二王子岳とは
信仰の山とされる新潟県新発田市の二王子岳には、登山口にある二王子神社、二王子岳の山頂に続く登山道沿いの三合目にある一王子社、八合目付近にある三王子社、九合目にある奥の院など多くの神社があります。
二王子岳山頂から見ることができる大日岳、御西岳、飯豊山、北股岳など飯豊山地の高峰の景色はまさに絶景と言えるでしょう。天候が良ければ山頂付近で弥彦山や角田山や朝日連峰も望むことができるのです。
二王子岳の場所
二王子岳(にのうじだけ)は、新潟県新発田市にある標高1420mの山で、蒲原平野から望む最大の山です。この山は、日本の二百名山の一座にも数えられている山で、昔から地元の農事に深く関わりを持っていました。
アクセスが悪いため「近くて遠い山」と敬遠されていましたが、昭和46年に林道が開通してからは登山者に知られるようになりました。どっしりした景観を持つこの山には、シーズンを通して毎年1万人の登山者が訪れます。
二王子岳の歴史
昔から蒲原平野の農耕用の水源に欠かせないこの山は、「にのじさん」と親しまれていました。「作神様」としても信仰を集めていましたが、近年農業を取り巻く環境の変化で、米作に関する行事も次第に消滅したのです。
天保7年創建の二王子岳登山口の二王子神社本殿は昭和23年に消失し、随神門もまた昭和37年の失火によりその姿を消し見る影も無くなりました。現在の二王子神社本殿は、昭和42年に再建した建物なのです。
二王子岳の現在の環境
昭和46年に二王子神社まで林道が開通して、アクセスがよくなったことから、一般登山者に知られるようになりました。遠かった登山口までは距離が近くなり、今では聖龍新発田ICからは車で約50分で到着できます。
公共交通機関を使えば、JR羽越本線の新発田市の駅からバスまたはタクシーで25分の距離のため、近年は信仰の山から登山の山へと変化しました。結果、二王子岳は季節を問わず大勢の登山者で賑わうようになったのです。
二王子神社からの往復コース
登山口の二王子神社までは、車での進入が可能です。二王子神社の境内に入る手前の橋を渡った場所にある駐車場は70台ほどの車が駐車が可能で、神社前の炊事場脇から入る二王子岳への登山道はよく整備されています。
二王子神社からの登山道1合目
急な坂が始まる辺りに1合目の標識があり、さらに登って行くと伝説を秘めた「神子石」が見てくるでしょう。少し先の2合目付近には水場もあり、そこから先に、もうひと登りすると杉の巨木がある一王子避難小屋へと到着します。
避難小屋の先に水場
避難小屋から少し下ると水場があり、ここでは春になれば水芭蕉が見られます。道は少しなだらかな上りとなり、視界の効かない雑木林の中を定高山に到着したあと、モリアオガエルの卵が見られる鴨池の側を歩いていってください。
二王子岳登山道の付近は花々が
登山道付近は、毎年遅くまで雪が多く残り、足元がおろそかになりがちなので、視界不良の時はコースを外さないように歩きましょう。実は、ここが最後の水場で季節によっては水が枯れてしまいます。
付近ではサクラソウや、ハクサンコザクラ、キクバオウレンなどの花が見られます。高山植物や、遠く望む朝日連峰の展望に励まされて登れば、三王子の祠の脇を過ぎて稜線へ辿り着くでしょう。
登山道は稜線漫歩に
ここで視界は一気に開け、稜線漫歩を楽しみつつ歌碑や石仏の建つ琵琶池を過ぎれば、山頂は指呼の間となります。ロボット雨量計のある奥社跡から少し行けば右に二本木山へ、直進すれば山頂が見える避難小屋に到着です。
二王子岳山頂には青春の鐘
二王子岳の山頂には、有名な「青春の鐘」や展望板も設置されているのです。この山頂から三光山、黒石山を越えて胎内側へと行くコースもありますが、近年は登山道が整備されていないため一般登山者は避けた方が無難でしょう。
二王子岳登山ガイドとチェックポイント
二王子神社
- 住所〒957-0333
新潟県新発田市田貝2010 - 公式サイトURLhttps://niigata-kankou.or.jp/spot/5531
- 電話番号0254-25-2536
