虫よけから料理にまで使えるレモングラス
レモングラスの葉は、レモンとショウガを合わせたような独特の香りがします。東南アジアではトムヤムクンがあげられるように、料理の香りづけに利用されることでも有名です。精油はレモンと同じ成分のシトラールを含有しており、防虫効果が期待されています。
ガーデニングでレモングラスを栽培するときは、収穫時の鋭い葉の取り扱いに注意しなければいけません。育て方や収穫方法などをチェックし、レモングラスをガーデニングに採り入れてみてください。
レモングラスの概要
レモングラスは多年草のイネ科尾がルカヤ属の植物となり、主に南インドやスリランカ、東南アジアなどの熱帯や亜熱帯地方で自生しているといわれています。
茎の高さは1.5メートルほどになり、ススキのような1メートル以上になる細長い葉を茂らせ、存在感のある独特の雰囲気な点も特徴です。根元も肥大化しやすく、地植えすると丈夫に育ってくれます。耐寒性はありませんが耐暑性はあるため、温暖な地域であれば初心者も育て方は簡単です。
育て方の概要
レモングラスの種子は出回らないため、5月頃になると園芸店などで販売され始める苗を購入してください。レモングラスの栽培環境は、日当たりと適度な風が吹く場所がよいとされています。
草丈が1メートル以上にもなるため、植え付けるときは広い場所を用意してください。虫が嫌いな香りを発することもあり、レモングラスは病害虫の心配はほとんどありません
レモングラスの収穫時期と収穫方法
レモングラスの収穫時期
細長い葉を豊富に茂らせるレモングラスは、15枚ほどの葉をつけるまでに栽培できたら収穫できるようになります。しかし注意点は、すべての葉を収穫しないようにすることです。
1回めに収穫するときの収穫量は1/3ほどに抑えておきます。残りは収穫せずに栽培しておき、大きくなってから再び1/3ほどを収穫してください。レモングラスはこまめに収穫することで、11月末の最終の収穫時期まで楽しめます。
レモングラスの収穫方法
レモングラスの収穫方法は、1枚の葉の根元までたどり、ハサミで丁寧にカットしてください。レモングラスの新芽は株の内側から生えてくるため、レモングラスの葉をカットする部分は外側からになります。外側の葉から収穫することで新芽にも光が当たりやすくなるため、必ず外側から収穫しましょう。
収穫するときは、細長くて薄いレモングラスの葉は紙などと同じように縁の部分で指を切りやすいため、手袋を着けるなど注意して収穫してください。
大株になったときの収穫方法
レモングラスが栽培途中でも大株になったときは、思い切って根元からすべてバッサリと稲刈りのようにカットして収穫するとよいそうです。
レモングラスは気温が高ければ株の中央部分から伸びてくるため、生育に関してはあまり心配がいりません。秋になり、最後に収穫するときもレモングラスの根元からすべてカットして収穫しましょう。
レモングラスの保存方法
収穫したレモングラスの生葉は、ハーブティーにすることが一般的なようです。しかしたくさん収穫できたときは、乾燥させて保存するとよいでしょう。
一般的な保存方法は、レモングラスの葉を保存容器のサイズに合わせてカットし、魚の干し網に入れて風通しのよい場所で保管します。1週間ほどで乾燥したあとは空気に触れないように保存容器や保存袋に入れ、直射日光の当たらない場所で保管してください。保存期間は約1ヶ月が目安です。
電子レンジを使う保存方法
収穫後のレモングラスは天日でじっくり乾燥させる以外に、電子レンジを使う方法もあります。その特徴は、急速に乾燥させることで風味が損なわれにくという点です。注意点は温度を高くすると葉を焦がしてしまいがちのため、温度調節をしながら乾燥させてください。
冷蔵庫を使う保存方法
収穫したてのレモングラスは、葉を乾燥させないで冷蔵庫で保存する方法もあります。収穫した直後にレモングラスの葉を適当な大きさに刻み、保存袋に入れるだけの簡単な方法です。
収穫直後は鮮度が保たれるため、使い方によってはよりレモングラスのよい香りが感じられることから、この方法がおすすめといえます。しかし乾燥させる方法よりも期間は短くなるのでご注意ください。
レモングラスの概要と育て方のポイント
水やりのタイミングに注意
高温多湿を好むレモングラスの育て方のポイントは水やりにあります。梅雨の時期以外は、夏の高温時期にはしっかり水やりをしてください。水切れになると葉の勢いが失われ、株が細くなってしまいます。
おすすめの方法は、水切れを防ぐために根元をワラや腐葉土などで覆う"マルチング"です。地植えと鉢植えの両方に使える方法で、乾燥を防げます。しかし鉢植えの場合は水をやりすぎると根腐れを起こしやすいため、表土が乾燥してからにしてください。
追肥は有機肥料を与える
レモングラスの肥料は地植えも鉢植えも、植え付けるときに用土に適量の堆肥を混ぜてください。レモングラスは肥料をあまり必要としない植物ですが、生育が旺盛なときには追肥をするとよいでしょう。
