ロードバイクとは
舗装路を最も高速で長距離を走れる自転車
ロードバイクは高速でタイムを競うレースや、長距離・長時間走るために開発された自転車です。そのため軽量で細身に加え耐久性が求められるので、フレームの材質やハンドル形状など細部にわたって特殊な設計がされています。見た目もカッコよくレースだけでなく仲間とのサイクリングや通勤通学などの街走りでも幅広く活躍する自転車です。
ドロップハンドルが特徴的
ロードバイクの最も特徴的なのは、下に湾曲したドロップハンドルではないでしょうか。これはスピードで受ける風の空気抵抗を減らすため、前傾姿勢が取れるようにするハンドル形状です。
形状がカッコいいのでロードバイクに乗ってみたいと多くの人が憧れます。しかしドロップハンドルの操作は慣れと技術が必要で、簡単ではありません。今回はロードバイクのハンドルを握るポジションやハンドルの調整方法などを詳しく解説します。
ロードバイクのハンドルのポジション
ロードバイクに用いられているドロップハンドルは、意外ですが人間工学に基づき最も理にかなった形状なのです。持つポジションにより乗車姿勢や受ける空気抵抗を変えることができます。ハンドルのポジションの名称とその特性を解説して見ましょう。
①フラット
ドロップハンドルで最も体の近くになる部分で、水平で一文字になっているのでフラットと呼びます。ここを握ると上体が起き酸素を多く取り入れることができるので、前傾姿勢に疲れたときや息切れしたときに有効なポジションです。
ただしブレーレバーから遠い位置になるので、高速走行時にはとっさのブレーキ操作が遅れる可能性があります。上り斜面やゆっくり走るときに、このポジションを利用するのがおすすめです。
②ブラケット
ブラケットはシフトブレーキレバーが取り付けてある位置のことで、ロードバイクの基本姿勢(フラットより多少前傾姿勢)をとるハンドルポジションです。シフトチェンジやブレーキ操作がしやすいので、ロードバイクに乗っている間で最も多く握る場所になります。
③下ハンドル
下ハンドルはドロップハンドルの湾曲した部分のことで、このポジションを握ると前傾姿勢になりロードバイクに力が最も伝わります。一気に加速するときや高速走行時に効果があるハンドルポジションです。
ただこの姿勢を長時間維持するには体幹と体力が必要になります。疲労もたまりやすいのでフラット・ブラケット・下ハンドルをうまく使い分けて走るように注意しましょう。
体に合ったベストなハンドル位置
ロードバイクのハンドルは、左右のバランスやシフトチェンジやブレーキングなどロードバイクをコントロールする重要なパーツです。ロードバイクを購入して完成車についてきたハンドルをそのまま使っている方が多いのではないでしょうか。
人の体型は身長やリーチの長さなどに個人差があるので、握るポジションを変えても、その人の体に合ったベストなハンドル位置になるとは限らないのです。
ロードバイクのハンドルは調整可能
ロードバイクのハンドルは、完成車でも乗る人の体型に合わせベストな位置に調整できる部分がいくつかあるのです。サドルの高さの調整もその一つですが、ロードバイクのハンドルはパイプ状のステムというパーツでフレームに固定されています。ステムを調整することで、体型にフィットするベストのハンドル位置が得られるのです。
ハンドルの高さと角度はステムで調整
ロードバイクのステムの下のコラムにはスペーサーという部品がセットされています。このスペーサーを抜き取ればハンドルの高さが低くなり、スペーサーの数を多くセットすればハンドルを高く調整できるのです。
またステムのクランプ部のボルトをゆるめハンドルの角度を変える調整もできます。ハンドルの高さと角度を調整して自分の体型に合ったロードバイクのベストポジションを見つけましょう。
ハンドルの高さ調整方法ガイド
ロードバイクのハンドルを高く調整すれば、上体が起き酸素の摂取効率がよくなり走行が楽になります。逆にハンドルを低く調整すれば前傾姿勢が増し、ペダルを踏み込みやすく空気抵抗が減るので高速走行が可能です。それではハンドルの高さを変える具体的な調整方法のポイントをガイドします。
①体幹に合わせ無理のない高さ
ロードバイクのハンドルの高さは、ステム下部のコラムのスペーサーにより調整しますが、自分の体幹に合わせた無理のない高さにすることが重要です。
スピードを出すためハンドルを低く調整したがりますが、体幹と体力が必要になるので長続きしません。自然に腕を伸ばしたところにブラケットがある無理のない高さがベストです。最初は高めに調整し、体幹がついてきたら次第に低くするようにしましょう。
②準備する工具類
主な工具は六角レンチですが、ロードバイクの機種により六角レンチのサイズが違います。5mmが主流ですが4mmの機種もあるので自分が乗っているロードバイクのステムのボルトサイズを確認して必要なレンチを準備しましょう。
また作業効率と予備も含め長さが違うレンチ2本〜3本用意しておくことをおすすめします。また工具を携帯しておけば走行中に違和感が出た場合に調整が可能なので便利です。
③具体的な高さの調整方法
