めったにおろしたことのない魚をどう捌く?
鯛は知名度が高いがなかなか捌く機会が少ない魚
鯛の姿やその名前は多くの人が知っていて有名ですが、高級魚であることから毎日食卓に乗るような魚ではありません。それため捌く機会もお祝いごとや釣りでマダイが釣れた時などに限られる人も多く、なかなか捌き慣れしにくい魚です。
鯛の刺身といえば新鮮である必要がありますから、さらに魚としての価値は上がります。そのため初心者の方は料理するのも緊張されるかも知れませんが、やり方を覚えればさほど難しくなく作業をすることができます。
鯛の3枚おろしから簡単な刺し身の作り方などもレクチャー
今回はそんななかなか失敗できない鯛の捌き方・刺し身の作り方を解説いたします。また鯛にはいくつかの扱い方のポイントがあり、切りはじめる前に事前に知っておきたい注意点もあります。
初心者の方でも上手に鯛を捌き、刺し身に作る方法までを詳しくご紹介いたしますので、ぜひお役立てください。
鯛の基本情報と旬の時期
鯛の基本情報
名前・和名 | 鯛 |
分類 | スズキ目タイ科 |
学名 | Pagrus major |
分布 | 日本海・東シナ海・南シナ海 |
釣りや食材としての鯛の旬の時期は
鯛にも種類がありますが、広義的に何も付けずに鯛と呼ばれた場合はマダイを差します。マダイ釣りの時期は春から秋にかけてがメインです。特に春は大物が釣れる時期として狙い時です。
食用にするならば春と秋が美味しい旬の時期といわれています。この時期に狙って漁がおこなわれるため、ほかの時期とくらべて安くて脂の乗った鯛が食べられる時期です。
鯛の基本的な3枚おろしの捌き方
3枚おろしの前にする下処理の方法
まずは棘のあるヒレに注意して鯛のうろこを取っていきます。うろこが取れたら1度流水でうろこを洗い流してから、エラから内臓の下処理に取りかるという順番で進めてください。
エラの下にある膜を両側から切り込みを入れます。そのあとカマの付け根を断ち切って、腹を割り内臓を取り出すという手順です。エラを引っ張ると内臓も一緒に付いてくるので取り外してください。
鯛の3枚おろしの簡単な方法
内臓を取ったあとの残りの血や血合いを流水で流してきれいにします。このとき鯛の表面のビブリオ菌が広がらないよう水気は拭き取ってから作業を進めてください。
頭と胴体の付け根から胸ヒレの際を通ったラインでななめに頭を落として、腹・背という順番で骨の上を包丁をすべらすイメージで片側をおろします。裏側は背から腹という順番に包丁を入れたあと、身の腹骨を包丁で切り取ると骨と身2枚の3枚おろしの完成です。
ビブリオ菌とは
魚などの表面に付く食中毒菌で、4度以上の温度下で繁殖します。あっという間に繁殖して数を増やすので要注意とされています。塩分が好きで塩水の中では繁殖し、水気が苦手で水の中では増えません。そのため釣りをした後は真水で塩水を洗い流し繁殖を抑えましょう。
ビブリオ菌に感染した時の食中毒の症状は、下痢・発熱・嘔吐・腹痛です。魚を捌いて食べた後これらの症状が現れたら、まずは食中毒を疑い医療機関を受診することをおすすめします。
鯛の刺し身の作り方・柵取りと皮引き
鯛の刺し身の捌き方!柵の取り方や切り方ポイント
鯛の刺身用の捌き方も途中までは3枚おろしとまったく同じです。片側の腹・背という順番で骨と身の間に包丁を入れ、もう片側は背・腹という順番で3枚に分けた後腹骨をすき取ってから刺し身として切りやすい柵の形に身を取っていきましょう。
身をそれぞれ節に分けてから刺身用柵に切り分ける
鯛の身は3枚おろしにした半身を半分に切っただけでは刺し身用の柵とはいいません。この状態は節と呼び背側を男節、腹側が男節に対して女節となります。1匹の鯛で節は合計4本取れます。