追肥は化学肥料ではなく、食用にすることから身体への安全性がいわれている有機肥料にします。病害虫を招かないように適当な量を守って与えてください。
上手な増やし方
レモングラスは、暖かくなる4月以降に株分けで簡単に増やすことも可能です。根元を傷つけないように丁寧に掘り上げ、刃物で株を切り分けてください。あとは鉢に植え付け、根付くまで水をたっぷり与えるだけです。レモングラスをたくさん増やし、たくさん収穫しましょう。
レモングラスの冬越し
レモングラスは多年草で耐暑性はありますが、耐寒性には弱い植物です。そのため本州の暖地でも、地植えしたレモングラスは収穫後に鉢上げし、暖かい室内での管理がおすすめです。
その場合は根元を10㎝ほど残してカットし、ちょうどよいサイズの鉢に植え替えます。もしくは鉢上げせず、翌年に新しい苗を植えて収穫を楽しんだほうが手間もかからずによいでしょう。
香りを活かした使い方:食用3選
①ハーブティーやドリンクの香りづけ
レモングラスは名前のとおりレモンのようなクセのない香りのため、収穫後はハーブティーにすることが多いようです。胃腸の働きを刺激して消化を促進する効果が期待できることから、食後のお茶としても人気があります。食べ過ぎから起きる胃もたれにもよいとされており、胃腸が気になる人におすすめのハーブです。
ハーブティーにするならば、香りが際立つ生葉のフレッシュハーブがよいでしょう。なかには緑茶をブレンドして楽しむ人もいます。
②スープやサラダなどの料理
収穫後のレモングラスを使う代表的料理はトムヤムクンですが、トムヤムクンに使う部分はレモングラスの葉ではなく根元部分です。根元が成長してくる10月頃に収穫し、トムヤムクンの香りづけに用いるといわれています。
トムヤムクンだけではなく、お肉や魚料理の香りづけにもおすすめです。白身魚のホイル焼きにレモングラスを始め、ローズマリーやローレル、タイムなどを加えることで魚の生臭さが消え、ハーブのほのかな香りがします。
③パウダータイプはクッキーの香りづけ
レモングラスは生の葉を使うのもよいですが、市販品でパウダー状のものが販売されています。手軽にレモングラスを楽しむならばパウダータイプを上手に活用しましょう。ジンジャーとブレンドしてスコーンやクッキーに使う人もいます。いろいろ工夫してレモングラスの香りをお楽しみください。
香りを活かした使い方:精油3選
①レモングラスのアロマオイル
レモングラスに含油されている精油の成分には、副交感神経系の働きを助けることで気持ちをリフレッシュさせる作用がいわれています。精神的に疲れているときはレモングラスで気分転換を図ってみてはいかがでしょうか。
さらに食欲増進効果や消化促進効果、筋肉痛の原因である乳酸を取り除く効果などもあるとされ、身体へのよい影響が期待できる植物です。
②レモングラスの消臭スプレー
レモングラスは、水虫の原因といわれている白癬菌にも効き目があるといわれています。消臭や殺菌したい気になる部分に、レモングラスのアロマオイルを数滴垂らすとよいそうです。
靴であれば、レモングラスのアロマオイルを布またはティッシュペーパーに1滴垂らして置いておくことで、翌日は除菌がされているといわれています。殺菌だけではなく消臭効果もあるとされているため、夏の湿気が気になるときにもおすすめです。
③レモングラスの虫よけスプレー
レモングラスは、蚊などの虫が嫌う成分を含む香りがするため、虫よけにも効果があるといわれています。
清潔なスプレー容器に、無水エタノール(5ml)を入れてからレモングラスのアロマオイル10滴を垂らしてください。ふたをしてスプレー容器をよく混ぜます。精製水(45ml)も加えて再びよく混ぜてください。アロマオイルはレモングラスの他に、ハッカやユーカリレモン、シトロネラなどお好みでブレンドするのもおすすめです。
ガーデニングでレモングラスを楽しもう
レモングラスの収穫方法は、葉の根元までたどって根元をハサミでカットします。葉は先に成長している外側から収穫するようにしてください。レモングラスの葉は紙のように薄いため、収穫するときは指を切らないように手袋をはくとよいでしょう。
収穫した後は、生葉はもちろん乾燥させてお茶やスープ、肉や魚の臭み消しに利用してください。アロマオイルが手に入れば、アロマセラピーやアロマスプレーを利用するのもおすすめです。
香りのよいハーブが気になる人はこちらをチェック!
レモングラス以外の香りのよい植物は他にもいろいろありますが、セージやディルもおすすめです。薬用としてはもちろん料理にも美味しく利用できるので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。効能や使い方について詳しく紹介してあります。

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出典:photo-ac.com