- アクセス公共交通機関:JR羽越本線「新発田駅」より車で30分マイカー利用:日本海東北自動車道「聖籠新発田IC」より車で50分
- 駐車場あり
普通車:70台
二王子岳
- 二王子神社:290m~一王子避難小屋:727m(1時間20分)
- 一王子避難小屋:727m~定高山:994m(40分)
- 定高山:994m~油コボシ:1230m(1時間20分)
- 油コボシ:1230m~二王子岳:1420m(50分)
- 二王子岳:1420m~油コボシ:1230m(30分)
- 油コボシ:1230m~定高山:994m(30分)
- 定高山:994m~一王子避難小屋:727m(30分)
- 一王子避難小屋:727m~二王子神社290m(1時間)
- 二王子神社:290m
二王子岳登山「胎内小屋出発ルート」
胎内第一ダム~対岸尾根へ
胎内第一ダムから対岸の尾根へと取り付くルートを辿りながら登ります。ダムの堤防へと降りる通路のドアは日中は常時開放されており、段丘広場から続く登山道は、踏み跡として認識できる程度に、草藪に覆われているのです。
沢を急登する
尾根へと取り付いて足跡を辿るには、広葉樹林帯の中をトラバース気味に登って行き、最後に沢筋の急な斜面を登って行きます。尾根に取り付いて登りながら、ブナや北五葉松がある見通しのよい尾根道を進んで行きます。
ナリバ峰までは灌木藪が多い
尾根道を歩き標高600m付近に達した辺りから、踏み跡の上を灌木や藪が覆い隠し、またウルシが頻繁に現れ回避できない中をかき分けて進みます。ナリバ峰手前の左肩付近から、灌木藪が多くなるので注意しましょう。
ナリバ峰~黒石山
ナリバ峰とは、藪と樹林で覆われた視界の効かない平坦な頂きで、踏み跡のそばに三角点があります。ナリバ峰を過ぎれば鞍部までは緩やかな下り坂ですが、鞍部を過ぎれば尾根も細くなり、踏み跡もはっきりするでしょう。
低灌木の中を進む
段々と細く踏み跡もはっきり現れる中を進めば、周囲の高木は消え低灌木の中を黒石山まで辿ることになります。この細尾根を辿り、小規模なコブ状の地形をいくつも通過して、岩場や古いロープの残る急坂も通過して進んでください。
黒石山
ガラク峰へと連なる峰と、風倉山に連なる尾根の合わさった場所である黒石山で展望が一気に開けます。飯豊連峰と奥胎内を囲む山々を一望し、藪尾根を下ったり上ったりを繰り返して、二王子岳山頂を目指して歩いていきましょう。
胎内登山ルートガイドと注意点
二王子岳登山推測コースタイム
- 胎内第一ダム→黒石山:4時間20分
- 黒石山→二王子岳:3時間半程度
- 二王子岳→黒石山:2時間半程度
- 黒石山→胎内第一ダム:3時間
登山の期間は5月中旬から10月の下旬までの時期とされています。登山道は手入れされていますが、春の時期の二王子岳は残雪も多く、ガスも出て迷いやすいのです。稜線では登山コースは決して外さないように注意しましょう。
二王子岳登山の季節別の魅力
二王子岳の春の魅力
二王子岳への登山道は変化に富み、ブナの森の先にある避難小屋からは、残雪と夏道が混在して現れます。杉林の中にスミレサイシンやミヤマカタバミが、3合目から先はイワウチワとショウジョウバカマが咲いている姿を見ることができるでしょう。
付近にはサクラソウや、ハクサンコザクラ、キクバオウレンなどが咲きます。これらの高山植物や遠くに望む朝日連峰の雄大な展望に励まされて登れば、やがて三王子の祠の脇を過ぎて稜線へ到着です。
二王子岳登山の夏の魅力
高山植物との出合いが二王子岳登山の楽しみの一つです。初夏になれば、あちこちにサンカヨウ、カタクリ、シラネアオイ、オウレンなどの花々が短い夏を惜しむかのように咲き誇り登山者を楽しませてくれるのです。
標高1329m付近はお花畑と呼ばれている場所で、イワイチョウ、モミジカラマツ、ニッコウキスゲなどが群生している北斜面への辺つりに当たります。この辺りは雪が遅くまで残る場所なので注意しましょう。
二王子岳登山の秋の魅力
