廃墟の基礎知識
建物や施設が廃業したり、使われなくなったりして荒れ果てた跡を廃墟と言います。
その廃墟が集まっている街をゴーストタウンと呼びます。廃業した病院、廃業したテーマパーク、廃駅、廃ビルなど、かつてそこにあった日本の美しい風景を見せてくれます。
特に日本はバブル崩壊の影響で開発が止まった廃ビルや廃業したホテルなど、バブル期の遺物とも呼べる廃墟がたくさんあり、多くの廃墟マニアに愛されています。
廃墟の魅力
廃墟やゴーストタウンの魅力は、その空間の侘しさや寂しさ、異世界に突然迷い込んでしまったような不気味さが混じって現実世界から隔離されたように感じるところです。
残されて廃ビルとなった建物や品物に、かつてそこで生活していた人たちの生活が垣間見れます。また、その時代時代の建築様式を楽しむこともでき、日本の美しい建造物を堪能することもできます。
普段の生活では触れられない非現実的な美しさが廃墟にはあります。
廃墟の探し方
日本の廃墟に関する本やサイトがたくさんあります。廃墟の一覧や写真を見て気になる日本の廃墟が見つかれば、Googleマップなどの地図で廃墟の場所を確認します。車で近くまで行ける廃墟や、途中から徒歩になる場合もあるので、廃墟までのアクセスを地図でしっかり確認します。
廃墟探索に必要なもの
廃墟探索の必需品は地図です。最近はスマホの地図アプリなど便利なものがありますが、場所によっては電波が届かない場合もあるので注意しましょう。
デジカメやビデオカメラもあると廃墟や廃ビルを撮影することができます。時期によっては、虫よけスプレーや虫さされの薬などの虫対策も必要です。
訪れる時間帯によっては懐中電灯も必要になります。山奥の廃墟や廃トンネルに行く時は、スニーカーなどの歩きやすい靴を履きましょう。
廃墟探索の注意点
日本の廃墟や廃ビル、ゴーストタウンは基本的に私有地で所有者がいます。所有者に無許可で敷地内に侵入すると違法行為になります。残された廃墟内の物を持ち出したり、壊すことも禁じられています。
航空写真やストリートビューでの鑑賞をお勧めします。また、廃墟周辺を訪れる場合も、公道上から廃墟の外観のみを見学し、近隣の方々のご迷惑とならないようお願いします。
東京都内にある廃墟20選
では、東京都内にある廃墟を紹介していきましょう。東京都内にも廃墟や廃ビル、廃駅など色々なスポットがあります。日本の美しい建築美やノスタルジックな雰囲気を感じながら、東京都内の廃墟をぜひご覧ください。(記事の情報は2018年2月10日現在のものです)
1.東京都内にある廃墟!旧相武病院編
東京都内にある廃病院、旧相武病院は八王子市にあります。地図で見ると、中央霊園の隣にあります。別名、「サマーランド裏病院」とも呼ばれ、東京都内の有名な心霊スポットとして知られています。
現在、建物は所有者によって管理されており、資材置き場として活用されています。周辺はバリケード封鎖されており、敷地内に入ることはできません。日本の古い病院と言えば南晴病院も有名ですが、現在も診療しております。
2.東京都内にある廃墟!晴海橋梁編
晴海橋梁は、東京都中央区晴海と江東区豊洲にある鉄道橋です。1957年に供用開始された、深川から晴海埠頭までを結んでいた港湾局専用線の晴海運河に架かる橋梁です。臨港鉄道の衰退によって晴海線が1989年に廃線になりましたが、撤去されず現在も残っています。
晴海橋梁自体は老朽化が進んでいるため、立ち入ることはできません。ですが、隣の晴海橋から眺めることができます。錆びついた橋梁と都会のビル街とのコントラストが素晴らしく、現在では人気の写真スポットにもなっています。
3.東京都内にある廃墟!旧台東区立下谷小学校編
