鉋(かんな)の使い方を知りたい!
木材加工用の電気機械が安くなったとはいえ、仕上がりの綺麗さは手鉋にまさるところまでは電動工具は発達していません。特にDIYでは毎日使うわけではないので高い電動工具を買うよりも手で鉋を掛けてみたいと思う人もいるでしょう。
でも、ちょっと使い方が難しそうでなかなか手が出ない鉋。今日はそんな「はじめての鉋選び」に困った人の知りたいことを調べてみました。
使い方を知るにはまず鉋(かんな)の構造から
まずは鉋の構造からご説明します。鉋選びにも重要になってくるところです。自分がどんな鉋を求めていて、どんな鉋が良いのか。鉋の構造を知ることで見えてくることもあるでしょう。
鉋台
鉋台は「かんなだい」と読みます。そのものズバリ鉋の刃がついている木製部分のことをいいます。この鉋台は硬くて丈夫な木ほど歪みが起きにくく後々の手入れの手間が減ります。刃も大事ですが、この鉋台も鉋にはとても重要な部分です。
鉋身・鉋刃
鉋が木材を削る部分です。多くの人に鉋の刃と思われている部分は実は鉋身です。鉋身の先に鉋刃が打ち付けられています。メーカーの名前が入っている方が上、何も書かれていない方が裏(鉋台に当たる部分)です。
裏金と押さえ棒
裏金(うらがね)といっても何もやましいお金のことではなく、鉋身(と鉋刃)をしっかり鉋台に押さえつける役目をしている金具です。鉋身の上に金属のパーツがあるでしょう。それが裏金です。
裏金は逆目(鉋の使い方のコツで詳しく紹介)に鉋を当てたときに食い込みにくくしてくれる金具です。押さえ棒は裏金を押さえて鉋身をしっかり支えてくれます。
サイズ
サイズ:寸六。長台鉋と呼ばれる種類です。より完璧に近い平面にこだわる人用。初心者には扱いが難しいかも。サイズ:寸八。寸六よりも少々サイズが小ぶりになったもの。
刃幅は70mm。大工さんが一番使うサイズで平面削りから角の面取りまで万能タイプ。初心者にもおすすめです。サイズ:寸四。寸六よりも更に幅が10mm狭くなった60mmのもの。手の小さい人や女性におすすめです。
鉋(かんな)の使い方①平鉋
鉋の使い方を知りたいという多くの人が「平鉋」の使い方を知りたがっているのではないでしょうか。ここから鉋の使い方についてご説明します。まずは平鉋、その後電動かんなや替刃式鉋や面取り鉋の使い方をご説明していきます。
後述では簡単ではありますが、初心者がつまづきやすい鉋がけのコツもご紹介していますのでそちらもぜひ参考にしていただければ幸いです。
平鉋とは、名前のように木材の広範囲を平らに削る、いわゆる「鉋」です。写真のように木製の鉋台と呼ばれる部分を右手でしっかり抑え、左手を頭の部分に添え同じ力で体ごと移動して削っていきます。
鉋(かんな)の使い方②電気かんな
荒い削りは電気鉋を使う大工さんがほとんどでしょう。電気鉋は荒い手鉋のような繊細な作業には向きませんが圧倒的なパワーで木材を平らに仕上げていきます。使い方はハンドルをしっかりと持ち木材の上を滑らせるだけです。最初から最後まで一気に掛けきってしまいましょう。
鉋(かんな)の使い方③替刃式鉋
替刃式鉋は写真のような金属製の鉋台のものもあれば、木製の鉋台で刃だけが替えられるものもあります。プロでも替刃式の鉋を使う人もいるそうです。使い方は普通の手鉋と同じです。しかし、サイズが小型なものが多いので木材の角の面取り、革製品の鉋がけなどにも幅広く使われます。
鉋(かんな)の使い方④面取り鉋
鉋の中には面取り鉋という種類の鉋があります。これは木材の角の面取りに長けた鉋で補助板がついているものもあります。角度調整用の補助板をぴったり当てながら鉋がけをおこないます。面取り鉋もサイズが小さく軽くできているものが多いです。
鉋(かんな)の使い方/コツ
鉋をかけるとき、刃が板に食い込んで進まない。なんだか仕上がりがザラザラしている。そういった悩みもあるでしょう。そんなときは逆目に鉋がけをしているのかも知れません。木材には順目と逆目があります。
年輪の大きな方から掛けるのが順目、その反対が逆目です。逆目に鉋をかけると木目に逆らっているので仕上がりがザラザラしてしまいます。
鉋(かんな)の選び方
初心者向け価格帯
価格での選び方は鉋のサイズにもよりますが、いくら小鉋(サイズが小さな鉋)でも数百円などという安物はおすすめできません。安物の鉋を使ったせいで高価な木材に傷を付けてしまっては元も子もありませんね。最低でも数千円。
できれば小鉋で3,000円以上のものを選んでください。大鉋であればその倍とまではいかなくても5,000円以上のものをおすすめします。
鉋台
鉋の選び方は色々ありますが、鉋台と呼ばれる木製の部分も大切です。ここが減ってくるとこまめなお手入れが必要になりますし、初心者の人には鉋台の手入れは難しいでしょう。どんなに刃を調整したつもりでもうまく削れないのはこの鉋台の歪みが原因の場合もあります。
鉋台の選び方:硬い木
鉋台の選び方は木の硬さで選びましょう。柔らかい木は使っているうちに摩耗して歪みが出ます。手入れ知らずで長く使いたいなら硬い木でできたものがおすすめです。鉋台を削る鉋もありますが、それはとっても硬い黒檀という木で出来ています。
そこまで硬い木は無理ですが、道具屋さんで硬い木の鉋台はありますか?と聞いてみるとよいでしょう。
