メタルジグは自作できます!
ジギングをする人ならば、きっとジグに関しては、お気に入りの1本があると思います。それが100均のジグでも2000円のジグでも、ロストした時の心の痛みは大体(まったくとは言えない)同じです。
またロストでなくても、塗装が剥がれたり割れたりと、ジグは劣化することもあります。しかしご安心ください。ジグは自作できます。お気に入りの1本をお気に入りの100本にすることも可能です!
メタルジグ自作の方法
まずはモチベーションアップから
サゴシ沢山ゲット!
— takay-an (@tack_yassu) October 9, 2017
自作メタルジグが多数殉職。 pic.twitter.com/6UBrZAoiWn
自作メタルジグで魚を釣ることの快感は、やったことのない方には判らないことだと思います。また、自作したメタルジグをロストした時の悔しさも。 しかし画像のように、歯のある魚との対決はロストとの戦いでもあります。
ロストの悔しさ悲しみを和らげるためにも、メタルジグの自作方法を覚えたいものですね。
ジグ自作には幾つかの方法があります
メタルジグを自作するには幾つかの方法があります。例えば画像のようにステンレスからの削り出しも一つの作り方ですし、また中通しシンカーを金づちで叩いて延ばしただけでもジグは作れます。
ただしいつも同じクオリティのジグを大量にとは望めません。今回は型から作り、いつでもお気に入りのジグを簡単に手に入れる方法をご紹介いたします。
耐熱シリコンで型を取る
今回ご紹介させて頂く方法は「鋳造」という作り方になります。これは耐熱シリコンという材料で型取りをし、溶かした鉛を型に流し込んで成型して行く作り方で、同じものを大量に、しかも美しく簡単に作る方法です。
材料や道具の紹介には一番間違いないものを選んで紹介していきますが、中には安い代替品で済ませられるものもあります。それはそのつど紹介していきますね。
メタルジグ自作に必要な道具1
耐熱シリコン
旭化成 ワッカーシリコン M4470 1kgセット
まずは道具を揃えましょう。第一に型取り用「耐熱シリコン」が必要です。鉛の融点が約300度のため、それ以上の耐熱性のあるものを探して下さい。画像のものでおおむね1㎏あたり5000円ほどで手に入りますが、硬化剤とセットになっている物を求めて下さい。
混合率は100対4でよく混ぜて使います。説明書きには「約2時間で硬化」となっていますが、最低でも12時間はおいてから使用して下さい。
安価な代替品
ヤコ オーブン陶土「工作用」 400g
熱に強くて型が作れるのであれば「陶器粘土(陶土)」という手もあります。こちらは型取り一回分で600円ほどで手に入りますが、そう何度も使えるものではありませんし、最初は使い勝手のよいシリコンをおすすめします。 ちなみに型取りしてから一週間ほどは乾燥にかかります。
メタルジグ自作に必要な道具2
VANCE VM009 Mr.クレイ2
油粘土は型取りする時に元になる形を正確に再現してくれます。ただし、ぐっと押しつけて型を取るのですが、押し付けた側ではなく、外側に出ている側の型をシリコンで取りますので、勘違いしないようにお願いいたします。ですから元になるジグを押し付ける面は、なるべく平らになるように成形して下さい。
メタルジグ自作に必要な道具3
型取りブロック
GSIクレオス Mr.型取りブロック2
油粘土で型取りする時に「型枠」が必要になります。ジグの大きさ、太さによって型の広さ高さが変わるのは当然ですが、固定式の型枠では複数の(数・種類)型取りに対応できません。
そこで「型取りブロック」が便利です。その都度バラしながら一番作り易い大きさに組み直して何度でも使えます。1セット1000円程度のものなので、必要に応じて揃えておきましょう。
型取りプレート
GSIクレオス Mr.型取りブロックプレート
型取りブロックの下敷きです。これがあるとシリコン漏れなども起こさず安心して作業ができます。
レゴブロックや木枠でも
実家からレゴ回収。
— YOGEN (@yogennsya) March 14, 2014
型取りの型枠をつくります。 pic.twitter.com/gWQHIhPR5H
おうちにレゴブロックやダイヤブロックのある方はそれで代用が効きます。
また、牛乳パックや木枠を自分で組んで型枠を作る方もおられます。シリコン流し込みは圧の掛かる型取りではないため、ようは固まるまで動かないようにキープできていればいいので、器用な方はご自分で製作されてもいいかと思います。
メタルジグ自作に必要な道具4
型枠を剥がしやすく
VANCE VM008 Mr.シリコーンバリアー
シリコンに半分埋め込んだジグの型に、さらに上からシリコンを流して覆い尽くすのですが、それは最後に二つに割らなければなりません。シリコン同士が同化してしまわないように間にバリアーを作ります。
それがこの「シリコンバリアー」です。たっぷりと塗っておくとシリコンがきれいに剥がれます。
代替品にはいろいろなものが