二王子山登山の秋の魅力は、一面に広がるみごとな紅葉です。登山口の二王子神社から、 4合目付近では10月ではまだ紅葉は見られませんが、山頂付近になれば綺麗に色づいた 紅葉が登山者を待ち受けてくれています。
紅葉の頃ともなると二王子岳の山頂付近は、紅葉目当ての登山客で混み合い大渋滞となります。いつまでも留まらず、後から来る登山客のために下山するか、一旦避難小屋に移動して後から来る登山者に場所を譲りましょう。
二王子岳登山の冬の魅力
二王子岳への一般登山の時期は、山開きが行われる5月から紅葉が見られる11月頃です。場所が日本海沿いにあり、冬は豪雪が続き登山はたいへん困難ですが、中には深い雪をかき分けて冬の二王子岳を目指す登山者もいます。
二王子岳登山と付近の温泉情報
①新発田温泉あやめの湯
新発田市の新発田温泉あやめの湯には、残念ながら露天風呂はありません。このあやめの湯温泉は内風呂と無料休憩所の設備のみの、実にこぢんまりとした温泉ですが、気兼ねなく入れることが唯一の利点の素敵な温泉です。
施設そのものは小さいですが温泉の質は大変素晴らしく、淡い褐色の色をした温泉は大変人気があります。しかも嬉しいことに源泉かけ流しで、さらには無料の温泉スタンド設備も備わっているのです。
新発田温泉あやめの湯の概要
新発田温泉あやめの湯
- 住所〒957-0013
新潟県新発田市板敷795-1 - 電話番号0254-26-1173
- アクセスJR新発田駅から車で5分
- 営業時間平日・土曜10:00~21:00
日・祝日6:00~21:00(定休日:毎月1・3月曜日(祝日の場合は翌日)、12月31日、1月1日) - 公式サイトURLhttps://niigata-kankou.or.jp/spot/11322
②百里の里 城山温泉
露天風呂は、城山温泉の日本庭園に面したところにあり、一週間ごとに男湯と女湯が入れ替わるので注意してください。嬉しいことにこの露天風呂から、二王子岳の南西にそびえる五頭連峰を眺めることができます。
城山温泉のお湯は「美人の湯」として有名で、正面に二王子岳を眺められる浴室も備えています。アクセスのよい日帰り温泉として知られていますが、城山温泉は食事も人気です。
百里の郷 城山温泉の概要
百里の郷 城山温泉
- 住所〒957-0042
新潟県新発田市浦1040-1 - 公式サイトURLhttps://www.shiroyama-onsen.com/
- 電話番号0254-21-2626
- アクセスJR新発田駅より車で10分
- 営業時間10:00~21:00(定休日:毎月第3木曜日)
③ホテル清風園
ホテル清風園は、男女合わせて4つある大浴場が特徴。また同時に観光品質保証制度である「Sakura Quality」に加盟している宿泊施設で、品質の高さが認証されている安心して利用ホテルの一つです。
家族連れで賑わっているホテル清風園は、若い女性に大変人気があります。温泉の質の良さと美人の湯の評判や、日本海でとれる新鮮な魚料理の良さも相まって評判のホテルの一つなのです。
ホテル清風園の概要
ホテル清風園
- 住所〒959-2397
新潟県新発田市月岡温泉278-2 - 公式サイトURLhttps://www.seifuen.com/
- 電話番号TEL:0254-32-2000
FAX:0254-32-2945 - アクセスJR白新線「豊栄駅」よりシャトルバスで約25分日本海東北自動車道「豊栄新潟東港IC」より車で約15分
- 駐車場あり
普通車:350台(無料):大型車:20台(無料) - 営業時間
まとめ
二王子岳に関してできるだけ情報を集めました。飯豊連峰の前衛の山と言われる二王子岳の姿は、どっしりとした山容を誇っており「俺はここにいる」と主張しているかのようで、威厳すら感じさせてくれる山です。
登山に関する情報を集めてみると、二王子岳には地元の中学生が遠足で登山する山といった情報がありましたが、学業の一環、つまり遠足で登れる山と舐めてかからないように注意しましょう。
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