鉋台の選び方:重さ
もっと簡単に木の硬さを調べるには「持って重さを比べてみる」ことです。重い=みっちり木が詰まっている→硬くて減りにくい木ということになります。手入れの仕方がわからない初心者なら、交換可能な刃よりもまずは鉋台に凝った方が長持ちするしやすいでしょう。
鉋の選び方:替刃式鉋
それでは鉋の刃の選び方は何でもいいのか?ということになりそうですが、そうでもありません。最初は無茶な使い方をして刃こぼれしやすいことも考えられるでしょう。そんな心配には最初の選び方は替刃式の鉋を買うことです。慣れてきてから平鉋など目的に合わせた鉋を揃えていけばいいと思います。
鉋(かんな)・鉋台の研ぎ方・お手入れ方法
鉋台の手入れ/水平
鉋のお手入れといえば、刃研ぎですがその前に鉋台の水平チェックも何度も使ったらおこないましょう。鉋台は刃のすぐ前の部分が凹んでいて鉋台の頭の部分、刃のすぐ後ろの部分、鉋のお尻の部分の高さが水平でなくてはいけません。それ以外の部分はわざと凹んでいます。上記3点の水平を水平つきのものさしで確認しましょう。
鉋台の手入れ/鉋台を削る
もしも鉋台が歪んでいるのがわかったら、初心者でも簡単にできる鉋台の手入れは水平な板に巻いた紙やすりで水平になるように調整します。先ほどご説明したとおりぺったりと平面ではむしろ鉋が掛けにくくなるのでスキの部分もきちんと調整しましょう。
鉋の刃の手入れ/研ぎ方
砥石は中砥石と仕上げ用砥石を使用します。鉋の刃の研ぎ方のコツはまっすぐ平均に力を入れてかけるようにします。押す時に力を入れ、引く時は力を入れません。刃が丸くならないように、鋭角に仕上がるように研ぎます。
刃欠けの刃の手入れ/研ぎ方
鉋の刃が欠けてきたら、刃欠けを修正するように砥石で研ぎます。刃欠けの刃の手入れのコツは刃の研ぎ作業の前に垂直に砥石で研ぎ刃欠けを取ることです。後からやったのではせっかく立てた刃先をもう一度刃研ぎすることになってしまいます。
鉋(かんな)の種類
一般的な平鉋はここまでたくさん紹介してきましたので、それ以外の鉋の種類の中からいくつか使い方のコツを交えてご紹介します。
鉋(かんな)の種類①面取り鉋
木材の角を丸く仕上げるのに使う鉋です。使い方のコツは角度を揃えること。上記のような角度固定でサイズが小さいものがDIYでは使いやすいですが、もっと角度にバリエーションをもたせたいという人は下のようなタイプもおすすめです。
面取り鉋の中で角度調節できる補助板がついているものもあります。補助板は三角形の木材で取り外して目的の角度に合わせて調整可能となっています。使い方のコツは補助板をしっかり木材に当てて使うこと。
鉋(かんな)の種類②反り台鉋
鉋は何も平面に削るだけの目的ではありません。たとえば、樽の中のような丸い角度を削るには、このような反り台鉋が必要となってきます。平面を削るのとは違ってコツは少しずつ角度が気になるところを軽く削るように使うことです。
鉋(かんな)の種類③際鉋(きわがんな)
際鉋(きわがんな)はL字になった内側に鉋かけをする時に使います。右刃と左刃があるので注意しましょう。引き戸の溝を調整するなどに用います。
鉋(かんな)の種類④底取り鉋
際鉋がL字部分を削るのに特化しているように、底取り鉋は凹部分に鉋をかけたいときに使う鉋です。敷居や鴨居の溝を削るのに使われます。
その他鉋(かんな)の種類
その他鉋にはもっとたくさんの種類が細かくあります。それぞれ鉋で削る部分に合わせて作られています。ただ平面に削りたいというのであれば、電気かんなを使うのが初心者なら手鉋よりも楽に平面にすることができるでしょう。電気かんなであれば刃に注意するだけで他にコツなど必要なく早く平らにすることができます。
鉋(かんな)の刃の調整方法
最後になりましたが、鉋の刃の調整方法を簡単に説明していきましょう。
鉋の刃の調整方法/出す場合
鉋の刃は出すぎていても引っ込みすぎていても綺麗に削るのが難しくなります。プロの大工さんでもしょっちゅう鉋の刃を調節しているのを見かけるでしょう。刃をもっと出したいときは写真のように鉋身の上の部分をトントンと軽くたたいてあげます。
左右の出方調整
鉋を裏返して平坦な板を後ろから滑らせていき刃の左右の出方もチェックしましょう。左右の刃の出方が違うときも鉋身の頭を叩いて微調整します。
鉋の刃の調整方法/抜く場合
逆に刃が出すぎているときは鉋台の頭の部分を叩いて刃を調節します。最適な鉋の刃の出方は鉋台の下端から1mmくらい出ている状態といわれています。
鉋の使い方・選び方・手入れ方法/まとめ
初心者の人に鉋の仕組みから鉋の種類、鉋の選び方や使い方をご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?始めて鉋を買おうとするとき、本当に種類がありすぎて困るでしょう。
鉋に限らず刃物はあまり金額をケチってしまうと、あとで安物買いの銭失いになってしまうことも多々あります。安いからと飛びつかず、お店の人に相談したり通販ならレビューをよく見てしっかりとした素材を選ぶようにしましょう。
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