旧台東区立下谷小学校は東京上野にある廃校です。地図で見ると、上野駅のすぐ近くにあります。東京の心霊スポットとしても知られています。下谷小学校は1990年に合併のために廃校になりました。
この小学校は当時の東京市が、1928年に建てた鉄筋コンクリート造り3階建ての建物です。なんと築90年を迎える古い建物です。現在ではツタの絡まる校舎が、趣のある雰囲気を出しています。
関東大震災後の復興小学校の一つとして建築されました。老朽化は進んでいますが、当時の様子を残す建物として多くの人々に愛されています。現在では建物の一部が台東区役所や近隣の関係者に利用され、校庭は近隣施設の自転車置き場や駐車場として使われています。
4.東京都内にある廃墟!代々木会館編
代々木会館は、東京の代々木駅前にある一見廃ビルのような雰囲気の建物で、「東京の九龍城」と呼ばれています。かつて香港に存在したスラム街「九龍城」のような雰囲気が観光客に人気になっています。
現在も数店テナントが入っているので完全な廃ビルではありませんが、3階以上は入れなくなっているようです。
別名「エンジェルビル」とも呼ばれています。これは、1970年代に放送された人気ドラマ、「傷だらけの天使」にエンジェルビルという名前で登場しているからです。昭和レトロな雰囲気を残す廃ビルとして観光客や周辺住民にも愛されていますが、老朽化が進んでいるため、解体の噂もあります。
5.東京都内にある廃墟!府中米軍基地跡編
府中の森公園の北側に、フェンスで囲まれて厳重に管理された府中米軍基地跡があります。1945年に接収されアメリカ陸軍施設としての使用されました。
1973年から返還が開始されましたが、住居や通信施設などの建物が残っており、日本の代表的なゴーストタウンです。閑静な住宅街の中に巨大なパラボラアンテナのある風景のコントラストが美しいところです。ですが、管理が厳重ですので敷地内に入ることはできません。
6.東京都内にある廃墟!八丈島オリエンタルリゾート編
東京の八丈島にある、昭和の大型リゾートホテルの廃墟です。日本三大廃墟の一つに数えられ、その圧倒的なスケールは日本最大級とも言われます。
バブルの遺跡とも呼べるゴージャスな美しい作りで、かつて八丈島の観光の拠点として使われていました。映画「トリック劇場版2」の舞台にもなりました。
現在は立ち入り禁止のバリケードが張られ、敷地内に入ることはできません。場所が八丈島なだけに訪れる人も少なく、美しい廃墟です。
フランスバロック建築の美しい外観で、内部には大理石の柱やシャンデリアで飾られた豪華な客室がありました。このような豪華な建造物としては、東京の代官山にあるジェフリ・ボルキア邸も有名ですが、こちらも内部に入ることはできません。
7.東京都内にある廃墟!旧日立航空機株式会社変電所編
旧日立航空機株式会社変電所は、東京都東大和市にある1993年まで使われていた変電所です。
地図で見ると、東大和南公園の中にあります。戦時中に度重なる空襲にあい、戦火の爪痕を残す建物は、東大和市の史跡に指定されています。
ゴーストタウンというよりも、貴重な戦災遺跡としてのイメージが強いです。現在は、東大和市が管理しており、内部に入ることはできませんが、不定期に行われるイベントの時に一般公開されています。
8.東京都内にある廃墟!奥多摩湖ロープウェイ編
東京を代表する心霊スポットとしても知られる、奥多摩湖ロープウェイです。ロープウェイの駅には、使われなくなったゴンドラがあります。このロープウェイの駅の画像は多くのメディアに掲載されているため、ご存知の方も多いと思います。
ロープウェイは「みとうさんぐち駅」と「かわの駅」を結んでおり、奥多摩を訪れる観光客でにぎわっていました。
「みとうさんぐち駅」には、当時使用されていた「みとう号」が残されております。1962年に運行を開始し、かつては奥多摩湖を望む絶景をロープウェイから見られたのですが、経営不振のため現在では運行していません。
