バイクの適正空気圧とは?
機種ごとに定められているタイヤの指定空気圧
バイクの適正空気圧とは、各メーカーが指定するタイヤの指定空気圧に調整することです。バイクの走行パフォーマンスや乗り心地に最も影響するのはタイヤの空気圧と言っても過言ではありません。
高パワーのエンジンや強力な制動力があるブレーキでも、タイヤの空気圧が適正に調整されていなければ能力を100%発揮できないのです。言い換えればどんな高性能バイクでも、宝の持ち腐れになるほど空気圧が大切と言えるでしょう。
指定空気圧はバイクの排気量により違う
適正空気圧の目安になる指定空気圧は「kg/cm2」または「kpa」という単位で記載され、1.5〜3.0kg/cm2(kpa)の範囲が通常のバイクの基本目安です。また指定空気圧は各メーカーの機種や250ccや400ccなどの排気量とフロント・リアタイヤにより異なります。
今回は大切な愛車を守るため、バイクのタイヤの空気圧を測るタイミングや空気圧の高低による違い、調整方法などを徹底的にガイドします。
バイクの空気圧を測るタイミングと測定方法
①月1回のペースで測る
バイクのタイヤはゴムでできていて、タイヤの空気は分子レベルでゴムの微細な隙間を少しずつ通過します。そのためタイヤの空気圧はバイクに乗る乗らないに関わらず自然に少しずつ減っているのです。
自然に減少するタイヤの空気は1ヶ月で約5%と言われています。例えば2.0kg/cm2のタイヤなら1ヶ月に0.1kg/cm2減少する計算です。そのためにも1ヶ月に1回のペースで空気圧を測り確認しましょう。
②タイヤが冷めているときに測定する
空気は温度が高くなれば膨張します。バイク走行時にはタイヤの温度が高くるので、走行直後や真夏の炎天下ではタイヤの空気圧が高くなり正しい測定ができません。できるだけタイヤが冷めているタイミングで測るのが注意ポイントです。
ガソリンスタンドで貸し出しているエアゲージで空気圧を測定する場合は、ガソリンスタンドまで走行した距離や、タイヤがどのくらい温まっているかを考慮して数値を確認するようにしましょう。
③自分専用のエアゲージを持つ
バイクのタイヤが冷めているときに空気圧を測るためには、自分専用のエアゲージを持つことがおすすめです。自分専用のエアゲージを持っていれば、わざわざガソリンスタンドに行く必要がなく、月1回のペースと言わず空気圧に違和感を感じたときすぐ測ることができます。
またエアゲージは機種により表示数値が微妙に違うので、違うスタンドで計測すれば正しい測定ができません。いつも同じエアゲージで測定することが必要です。
エアゲージの使い方
エアゲージの使い方は非常に簡単です。まずタイヤのバルブキャップを外しバルブにエアゲージのノズルを押し合わせると、シュッと空気が抜ける音がして空気圧の数値が表示されます。その数値がバイクに記載されている指定空気圧の範囲であればOKです。
エアゲージは通販で千円〜2千円程度で購入できます。自分専用のエアゲージを購入しておけば、いつでも必要なときに空気圧を測ることができるのです。
バイクの空気圧の高低の違い
バイクのタイヤの空気圧は、指定空気圧に調整するのが基本ですが、自分のフィーリングに合わせて空気圧の高低を変えるのもライダーがよく行う手法です。バイクの空気圧が高い場合と低い場合では、パフォーマンスや乗り心地にどのような違いや影響が出るのでしょう。
①空気圧が高い場合
空気圧を上げると、タイヤのたわみや歪みが少なくなるので、バイクの乗り心地がシャープで軽やかになるのが特徴です。またタイヤと路面との接地抵抗が減るのでバイクの燃費はよくなります。
しかしタイヤの反発力が高く地面の振動の吸収率が落ちて、路面によっては飛び跳ねるようになり硬いフィーリングになり決して乗り心地がよいとは言い切れません。シャープで軽やかな取り回しと、硬い乗り心地の両面があるのが空気圧です。
②空気圧が低い場合
バイクタイヤの空気圧を低くすると、路面の凹凸の衝撃をいなしあたりがソフトになるので乗り心地がよくなりますが、取り回しが重くなり燃費も悪くなります。峠などを走る際は低めの空気圧にするとグリップ感がよくなり登坂効率が高くなるのがメリットです。
ただ空気圧を下げすぎると地面との摩擦が多くなり、タイヤの摩耗が進みパンクしやすくなるので注意しましょう。あくまで指定空気圧を目安に調整するのが基本です。
バイクの空気圧を調整する方法
①ガソリンスタンドで空気圧を調整する方法
大きいガソリンスタンドなら、ほとんどにバイクのタイヤに空気を入れるコンプレッサーがあり、このコンプレッサーで空気圧を調整します。コンプレッサーにはエアゲージがついているので、メーターの数値を確認しながら調整しましょう。
使い方は接続してトリガーを引くだけで簡単に空気を注入できます。コンプレッサーは機械なので、入れ過ぎる可能性が多々ありますが、その場合はリリースボタンで空気を抜き適正にしましょう。
コンプレッサー使用する際の注意点
