方言に触れるのも旅の楽しみ
ローカル線の中やお店、旅館や民宿など旅行の際に立ち寄る多くの場所で耳にするのがその土地で昔から話されている方言です。方言によっては訛り方がきつく、標準語圏に住む人には会話の内容どころか単語の意味さえ分からないということもあります。
でも地元ならではの方言には温かみがあり、それを聞いていると何となくほっこりした気分にさせられるのではないでしょうか。旅先でその土地の方言に触れるのも旅行の醍醐味の一つと言えるでしょう。
大分県といえば大分弁
今回の記事では大分県で話されている方言「大分弁」を取り上げます。大分県にも県民の間で昔から使われている方言があり、近年ではテレビ番組などでもこの大分弁が取り上げられました。
単語や動詞、形容詞のかわいい言い回しや、言葉の最後につける語尾やイントネーションなど、大分弁の特徴や意味、使い方などが紹介されて人気となっています。じっくりと時間をかけて言葉を学んでみると、大分弁の特徴や魅力にはまってしまうに違いありません。
大分弁は九州弁の一つ
九州地方で話されている方言は大きなくくりで言うと「九州弁」です。九州弁は福岡県東部や大分県、宮崎県の言葉を包含する「豊日方言」と、福岡県西部や佐賀県、長崎県や熊本県の言葉を包含する「肥筑方言」、鹿児島県や宮崎県の一部の言葉を包含する「薩隈方言」の3つの方言に分けることができます。
この分け方からすると大分弁は豊日方言に属しており、北九州弁や飯塚弁、中津弁や田川弁、宮崎弁などの方言に共通する特徴を有することになるでしょう。
大分弁の特徴とは?
前にも述べた通り大分弁は九州弁の中の豊日方言に分類される言葉ですが、さらに細かく5つの方言に分けることが可能です。国東市や杵築市などの言葉を「東北海岸方言」と言い、日田市や玖珠郡地域の言葉を「西部方言」と呼んでいます。
また、別府市から北側の地域の言葉を「北部方言」と言い、津久見市の南部から豊後水道周辺までの地域の言葉を「南部海岸方言」と呼んでいます。そして大分市から南側の地域で話されているのが「南部方言」です。
語尾に大きな特徴アリ!
大分弁の最も大きな特徴が言葉の最後に付ける語尾でしょう。この語尾に表れている特徴がテレビ番組などでも大きく取り上げられて人気となりました。
福岡地方の方言によくみられる男性的な「~けん」という語尾も使うことがありますが、特に注目なのがかわいいと感じる「~ち」とか「~ちゃ」といった表現です。大分県以外から訪れる人の多くは、このかわいい大分弁で話しかけられると何ともいえない気持ちになると言われます。
大分弁の一覧
大分弁には標準語に近くその意味をおおよそ理解できる方言も多くありますが、中には標準語に直してもらわないと意味がよくわからない方言もあります。そんな特徴的な大分弁独特の言葉をこちらに集めてみました。すべての方言を取り上げることはできませんが、15ほどの言葉を一覧表にしましたのでぜひユニークで特徴的な大分弁に触れてみてください。
大分弁 | 意味 |
いっすんずり | ひどく車が渋滞すること |
いちみちきちくりー | 行ってみてきてください |
いばかり | わがまま |
うたちー | 汚いのでいや |
えごんいーし | 笑顔でいつも愛想のいい人のこと |
えらしー | 可愛らしい |
おじー | 恐ろしい、怖い |
かたる | 仲間に加わる |
ぎしめく | 威張る |
くされ | 意地悪 |
けんちょいき | よそ行きの服装 |
けとろく | つまらないこと |
どべ | びり、最後尾 |
ほげ | でたらめ |
めんどしー | はずかしい |
大分弁で愛を告白してみよう!
ここからは大分弁を実際に日常生活の中でどのように使うのかについてみていきましょう。今回は男性から女性に、また女性から男性に愛を告白するというシーンを例にとって解説します。
愛の告白にはさまざまなシチュエーションがありますが、相手に対する自分の熱い思いを告白する際に使うことの多い大分弁をピックアップしました。言われたらキュンとくるようなかわいい方言も登場します。ぜひご覧ください。
大分弁①:しんけん
標準語で「とても」、「非常に」という意味を持つ大分弁です。後に続く言葉を強調する意味合いを持つ言葉で、大分県民の間でも年齢を問わず日常会話の中で普通に使われています。
これを愛の告白に適用すると「俺、おまえのことしんけん好きやに、付き合おうえ」などなるでしょう。これは「俺は君のことがすごく好きでな、ぜひお付き合いをお願いしたいんだ」という意味です。しんけんに「しら」を付けるとさらに強調する意味合いとなります。
大分弁②:やけん
標準語で「~なので」、「~だから」という意味を持つ大分弁です。何かをする、あるいは何かをしたい理由を説明するときによく話される言葉のため、愛の告白の際にもこの言葉が使われることがあります。
例えば「私、あんたん好きやけん、付き合っちくれんかなぁ?」などといえば、自分が相手のことを好きに思っているのでぜひお付き合いをしていただきたいという意味です。優しく好きやけんと言われるとかわいくてキュンときてしまうでしょう。
大分弁③:しよん・なりよん
標準語で「~なる」、「~なっている」という意味を持つ大分弁です。何かの行動や気持ちがそのまま今も続いているという現在進行形の方言で、言葉の最後に付ける大分弁ならではの語尾の一つになっています。
「なんかなぁ、私どんどんあんたんこと好きになりよるわぁ」などといえば、これは自分が相手のことをどんどん好きになっていくばかりであるということです。そんな大分弁の告白なら一度はされてみたくなります。
大分弁④:ちゃ
標準語で「~だよ」、「~です」という意味を持つ大分弁です。この方言は大分弁の中でもかわいらしい方言として注目度の高い方言の一つになっています。有名なアニメの主人公もこの独特の方言を使っていたため耳馴染みがあるのではないでしょうか。
NHK大分放送局には「好きっちゃおおいた」と名付けられた生活情報番組があるほどこの方言は大分県民の間に浸透しています。言葉の語尾に付ける言葉で、愛の告白で使う場合には「あんたんこと好きちゃ」などと言います。
大分弁⑤:じょう
標準語で「~のことばかり」という意味を持つ大分弁です。標準語とはほど遠い大分弁のため、大分県出身の人からこの方言を使って愛の告白をされたとしても、意味が分からずにきっと戸惑ってしまうに違いありません。
例えば「あんたんことんじょう」といえば、その意味は「あなたのことばかり考えて思っています」です。主に女性から男性への告白に使われる言葉で、どちらかといえばヤングな女性よりも大人の女性に似つかわしい言い回しとなっています。
大分弁⑥:あが
標準語で「あなた」、「君」という意味を持つ大分弁です。標準語で愛を告白する際には、男性なら「あなたのことを守り続けたいんだ」とか「君のことを守りたいんだ」などという言い方をしますが、大分県民の男性は「あがのこと守るけん」と女性に告白します。
結婚を決めてプロポーズをする際にもきっとこの言葉が大分県内で語られているに違いありません。包容力のある男性に告白されたならキュンときてしまうでしょう。
大分弁を学んでから大分旅行
ここまで大分県で話されている大分弁の数々とその意味について解説してきましたがいかがでしたか?近年では若者を中心に方言を話す人が少なくなっており、大分弁についても決して例外ではありません。
しかし、その土地の歴史や文化から生まれた方言はとても貴重で、標準語とは一味違うほっこりとした温かさを感じさせるものとなっています。大分に出かける際にはぜひ本記事を参考にして大分弁をチェックしてみてください。
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