置は株の一番上にできるのでわかりやすいです。株元のふさふさした毛がスイートコーンの雌花なので雄花をその上でふり受粉させます。一株で三本ほどできるのですが基本的に一番上だけ残して他の雌花は絹糸が見え始めた頃に切り取ります。
スイートコーンの育て方:害虫について
トウモロコシ栽培の敵
アワノメイガの幼虫がほとんどですがヨトウガの仲間の幼虫も付きます。アワノメイガの成虫は雄穂に飛来して交尾し葉裏に産卵するので農薬使う前にはやめに人工授精することである程度防ぐことができます。農薬に頼るのは最終手段として使いたいところですが株数が多いと必ず何らかの害虫が発生するので適切なタイミングで使うことであまり農薬を使わず防除可能です。
蛾以外の害虫
アブラムシやカメムシも来ますが蛾の幼虫の程食害はありません。ただし病気を媒介する可能性があるのでできるだけ対象します。
農薬を使うタイミング
農薬を使用するタイミングは雄穂が出てきた頃、またはでそうな頃に使うとアワノメイガの被害を押させることができます。確実なのは2回に分けて農薬を散布することで1回目は雄穂がまだ開いてはいない頃、2回目は雄穂は開いた頃に散布することでより確実です。
スイートコーンの育て方:病気について
トウモロコシのかかる病気
スイートコーンモザイク病 スイートコーン倒伏細菌病 スイートコーン黒穂病 スイートコーンすす紋病、など
モザイク病の症状
ウィルスによって発症する病気です。症状は葉にモザイク状の褪緑斑紋ができ放置すると株全体が大幅に萎縮します。病気を防ぐにはアブラムシの飛来を防止することが大切です。
倒伏細菌病
細菌によって発症する病気です。症状は茎部分に淡褐色の不整形病斑ができやがて褐変腐敗します。病気を防ぐには連作を避け、排水のよい土地で育ててます。
黒穂病
カビによって発症する病気です。症状は生長の盛んな部位に白色の膜で被われたこぶができます。病気を防ぐには連作を避けてチッソの多い肥料をあまり使用しないようにします。
スイートコーンすす紋病
カビによって発症する病気です。症状は暗緑色水浸状からやがて白色の大きな病斑ができます。放置すると葉がすべて枯れていきます。病気を防ぐには農薬の散布が有効です。
スイートコーンの育て方:使用できる農薬
トウモロコシが登録されている農薬
ベンレート水和剤、トリフミン水和剤、オーソサイド水和剤80 リゾレックス水和剤、家庭園芸用スミチオン乳剤、ベニカ水和剤 など
未成熟トウモロコシ(ヤングコーン)が登録されている農薬
オーソサイド水和剤80、オルトラン水和剤、コダール水和剤など
農薬の正しい使い方と注意点
正しい服装
農薬の散布をする時は長袖、長ズボンなど皮膚に付着しないような服装や目に入らないようにゴーグルをかけるなど対策します。トウモロコシは背が高いので低い植物に農薬を散布するよりも自分に農薬が付着しやすいです。
ラベルに書かれている用法用量を必ず守る
ラベルに書かれている病気と散布する植物があっているか確認します。トウモロコシの表示がない農薬は使えないので必ずラベルを確認してから使うようにしましょう。また使用回数も厳守しないと残留農薬ができるなど悪影響を及ぼす可能性があります。法的にも罰せられる対象になるので必ず守りましょう。
スイートコーンの育て方のまとめ
植え方も育て方も慣れると簡単
植え方で気をつけるのは株間を詰めすぎないことだけななので簡単です。栽培で大変なのは受粉作業です。あとは他の植物と同じように肥料や水やりをしていくだけでトウモロコシはできます。しかし甘いスイートコーンにするには糖度を実にたくさん蓄えれるように害虫や病気から葉を守りたくさん光合成できるようにするのと適切なタイミングでの施肥が大切です。
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