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アルコールストーブ(アルスト)とは
アルコールストーブ(略称アルスト)とは、その名の通りアルコールを燃料としたバーナー(ストーブ・コンロ)のことを指します。シングルガスバーナーと比べて火力が低い傾向がありますが、その分軽量で持ち運びがしやすいのが特徴です。
この記事ではアルコールストーブの簡単にできる作り方と、ちょっとした工作も楽しめる作り方の2つを紹介していきます。
アルコールストーブの構造
アルコールストーブは、アルコールを燃焼させることによって発生する気化したアルコールを発火させることにより、安定した火力を生み出すというとてもシンプルな構造のバーナーです。
そのため専用の工作機械などを必要とせず、身近にある材料だけでも作れてしまうので、自分なりのアルコールストーブを作って楽しむ方が多くいます。
初心者向け!お手軽自作アルコールストーブ
カーボンフェルトを使った自作アルコールストーブ
とにかくお手軽にアルコールストーブを作ってみたい方におおすすめしたいのが、カーボンフェルトを使って作るアルコールストーブです。材料も安く揃えられるので、とにかく低コストで簡単にアルコールストーブを作れます。
必要な材料と道具
必要な道具
- ハサミ
- ホチキス
カーボンフェルトを使ったアルコールストーブを作るのに必要な道具はたったこれだけです。どのご家庭にもある道具なので、新たに道具を買い足す必要もありません。強いてあげるのならば、カーボンフェルトはそれなりに厚みのある素材ですので、しっかりとしたハサミを使うのがよいでしょう。
必要な材料
カーボンフェルト
- 耐熱性のある円形の金属カップ(シェラカップなど)
- カーボンフェルト
- 燃料用アルコール
カーボンフェルトとは耐熱性のある素材をフェルト状にに整形した素材。高い耐熱性をもっているので溶接の現場を始め、キャンプでも焚き火やバーナーの下に敷くシートとして活用されています。ホームセンターやamazonなどのネット通販で取り扱っているので、入手も容易にできるでしょう。
お手軽自作アルストの作業手順①:カーボンフェルトのカット
まずは用意したカーボンフェルトを幅3cm程度の帯状にカットしていきます。この時、内側の芯にする用のカーボンフェルトと、外側の芯に巻き付ける用カーボンフェルトが必要になるので、最低2枚以上カーボンフェルトの帯をカットしてください。
お手軽自作アルストの作業手順②:カーボンフェルトを詰める
帯状にカーボンフェルトをカットし終わったら、1枚を海苔巻きのように円柱状にきつく丸めます。丸め終わったら端をホチキスで止めて、しっかりと固定しましょう。これが芯になります。
芯が出来上がったら、カップの内側いっぱいに敷き詰める形になるように残りのカーボンフェルトの帯を芯に巻き付けていきます。後は巻き付け終わったカーボンフェルトを容器に敷き詰めれば、アルコールストーブの完成です。
カーボンフェルトアルコールストーブの使い方
カーボンフェルト製アルコールストーブが出来上がったら、燃料用アルコールを芯からしみ込ませていきます。この時、あまり燃料用アルコールをしみ込ませると危険なので注意してください。しみ込ませる燃料は使用した容器を参考に計算するとよいでしょう。
しみ込ませ終わればあとは芯に火を近づけて着火するだけ。ゴトクなどと一緒に使うとより使いやすいアルコールストーブになるのでおすすめです。
本格的!アルミ缶製アルコールストーブの作り方
必要な材料
- 空のアルミ缶×2
- 燃料用アルコール
アルミ缶製アルコールストーブに必要な材料はとてもシンプル。材料も空き缶で作れるのでとてもリーズナブルです。工作の手間がかかりますが、その分基本的な作り方を覚えてしまえば後は自分なりにカスタムしてみたり、空き缶さえあれば作り方を効率化してある程度の量産もできてしまうので、ものづくりが好きな方にはこちらの方がおすすめです。
必要な道具
- ハサミ
- カッターナイフ又はデザインナイフ
- ドリル(2mm)
- ホチキス
- マスキングテープ
- マジック
- ペンチ
- ヤスリ
- コンパスカッター
- メジャー
アルミ缶製はカーボンフェルト製のアルコールストーブに比べれば多くの道具を必要としますが、一般家庭にあるものも多く、それ以外の道具も100均で手に入るのでさほど入手に手間がかかることはないでしょう。
