千両、万両、南天の違いを解説!
赤い実を持つ縁起のよい木
赤い宝玉が富と幸を招く木として正月飾りの縁起物として使われる千両をはじめ、赤い実をつける木は吉兆の木とされて、昔から玄関先や、庭木に好まれてきました。
特に千両は「千両、万両、蟻通し(一両という常緑低木)」といって、商売繁盛の縁起物として、この3つの木を揃えて鉢に植えるとお金に困らないなどという民間伝承も残っています。ここでは赤い実を持つ縁起のよい木とされる千両、万両、南天の違いとそれぞれの花言葉を解説します。
赤い実のなる常緑樹は縁起のよい木
冬に真っ赤な実がなる常緑樹は縁起が良い
お正月飾になくてはならない千両ですが、千両の代わりに赤い実のなる万両や南天もお正月の花飾りに使われます。それは赤い実をつける植物は縁起が良いとか魔除けの意味があるからです。
千両も万両もそして南天もそうですが、冬に真っ赤な赤い実をつける常緑樹です。寒い冬に葉は緑に輝き、宝のような真っ赤な宝玉がたわわるその姿が縁起がよいとされているのです。
赤い実には魔除けの意味がある
古来から赤い実は魔除けの力があるとされて、赤い実をつける木は吉祥樹とされています。なぜ魔除けの意味があるかは、さまざまな所説はありますが、昔から赤い色には魔をよける力があると信じられているのです。
たとえばクリスマスの定番植物であるセイヨウヒイラギもその赤い実に魔除けの意味があります。ちなみにヒイラギは実を付けませんが、葉がギザギザしていることで魔除けの意味があるそうです。
千両・万両・南天の花言葉
千両の花言葉は「富」「恵まれた才能」
千両の花言葉は「富」「恵まれた才能」という言葉です。冬に鮮やかな緑色の葉と赤い実が印象的な千両は、おめでたい植物としてお正月には欠かせない存在で、花言葉も縁起のよい言葉が並びます。
江戸時代までは「仙寥花(せんりょうか)」とよばれていましたが、同じような赤い実を付ける万両との対比で「千両」と表記されるようになったといわれます。また千両に値する美しい赤い実だからという説など、その呼び名には諸説があります。
千両の特徴
千両はセンリョウ科センリョウ属の常緑低木です。学名は Sarcandra glabraと表記します。原産地は日本、朝鮮半島の南部、台湾、中国、インド、マレーシアなどです。別名「草珊瑚(クササンゴ)」などと呼ぶ地方もあります。
7月~8月中旬に白いごく単純な花が開花します。赤く結実するのは12月~翌年の1月です。お正月には赤い実の千両が活躍しますが、千両には黄色い実をつける種類もあります。黄色い実もお金が貯まる縁起のよい実とされています。
万両の花言葉「寿ぎ」「陰徳」
万両の花言葉は「寿ぎ(ことほぎ)」「陰徳」という言葉です。「寿ぎ」とは祝福のことばをいうという意味で、「陰徳」とは人に知られないようにひっそりとする善行の意味となります。
万両が縁起のよい植物だといわれるのは、千両と同じように赤い実をつける植物であることのほかに、お金の単位がついたこの名前が、たくさんの富を連想させるからだという説もあります。さらに実が大きく、たくさん実が付くことで縁起がよいとされるいるのだそうです。
万両の特徴
万両はサクラソウ科(またはヤブコウジ科)ヤブコウジ属の常緑低木です。学名は Ardisia crenataと表記します。万両の原産地は日本(関東より南)、朝鮮半島、中国、台湾、インドなどです。
別名では「橘(タチバナ)」「藪橘(ヤブタチバナ)」「花橘(ハナタチバナ)」などと呼ぶ地方もあります。7月に白い花を咲かせ、花には香りはありません。12月になると実が赤くなります。
千両と万両の違いは実の付き方
万両は千両と見た目そっくりな実を付けます。千両と万両の違い(見分け方)は、千両はやや大ぶりの葉の上に実を付け、万両は葉の下に実を付けるのがこの2つの違いです。
また2つは同じように赤い実を付けますが、千両は万両より実の付き方が少なく、そのため「千両」という名前になったという説も、千両という名がついた諸説の1つです。
