富士山の特徴
標高差による気温・気圧の変化が大きい
富士山は登山口から山頂までの標高差は、登山ルートにより約1500m〜2300mもあります。7月1日に開山され登山シーズンは7月〜9月ですが、気温は夏の登山口で25℃前後あったのが山頂では5℃前後と真冬並みになります。また気圧差も大きいので高山病のリスクが高いのが特徴です。
麓から見る美しい姿とは対照的に、富士山の8合目以上は樹林もなく、岩だらけで風を遮るものがない急斜面が続く厳しい環境なので、安易な気持ちで登ることができない山です。
富士登山の難易度は中級者クラス
日本最高峰の富士山の山頂で見るご来光は、誰もが体験したくなる光景です。しかし富士山の頂上付近の気温や斜面などの環境は厳しくハイキング気分では登ることができません。富士登山の難易度は意外に高く中級者クラスです。
今回は憧れの日本最高峰の富士登山を成功させるために必要な服装と装備、安全・安心のおすすめグッズや防寒対策と注意点も合わせて紹介します。(当記事は2022年3月10日時点の情報をもとに制作しています)
富士登山に必須の服装リスト
富士登山は日本最高峰3776mの標高に登るのですから服装はあなどれません。富士山は美しい姿とは裏腹に自然環境は非常に厳しいので、安全のために服装は非常に大切です。富士登山に必要な服装をリストにして紹介します。
①登山靴・トレッキングシューズ
富士登山の登山道は整備されているとはいえ、山頂に近づくほど石が多く長時間の登坂では想像以上に足に負担がかかります。足を痛めてしまうことは登山では致命傷になります。足をしっかり保護し足の負担を軽減する登山靴やトレッキングシューズを履きましょう。
②レインウェア
山の天気は不安定で、晴れていても急に雨が降ることがあるのでレインウェアは必須の携帯服装です。レインウェアは防寒対策で重ね着をすることを考慮して大きめのサイズで、軽量でガサばらずザックからさっと取り出せることが大切です。
③防寒着
富士山頂付近の気温は夏でも真冬並みなので防寒着の服装は必須です。しかし最初から防寒着を着て登るわけにはいきません。ザックに入れて運ぶ必要があるので軽量で防寒性に優れたフリースがベストです。山頂でご来光を待つときはかなり冷え込むのでインナーウェアの重ね着も考慮しましょう。
④手袋
富士登山の服装で手袋?と思われる方がいらっしゃると思いますが、富士山は岩場が多く手を使うことが多いため、怪我を防止するために手袋は必須です。滑落の危険を防止し防寒にも役立つので、厚手で丈夫な手袋を準備しましょう。
⑤着替え用下着と靴下
登山は運動量が多いので汗をかきます。そのまま着ていると休憩中などに体温が奪われ低体温症になり危険です。こまめに着替えられるように下着の予備を持参しましょう。また靴下は防寒と靴擦れ防止を兼ね厚手なものを履き、予備も忘れないように。
⑥ズボン
ズボンの服装は動きやすく柔軟性がある丈夫な素材がベストです。ジーンズなど綿素材は汗などの水分を吸収しやすく、乾きも悪いのでおすすめできません。伸縮性があり透湿性が高い登山用トレッキングパンツなどがよいでしょう。
富士登山に必要な装備と持ち物
富士山を安心して安全に登るためには、服装のほかに必要な装備があります。富士登山は服装に加え、安心・安全をサポートする装備があって初めて達成できます。富士登山に必要な装備をリストアップするので参考にしてください。
①ヘッドライト
ヘッドライトは登山必須の装備です。富士山山頂でのご来光を拝むためには夜間行動が必要になります。暗い山道を登るためには懐中電灯では手が塞がり危険なので、両手が空くヘッドライトが最適です。またヘッドライトは緊急時の作業でも活躍するので必須装備と命じておいてください。
②登山地図
登山地図はルートの確認や、山小屋・トイレの場所を把握し、道に迷わないためにも携帯が必須です。登山地図は書店や通販でも購入できるので事前に準備して富士登山に向かいましょう。スマホにダウンロードできる登山地図もあります。
③飲料水と行動食
飲料水と行動食は命に関わるので絶対に忘れてはいけない持ち物です。山小屋で購入できるとは言え、山では何が起きるかわかりません。山小屋にたどり着けない状況もあり得るので、飲料水と行動食(チョコレートなど)は必ず携帯しましょう。
④トイレットペーパー
富士登山でトイレットペーパーが?と思われる方が多いと思いますが、特に女性登山者には必要不可欠です。富士登山道にはトイレが完備されていますが、混雑期にはトイレットペーパーの交換が間に合わず切れていることあります。念のために少量を折りたたんで持っていけば安心です。
⑤お金と小銭入れ
富士登山では1万円程度のお金が必要です。入山料で1000円、トイレ代で100円〜300円、山小屋の利用料や飲食代がかかります。小銭を出し入れすることが多いので100円玉を入れた小銭入れと財布は別に準備しましょう。
⑥ゴミ袋と携帯電話
