アルコールストーブとは?
簡単に言うと、軽量で使い方がとても簡単な携帯用コンロのことです。 アルコールバーナーとも呼ばれています。 みなさんどこかで一度は目にしていると思います。
コンロとは?
燃料を燃やして出た火を熱源として物を熱する調理用加熱器のことを指します。 その燃料の種類は、電気や気体燃料・液体燃料・固形燃料といろいろなタイプの燃料があります。 つまりアルコールストーブとは、燃料にアルコールを用いてその火を熱源としたコンロのことです。
燃料のアルコールの種類は?
一般的には変性アルコールが用いられます。 そのほかイソプロパノール、ジエチレングリコールがあります。 それぞれの燃料を簡単に説明していきます。
変性アルコールとは?
少量の変性剤を加えたエタノールのことです。 工業用アルコールと呼ばれる、飲用や医薬品以外のエタノールはほとんどが変性アルコールと呼ばれるものです。 飲むと有毒ですが、使い方を間違えなければ、すすを発生しないので比較的環境にやさしい燃料といえます。 この燃料用アルコールが一番よく使われています。
イソプロパノールとは?
アルコールストーブを動作させることは可能ですが、すすがすごいので極力燃料としての使用は控えたほうがいいと思われます。
ジエチレングリコールとは?
発生するエネルギー量は多いですが、点火がしづらく、使い方を一歩間違えると経口摂取による中毒事故も発するので極力使用は避けた方がいいと思われます。
アルコールストーブが燃焼する原理・仕組み
仕組みはとても簡単です。 燃料であるアルコールをもやして、 その上に置いてあるものを温めるのです。 順を追って説明すると、 ①液体のアルコールに火をつけます。 ②アルコールストーブ全体の温度が上昇していきます。
③温度上昇に伴い、アルコールが気化して圧力が上昇します。 ④一定以上圧力が上がると、ストーブ本体に空けられた穴から気化したアルコールが噴出します。 ⑤噴出した気化アルコールに中央の炎が引火し着火します。
⑥しばらくすると安定した火力になります。 という感じになります。
構造の種類により若干の違いは出てきますが、 燃焼する原理・仕組みは基本的には上記の①から⑥の繰り返しとなります。 ですので、アルコールストーブの使い方はとても簡単です。
アルコールストーブの構造
基本的には、燃料であるアルコールを入れるストーブ本体ひとつです。 種類によって付属品が別でいることもありますが、それでもとてもシンプルなつくりとなっています。 原始的な構造をしているので壊れにくく軽量で使い方が非常に簡単です。 しかしこの簡単な構造原理故のデメリットとメリットがあります。
アルコールストーブの原始的な構造・原理によるデメリット
デメリットとしては、 火力の調節が難しことと、それにより燃焼効率が良くないことがあげられます。 火力調節用に蓋がついているタイプもありますが、 細かな火力の調整は難しいかと思われます。
アルコールストーブの原始的な構造・原理によるメリット
メリット①軽量であること
ガスストーブよりも軽量なことです。 ガスバーナーはガスカートリッジとバーナーを合して約300から470グラムになります。 しかし、アルコールストーブは軽量なものだと約30グラムです。 この本体に、必要なアルコールを合して携帯したとしても、軽量であることに変わりはありません。 持ち運ぶ荷物の大幅な軽量化につながります。
②コンパクトであること
シンプルな構造なので本体自体がコンパクトです。 小さいものだと、片手にすっぽりと納まってしまうサイズです。 ガスバーナーを使う際は、バーナーとガスカートリッジを合体させるのでかさが大きくなります。
しかしアルコールストーブを使う際は、アルコールストーブ本体に燃料を注ぐのでコンパクトな大きさのままで使用できます。
メリット③故障のリスクが低いこと
構造がとてもシンプルなので壊れるリスクも低くなります。 壊れるリスクが低いということは、余程の長旅や過酷な山登りなどではない限り、修理道具や予備を持っていく必要がなくなるため、全体の荷物量の軽減につながります。
メリット④確実に点火できること
