アスチルベとは
本日植物図鑑でご紹介するのは、アスチルベという植物です。 もともと中国と日本にあった品種を、ドイツのゲオルク・アレンズという人が改良をしたものをアスチルベと呼びます。 初夏に円錐状の綿菓子のような花を咲かせ、とてもかわいらしい印象の花です。 そのピンク系や赤色の花は、和風と洋風どちらの雰囲気にも調和してとても使いやすいと言われます。雨や日陰にも強いことから、初心者でも育てやすく人気です。
科名
ユキノシタ科・チダケサシ属に属しています。日本自生している花ではでは6種類の花がこの科に属しており、おもにヨーロッパで品種改良が盛んです。
学名
アスチルベの学名はそのまま「Astilbe」と呼ばれています。
花名由来
アスチルベは、ギリシア語を由来としています。ギリシア語の意味を直訳すると「輝きがない」という意味です。 花言葉にも、「控えめ」「繊細」という意味があるように、小ぶりな花びらが人々にそのような印象を抱かせるのでしょう。 また、日本では「泡盛草(あわもりそう)」とも呼ばれ、まるで小さい泡が盛られているように見えることからそう名付けられました。
アスチルベの花言葉・開花時期
では、アスチルベの花言葉はどのような意味を持つのか 少し詳しく見ていきましょう。 開花時期も合わせてご紹介します。
花言葉:恋の訪れ 自由 繊細 控えめ
花言葉は、「恋の訪れ」、「燃える愛」、「自由」、「繊細」、「控えめ」、「落ち着いた明るさ」という意味があります。情熱的な面と繊細で控えめな面を持った2面性のある花言葉が特徴的ですね。
誕生花
誕生花は、5月12日と6月21日の2日、いずれも初夏の時期です。 ジューンブライドの時期と重なることから、結婚式でもよくブーケとして使われます。
由来
風で揺れている花穂の様子イメージして「自由」という花言葉に表しています。 花穂は小ぶりで派手さはかけますが、その奥ゆかしいかわいらしい印象から、「落ち着いた明るさ」「繊細」「控えめ」という言葉が連想されます。 また、泡立つように咲いているところから「燃える愛」「恋の訪れ」と表現しています。
開花時期
開花時期は、梅雨の時期から夏にかけての、5~9月です。多年草植物のため、植え替えをしながら何年も楽しめます。
アスチルベの育て方・栽培方法
ここでは、アスチルベの育て方と栽培補法をご紹介します。
難易度
難易度は、初心者向けということもあり高くはありません。 ただ、種から育てると個体差が大きく出てしまうため、まずは苗から育てるのが良いでしょう。
時期
開花時期:5月から9月 植え付け・植え替え時期:3月から4月、10月から11月 肥料の時期:3月から4月、10月
苗植え
種の販売もありますが、個体差が出ることから苗での販売が一般的です。ポット苗は、3月から4月と10月から11月に多く出回り、真冬や真夏の販売は少なくなります。またさらに手軽なのは、すでに花が咲いている開花株です。 植えるときの土は、乾燥にも強い腐葉土や赤玉土を混ぜたものを使うとよいでしょう。
水やり
アスチルベは、乾燥には強くありません。土が完全に乾いてしまうと、冬でも傷んでしまします。 季節を問わず表面が乾いてきたら、鉢の底に水が出てくるくらいに水を与えましょう。ただし、水の量は多すぎるとかえって根を腐らせてしまうので、季節によって水やりの頻度は調整してください。 また、花に水をかけると花が枯れやすくなってしまうため土部分に水をやりましょう。
肥料
基本的にあまり肥料は必要ないものになります。もし肥料を与えるなら、春の成長期と秋ごろにするのが良いでしょう。 緩効性化成肥料か液体肥料を使います。量や濃度を間違うと根がダメになってしまうため、回数を決め少しずつ与えると安全です。
増やし方
アスチルベを増やしたいときは、種まきではなく株分けでふやすことが一般的です。1つの株に3~5芽に分けて植えるとよいでしょう。3つ以下にすると花が咲きにくくなるため注意が必要です。
場所
日陰や雨にも強く、寒さにも強いことから、全国どこでも栽培できます。 ただ、暑さと乾燥には弱く葉焼けをしてしまうため、日陰に置き、乾燥を防ぐために水をたっぷり与えましょう。
植え替え
植え替えは1年~2年おきに行います。ただ株が増えて根詰まりを起こす場合は、経過期間を問わず植え替えしましょう。株分けをするか、大きな鉢に植え替えるなどするとよいです。 また、開花のシーズンが終えたあとは、茎の部分を根元から切り取る作業を行ってください。これをしないと来年花が咲かなくなってしまいます。
こんな病気に注意