実はバリアーに関しては、同化しない物なら何でもバリアーの役ができます。ハンドクリームやシッカロールなどで代替えしている方もおられます。ただ、上記画像のものは、1本で900円程度のお値段なので、揃えておいても損はないと思います。
メタルジグ自作に必要な道具5
彫刻刀
義春刃物 マルイチ彫刻刀 5本組 T-5
シリコンでできた型に鉛を流し込む穴を「湯口」と言います。湯口から鉛を流し込む際、入った鉛の分エアを抜かなければなりません。シリコンで型ができたら湯口とエア抜き穴を彫刻刀で作ります。
簡単な方法も後述いたしますが、どちらにしても細かいバリ取りなどに必要ですので、丸刀と切り出しくらいは用意しておきましょう。
メタルジグ自作に必要な道具6
卓上コンロ
イワタニ カセットフー 達人スリムII
メタルジグの素材となる鉛は約320度ほどで溶けます。小鍋に材料の鉛を入れ、溶かしていくにはコンロが必要ですが、最近のIHコンロは(おおむね)250度ほどまでしか温度の上がらない物が多いようです。
有毒ガスが出ることもある鉛溶解作業ですから、持ち運びに便利なカセットコンロを一台持っておくことをおすすめします。
メタルジグ自作に必要な道具7
片手鍋
和平フレイズ 片手鍋 VR-8337
鉛を火にかけ溶かす作業には、少し柄の長い片手鍋が必要です。縁の形は円形でなく注ぎ口の付いている物を選びましょう。注ぎ口があっても口が太く注ぎにくいものもありますので、鍋自体を曲げたり叩いたりして改良して使いたいので、簡単に曲げられる(お安い)ものでよいと思います。
片手鍋の代替品
↓ 1つ前の僕のツイートでメタルジグを自作されてる方は鉛を溶かすのはフライパンが、僕はフルーツの空き缶に取っ手を付けてます。テフロン加工みたいな良いものは勿体なくて使えな~い(。>ω<。) pic.twitter.com/sr7UrZE3QV
— Leon (ノ^^)ノ♪ (@Leon_21R) March 19, 2017
ようは鉛の沸点では溶けないものを使えばいいわけで、100均のミルクパンや鉄製の缶詰の缶でも充分に使えます。
新品の鍋を使う場合の注意点は、内側にコーティングが施されている場合がありますので、1度空焼きをしてコーティングを焼き切って下さい。缶詰の缶などを使う場合は、手で触れないようにペンチやヤットコなどを使用して下さい。
メタルジグ自作に必要な材料1
鉛インゴット 2.3kg
道具が揃ったところで次は材料です。まず必要なのがジグのボディーを形成する鉛です。実は鉛にもいろいろありまして、純度の高いものからスズや亜鉛などの混じったものまでさまざまです。
加工の簡単さ(バリ取りや削り)から考えますと、画像のような純度の高いものがよいのですが、ちょっと柔らかいかもしれません。お値段はあまり変わらずアンチモン含有の硬質鉛もありますから、使い勝手で選んでみて下さい。
鉛の代替品
家の倉庫で眠っている鉛はありませんか。溶かして固めるメタルジグの作り方では、溶かす鉛を選びません。叩きや削りで製作するのならば硬さなども加味しなければなりませんが、鋳造では何でもOKです。
裏ワザですが、メタルジグを硬くしたければ印刷用の鉛活字(ヤフオクなどで安く出ています)を混ぜて使ってみて下さい。少し軽くなりますが、カチカチになりますよ。
メタルジグ自作に必要な材料2
アイを作る
NTY ステンレス線 線径 1.4mm
メタルジグの前後に出ている「アイ」の部分は、ステンレス針金の手曲げで作ります。個人的なおすすめになってしまいますが、1.5mmでは太くて加工がしにくいですし、1.2mmでは心もとないので1.4mmをおすすめします。とはいえ1.4mmでも充分に硬いので、加工画像を後ほど載せておきますね。
手間いらず
NTスイベル ステンレスライン 1.4mm
ステンレスの針金を入手する時に、「ステンレスばね線」という名称で探すと画像のような「直線」の「硬質」なステンレス線がヒットします。アイ作りにはちょっとお高いですが(50㎝600円ほど)、こちらの方が向いています。巻いてあるものは1度真っ直ぐにしてから使用しますので、手間が省けますからね。
メタルジグ自作に必要な材料3
ホログラムシート
Croch 高輝度ホログラムシート
メタルジグのボディーを美しく簡単に仕上げるために「ホロシート」を用意しましょう。ネット通販などで1枚500円から1000円ほどで手に入りますが、最近では100均でも各種売られています。ただしあまり伸びがよくないので使いづらいかもしれません。何度か貼りこみを繰り返し、腕を上げていって下さい。ジグがイキイキとしますよ。
メタルジグ自作に必要な材料4
コート剤
東邦産業 ウレタンフィニッシャーEX 130ml
メタルジグにホログラムシートを貼り、好みで目などを取り付けたら最後に「コーティング」を施します。これはメタルジグ表面にコーティング剤を塗るのではなく、ジグ自体をコーティング剤にザブンと漬け込む「ドブ漬け」という方法をとります。簡単ですし、綺麗に仕上がります。最後にスプレーなどで塗装をします。
代替品?