ガスだと寒冷地ではなかなか点火できないことがあります。 しかし、アルコールではその心配もなく常に一発で点火できます。 そして寒冷地でも炎の勢いが低下しません。 火があるとないとでは生死にかかわってくることもあるので強い味方です。
メリット⑤燃料がアルコールであること
アルコールは燃焼させると気化してなくなります。 ですのでガス缶のようにゴミになることもなく、使ってしまえば荷物の軽量にもつながります。 また、液体なのでその時々で必要な量だけ持っていくことが可能です。 ガス缶と違い、目視で残量が確認でき無駄に荷物が増えることもありません。
メリット⑥静かであること
アルコールが燃焼するときはほぼ無音なので、使う時間帯で周囲に気をつかうこともありません。 また、自然の雰囲気を壊すことなく静かに楽しめます。
メリット⑦災害時の備えとして最適
①から⑥のメリットと使い方が簡単であることを合わせると、災害時の備えとして準備しておくものの一つとして最適であると言えます。
アルコールストーブの構造の種類
大きく分けると、非加圧式と加圧式の2種類に分かれます。 がどちらの構造も予熱で燃料を気化させ、 それを効率よく燃焼させ利用できるよう工夫されてつくられています。 ここからは種類別に詳しく説明していきます。
非加圧式アルコールストーブの構造
最大の特徴は2重壁になっていることです。 上部が大きく開いていて、そこから直接アルコールを注ぐタイプのものです。 この上部が大きく開いているタイプのアルコールストーブの構造では、 内筒はストーブを安定燃焼させるための余熱室となります。
開口部の周りに火が出る小さな穴が開いているのが一般的なかたちです。 気化したアルコールはストーブの中央からも発生し燃焼する構造ですが、風の影響を受けやすく燃焼消費上非効率的とされています。
非加圧式アルコールストーブが燃焼する原理・仕組み
燃焼の原理・仕組みとしては①から④の繰り返しです。
①主室に燃料であるアルコールを注ぎ入れ点火すると中央部で燃焼が始まります。
②火はどんどん大きくなり燃料とストーブ内部を加熱し、燃料であるアルコールを気化させていきます。
③十分に加熱されると、蒸気圧によって気化したアルコールが ストーブ本体に開けられた穴から噴出します。 ④ストーブ本体の穴から噴出した気化アルコールに火が付き炎の輪が大きくなります。
加圧式アルコールストーブの構造
二重壁がないのでより簡単な構造となっています。 上部が密閉され、ごく小さな穴が燃料注入のために開いているタイプです。 上部に開いた小さな注入口注射器やスポイトのようなもので燃料用アルコールを注いでいきます。
注ぎ終わればその穴はネジや硬貨などで塞いで密閉します。 それを受け皿の上にのせたものが加圧式アルコールストーブです。 また単室で上部が開いたタイプもあります。 このタイプは、コッフェルなどを直接バーナー上部に乗せるとストーブ上部をふさぎ、炎はサイドに空けられた穴から出るので、上を塞いだタイプと同じ原理となります。
このタイプももちろん受け皿にのせて使用します。
加圧式アルコールストーブが燃焼する原理・仕組み
燃焼の原理・仕組みとしては①から④の繰り返しです。
①ストーブ内部と受け皿にアルコールを注ぎ、受け皿の方のアルコールに点火して、直接アルコールの火でストーブと内部のアルコールをプレヒートします。 ②プレヒートが出来てくると、炎の熱が内部にまで伝わりアルコール燃料が気化してきます。
③アルコール燃料が気化してストーブに開けられた穴から蒸気となって噴出します。 ④プレヒートの火が、噴出した気化アルコールに燃え移りさらに火がつき継続燃焼していきます。
自分に合った、アルコールストーブのお気に入りを見つけよう
先に述べてきたように、 アルコールストーブの構造はとてもシンプルなものです。 揃える付属品も少なくて済むし、燃料も準備しやすく、 使い方も覚えてしまえば簡単です。 デザイン等はメーカーによってカラフルだったり、 高級感があったりといろいろ変わってくると思うので、 是非自分のお気に入りのひとつを見つけて下さい。
そして、普段のちょっとしたピクニックなどから一緒に連れて行ってあげて愛着のある一品にしていっていただけたら嬉しいです。