コンプレッサーには据え置き式の「プリセット型」と持ち運び式の「タンク型」の2種類があります。タンク型の場合は基本的にエアゲージが付いていますが、プリセット型にはダイアルで空気圧を指定するタイプがあるので注意が必要です。
どちらにしても適正な空気圧はバイクのタイヤが冷めているときがベストなので、ガソリンスタンドに着いたときバイクのタイヤに触ってみて温度がどのくらいなのかを確認しましょう。
②自分で空気圧を調整する方法
意外ですがバイクの空気圧は、自転車の空気入れで自分で調整が可能なのです。ただ注意する点はバイクのタイヤバルブのほとんどは米国式(アメリカ式)になっています。空気入れのバルブの形式を確認することが必要です。
自転車用の空気入れのバルブは英国式やフランス式が多く、その場合は米国式に変換するアダプターを使用すれば心配入りません。空気圧を調整する前に自分の家庭にある空気入れが何式かを確認しておきましょう。
適正な空気圧にするにはエアゲージが必要
自転車用空気入れでは、バイクのタイヤの空気圧がどのくらいになったかがわかりません。自分で空気圧を調整するためにはエアゲージ が必ず必要です。自転車用空気入れは意外かもしれませんが、しゃかりきにポンピングするとコンプレッサー以上の空気を送り込むことができます。
過去にはタイヤがバーストしたという記録があるくらいで、あなどってはいけません。愛車を守るためにエアゲージを1つ持つことをおすすめします。
空気圧を調整する際の注意点
①空気圧数値の読み違い
自転車用空気入れで調整する場合は、感覚的に空気の入り具合がわかりますが、コンプレッサーで調整する場合は注意が必要です。コンプレッサーは空気を非常に高圧で送り込む機械なので、空気を入れ過ぎても人間のような感覚がありません。
10秒以上入れ続けても指定空気圧に達しない場合は数値(桁の単位)を読み違えている可能性があります。実際に読み違いでタイヤが破裂し死亡事故が起きているので、十分注意しましょう。
②バイク走行直後は要注意
バイクの走行時のタイヤは、地面との摩擦熱で膨張し中の空気圧が高くなっています。走行直後に空気を注入し指定空気圧に調整しても、その時点では正常でも、実際平常時の空気圧は低くなってしまうのです。
指定空気圧より少し高めに調整するか、タイヤの熱が冷めるのを待ってから調整するようにしましょう。どのバイクメーカーの指定空気圧も、タイヤが冷めている状態(冷間時)を前提にした数値だと認識しておくことが大切です。
③季節と気温の変化に注意
学校の理科で習ったシャルルの法則を覚えていますか?空気は温度に比例して膨張したり収縮したりします。つまりバイクのタイヤ空気圧は、高い気温の夏場には膨張した空気がタイヤ内に閉じ込められているので高くなり、気温が低い冬場には逆に低くなっているのです。
夏と冬の気温差は30℃前後なので膨張率は微細な差ですが、寒冷地ではかなり大きくなります。こだわり派のライダーなら注意が必要です。
空気に変わる窒素ガスとは?
最近バイクショップなどで、バイクのタイヤに空気の代わりに窒素ガスを注入するサービスが増えてきました。空気は酸素と水素、ヘリウムや窒素で構成されいて、その中で最も重い分子が窒素です。窒素ガスを注入するメリットは一体なんなのでしょう。
①タイヤの空気が減らない
窒素ガスは構造が空気より比重が重くサイズも大きい分子です。つまり空気よりバイクのタイヤのゴムを通過しにくい分子サイズなので、空気圧が減りにくくなります。
タイヤの空気圧が減少する最も大きな原因は、タイヤを通過する自然空気漏れで、それを防止できるのが窒素ガスと言えます。つまり窒素ガスを注入することで自然空気漏れが減少する効果があるのです。
②タイヤ&ホイールを保護する
窒素は酸化しにくいという特性を持っています。酸化は金属ではサビをまねき、食品では腐敗の原因になり、地球環境では温暖化を促進する、あらゆるものに劣化を起こす現象です。窒素ガスをタイヤに注入することでバルブやタイヤ本体、ホイールの酸化(劣化)を防ぐことができます。
③空気圧が変化しない
通常空気は温度より膨張率が変化しますが、窒素ガスは温度により体積が変化しにくいのが特徴です。つまりバイクのタイヤに窒素ガスを注入すれば空気圧が変化しにくくなります。もちろん窒素ガス注入には費用がかかるので、注入の決断は個人で判断してください。
適正な空気圧で安全で快適なバイク走行を!
バイクの空気圧のまとめ
バイクのタイヤの空気圧は、バイクの走行性を左右する重要な要素です。空気圧が適正に調整されていなければ、乗り心地や取り回しが悪くなるだけでなく事故につながる可能性さえあります。
ここまで空気圧を測るタイミングや測定方法、空気圧の高低の違いや調整する方法と注意点を解説してきました。これらの記事を参考にして安全で最高のパフォーマンスのバイクライディングを満喫しましょう!
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出典:unsplash.com