使い勝手は悪くなりますが、マスキングテープはガムテープ、ドリルはキリなどでも代用可能ですし、ハサミを使わずに全てカッターで作業することもできます。
アルミ缶から各パーツを切り出す
作業の前に
空き缶のラベルはそのままでも問題ありませんが、そのままにしておくとどうしても安っぽさが出てしまいます。そういった点が気になる方は、あらかじめ400番程度の紙やすりで空き缶の側面を磨いてラベルを落とし、800~1000番程度の紙やすりで仕上げておくと、より本格的な仕上がりになります。よりきれいに仕上げたい方は、スチールウールで水研ぎをしてみるのもいいでしょう。
上面・底面の切り出し
まずはアルコールストーブの上面と側面になる部分を切り出します。空き缶の底から4~5cmの高さから、ぐるりと1周カッターナイフで切り離しましょう。この時、カッターナイフ側を切りたい高さに固定して空き缶側を回転するようにカットすれば、きれいに空き缶を切ることができます。
これを2つ切り出せばアルコールストーブの上面と底面の切り出しは完了です。
内壁の切りだし
次にアルコールストーブの内壁となる部分を空き缶から切り出します。上面と底面を合わせた長さと同じになるように、余った空き缶の側面を切り取りましょう。この時もカッターナイフ側を切りたい高さに固定して、空き缶側を回転させてカットすればきれいに空き缶を切ることができます。
空き缶の側面を切り取ったらハサミで縦にカットして、1枚のアルミの板になるようにしてください。これで内壁の切り出しは完了です。
ヤスリがけを忘れない
アルミ缶の切断面は鋭く、場合によっては指を切ってしまう恐れがあります。のちの作業のやりやすさや、けが防止のためにも必ずアルミ缶の切断面にはヤスリがけを忘れないようにしてください。
まずは400番程度の目の荒い紙やすりで一通り磨いた後、目の細かい800~1000番程度の紙やすりで仕上げれば問題ないでしょう。
アルミ缶から切り出したパーツの加工
底面の加工
アルミ缶で作るアルストは上面と底面を組み合わせて作成するのですが、そのままだと直径が同じではまらないので底面をペンチで曲げて直径を小さくする加工が必要になります。そのために、底面にするアルミ缶の切断面からペンチを入れて、内側に軽く倒しながらペンチをひねりを加える作業をぐるりと1周行ってください。
作業完了後、上面と軽く合わせてみて上面と底面が重なるようなら作業成功です。(この時上面をしっかりはめ込まないように注意してください。)
内壁の作成
次は内壁の作成ですが、まずは空き缶から切り出したアルミ板を空き缶の底の一番出っ張っている部分の直径にあわせて円柱状に丸めます。丸めた後は、パイプ状から戻らないようにホチキスで固定してください。
アルミ板でできた円柱が完成したら、円柱の下の部分に2つ三角形の切り込みを入れれば内壁の作成は完了です。
上面の加工
アルコール注ぎ口の作成
コンパスカッターを使い、上面となるパーツに穴をあけます。上面となる空き缶の底面の中心からコンパスカッターを使い、円形に底面をカットしてください。この時、カットする円の半径は1.3mm~1.7mm程度の大きさがおすすめです。
カットし終わったあとはこれまでと同様に、切断面を400番程度の紙やすりで研磨し、800~1000番程度の紙やすりで仕上げるようにしてください。
ジェット孔の作成
まずは空き缶の直径をメジャーで測り、同じ長さのマスキングテープを用意し、マスキングテープを15~20等分した間隔でマスキングテープの上辺に印をマジックで付けてください。(この時等分した数がジェット孔の穴の数になり、燃費と火力が変わります。)
あとは印をつけたマスキングテープを上面となる空き缶の側面に張り付け、空き缶の角にマスキングテープの印を写していきます。後はマスキングテープをはがし、印をつけた部分を目印にドリルで穴を開けていきます。
ドリルでアルミ缶に穴をあけるときのコツ
ドリルでいきなりアルミ缶に穴をあけようとしてもなかなか上手くできないことがあります。そんな時は、キリであらかじめガイドとなる穴をあけておくのがおすすめです。
あらかじめ穴をあけておくことによって、ドリルが横滑りしたりせず、スムーズに穴あけができるでしょう。また、穴をあけた後もヤスリがけを忘れないようにしてください。
各パーツの組み立て
3つのパーツを1つにする
