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ブリの生態や基本情報まとめ【魚図鑑】

ブリは日本の沿岸を回遊する回遊魚で、本州の沿岸なら何処でも季節的に回遊している、青物と呼ばれる季節回遊魚です。釣りの大人気のターゲットで、全国津々浦々で乗合の沖釣りを行っています。出世魚で呼び名が変わり、冬は有名な寒ブリと呼ばれ美味しく有名な良い魚です。
更新: 2021年2月27日
adanokinawa83
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ブリの分類

スズキ目、スズキ亜目、アジ科、ブリ属

スズキ亜目、アジ科のブリ属に属し、亜熱帯、温帯域にて世界に広く分布するグループです。本種はブリ属ブリですが、同じブリ属の近縁種にヒラマサ、カンパチ、ヒレナガカンパチなどがいます。 この属は食味が大変良く成長も早い為、日本をはじめ世界で広く養殖生産されています。

ブリの外国名

Japanese amberjack

英名では「Japanese amberjack」【amberjack】=ブリ属との名称です。カンパチは「Great amberjack」ヒラマサは「Amberjack, Yellowtail」です。

ブリの学名

Seriola quinqueradiata

ブリの学名は「Seriola quinqueradiata」【Seriola】=ブリ属を指し、カンパチは「Seriola dumerili」ヒラマサは「Seriola lalandi」です。

ブリの名前の由来

鰤(漢字名)

鰤(漢字名)で、魚へんに(師)となっています。寒ブリの流通を指す名称で師走の時期に寒ブリが美味しく流通し、美味であったことから由来されました。

形態などからの由来は ・脂ののりが大変良い事から「脂」→「ぶら」→「ブリ」 ・雪の降る時期に漁獲が重なり、「雪の降り」→「ブリ」 ・頭が大きく丸い為、「つぶり」という名称から「ブリ」 等の諸説色々あります。

出世名

ブリは出世魚でその名の通り成長するたびに名前が変わります。 関東ではワカナゴ(20㎝~35㎝)イナダ(35㎝~55㎝)ワラサ(55㎝~80㎝)ブリ(80㎝以上)と呼ばれます。

寒ブリで有名な北陸ではコソラグ(20㎝~35㎝)フクラギ(35㎝~55㎝)ガンド(55㎝~80㎝)ブリ(80㎝以上) 関西ではツバス(20㎝~35㎝)ハマチ(35㎝~55㎝)メジロ(55㎝~80㎝)ブリ(80㎝以上) 等と各地様々な出世名で呼ばれています。 また養殖のブリは大きさに関係なくハマチと呼ばれています。

ブリの分布地域

温帯域に広く分布

分布は広く日本では北海道から九州にて普通に見られ、南西諸島でも稀にみられます。 海外では北はカムチャツカ半島沿岸、西は朝鮮半島東南沿岸、南は東シナ海沿岸、西はハワイまでの北西太平洋と広く分布します。

ブリの形態

他のブリ属との違い

ブリ属は大きな魚の属種です。ブリは体長1m~1.5m・体重10kg前後と大型で他の近縁種も同様のサイズですが、稀にヒレナガカンパチやヒラマサで50kgに達する大物の漁獲があります。ちなみに天然のブリの最大サイズの漁獲は40kgです。

ブリとカンパチ2種の違いは明確で、ブリの方が円錐形の体形でカンパチの方が側扁平で体高が高く、背面の色素が薄く一見して区別がつきます。

ブリとヒラマサがよく似ていて一見して区別がつかない程です。よく見て判別するのですが胸鰭の形がブリの方が細長く、上唇の角の形がブリは角ばっているという違いが明確です。

ブリの食性

肉食性の魚です

食性は肉食性で、小魚、エビをはじめとした甲殻類、タコ、イカを捕食しています。小型のブリやカンパチを釣るときはエビやイカの切り身を付けカゴのオキアミを入れ誘い釣ります。

ルアー釣りではイワシを模したメタルジグで釣果があります。この事からも、小魚を中心とした甲殻類を好んで捕食している様が伺えます。


ブリの生息環境

回遊

ブリ属の中で唯一サケやマグロのように大回遊をします。南日本の沿岸で孵化した稚魚は北上し、2歳まで沿岸の浅瀬で生息します。3歳から南下回遊を行い、日本沿岸を大回遊します。 春から夏にかけて、北上し北海道付近で秋になると南下します。

