ビバークとは?
ビバークとは緊急時の野営(野宿)
ビバークとは一言でいえば緊急時に野営することです。登山で宿泊するのは通常は山小屋やテントですが、ビバークとは山小屋やテントを張る場所にたどり着けない緊急時に行う行動を意味します。
緊急時にはさまざまな状況があり、怪我をして歩けない、疲労困ぱいして歩く体力がない、天候の急変で山行が危険と判断されるときなど、ビバークとは登山中にそんな状況に陥った場合に取る方法です。
ビバークとは緊急時に身を守る方法
ビバークとは、登山中に前述のような状況に陥った場合に身を守る方法です。怪我や体力の低下で歩けない場合や、天候急変で動けない状況は、登山では致命傷で遭難のリスクが高くなります。
ビバークとはそんな状況で身を守る唯一の方法です。たとえ日帰り登山でも必要になる可能性がありますので、今回はビバークとは?の意味に加え、ビバークに必要なものや準備、快適性を高める防寒対策などを解説いたします。
ビバークとは登山緊急時の避難行動
ビバークとは翌朝まで持ちこたえるのが条件
ビバークとは緊急避難行動で、やむなく野宿するので翌朝まで持ちこたえることが必須条件です。山の気温は平地と違い夏でも深夜から朝方はかなり冷え込みます。しっかり防寒対策を取らないと低体温症で動けなくなり、さらに状況が悪化して危険な状態になるでしょう。
体力回復のための軽いビバークでも簡単に考えてはいけません。日帰りの登山でも下山できなくなることがあるので、ビバークできる準備は怠らないようにしましょう。
ビバークは命を守ることが最優先
ビバークとは命を守ることを最優先にする行動です。ビバークしなければならない状況はさまざまで、本来好んでするわけではありません。
天候の急変で山行不能、滑落などで足を負傷して歩行困難、体力の限界など状況は異なりますが、どんな場合でもまず命を守ることを最優先に考えましょう。場合によっては救助を要請する判断も必要です。ビバークとは生死を分ける行動だと認識しましょう。
ビバークに必要な判断と心構え
2000mを超える高山や厳冬の雪山では、さらに危険な緊急事態が多々起こります。そのときに慌てないためにビバークとは何かを再確認しましょう。それではビバークに必要な判断と心構えを紹介します。
①判断を早めにする
ビバークとは登山の緊急避難行動で、ビバークする判断を早く決断するかどうかで遭難のリスクが変わります。
実は遭難で救助される確率は女性が圧倒的に多く、死亡するケースが多いのは男性です。それは男性は自力でまだ頑張れると思い救助要請などの判断が遅れるからです。ビバークとは緊急時に命を守る行動なので無理をせず、安全を第一に考え判断を早めにするようにしましょう。
ビバークをしないという判断もあり
ビバークとは命を守る行動ですが、やみくもに行うのは危険です。ビバークは過酷な状況下で一夜を明かさなければなりません。防寒具やツェルトなどがないままビバークすれば逆に危険な状況に陥ります。その場合は休息をとり体力を回復させてから、最小限の食料をポケットに詰め、重い荷物はその場に置き去り下山するという判断も必要です。
②ビバークする場所を確認する
ビバークとは緊急避難の野営なので、ビバークすると判断したら翌朝まで確実に危険から退避できる場所を探すのが最重要です。特に雪山では雪崩や落石が起きないことと、風当たりが弱く雪の吹き溜まりで埋もれない、傾斜の少ない場所を探しましょう。
また万が一に備え救助要請ができるスマホの電波が届く場所を探すことも大切です。ビバークとは少しでも安全を確保できる場所で行う緊急避難行動と認識しましょう。
③最悪の事態に備える
ビバークとは一夜を過ごす緊急野営ですが、翌朝になっても天候が回復しない場合や、積雪が多く歩行が困難という状況もありえます。ビバークが2日以上必要になるなど最悪の事態に備えた準備をしましょう。またそれに耐え得る最低限の食料や飲料水の確保が命を救います。
ビバークに必要な装備
①必須の最重要装備
ビバークとは登山中のアクシデントで緊急的に野営をすることなので、どれ一つでも欠けてはならない必須の最重要装備があります。
ツエルト(簡易テント)にロープ、厚手のレスキューシート、ダウンジャケットなどの防寒着、非常食と飲料水、雪山であればスコップ(折りたたみ式)、GPS機能付きのスマホと充電用モバイルバッテリー、これらはどれ一つ不足してもビバーク時の生存確率を大きく左右するので必ず持参しましょう。
②持参していれば助かる装備と備品
折りたためる薄手の銀マット(アルミマット)は、体に巻き付けたり下に敷くだけで防寒効果があります。使い捨てカイロや、足元の保温や防水のために大きめのビニール袋も持参しましょう。これらはガサばらず重量も軽いのでザックに常備しておきたい備品です。
またチョコレートや羊羹などの高カロリーで水溶性の非常食は弱った体を元気付けます。ビバークとは命を守る行動なので、多少荷物が増えてもできる限り準備しましょう。
③遭難したとき必要になるもの
ビバークとは緊急避難の行動ですが、最悪の場合は翌日になっても身動きが取れない状況に陥ることがあります。そんな場合にスマホで救助要請をすることになりますが、山の中で自分がいる場所を正確に伝えるのはまず不可能です。
そんなとき命綱になるのがスマホのGPS機能です。GPS機能があれば捜索隊が位置を特定できるので、GPS機能付きのスマホと電池切れを防ぐ充電器とモバイルバッテリーは必ず持参しましょう。