通常ステムは横の上下2本のボルトでコラム(ステムとフレームをつなぐ部分)に固定されているので、上下のボルトを交互にゆるめていき、まだボルトは抜きません。次にトップキャップを外した後に、横の2本のボルトを完全にゆるめればステムとコラムが分離できます。この状態でスペーサーの枚数を加減して高さを調整できるのです。
④調整中・後の注意点
スペーサーには厚みが違うものが数枚セットされているので、枚数を加減するには厚みに注意してセットしましょう。抜いたスペーサーはコラムの上にかぶせトップキャップで固定します。ここで最も注意する工程は、トップキャップを固定した後にステムの横のボルトをしめる、この順番を必ず守ることです。
ハンドルの角度調整方法ガイド
ステムはロードバイクのハンドルとフレームをつなぐ部品ですが、高さ調整をするフレームに直結しているコラム部分とハンドルとのクランプ部(接合部)の2ヶ所で固定されています。ハンドルとのクランプ部のボルトをゆるめることで簡単に角度の調整が可能です。それでは具体的な角度の調整方法をガイドします。
①ハンドルの角度調整は微妙でも効果は大
ロードバイクのハンドルの角度を少し変えるだけで、乗り心地は大きく変わります。ハンドルの角度調整は体に与える疲労度や走行性の効果は非常に大きいのです。
一般的にはバーの上部とグリップ部をつなぐ直線が水平もしくは少し上を向くのがよいと言われています。しかしロードバイクのベストなハンドル角度は、体格や体幹の個人差により違い、微妙な調整でも乗り手によって効果が大きく変わるのです。
②具体的な角度の調整方法
ロードバイクのステムのハンドルとのクランク部は、4ヶ所のボルトで固定されているのが通常です。このボルトをゆるめればハンドルが上下に動くようになり角度を調整できるようになります。
ロードバイクを真横から見て、ブラケット(ブレーキレバーの装着位置)の角度が水平以下にセットすれば高強度のペダリングがしやすくなります。水平より7度以上はリラックスした状態でゆったりと長距離ライディングをするセットです。
③自分の体型にあった角度を選択
最終的には自分の体型に合ったハンドルの角度を選択するのがベストです。横から見た角度が水平や上向きがよいというのは、あくまで一般的な客観的な目安で、個人に必ずしもフィットするとは限りません。
ロードバイクを乗る目標や目的がそもそも個人により違うのでハンドルの角度も違って当たり前です。定番角度にこだわらず、自分にフィットする角度をいろいろ試して見つけることが最も大切なのではないでしょうか。
送り(突く)としゃくりの解釈
「送り(突く)」と「しゃくり」という言葉は自転車ではよく耳にします。「送り」と「しゃくり」はロードバイクのハンドルの調整でもよく使われる言葉です。しかし何を基準にするかで意味が違ってくる紛らわしい言葉と言えます。基準による解釈の違いを紹介しましょう。
①ハンドルを握る腕の形状を基準
ロードバイクのハンドルを握るときに、腕(手首)が伸びる状態に調整するのを「送り」、腕が曲がる状態に調整するのを「しゃくり」と呼ぶ場合があります。この腕の状態を基準にするのは、言葉のイメージをそのまま応用したもので、多くの人が思いがちな解釈ですが、どうやら正しい意味ではないようです。
②下ハンドルを基準
ロードバイクのドロップハンドル(下ハンドル)が上を向くのが「送り」、下を向くように調整するのが「しゃくり」と表現する場合があります。下ハンドルを上に向かせるには前傾姿勢が深くなり、下を向かせるには上体を起こすことが必要です。そのため「送り」と「しゃくり」は競輪などの競技ででよく使われます。
③ブラケットを基準にする
ロードバイクの基本ポジションはブラケット(シフトブレーキレバーの位置)を握ることなので、ブラケットを基準にした表現もあります。この場合はブラケットが体の手前にくるのを「しゃくり」、奥に遠くなるのが「送り」です。
ブラケットをしゃくれば腕が曲がり余裕が出ますが、送れば当然腕が伸びます。前に腕の状態を基準にするのは正しくない?と言ったのは、「送り」「しゃくり」の結果の腕の状態を表しているからです。
④惑わされないことが大切
ロードバイク「送り」と「しゃくり」の意味の解釈は、前述の3つとも正しいと言えます。ただ基準にしているものが違い、使われているシチュエーションが違うのです。今回の記事ではあえて使っていませんが、ハンドルの調整の仕方ではよく使われる言葉なので、何を意図(基準)として使われているかを理解し惑わされないことが大切になります。
正しいハンドル調整で快適なロードバイク!
ロードバイクのハンドルのまとめ
ロードバイクのドロップハンドルは、車体のバランスやスピードとブレーキングなどロードバイクをコントロールする重要なパーツです。ここまでドロップハンドルの特徴やベストなポジション、ハンドルの高さや角度の調整方法などをガイドしてきました。この記事を参考にして正しいハンドル調整で、快適にロードバイクを乗りこなしてください。
ロードバイクのハンドル以外のギアが気になる方はこちらをチェック!
当サイトではロードバイクに関する記事をたくさん掲載しております。ロードバイクのハンドルだけでなくパーツやコンポーネントに興味がある方はぜひ参考にしてください。

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出典:unsplash.com