この様に成魚は日本の沿岸海域の、一定の海域の水温に合わせ周遊するように回遊しています。 また、1部の南海域のブリは北上せずに九州や東シナ海に居着く者もいます。

産卵

産卵は上述したように多くは南日本の浅い海域で行われます。詳しく解っている場所は東シナ海沿岸、男女群島、九州西岸~日本海西部域、九州南岸、土佐湾、伊豆、関東南岸域と広域で産卵が行われます。 産卵時期は地域によって異なります。

東シナ海、男女群島、九州南岸は2月から4月。土佐湾、伊豆、関東南岸では3月から6月。九州西岸、日本海西部域では5月から7月。 この様に2月から7月までの長い期間で日本の沿岸で産卵を行います。産卵は1腹から100万個の卵を産みます。

ブリの特性

遠泳力

ブリはブリ属の他の3種と異なり、沖合で回遊します。水深100mの沖合の中層~表層にかけて広範囲に餌を追いながら回遊しています。 その為か泳ぐ速さはマグロに次ぐと言われ、最速で時速40㎞で泳ぎます。尾柄(びへい)の力は強靭で、一振り10m前後進みます。

またブリもマグロと一緒で口から海水を取り込む呼吸法をしています。カツオやカジキも同様に高速で泳ぐ回遊魚にとって口からエラに酸素を取り込む事で強力な推進力を得ています。

ブリの身

ブリの刺身は一見白身に見える事があります。白身魚と思われている所もありますが、赤身魚です。 白身魚と赤身魚の違いは、血液色素タンパク質・ヘモグロビンと、筋肉色素タンパク質・ミオグロビンの量で判別されます。立派な血合いを持ったブリは赤身魚です。

ブリのサイクル

産卵から孵化した稚魚は、表層の漂流物について海流と共に北上し、この藻などに寄り添う稚魚を「モジャコ」と呼びます。そのまま浅場の沿岸で2年程過ごし、暖かくなると沖に出て北上します。

3歳になって成熟すると夏は北海道沿岸で回遊捕食し秋には南下し翌年産卵します。 回遊ルートは東シナ海~北海道北西岸のルートと東シナ海~太平洋~三陸沖で引き返すルートがあります。

ブリの釣り情報

ここでは釣魚図鑑の為、概要をご紹介します。詳細はリンクや動画を御参照下さい。 また、釣りではブリだけでは沖合の物が主となりますので、同じブリ属の沿岸性の強いカンパチも含めます。

ブリの釣り・ポイント

釣りのポイントは大きさによって変わりますので、出世名(関東呼び)でポイントを紹介していきます。 ワカシ、イナダ ショゴ(カンパチの子) 潮通しの良い急深のサーフ、同様の防波堤で釣れます。

ワラサ、カンパチ、ブリは外洋に面した水深のある磯に回遊しますのでポイントです。 沖釣では沖の沈み根の周りを狙い、水深50m~100落とし込んでブリやヒラマサ、カンパチを釣ります。 まれな例ですが外洋に面した漁港でも大型のブリが釣れて話題になります。

ブリの釣り・シーズン

上述のワカシ、イナダなどの幼魚は関東付近では6月~11月です。 陸っぱりからのワラサ、カンパチを狙うシーズンは春先と8月~11月頃が狙い目です。 沖釣りのブリ、ワラサカンパチ釣りは通年出船し釣果がありますが、5月と10月~12月までが良いシーズンとなっています。

サーフトリーリング

サーフトローリングとはサーフや堤防で投げ竿で天秤+仕掛けを遠投し、弓ヅノという毛バリの様なルアーを高速で引き、ワカシ、イナダ、カンパチを釣ります。 100mの遠投が可能ですので沖の群れが狙え、爽快な釣りです。

ショアジギングも同様の場所で行われ、メタルジグを主体にルアーフィッシイングで表層から、海底まで広く探って釣ります。 獲物は25㎝~40㎝のブリなどの子魚です。


ルアー釣り

ルアー釣りはショアジギングと同様にジグを多用します。ポイントは外洋に面した荒磯や、同様の水深がある堤防です。メタルジグを中心に、アタリがある場合は、フローティングミノーでアピールしヒットを狙います。

水深がある堤防ではジグを一度沈めて大きくロッドアクションし繰り返す、大物狙いのショアジギングも行われています。

乗合船での沖釣り

秋から晩秋のワラサ狙いの乗合船が関東近郊では盛んに出ています。ポイントは海岸から5㎞~10㎞の沈み根廻り等を狙い、仕掛けを投入します。片テンビンにオキアミのコマセを入れてオキアミを針に仕掛け狙います。

