死ぬ前に一度は見たい!
世界の素晴らしい観光名所
世界にはさまざまな文化や自然の美しい名所があり、日本人も含め多くの旅行客が世界各地の有名な遺産や観光地、美術品などを求めて出かけます。人の手の入っていない自然の絶景から古代の人が建造した遺跡、中世の歴史ある建物や美術品など、人々を魅了してやまない美しさが世界には数えきれないほどあります。死ぬまでに一度は見てみたい観光名所だらけで回りきれません。
世界三大がっかりスポットとは?
しかし、時には旅行から戻ってきて感想を聞くと「行って損した!がっかり」などと残念な声を聞く観光地もあります。中でも世界的に有名なのが「世界三大がっかりスポット」と呼ばれる3つの観光名所。ベルギーの小便小僧、デンマークの人魚姫、シンガポールのマーライオンです。誰もが知る観光地ですが、一体なぜ「世界三大がっかり」なんて不名誉な称号を付けられてしまったのでしょうか。
世界三大がっかりの理由①小便小僧
小便小僧とは
小便小僧は、ベルギーの首都ブリュッセルにある世界的に有名なブロンズ像。その名前の通り、放尿する少年の姿をしておりおしっこの代わりに水が出ているというなんとも珍しい像です。小僧には「ジュリアン」という名前があり、その昔ジュリアンという少年がおしっこで爆弾の導火線の火を消し街を救ったという伝説からこの像が作られたといいます。ブリュッセルの旧市街は世界遺産にも指定されている由緒ある町で、そのシンボルともいえる像です。日本でも小便小僧を模倣した物をよく見かけますよね。
小便小僧のがっかりな理由
大体想像はつきますが、やっぱり、実物は60cm程度ととても小さくインパクトが薄いんです。「わざわざ見に行く価値なし」「浜松駅にある小便小僧の方が立派」などと散々な言われようですが、一応話題集めに頑張ってはいるようで、夜にはライトアップされたりイベント時にはその時にちなんだ衣装を着せられます。が、それがまた痛々しく、無理に衣装を着せられているので左手の手元にだけ穴が空きおしっこを出しているのが不自然でならない時も。そんな小便小僧ですが、街中のお店などでは小僧のレプリカが至る所で見られ、お土産も何でもかんでも小便小僧グッズと激押しされています。
世界三大がっかりの理由②人魚姫像
人魚姫像とは
人魚姫像は、デンマークの首都コペンハーゲンにあるこちらも世界的に有名なブロンズ像。アンデルセンの童話「人魚姫」をベースにしたバレエに感銘を受けたカールスバーグ醸造所の創立者の息子、カール・ヤコブセンが設立を依頼して作られた物です。アンデルセンの童話では人魚姫は下半身が魚ですが、この像は足首あたりまでは人の脚になっています。像の体のモデルとなった、像を作った彫刻家のエドヴァルド・エリクセンの妻エリーネ・エリクセンの脚があまりにも美しく、魚にするのがしのびなかったためと言われています。なお、小ネタですがこのエリーネは俳優岡田真澄氏の伯母だとか。
人魚姫像のがっかりな理由
人魚姫像ががっかりと言われる理由のひとつは、その大きさの小ささ。わずか1m25cmしかなく、コペンハーゲン港の護岸部にあり干潮時は近くまで行けますが、通常は岸から数m先の岩の上にあるため距離も遠いんです。しかも足先だけが魚なのでほぼ「人」にしか見えず、背後には工業地帯と雰囲気も台無し。また、観光名所が集中した中心部からの距離も遠く、苦労して行っても人混みにうんざりする旅行客も多数います。たまに「海外出張」のため不在の時もあり、写真展示やライブビューイングな時もあるようです。
世界三大がっかりの理由③マーライオン
マーライオンとは
シンガポールのシンボルともいえるマーライオン。ライオンの頭に体は魚で、水を口から吐く白い像はとても有名ですよね。現地のマレー人の伝説によると元々この地を収めていた生物で、地名もそこから「ライオンの都市」という意味で「シンガプーラ」名づけられたそう。1972年に地元の彫刻家によってマーライオン像が作られ、シンガポールの発展とともに有名になりました。
マーライオンのがっかりな理由
このマーライオン、元々は実は違う場所にありましたが、海を向いているため背中しか見えず、しかもポンプの故障で水が吐けなくなったり近くに橋が架けられたことで見えなくなった時期がありました。確かにそんなんだったら、遠くからわざわざ見に行った旅行客にとっては残念極まりないですよね。そこで今の位置に移動され、ちゃんと正面からも見えるように桟橋も作られたわけです。
脱世界三大がっかりに成功した?!マーライオン
世界三大がっかりスポットと呼ばれるようになった頃のマーライオンは、前述のとおり見えないし水は吐けなくなるしで、有名な割には確かに残念な物でした。しかしその後、マーライオンは脱・がっかりに成功したといっても過言ではないほど劇的な変化を遂げました。
マーライオンは5体ある!
