刺身で美味しいクロソイのさばき方と切り方
クロソイは刺身にしても美味しい魚
比較的安い値段で取引され、スーパーなどではあまり出回ることがない魚にクロソイという魚がいます。このクロソイ、実はお刺身にすると美味しい魚なんです。
もちろん刺身以外でもいろいろなクロソイの調理方法はあります。ですが、新鮮なクロソイが手に入ったら、自分でさばいて熟成させた美味しいお刺身で食べるのが一番のおすすめでしょう。
「クロソイ まずい」と検索に出てくるけれど
web検索には「クロソイ_まずい」というご意見も目にします。そのまずさの理由は生臭さというレビューが目立っていました。クロソイは白身魚なので、通常であれば生臭さはそれほど感じられない魚です。
しかし販売店によってはごくごく稀に処理の仕方がうまくいっておらず、生臭いクロソイにあたってしまうこともあるのかもしれません。
クロソイがまずいと感じた理由を考察
まずいと感じたクロソイはよほど保存状態が悪かったか、あげられてから時間がたち鮮度が落ちていたことが考えられます。クロソイは北海道では北の鯛と呼ばれ高級魚として扱われる魚で、時期と新鮮さに気をつければ決してまずい魚ではありません。
また多少生臭さを感じたら、ショウガを入れた煮付けにするなど刺身以外の料理にすることで、十分生臭さをフォローできるといわれています。
クロソイを刺身にするには
クロソイにはいくつかのさばき方のコツがあります。クロソイは鮮度の落ちやすい魚なので、刺身にするならこのさばき方のコツを知っておくことで、スピーディーに処理でき美味しいお刺身に仕上がるでしょう。
今回はクロソイという魚について、基本情報から美味しく刺身でいただくためのさばき方のコツと刺身以外の調理方法と、刺身で食べる時の注意点も交えて解説いたします。
クロソイとは?基本情報や旬の時期
クロソイの基本情報
科・属 | メバル科・メバル属 |
色 | 黒から灰色のまだら模様 |
見た目 | 背びれと目の少し下部分にするどい棘がある |
別名 | 北の鯛 |
分類 | 白身魚 |
刺身でいただくのにおすすめの旬の時期
クロソイを刺身で食べるならば旬の時期は大切です。クロソイの旬は秋から冬にかけて、寒さとともに脂がのってきます。この時期に釣れたクロソイならば、刺身にしても美味しくいただくことができますが、より美味しく刺身にするならば釣りたてよりも熟成魚にも挑戦してみてはいかがでしょうか。
クロソイは食べごろが難しい魚
クロソイのような淡白な魚は脂がのりきったぎらぎらの魚のようにすぐ召し上がるよりも、2-3日置いた方が身の旨味を引き出せるといわれています。
この食べ方は熟成魚と呼ばれる話題の食べ方ですが、釣りたてでないとその新鮮さがわかりにくく熟成期間も測りにくい・熟成のさせかたも下手をしてしまうと逆にぱさぱさして美味しくなくなるデメリットもあるので注意が必要です。
釣りたてのクロソイが手に入ったら熟成魚に挑戦してみよう
熟成魚のやり方を簡単にご説明いたしましょう。まずは下記クロソイのさばき方と同様な方法で三枚おろしにしてください。そのあと軽く塩を振ります。
まずさの素となる生臭い水分を再吸収させないようキッチンペーパーでくるみ、乾燥を防ぐためにラップをして冷蔵庫(できればチルド室がベスト)で寝かせてください。
はじめての熟成魚は36時間を目安に
熟成期間の目安ですが、36時間をさかいに旨味が出てくるといわれています。この時間をひとつの目安として、まずここで味見をしてみてください。旨味が出てきているので、釣った直後に食べるよりも甘みなどを感じやすくなりつつも、新鮮な刺身のこりこり感が残った身に変わっています。
あとはお好みにより熟成時間を増やしていくことができますが、ご家庭の冷蔵庫ではあまり熟成しすぎず、痛む前に召し上がってくださいね。
クロソイの下ごしらえとおろし方
クロソイを捌く前の下準備
クロソイは前述のように棘が特徴的な魚です。この棘でけがをしやすいので、準備として軍手やタオルを用意しておいてください。
またどのような魚をさばく場合でも切れない包丁では余計な力が入り、これもけがの原因となります。使用するまえの出刃包丁は必ずメンテナンスが済んでいる切れ味のよいものを使うのがポイントです。
切れ味のよい包丁の研ぎ方のコツ
魚をさばくのには出刃包丁を使うと適度な重さと厚みで、骨を切る必要がある頭を落とすといった作業に非常に重宝します。出刃包丁は片刃で刃自身に角度が付いているので、この角度を変えないように基本片側から研ぎます。
砥石は中研ぎ用と仕上げ用に1000番と6000番の砥石が必要です。十分水で濡らして、砥石自体も平らに研いだものを使えばはじめての人でもそれほど難しくなく切れ味を復活させられます。
クロソイを美味しい刺身にするさばき方
それではクロソイを三枚おろしにして皮をひくところまでやっていきましょう。事前準備としてうろこはシンクの中で取り除いておいた状態からはじめてください。
手順としては次の2ステップで、最初は胸びれをもちあげてそのきわから斜めに包丁を入れ、関節の間に出刃を差し込むようにして頭を落としてください。内蔵を取り除き血合いを洗い流して、次に背・腹という順番で中骨に沿って包丁を入れていけば三枚おろしは完成です。