ビバークの防寒快適性を高める対策とグッズ
ビバークとは野営して身を守る行動ですが、緊急なことなので素早く簡単に設営できなければなりません。またリラックスして横になり体力を温存させるため、長時間の寒さを乗り越える快適性も必要です。防寒性と快適性を高める対策と人気グッズを紹介します。
①ビバークシート
ビバークシートは、主にシートタイプとポンチョタイプに寝袋タイプがありどれも防寒性に優れています。シートタイプは軽量で折りたため、敷いたり体に掛けたりさまざまな使い方ができる人気グッズです。
快適な眠りを求める人には、寝袋タイプがおすすめですが少々がさばります。ポンチョタイプは頭からすっぽりかぶるタイプで、両手が自由に使えるので動きを制限されたくない人に人気のグッズです。
②ストーブ・バーナー(火器)
ビバークとはツエルトなどで夜を過ごす行動ですが、シートだけでなくストーブやバーナーなどで直接暖を取ることができれば非常に助かります。また登山用のバーナーは簡単に着火でき、お湯が沸かせれば体の芯から温まり不安な夜に安心感が生まれるので火器もぜひ携帯しましょう。ただ燃料を忘れないように注意してください。
③ヘッドランプ
ビバークとはいつその行動をとる状況に陥るかわからない緊急作業です。山の、日暮れは早くビバークの場所を探したり設営している間に暗くなることがあります。そんなときにヘッドライトは必須です。懐中電灯では手が塞がり思うような作業ができません。
④着替え
ビバークとは急な天候変化で雨や雪の中でも行動しなければならない作業です。濡れた衣服をそのまま着ていると、どんどん体温が奪われ危険な状態に陥ります。ビバークとは命を守る行動であることを認識し、面倒くさがらずに着替えましょう。
⑤ペットボトル
意外かもしれませんが、飲み終わったからのペットボトルに、お湯を入れてぬ布を巻きつけ湯タンポがわりにする防寒対策があります。ビバークとは命を守りながら快適に夜を過ごすために、簡単にできることはなんでも利用する工夫が必要な行動です。
ビバークが必要な状況を避けるための大原則
ビバークとは不測の事態にとる緊急避難行動ですが、ビバークしないにこしたことはありません。安全に楽しく登山を楽しみ下山したいものです。特に初心者の方ほどビバークとは単なる野宿のように軽く考えている方が多いのではないでしょうか。運悪くビバークをする羽目になり、もう山はこりごりになるのが最悪です。ビバークしないための大原則を紹介します。
①天気予報と登山計画
事前に登る山の天気予報を調べ無理のない登山計画を立てることが最重要です。天気予報が悪ければ日程を変更するか、目的の山がたとえ人気の山でも変更する判断や勇気を持ちましょう。しかし山は気まぐれで、天気は予報に反して急変することがあるのでビバークに必要な装備と心の準備だけはしてください。
②雨具とヘッドランプ
雨具とヘッドランプに食料は、登山の3種の神器とも言える必須グッズです。雨具は傘などではなくフード付きの上下のレインスーツで、軽量で防水防風効果が高いものをおすすめします。
山ではいつ雨や強風に見舞われるかわかりません。衣服が濡れれば低体温症になり大変危険です。またヘッドランプは雨具と同様重要なアイテムで、何らかの事情で計画が遅れ日暮になってもヘッドランプを頼りに暗い山道を歩くことができます。
③食料は食事用と行動食と非常食に分ける
食料はエネルギー源になる大切なアイテムです。食事用の食料のほかに、登山途中に歩きながら栄養補給できる行動食(バナナやおにぎり)と、不運にもビバークが必要になったときの非常食(チョコレートなど)を準備しましょう。特に非常食は命の危険にさらされたときに非常に役に立つので、常に携帯するように心がけることが肝心です。
道に迷った時の対処法
ビバークとは登山でできるだけやりたくない行動の一つです。しかし登山道はさまざまで道なき道のような箇所もあり、道に迷うことがしばしば起きます。道に迷ってもビバークをしないで済むような対処法を紹介しましょう。
①道に迷ったら戻る
道に迷ったらルートがはっきりしている場所まで戻るのが大原則です。戻ることが億劫(おっくう)で、このまま進めば正規ルートに合流できるのではと安易な期待を持ち進むのは、さらに迷いを深めてしまいます。日暮になりビバークする状況に追い込まれ、戻って入ればと後悔しても手遅れです。道に迷ったら面倒くさがらずに戻りましょう。
②谷には絶対降りない
遭難事故で死亡者が多いのは谷です。それは道に迷って体力を使い疲労しているので楽な低い谷に向かいたがります。ところが谷には崖が多く滑落の危険があり、怪我をして動けなくても谷ではスマホの電波が飛びません。救助要請もできずに命を落とすケースが多々あるの谷には絶対降りないようにしましょう。
ビバークとは安全のための最終行動!
ビバークのまとめ
ビバークとは登山で身を守る安全のためにとる最終行動で、できればビバークせずに楽しく下山できるのが最もベストです。ここまでビバークとはどんな場合にとる行動なのか、ビバークに必要な判断と心構え、必要な装備や防寒・快適性を高めるグッズなどを紹介してきました。
これらを参考にして最適なビバーク方法や、登山の大原則を確認して安全な登山を心がけてください。
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出典:unsplash.com