水深は50m~100落とし込んでコマセを大きくあおり集魚し、狙います。 また近年では同じポイントでのジギングも盛んに行われ、60g~100gの大型のジグを100mの水深まで落とし込み、激しいアクションで魚を狙い釣果もあがっています。

ブリの釣り・動画

四国の高知の室戸岬沖でのオフショアジギングの動画です。秋から晩秋に回遊するブリやカンパチの成魚をジギングで仕留めている動画です。

秋の三浦半島近海でのワラサ釣りの動画です。餌釣りのタックル、仕掛けから丁寧に説明している入門編です。 コマセの撒き方タナの取り方など丁寧に説明してくれています。

ブリの味・選び方

ブリは冬の美味しい魚の代表的な魚です。刺身では脂がのったプリプリの食感と甘みがある身の味は刺身の中でも上級の美味しさです。刺身だけでなく、照り焼き、煮付け、塩焼き、汁物など幅広く楽しめ、実に美味しい良い魚です。

切り身の選び方

切り身は身が白く透き通っている物を選びます。褐色がかり、透明感が無い物は駄目です。白さが際立って輝いている物は脂が多いです。 赤い部分は血合いですが、血合いで鮮度が解ります。

血合いが赤い物は鮮度が良く血合いが黒ずんできている物は鮮度が落ちています。 パックの底に水や血汁があるものは鮮度が落ちているのでパックの底も注意しましょう。

一匹物

先ず全体を見て丸くふっくらしていて、艶があるものを選びましょう。次に端部を見るのですが、目に濁りが無く、エラが綺麗な赤色で色落ちが無い物を選びます。 また、尾ヒレが大きい物は身の締まりが良く欠品が無い物を選びます。

うろこの輝き、背中の青い発色、中央部の黄色いラインにも注目し、輝き、発色が良い物を選びましょう。

ブリの栄養・寄生虫

栄養素

冬のブリはとても脂がのっています。この脂が体に悪そうですが、実はむしろ脂の成分が体に良いと言われます。 脂の成分の中には不飽和脂肪酸に分類されるドコサヘキサエンサン皆さんご存知の(DHA)と、エイコサペンタエン酸(EPA)が豊富です。

DHAは人間の脳や神経組織に多く存在し、情報伝達を円滑に行う為に必要な栄養素で、積極的に摂取すれば記憶力の向上に役立つ栄養素です。 EPAは善玉コレステロールを減らす栄養素です。

他にもナイアシン、ビタミンD、ナイアシンが豊富で デトックスや肝機能に良い栄養素です。 さらに赤身は良質なタンパク質で上述の通り、量を取る程栄養摂取が出来ますので、獣肉に比べて体に良い食材です。

効果

上述でも触れましたが、栄養素満点の良質な食材です。栄養素の効果をご紹介します。 DHAは脳の活性化に役立ち、記憶力向上、アルツハイマーの予備効果があります。

EPAは悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やし、中性脂肪も減らします。 ですので血中細胞の良化を行い、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞の予防につながります。

タウリンも含まれていますので、EPAとの相乗効果が期待出来、タウリンは体内の解毒作用を助ける効果がありますので肝機能の強化が期待できます。 ナイアシンは二日酔いの原因アセトアルデヒドの分解を助けますのでお酒を飲む人には心強いです。

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける効果があり、血合いには、鉄分とミネラルがふんだんに含まれているので、貧血や疲労回復に役立つ効果があります。


寄生虫

どの魚にも寄生中は寄生していると言いますが、ブリの寄生虫はどの様なものでしょうか。下記にてご紹介いたします。 「ブリ糸状中」 ブリの寄生虫として多く知られています。この虫は魚の血を吸って寄生します。

見た目はミミズの様な細長い体形で、血を吸うので赤色です。寄生虫の中では大型で大きな物は50㎝位になります。

この寄生虫はブリに比較的に多くいますが、人間には無害です。 ブリの寄生虫の中で危険な物はアニサキスです。この寄生虫もミミズのような体系ですが、こちらは白色で、魚の胃や内臓に取り付き細胞を食べ寄生します。

人間の胃や腸に入ると胃壁や腸壁に噛み付き激痛を起こす怖い寄生虫です。寄生したら地獄の苦しみを味わいますので、生食は注意が必要です。 刺身で食べる場合は目視も可能なため、薄切りにて確認を行ったうえで食べます。

また熱には弱いので加熱する料理では心配無用です。寄生虫の多くは加熱で被害を防げますので、心配な場合は加熱料理で美味しく戴く事で防げます。

ブリの料理・調理法

3枚卸し

釣りたての新鮮な魚はお刺身がやっぱり美味しく戴けます。ブリは捌きやすいお魚なのでおすすめです。鱗を落とし、えらぶたを広げてえらとカマの付け根に包丁を入れ顎の付け根を切ります。