山では自分が出したゴミは必ず持ち帰るのがルールです。ゴミ袋は着替えた下着や汚れた服装を入れることもできるので必ず持参しましょう。また携帯電話は万が一のときに危険を知らせる唯一の手段なので安全のために持参してください。
富士登山であると便利なグッズ
富士登山では服装と装備や必要な持ち物のほかに、あると便利で非常に助けになるグッズがあります。富士山には登山用品店やコンビニはありません。持ってくればよかったと後で後悔しないように、あると便利なグッズをリストアップして紹介します。
①サングラスと日焼け止め
サングラスは眩しさを防ぐだけでなく、紫外線から目を保護する役目があります。夏の富士登山では山頂に近づくほど紫外線が強くなり、眼球にダメージを与えるのでサングラスを持参しましょう。また紫外線は肌に日焼けを起こす原因になります。日焼けしたくない方には日焼け止めクリームなどが効果的なのでおすすめします。
②登山用ステッキ
登山用ステッキがあるとないとでは足にかかる負担がまるで違います。体力があるからステッキなんかいらないと言わずに、試してみれば体力の消耗度合いや負担軽減が実感できるはずです。ただ手がふさがるというデメリットがあります。両手を使う場面もあるので、折りたたんでザックにしまえるタイプがおすすめです。
④ウェットティッシュ
山では水が貴重なので、湿ったウェットティッシュが役に立ちます。富士登山の山頂に近い登山道は、岩と土の急斜面なのでどうしても手袋や服装が土で汚れます。その汚れを落とすのに山では水洗いができないのでウェットティッシュが大変重宝です。
⑤インナーシュラフ
インナーシュラフとは、シュラフの内側に入れる薄手のアイテムです。山小屋で貸し出されるシュラフの保温力を高める効果があり、他人が使ったシュラフに少し抵抗感を感じる方におすすめします。ザックに入れる荷物はできるだけ減らしたいので、軽量でガサばらないインナーシュラフを準備しましょう。
⑥携帯酸素
携帯酸素は、山で高山病の症状が出たとき応急処置に使うものです。携帯酸素はあくまで一時的な応急処置で、高山病に効く特効薬ではありません。高山病の症状が出たと感じたなら、携帯酸素で応急処置をし休憩を取り、悪化する前にすみやかに下山するのが最善の対処法です。
富士登山の注意点と対策
①服装は濡れないことと軽量が基本
富士山の山頂は夏でも真冬並みに寒いので防寒着が必須です。また急な雨に対応するためレインウェアも必要になります。しかし登山口の気温は高いので服装は軽装になり、防寒着やレインウェアはザックに入れ背負っていかなければなりません。
そのためこれらは軽量でガサばらず撥水性の高い服装が最低条件です。山で服装が濡れることは低体温症につながり、荷物が重くなることは体力を奪い、遭難のリスクが高くなり危険なので十分に注意しましょう。
②高山病の予防と対処法
富士山は標高が高く登山ルートの標高差も大きいため高山病のリスクが非常に高い山です。登山口の標高はルートにより1500m〜2300mもあり、登山口でもすでに高山病の危険があります。
まず登山口に到着したなら、しばらく(1時間〜2時間)休憩を取り、低い気圧に次第に慣らす対処が高山病の予防に繋がります。急いで登山を開始すると高山病のリスクがさらに高まるので注意しましょう。
高山病の原因と症状
高山病は酸素が少ない環境が原因で起こる病気で、標高が高くなるほど気圧が下がり酸素濃度が薄くなるので「高山病」という名前がついています。
症状は軽症のうちは頭痛やめまい、吐き気や眠気・だるさがおきます。重症になると脳や肺がむくみ、高地脳浮腫や高地肺水腫をひき起こし最悪の場合は死に至ることがある怖い病気です。
富士山は日本最高峰で標高が最も高く、山頂の気圧と酸素濃度は日本一低いと言っても過言ではありません。富士登山は高山病のリスクが高いと命じておきましょう。
③無理のない登山計画
無理のない登山計画を立てることが遭難や高山病のリスクを回避する最善の方法です。時間がないからと言って山小屋の休憩や宿泊を省き山頂にアタックするような無謀な計画は大変危険です。
登山は登りで想像以上に体力を消耗するので下山途中で滑落などの事故を起こしやすくなります。途中でしっかり休憩をとり、ご来光は山小屋に宿泊して翌朝にアタックする無理のない登山計画を立てましょう。
安全・安心の準備で日本最高峰のご来光を!
富士登山の服装&装備のまとめ
富士山は日本一標高が高く姿が美しい山です。しかし美しさと裏腹に富士山は、麓の登山口と山頂との寒暖差が激しく、標高差や酸素濃度差も大きい厳しい環境の山と言えます。安全のため富士登山ではしっかりとした服装と装備に、必要不可欠の持ち物を準備することが大切です。
ここまで富士登山に必要な服装や装備、あると便利なグッズや富士登山の注意点、高山病のリスクと対処法などを紹介してきました。これらを参考にして日本最高峰の富士登山で日本一のご来光を堪能してください。
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出典:unsplash.com