駅舎や鉄塔、みとう号が残されています。駅舎に残ったみとう号は床が一部抜けていたりと老朽化が進んでいます。まるでゴーストタウンに取り残された駅のようです。
東京の心霊スポットとしても知られる「みとうさんぐち駅」までの道は、急な斜面の道なき道を行くので、大変危険です。そのため、ここを訪れる人はほとんどおらず、荒れるに任せた状態になっているようです。
9.東京都内にある廃墟!奥多摩寮編
廃墟マニアの間では有名な、東京都西多摩郡奥多摩町にあるかつての寮跡です。木造3階建てで、美しい色ガラスがはめられ、遊郭のような独特の作りをしており、建造物としても趣があります。
周囲に有刺鉄線があったり、中はほぼ朽ちているので入るのは危険です。奥多摩にはこのような廃墟や心霊スポットがたくさんありゴーストタウンのような雰囲気があります。
10.東京都内にある廃墟!浅川地下壕編
浅川地下壕は東京都八王子市の地下に広がる戦争遺跡です。陸軍の地下倉庫として1945年に完成しました。長年私有地でしたが、現在では、ほとんどを八王子市が管理しています。総延長が10㎞以上と言われる浅川地下壕は月に一度、「イ地区」のみ一般公開されています。
11.東京都内にある廃墟!旧吹上トンネル編
日本最恐の心霊スポットとして名高い「旧吹上トンネル」は、東京都青梅市にあるトンネルです。地図で見ると、トンネルが3つあり、地図上では吹上トンネル群と表されています。
自動車で通行できるのは「新吹上トンネル」だけです。
旧吹上トンネルは、東京の心霊スポットとして有名で、数多くの有名人が訪れました。心霊スポットを紹介する番組やサイトに度々取り上げられています。
東京だけでなく、全国レベルの知名度をもつ心霊スポットです。あまりに有名になりすぎて新たな東京の観光地と化しています。
近くには「旧旧吹上トンネル」もあり、こちらも東京の心霊スポットとして知られています。旧旧吹上トンネルの傍にはこちらも心霊スポットとして有名な廃屋があり、多くの心霊スポットマニアが訪れています。
トンネルと廃屋を一緒に見ると、まるでゴーストタウンのような雰囲気です。
12.東京都内にある廃墟!虎ノ門五丁目編
東京都内にある日本のゴーストタウンとも言えるのが虎ノ門五丁目です。虎ノ門五丁目は大規模再開発のために用地買収されたエリアです。ですが、バブル崩壊後の景気悪化のために昭和のまま時が止まっています。
使われなくなった民家やゴーストマンションが残っています。建物はすべて管理されており、立ち入り禁止の札がかけられています。
13.東京都内にある廃墟!浅草観音温泉編
浅草観音温泉は、東京都内にある浅草寺の西隣にあった日本の古き良き温泉施設です。地図で見ると、浅草花やしきの前に位置しています。2016年6月にボイラーの故障が原因で閉店しました。
現在はツタの絡む古い廃ビルが残っています。3階には演芸場があり、入り口には「唄と踊りで今日も楽しく」の看板がかけられています。
14.東京都内にある廃墟!青海橋編
青海橋は有明西運河に架かる全長264.9mの地図にない橋です。1991年に供用開始されたのですが、1994年に供用廃止され、現在も自動車の通行はできません。
歩行者と自転車は通行することが可能です。ドラマ「ふぞろいの林檎たち」のワンシーンにも使われました。供用廃止になったために、地図に載っていない場合が多いです。
15.東京都内にある廃墟!旧小峰トンネル編
旧小峰トンネルは都道32号線旧道にあるトンネルです。新小峰トンネルができたため、その役目を終えました。現在、トンネルの入り口には両側ともにゲートが設置されているので、自動車での通行はできませんが、徒歩での通行は可能です。