実はマーライオンは5体あるんです。一番有名なのはマーライオンパークにある高層ビルをバックに海に向かって水を吐く8mの大きな像です。マーライオンといえばほぼこれをさします。しかし、その背後に背中合わせにもう1体、小さなマーライオンがいます。こちらは「がっかり」と言われた当時、背中しか見えないので顔が見えるように逆向きに作られた物なんだとか。その他、セントーサ島の37mのタワー型のもの、フェーバー山の上、シンガポール政府観光局前にもマーライオン像があります。
世界有数の観光地に
シンガポールは近年劇的に観光開発が進み、海外旅行で行きたい国の上位にも入る人気スポットになりました。マリーナベイサンズや巨大な植物園、セントーサ島のユニバーサル・スタジオ・シンガポールなど魅力的なスポットが多数ありますが、それらに加えて必ず観光コースに入れられるのが、マーライオンがいるマリーナ・ベイを見渡せるマーライオンパークです。もう「がっかり」なんて言う人もいないでしょう。
実は三大じゃない!世界のがっかりスポット
世界には三大がっかり以外にも、まだまだ「がっかり」と言われるスポットがたくさんあります。マーライオンが抜けた穴を埋めるがっかりはどの観光名所になるんでしょうか?
観光地の宝庫ローマにもがっかりが?!
観光地の宝庫とも思われるイタリアの首都ローマ。ローマにまさか期待を裏切るがっかり観光名所があるとは誰も思いもしないでしょうが、あるんです。有名なトレビの泉。後ろ向きにコインを投げ入れると願いが叶うなんて言いますが、実際は写真のイメージとは随分違い、狭い中に観光客が押し寄せコインなんて投げられる状況ではないんだとか。また、同じくローマの真実の口も「ゲーセン」と変わらないレベルとの意見も。映画「ローマの休日」のイメージや写真で見た感覚で行くと、がっかりしてしまいそうです。
まだまだある、世界のがっかりスポット
まだまだがっかりはあります。フランスルーブル美術館のモナ・リザは思ったよりも絵が小さく、人だかりでじっくり見れないと不評。ドイツ、ライン川下流にある断崖絶壁ローレライも、伝説がなければただの岩壁、トルコのトロイの木馬もレプリカなのもあってアスレチック並などと酷評されます。
三大がっかり世界遺産もあった!
世界遺産として認定された物の中にもがっかりスポットがあります。オーストラリアと聞けば思い出すあの建物シドニーの「オペラハウス」は、近くで見ると黄ばんだり剥がれたりと汚く、あの真っ白いイメージとは程遠いんだとか。また、ナスカの地上絵は上空からしか見えませんが、セスナからだと高すぎて見えず、絵もヘタクソでそこまでして見る価値あったのか…との意見が聞かれます。
世界のがっかりより立派!?日本の類似品
世界のそんながっかりスポットの類似品が日本国内にもたくさんありますが、日本の物の方が立派で見た甲斐あると旅行客の間で話題になっている物もあります。
たつこ像(秋田県)
日本版人魚姫像ともいえる「たつこ像」という物が秋田県仙北市の田沢湖にあります。たつこ像は黄金に輝き周りも雄大な自然の中にあり、田沢湖の水も澄んでいてとてもきれいです。「日本百景」に選ばれる景勝地ですので、像がなくても満足度が高いです。
祖谷渓の小便小僧像(徳島県)
徳島県の祖谷渓にある日本の小便小僧像は、高さ200mの絶壁からおしっこをする勇気ある少年です。水が出ていない点では本家には劣るかもしれませんが、この高所のスリルと見下ろす絶景にはちびるどころか出るものも出ないかもしれません。
日本の三大がっかりスポット
日本国内にも旅行客ががっかりする残念な観光地は多数あります。その三大名所が、札幌時計台、高知のはりまやばし、長崎オランダ坂です。札幌時計台とはりまやばしは街のど真ん中にあり小さすぎて残念、オランダ坂は本当にただの坂で上っても下りても何もない残念さでランクインしています。
見えない世界遺産?!
佐賀にある世界遺産「三重津海軍所跡」は「明治日本の産業革命遺産」の23ある資産のひとつなんですが、ただの空き地にしか見えないというがっかり極まりない世界遺産です。日本国内最古のドライドックで、西洋の船舶技術を導入して日本が近代化を目指した過程を知るうえでの貴重な遺跡として評価されています。木造で地上に出すと劣化の恐れがあるため地中に保存され、近くにある「佐野常民記念館」で資料展示やVRによって体験できるようになっていますが、三重津なだけに「みえず」…これは逆にぜひ見に行きたいですね。
世界三大がっかりを見てがっかりしないために
世界三大がっかりスポットを振り返ると、小便小僧、人魚姫、マーライオン…とどれも人工的に作られた物。博物館に展示された国宝級の芸術品とは違って、同じ像でも大したことはないのはある程度予想はつくはずです。しかもどれも屋外で水回りにある物なので、劣化もするでしょうし、見て「残念」「がっかり」は想定内のはず。旅行計画を立てる際に下調べをして前評判を見ておき、それでも行きたいかどうか自問自答した上で、期待せずに見に行きましょう!
がっかりを楽しもう!
それでも見たいという人は、どれだけ残念でがっかりなのかを確かめるつもりで気楽に行きましょう。世界で有名なあの像、実物を見てみたら「期待をはるかに上回る衝撃的なショボさだった!」と楽しめばいいんです。そして、かつては名をはせた世界の名観光地を「がっかり」と思わせてしまうほど進歩した現代社会や科学技術の進歩に称賛と畏敬の念をもち、恵まれた環境に育ったことに感謝をしましょう。
世界三大がっかりスポットのひとつ、マーライオン