各パーツの組み立てはまず、アルコールストーブの底面パーツに内壁パーツを設置します。この時、三角形の切り込みを入れた部分が必ず下になるように注意しましょう。あとは上面パーツを底面パーツに被せてはめ込めば完成です。
底面パーツと上面パーツのはめ込みが硬い場合は、ハンマーなどで軽く上部パーツを叩いてしっかりはまるようにしてください。はめ込みが浅いと持った時に上面パーツと底面パーツが分離して、事故に繋がる恐れがあります。
アルミ缶製アルコールストーブの使い方
アルミ缶製アルコールストーブの使い方はとてもシンプルで、燃料用アルコールを上面の穴から注ぎ込んで点火するだけです。しばらく待って、上面パーツにあけたジェット孔から火が燃え上がれば問題なくアルコールストーブが作成できた証拠になります。
もっと自分好みのアルコールストーブにする
自作アルコールストーブのカスタムのススメ
出典:www.amazon.co.jp
※画像はイメージです
アルミ缶で作るアルコールストーブはジェット孔の穴の大きさと数によって、火力の強さと燃費を調整することができます。1つ試しに作ってみて、火力に不満を感じたり燃料の消費を押さえたいと思ったら、ジェット孔の数や大きさを調整したものを作ってみるのもおすすめです。
材料費も安いので、いろいろ試してみて自分だけのベストなアルコールストーブを作ってみてください。
ジェット孔と火力・燃費の関係表
以下はアルコールストーブのジェット孔と火力・燃費をまとめた表になります。自分に使いやすいアルミ缶製アルコールストーブを自作する際の参考にしてみてください。ただ、大火力が欲しいからとあまり穴を大きくしすぎたり、数を増やしすぎるのは強度の問題上おすすめしません。やりすぎに注意しましょう。
火力 | 燃費 | |
---|---|---|
ジェット孔の数 | 多いほど強い | 多いほど悪い |
ジェット孔の大きさ | 大きいほど強い | 大きいほど悪い |
自作アルコールストーブの注意点
アルコールの揮発性に注意
燃料アルコールの主成分となるエタノールは揮発系が高く、人体に有害な物質なので使用の際には換気には十分気を付けなければいけません。もちろん同じアルコールだからと思って口に入れたり、消毒に使用するのも厳禁です。燃料として使う以外の目的で燃料用アルコールを使用しないようにしてください。
このような物質なので、アルコールストーブに燃料を入れる際もこぼさないよう、細心の注意を払う必要があります。
完成したあとは火力調整ができない。
アルコールストーブは単純な構造で安定した火力を出せる代わりに、シングルガスバーナーなどと違って使用中に火力調節ができません。一度完成させてしまうと火力はその時点で固定されてしまうので、料理中に火力の調整をしたい場合はアルコールストーブではなく、シングルガスバーナーなどを用意するようにしてください。
逆に言うと、一度火をつけてしまえば燃料が尽きるまで安定した火力を出し続けることがアルコールストーブの魅力になります。
ゴトクがあると便利
キャプテンスタッグ カマドスマートストーブデルタ
製品サイズ(約) | 幅170×奥行150×高さ145mm |
---|---|
収納サイズ(約) | 180×200×厚さ15mm(バッグ収納時) |
重量(約) | 290g |
自作のアルコールストーブはサイズが大きくなく、強度も高くはないので、そのまま飯盒や鍋を置いて調理するには向いていません。安定して鍋を置けるようにゴトクと組み合わせて使うようにしてください。
上記の「カマドスマートストーブ デルタ 」のようにアルコールストーブ用のゴトクも多数販売されているので、自分のお気に入りのゴトクもあわせて探してみてください。
手づくりのギアで楽しいキャンプ!
キャンプはさまざまなギアを集めるのも楽しみの一つ。メーカーの既製品を探すのももちろん楽しいですが、自分のコレクションの中に自作のギアがあるとまた一歩進んだ楽しさを味わうことができます。
自作アルコールストーブは自作ギアの中でもお手軽に制作することができるので、自作ギア入門にはぴったりです。ぜひ一度、自作ギア制作の楽しさに触れてみてください。
アルコールストーブが気になる方はこちらもチェック!
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出典:nsplash.com