腹を尻穴側から包丁を入れて内臓を取り除きます。先程縁を切ったえらも取り除きます。次に頭を落とします。腹側、背中側に背骨に沿って包丁を入れます。 尾を切外し、尾の方向から包丁を入れ背骨に沿って包丁を滑らせて行きます。これで身が取れ3枚卸しの完成です。

お刺身

3枚にとった身の腹骨部を取り除き、血合い部と腹身に切り分けます。皮を尾の方向から包丁を入れ剥がします。あとは身をお好みの厚さに切り分けてお刺身の出来上がりです。

脂が多い場合は薄く身を裂くように切り分ける、サク切りがおすすめです。薬味とお醤油を先に用意して綺麗に盛り付けましょう。

ブリの煮つけ

ブリの煮つけはブリの代表的な料理です。材料は大根とぶりの切り身だけです。脂がのったブリは出汁を使わなくても調味料だけでコクのある煮物が出来ます。 レシピは少し大きめのブリの切り身を人数分に5㎝□位に切り分けます。

大根は皮を剥いて2㎝位の厚さで細断します。かぶるくらいの水量の鍋に投入し火をかけ、中火で15分程煮てザルにあげます。鰤は熱湯にサッとくぐらせ取り上げます。

再度鍋に酒、醤油、砂糖、みりんを適量入れて弱火で煮付け、大根、ブリの順番で投入します。 弱火で15分程、落し蓋をして出来上がりです。ブリの脂と調味料が調和し美味しく戴けます。柑橘系の果汁を軽く振りかけると良く合います。

ブリのその他いろいろ

雑学

ブリは出世魚や寒ブリで有名ですが他にも色々雑学的なお話がありますのでご紹介します。 「ブリの日」12月20日を鰤(ブリ)の日として定めています。「鰤」の語源の「師走」の12月と、20日、2「ブ」0「リ」のごろ合わせで決定しました。

「北の鮭・南の鰤」古くはお正月のお祝いの料理で、北日本(新潟―静岡以北)は「鮭」以下の南日本は「鰤」でお正月をむかえたとされています。富山、石川県は年の暮れに嫁ぎ先にブリを送る習慣が今でもあり、「鯛」と並んで日本では目出度い魚として珍重されています。

「アオブリとキブリ」季節で日本近海を大回遊するブリを「アオブリ」と漁業関係者は呼びます。「キブリ」とは南北季節回遊をする群れからはぐれ、九州沿岸で定着するブリを指します。回遊群のアオブリに比べ、痩せていて側面の黄帯が目立ちます。

ブリのブランド

近年では養殖のブリが技術の向上で天然物と遜色が無いとして、各地で畜養したもの、または漁獲されたものをブランド化し販売していますので、一部をご紹介します。

「ひみ寒ブリ」 2011年にブランド化し定義は富山湾内の定置網で漁獲されたもので、氷見魚市場で競られたブリのみを「ひみ寒ブリ」と名乗り販売されます。6kg以上で身が細い物などは除外され厳選し販売しています。日本一美味しい寒ブリと評判です。

「かぼすブリ」 日本一の生産量のかぼすの産地の大分県で、かぼすを食べて育った養殖ブリ「かぼすブリ」です。柑橘系の抗酸化作用をもつかぼすの作用で、鮮度を保ち、くさみを抑えた美味しいブリの養殖販売に成功しています。

「鰤王」 鹿児島県長島町で養殖されている「鰤王」は、国内だけでなく、アメリカやヨーロッパで高い評価を得ています。

その年間の売上高は何と100億円超です。 徹底した品質管理とオリジナル飼料のこだわりで、世界が認める美味しいブリの養殖販売にて成功を収めています。

ブリまとめ

ブリは日本以外でも分布・生息していますが、世界中の海域で一番多く生息するのが日本の近海です。古くからお祝いや贈り物で愛され、養殖も盛んに行われ、今日では輸出も盛んに行われ、日本のみならず、世界でも評価が上がっています。

釣り人においては夏場の近海のサーフゲームでワカシ、イナダと戯れ、秋では磯や沖釣りで成長したワラサの引き味を堪能し、更に遠征で10kgを超えるブリをキャッチする事を夢見る、釣り人も出世させるような愛すべき魚です。

この沿海でブリが大回遊出来る豊穣の海がある事を少し誇りに感じ、これからも維持拡大できることを祈ります。