南天の花言葉「よい家庭」「福をなす」
南天の花言葉は「よい家庭」「福をなす」という言葉です。南天は「難を転じる」縁起のよい木としてお正月の花飾りの花材になる植物です。花言葉にはほかに「難を転じる」「心願成就」「一生安泰」などという言葉もあります。
民間伝承ですが、南天の木で作った箸を使うと、健康長寿にあやかれるといわれ、全快祝いに配る赤飯には、南天の葉を表向きに添えて配ったそうです。また裏向きに添えるのは、これ以上悪くならないように願うお守りだという言い伝えがあります。
南天の特徴
南天はメギ科ナンテン属の常緑低木です。学名は Nandina domesticaと表記します。南天の原産地は日本、中国、東南アジアです。6月~7月に小さな白い花が咲き、その後、11月~翌年2月頃に真っ赤な実を付けることで、南天も千両などと同じように縁起のよい木とされています。
南天は厄除けや火災除けとして庭や玄関に植えられます。昔から葉や実は薬効があるとされており、現在も生薬として用いられています。特に咳止め効果のあるのど飴は有名です。
南天と千両や万両の見分け方
南天も千両も万両も、植物学上で見るとそれぞれ違う種類の植物です。しかし真冬に艶やかな緑の葉をつけ真っ赤な実のなる縁起のよい木である点は共通する点であり、見た目もよく似ています。
特に南天は千両と同じように葉の上に実を付けるので見間違えやすいです。南天と千両の区別の仕方は南天の実は千両のように葉の上に上品に実を付けるのではなく、まるでブドウの房のようにわさわさと実を付ける点です。葉も南天は流線型で薄い葉をしています。
赤い実をつける百両、十両、一両という植物もある
百両の特徴と花言葉
万両、千両の名に続き百両、十両という名の木もあります。その下には一両もあるのです。どれもみんな真冬に真っ赤な実を付ける常緑低木となります。百両は別名「唐橘(カラタチバナ)」といい、万両と同じサクラソウ科(ヤブコウジ科)ヤブコウジ属の植物です。学名はArdisia japonica と表記します。
百両も千両と同じように葉の上に実を付けますが、千両より実の数は少ないです。百両も縁起のよい木で、その花言葉は「富」「財産」です。
十両の特徴と花言葉
十両も万両や百両と同じサクラソウ科(ヤブコウジ科)ヤブコウジ属の常緑低木です。学名はArdisia japonicaと表記し、別名は「藪柑子(ヤブコウジ)」と呼ばれています。
十両も縁起のよい木ですが、万両や千両に比べると樹高も低く、実も数も少ないので「十両」という名がついたそうです。十両の花言葉は「明日の幸福」という言葉です。
一両の特徴
一両はアカネ科アリドオシ属の常緑低木です。学名はDamnacanthus indicusと表記します。別名は「蟻通し(アリトオシ)」といい、長くて鋭い針のようなトゲがあるのが特徴です。
低木とはいえ、まるで地面を這うように生長するほふく性の木です。一両もやはり縁起のよい木ですが、その花言葉は記載がありません。ただ学名の「Damnacanthus (ダムナカンサス)」とは、ギリシャ語の「damnao(優る)」という意味を持つ言葉です。
千両、万両、南天の花言葉を知って飾ろう
真冬に赤い実を付ける常緑低木は、千両にしても万両にしても、また南天にしてもどれの縁起のよい木だといわれ、その実はお正月の花材に利用されます。
花言葉を知ると、同じ赤い実でも、選ぶのが楽しくなりますよ。それぞれ種類は違いますが、どの木も縁起のよい花言葉が並びます。きれいに飾り、幸を呼んでください。
縁起のよい植物についてもっと知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」ではほかにも縁起のよい植物についてまとめています。これからガーデニングを始めようとされる方や、縁起のよい植物について興味のある方は、こちらもチェックしてみてください。

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