刺し身にするならこの節を柵にします。柵にする捌き方は、中骨まわりに縦に包丁を入れて取り外すだけです。中骨を中心として左右から包丁を入れるようにすると、簡単に外すことができます。
鯛の刺し身の皮の引き方
鯛は皮付きの刺し身も食べられますが、ここで皮を引く方法もご紹介いたしましょう。鯛の皮は先程切り分けた柵の尾の方から皮と身の間に包丁を入れ、身と皮の間に包丁の刃先があるように位置に気をつけながら皮をひっぱることで取れます。皮に身が残らないよう気をつけて皮を引きながら身から皮を切り取っていきましょう。
鯛の刺し身の作り方・皮付き皮なし
刺し身の切り方・作り方1.平造りと引きがさね
刺し身の切り方にはいくつか種類があり、その中で皮目を上にして右利きの人が右から切っていく方法を平造りや引きがさねといいます。
このふたつは切り方は同じですが、刺し身を1枚切ったら右に送るのが平造り、送らずその場で切っていくのが引きがさねです。
使い分けは身のしっかりしたものは平造りで、送ることで身が崩れるものを取り扱うときには引きがさねにします。どちらも皮は引いた柵の状態で刺し身にしてください。
刺し身の切り方・作り方2.焼き霜造りと湯霜造り
マダイは皮も美味しくいただけるので、皮付きのままひと手間かけてそれから刺し身にする霜造りという方法ができます。霜造りの方法も火で炙ると焼き霜造り、湯を通して作るのが湯霜造りと変わるのが特徴です。
焼き霜造りはバーナーでひと塩をした柵を炙ってから刺し身にします。湯霜造りは熱湯をくぐらせてから一度氷水で冷やしてから刺し身にします。
両方とも1切り目は途中までで下まで切らず2切り目で刺し身にする切かけ造りという刺し身の切り方にして仕上げるのが一般的な方法です。
鯛の捌き方で失敗しやすい点と対策
硬いヒレで怪我をしやすい
鯛にはとても硬いヒレが付いています。初心者の方が鯛をおろすときに思わず力を入れて握ったりすると怪我をしてしまうことが多いです。鯛のヒレで怪我をしないために、心配な場合はまずはキッチンバサミを使ってヒレを切り取ってから捌くようにしましょう。
鯛のウロコは硬くて飛び散る
鯛はヒレも硬いですがウロコも硬くて立派なものを持っています。通常の小魚のように包丁でウロコ取りをしようとして、とても時間がかかったり包丁が刃こぼれしてしまったり、ウロコがキッチンに散乱して後で掃除が大変です。
その時はペットボトルキャップを使い、水を入れたボウルの中でウロコ取りをすると周りに飛び散りません。大きなボウルがないという方は、スーパーの買い物袋の中で処理をしても同様な効果があります。
めでたい魚を自分で捌いて美味しくいただく
今回は簡単な鯛の3枚おろしの捌き方とそのコツ、はじめて鯛を捌く初心者の方には特に気をつけていただきたい、鯛を料理するときの硬いヒレとうろこ取りの対処法ついてもご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
3枚おろしにしたあと、刺し身の柵を取り皮をひくことで刺身用にも簡単に料理することもできます。鯛の捌き方の基本は3枚おろしなので、刺し身を作りたいという方もまずは3枚おろしから練習してみてはいかがでしょうか。
鯛のほかの魚の捌き方が気になる方はこちらもチェック
暮らしーのでは、鯛だけでなくいろいろな捌き方・切り方や刺し身の作り方の基本とコツのガイドを発信しています。どれも動画や画像などを使って丁寧に解説した、初心者の方にも簡単にわかる作り方やコツが満載です。是非こちらの魚の捌き方記事も合わせてご覧ください。
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出典:https://unsplash.com/