16.東京都内にある廃墟!ホテルニュー寿編
ホテルニュー寿は、2010年に廃業した東京都新宿区にあったホテルです。かつては江戸の景勝地となっていた十二社池があり、その周辺に料亭が軒を連ねた花街でした。
現在ではニュー寿の看板も取り外されています。ブラタモリで取り上げられて話題になりました。石段はゴーストタウンのような雰囲気を醸し出しており、観光に来る人もいます。
17.東京都内にある廃墟!小松川閘門編
東京都江戸川区の大島小松川公園内にある閘門(こうもん)跡です。完成は1930年と古く、歴史を感じさせる建物です。現在では水上交通が衰退したために廃止されています。閘門とは、水位が異なる水面を調節して、船を航行させるための特殊な構造の門のことです。
18.東京都内にある廃墟!田町遊郭跡編
田町遊郭は、八王子遊郭とも呼ばれ、1958年の売防法施行まで営業していました。当時の建物はほとんど取り壊されましたが、格子窓など、かつての美しい遊郭の面影がある家が数件残っています。
現在も使われているので、ゴーストタウンという雰囲気ではありません。昔の遊郭の雰囲気を味わえるということで東京の観光客にも人気です。
19.東京都内にある廃墟!若葉湯編
東京都新宿区にあった公衆浴場で、レトロ温泉として愛されていた若葉湯です。2017年8月31日に惜しまれながらも閉店しました。現在も建物が残り、店主が書いた閉店の張り紙が残っています。隣にはランドリーが併設されており、こちらも同時期に閉店となりました。
20.東京都内にある廃墟!羽村山口軽便鉄道編
羽村山口軽便鉄道は、ダム建設の資材を運ぶために東京都水道局が敷設した鉄道です。現在、路線跡のほとんどは遊歩道や生活道になっています。当時の面影を残す横田トンネルは自転車が通れるようになっており、サイクリングロードとして愛されています。
ノスタルジックな雰囲気を味わえる観光スポット
もっと近くで美しい建物を見たい!建物の中に入ってみたい!という人におすすめなのが現在も営業してるスポットです。東京都内には、歴史のある美しい建物で、現在も営業しているスポットがあります。
一度訪れてみてはいかがでしょうか。ノスタルジックな雰囲気をじっくりと味わうことができるでしょう。
晴海グランドホテル
東京都中央区晴海にある晴海グランドホテルです。東京ビッグサイトや舞浜への観光の拠点として観光客に人気のあるホテルです。歴史ある建物で、整然と並ぶ窓が美しいホテルです。2018年6月のリニューアルオープンに向けて、2017年の10月から改装中です。
八王子ホテルニューグランド
八王子駅から無料送迎バスで5分の所にある八王子ホテルニューグランドは、観光客にも結婚式にも人気のホテルです。150年の歴史を持つ美しい独立型の大聖堂は英国より移築されています。歴史を感じる大聖堂の外観は荘厳で美しく、観光に訪れた人を魅了します。
桐ヶ丘中央商店街
東京都北区の桐ヶ丘団地にある桐ヶ丘中央商店街は、昭和レトロな雰囲気を残す街です。シャッターの降りた店舗が目立ちますが、現在も営業している店舗もあります。看板や店頭に昭和の歴史を感じることができ、まるで昭和の時代にタイムスリップしたかのような味わいがあります。
あなたも廃墟の魅力を感じてみませんか
東京都内にある廃墟20選をご紹介していきましたが、いかがでしたか?東京都内にはこのように廃墟や廃ビルがたくさんあります。東京は再開発が盛んで、解体されてしまった廃ビルもたくさんあります。
いつまでもそこにあるとは限らない廃墟ですが、そこにはかなさを感じることができます。実際に訪れてみるのもよし、ストリートビューや写真集で見るのもよし、ぜひ廃墟の魅力に触れてみてください。
廃墟探訪で有名な栗原亨さん著。日本の廃墟56物件を紹介している本です。