おろす時の切り方のコツ
クロソイは背びれのトゲに毒があります。棘が怖い方は最初にキッチンバサミを使って切ってしまうと作業が楽でおすすめです。
刺身にする場合は、このあと中骨部分を取り除きさくにしていきますが、三枚おろしにした時点では皮は引きません。皮をのこした状態で、さくにするステップに進んでください。
クロソイを美味しい刺身にするさばき方
クロソイをさく取りして刺身に仕上げる
三枚おろしにしたクロソイをさくにして刺身に仕立てていきましょう。さくは中骨がない状態の魚の身です。
小型のクロソイの場合は中骨を骨抜きで1本1本取り除いてもよいですが、包丁で切り取ってしまった方がスピーディーに刺身のしたごしらえができるため、大きなサイズや面倒だという方にはこちらをおすすめします。
さくの切り方のと皮のひき方のコツ
クロソイの中骨部分の際に包丁を入れて、切り取ることで1枚の半身が2本のさく状態になります。ただしこの時点ではまだ皮が付いていますので、皮と身の間に包丁を入れて皮を取り除いてください。
このとき包丁を身に差し入れるのでなく皮を左手(包丁を持っていない方の手)で引くのがコツ。このことから「皮を引く」といういい方がされます。
クロソイの刺身の切り方と美しい並べ方
手が右利きの方はさくの左側からななめに包丁を入れたそぎ切りをしていくと、刺身がきれいに整います。左利きの方は逆に右から包丁を入れるようにしてください。
薄く刺身用にカットした身は皿を用意して盛り付けていきますが、簡単で美しい盛り付け方は円形の皿に輪の状態で並べる方法です。カットした刺身を置いたら皿の方を回転させながら置くことで、均等にきれいな輪になります。
刺身以外のクロソイの美味しい食べ方
クロソイは煮付けても美味しい
黒そい1尾
醤油大さじ3
酒大さじ3
みりん大さじ2
砂糖大さじ1
しょうがすりおろし小さじ1
水50cc
クロソイの煮付けの作り方
小型のクロソイであればウロコと内臓を取り除いたものを煮付けにしてみてはいかがですか。酒とみりんをフライパンや小鍋に入れて火にかけアルコールを飛ばします。
そのあと調味料を加えてクロソイを投入し、表裏ともに5分ほど煮たらできあがりです。身が崩れやすいので盛り付けの時にはフライ返しなどを用いてそっと移してくださいね。
すぐに食べたいならアクアパッツァもおすすめ
クロソイ:1匹(下処理頭つき500g)
ミニトマト:8個
スナップエンドウ:10個
ニンニク:1カケ
鷹の爪:1本
ケッパー:10粒
白ワイン:50cc
魚のブロード:50cc
黒胡椒:少々
クロソイのアクアパッツァの作り方
最初はフライパンにオリーブオイルを入れ鷹の爪とにんにくの香りを付けてください。そのあとクロソイを入れこげめを付けていきますが、このとき途中でスナップえんどうを入れこちらも軽く火を入れていきましょう。
白ワインと残りの食材を投入して、最初は強火煮立ったら中火に火を落として蓋をしてください。5分ほど煮込んでお好みでイタリアンパセリなどのフレッシュハーブを散らせば完成です。
クロソイの値段とサイズ
クロソイの値段は
クロソイだけでなくほとんどの魚の値段は重さで決まります。地域や時期・その年の漁獲量によって多少の値段の上がり下がりはありますが、通常1kgあたり1000円から1500円程度で消費者の手に入る魚です。
クロソイのサイズによる値段の差はあるか
クロソイは重さで取引される魚ですので、キロあたりの大きさを知っておくとサイズで値段がわかりやすくなりおすすめです。通常のクロソイであれば、1kgのサイズは30-40cmとなります。
クロソイの刺身の注意点!アニサキスの心配
刺身で食べる時にはアニサキスに注意
クロソイにはリリアトレマとアニサキスという寄生虫が付きます。この中でも特に心配されるのがアニサキスの被害です。刺身で召し上がる時には特に、このアニサキスの寄生虫がいないかチェックをし、発見したときは刺身で召し上がるのは中止してください。
アニサキスの症状は
急性胃アニサキス症はみぞおちのあたりに激しい痛みがおきます。そのほか気分が悪くなったり嘔吐の症状も出るのも特徴です。
もうひとつ症状であるのが急性腸アニサキス症で、こちらは下腹部がひどく痛くなり嘔吐はしません。アニサキスの被害の多くが急性胃アニサキス症で、食べたあと十数時間後あたりから発病するといわれています。
アニサキス被害を防ぐ方法は鮮度・目視・冷凍や加熱
1.できるだけ新鮮な魚を選ぶ |
2.刺身におろす時は目視でしっかりと確認 |
3.それでも心配な場合は一度冷凍するか、十分に加熱して食べる調理方法にシフトする |
まとめ
クロソイは刺身や煮付けで美味しい魚
クロソイは刺身にしてもさっぱりと美味しく、小型なサイズなら煮付けや唐揚げ、新鮮なクロソイはアクアパッツァにするとぷりぷりの身が楽しめる食材となります。
クロソイには寄生虫がいる恐れがありますので、刺身にする際にはよく目視で確認し十分注意して召し上がってください。
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