●白絹病(しらきぬびょう)、灰色かび病 この2つの病気に注意が必要です。梅雨の時期湿気が多いと発生しやしく、水はけが悪い状態でも病気になってしまいます。この白絹病は一度かかると治療できないため、しっかり予防しましょう。
こんな害虫に注意
●アブラムシ、ナメクジ、ハダニなど これらの害虫に注意が必要です。柔らかい蕾を好みますので、開花直前の時期などは被害を受けやすくなります。見つけたらすぐ、薬剤で退治しましょう。 (害虫対策について気になる方は、こちらもチェックしてくださいね)
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アスチルベの特徴
比較的涼しい気候を好む多年草です。草丈は20㎝~80㎝と個体差があります。もともとは、中国や日本でも自生していた種類のため、別名としての和名がいくつかあります。また、本来の淡いピンク色や白色のアスチルベを染めて流通しているものもあります。 ここでは、色のバリエーション(染めたものも含む)と別名についてご紹介します。
花の色
白、紫、ピンク、赤、茶 が自然の花の色です。
染色した青のアスチルベも人気!
フラワーショップでも白いバラやカーネーションを染色したものが売られています。実は、アスチルベもバラやカーネーションと同じく、染色に適した花なのです。 上の写真は青い色に染められたアスチルベです。雰囲気が変わって、ラベンダーのようにみえますね。いろいろな組み合わせのブーケにぴったり合いそうです。
別名
東アジア・北アメリカに自生していた植物のため、別名がいくつかあります。 ●アスティルベ ●泡盛草(アワモリソウ) ●曙升麻(アケボノショウマ)
アスチルベの品種・原種
ここでは、アスチルベの原産地とその分布域について詳しくご紹介します。
アスチルベの種類
アスチルベは世界で25種類ほどあり、日本では約6種類ほど自生しています。 たいていは種類で選ぶというより色で選びます。品種で選びたい場合はネット通販での取り扱いになるでしょう。
ビジョンス
中国で自生している系統です。 大半は濃いピンク色で、赤や白色のものもあります。
スプライト
他の種類に比較して小型です。横に穂が広がって柔らかな印象を与えます。花の色はピンク系や白です。
ファナル
アスチルベの代表格。赤い花を咲かせます。
原産地
日本、中国、朝鮮半島、中央アジア、北アメリカ が原産地です。
分布域
分布域は、上記地域だけでなく、原産地ではなかったヨーロッパにも広く出回っています。 ドイツのゲオルク・アレンズが園芸用の花としてアスチルベを開発しました。このおかげで、今ではヨーロッパ式のガーデンには必ずと言っていいほどアスチルベがあります。
アスチルベのその他おすすめ情報
ここでは、少し別の角度からアスチルベをご紹介します。 これを知ると、アスチルベを育てることがもっと楽しくなるはず。
結婚式でも大人気!
アスチルベは、結婚式でもよくつかわれています。日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、とくにヨーロッパ・アメリカでは開花時期、外見の印象や花言葉から、絶大的に人気を誇っています。 ガーデニングだけでなく、フラワーアレンジメントに使うとさらに楽しめそうですね。 (ブーケの作り方が気になる人はこちらもチェック!)
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オリジナルカラーのアスチルベを作ろう!
自分で育てた白色のアスチルベをそのままブーケにするのもよし、そのアスチルベを自分好みの色に染めることもできるんです。「どんな色がいいかな?」と想像するのも、楽しみが1つ増えますね。切り花専用の染色剤も売っているので、気になる方はぜひチャレンジしてみてください。染色とは少し違いますが、ドライフラワーにしてみるのもおすすめです。 (ドライフラワーの作り方が気になる人はこちらもチェック!)
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まとめ
いかがでしょうか。アスチルベは、雨天にも負けず初心者にも育てやすい植物です。一度手に入れれば何年も花を咲かせることができるし、ブーケや染色するのにも適しているので、コスパがよい植物と言えるでしょう。 欧米の花嫁から絶大人気のアスチルベからガーデニングデビューをしてみませんか?
ピンクのアスチルベが散りばめられて、とても可愛らしいですね。