あまりおすすめではありませんが、「水性ニス」でもコーティングはできることはできます。ただし塗装面が柔らかいのでハードな使い方には向きません。
長所を見付けるならば「水性」であるため、前項の「最後にスプレーで塗装」の部分が「スプレーで塗装後コーティング」になるところでしょう。塗料を溶かす溶剤が入っていないため、人体にも優しいですしね。
メタルジグ自作のテクニック1「型取り」
ここから作り方です
この動画はメタルジグの作り方の動画ではありませんが、もっと細かい型取りをしているので取り入れてみました。視聴する時にはシンカーをメタルジグにしたら、と考えながら観てみて下さい。
「え、こんなに細い線まで再現できるの?」と驚かれるかもしれませんが、湯口やエア抜き穴などの付け方なども参考にしてみて下さい。
型はお好みで
型取りのやり方が分かれば、後はメタルジグの形を決めるだけです。販売目的でなければ自分の使っているジグから簡単に型を起こし、その後塗装に凝ってもいいですし、慣れてきたら画像のようにバルサなどを削って、自分好みのオリジナルメタルジグを作ることも簡単です。
メタルジグ自作のテクニック2「部品作り」
アイの作り方
動画の主はかなりの腕前なので真似しにくいかもしれませんが、正確な曲げ技術は釣果にもジグの美しさにも影響して来ます。
後から修正はできるとはいえ、鋳造時にストレートになっていなければ、アイのチモト部分が曲がってしまいジグの泳ぎに影響がでます。アイの作り方はいろいろありますが、慎重に、丁寧に、を心がけて下さい。
アイの簡単な作り方
一般的に一番簡単なアイの作り方は、台木に作りたい長さで二本の釘を打ち、釘の頭をカットして、そこにステンレスワイヤーを巻いていく方法です。この方法ですと、常に同じ長さのアイが作成できます。ですから動画で紹介した作り方と併用すれば、完璧なジグができるかもしれませんね。
メタルジグ自作のテクニック3「鋳造」
コツは二つ
型ができてしまえば、アイを仕込んで鉛を流し込むだけです。 気を付ける点は二つ。まずは「一気に大量に流し込まない」こと。ドバっと注ぎますと湯口が詰まり中に空洞ができてしまいます。かといってとぎれとぎれに入れてはいけません。中に分離帯ができることがあります。コツは「細く静かに途切れさせずに注ぐ」ことです。
型を温める
動画のように型を温める道具のある方は少ないと思います。その場合はアイを仕込まずに、まずは一つ流し込んで下さい。30秒ほどでジグを取り出し型を温めたら次からが本番です。一つ目のジグはまた鍋に放り込めば材料に戻ります。ジグの表面がきれいに整いますよ。次の行程の塗装をうまく乗せるために、も必ず型は温めましょう。
メタルジグ自作のテクニック4「塗装」
手順が大切
動画はありもののメタルジグを改造するものを使わせていただきましたが、ジグ作りで重要なのは「手順を守る」ことです。塗装をする塗料の溶剤が問題なのですが、ウレタンコートドブ漬けの作り方ですと、一番手に入れ易い「ラッカー系塗料」はすべて溶けてしまいます。
動画では透明グルーでコートしていましたが、ドブ漬け後の塗装もありです。ようはウレタンの有機溶剤が、直接塗料に触れないようにすることが重要です。
丁寧にコート
塗装が済んだらウレタンコーティング作業ですが、換気をしながら最低でも3回は漬け込んで欲しいものです。画像のように簡単な「ジグ干し場」を作っておくと効率が上がります。
ドブ漬けをする材料は、ウレタン系の他にセルロース系のセルロースセメントなどがありますが、こちらは硬化後が硬すぎて割れが出やすいので、あまりおすすめできません。ジグの使い道はハードですからね。

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メタルジグ自作の注意点
熱くて有害
メタルジグ本体に使用する「鉛」は有害物質です。体内に取り込むと「鉛毒」を起こします。特に熱を加え溶解が始まると空気中に分散されます。その時は温度も300度を超えています。とにかく鋳造式ジグ作りでの注意点は「吸い込まない」こと、「直接触らない」ことを徹底して作業して下さい。
自作のメタルジグで釣りに行こう!
今回は自作メタルジグの作り方をお届けしましたが、メタルジグの作り方は一つではありません。当然もっと簡単なジグの作り方もありますが、どのような作り方であっても自分で作ったメタルジグで釣り上げた一匹は別格です。
ターゲットごとに形を変えたり、釣り場によって重さを変えたり、いろいろなシチュエーションに合わせた自慢の一本を作ってみませんか。

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