ディルとはどんな味のハーブ?香りは?
ディル(dill)はヨーロッパでは古くから料理に使われているポピュラーなハーブです。その分布域はヨーロッパ、北アフリカ、アジアまで香辛料・生薬として広く栽培・利用されてきました。葉や茎にはすっきりとした爽やかな芳香があり、噛むとほんのりと甘みを感じます。
特に魚料理との相性が良いハーブとされ、サーモンの香草焼きは欧米では定番のメニューです。一方、種の方は葉に比べるとやや辛味が強いので、パンの風味づけやカレー・ソース・ピクルスなどに使用するスパイスとして愛されています。
ディルの葉と茎
葉は薄く、先の方は細かく分かれています。香りを楽しむため、小さくちぎって使うことが多いです。
ディルシード
薄い茶色で、米粒よりもやや小さく、クミンシードやキャラウェイシードと同じくらいの大きさです。
リラックス効果のある香りのハーブ
英語名のDill(ディル)の語源は、古い北欧の言葉の“なだめる、和らげる”を意味するDilla(ジーラ)に由来しています。ディルの香りには、イライラした気持ちを落ち着かせる効果があるので、鎮静効果のあるハーブティーとして利用するのも良いでしょう。
ヨーロッパの民間療法では、夜泣きした赤ちゃんに煎じたディルを少量与えると落ち着いて泣き止む効果があると伝えられております。心がざわざわして落ち着かない時に取り入れて見てはいかがでしょうか。
薬草としてもディルの効能は優秀。漢方薬としても使われているハーブです。
香草として香りを楽しむだけではなく、ディルには胃腸のはたらきを助ける効能があり、胃もたれの解消や消化を促進し、また下痢や便秘の解消に役立つといわれています。
東洋では、種子は「蒔蘿子」とも呼ばれ、漢方薬として食欲不振や嘔吐・下痢・腹痛などの症状に用いられています。さらに体内のガスを排出するお手伝いもしてくれる、まさにデトックスハーブです。
ディルの簡単な使い方・レシピをご紹介
市販のディルは、ドライハーブになった物と香草として生の葉、ディルシード(種)が売られています。ディルの葉は乾燥すると香りが薄くなってしまうため、なるべくならフレッシュなものを使用した方がその爽やかな香りを楽しめるでしょう。葉と茎はもちろん、花も食べることができますよ。
また、スーパーなどでは乾燥したディルを使用した味付け用のシーズニングなども売られています。お料理の用途に合わせて種類が出ていますので、まずはこのタイプから使ってみるのも手軽で良いですね。
それでは、ディルの代表的な使い方をレシピでいくつかご紹介します。早速、いつもの食事にディルの効能を取り入れてみましょう。
・スモークサーモンとディルの相性は抜群。
ディルは、魚のためのハーブとも呼ばれ、特にスモークサーモンとの相性は抜群です。マリネしたスモークサーモンの上に散らせば、彩りのバランスも良く見栄えがアップして、豪華な一皿に変身するのでホームパーティーにもぴったりです。
もちろんスモークサーモンの定番の相方、クリームチーズとの相性も抜群ですので、カナッペやサンドイッチにしても美味しいですよ。
・香草焼きがオススメ。
魚の香草焼きも代表的なメニューです。サーモンの香草焼きはディルサーモンとも呼ばれ、とても人気の西洋料理です。ディルをお魚と一緒に焼くのはもちろん、ソースに刻んだディルを入れて使われたりもします。
香草焼き用に幾つかのハーブと調味料が一緒になった市販のシーズニングも売られているので、まずはそちらを利用してみるのも簡単でオススメです。
調味料も入っているので、お手軽にハーブを食卓に取り入れられます。
使い切れなかったディルは、ハーブサラダに。
残ってしまったディルの使い方はサラダが簡単でオススメ。そのまま野菜に混ぜてしまっても良いですし、葉を刻んでドレッシングに混ぜても美味しくいただけます。ディルはお魚だけでなく、お酢や野菜との相性も良いハーブです。
お刺身を使ってカルパッチョ風サラダにしてもいいかもしれませんね。鮮やかなグリーンと、枝分かれした小さく可愛らしい葉っぱは、いつものサラダを魅力的に演出してくれます。
ディルシードの使い方
種はピクルス液に香りづけとして入れるのが手軽でオススメの利用方法です。また、キャラウェイシードのようにパンやフォッカチャを焼く際に、風味づけに使用しても良いでしょう。多少香りは違いますが、フェンネルの代用としても使用することができます。
ディル/ディルシードの保存方法
ディルに限らずハーブやスパイス類は、なかなか1回で使い切れないことも多いですよね。続いて、ディルの保存方法についてご紹介いたします。フレッシュハーブとドライまたはディルシードで保存方法が変わってきます。
フレッシュなディルは冷蔵庫保存
生のディルの葉はとても乾燥に弱く、また乾燥するとせっかくの香りが飛んでしまいます。大葉などの生の薬味と同じように、湿らせたキッチンペーパーに挟んでジップロックやビニール、タッパーなどで冷蔵庫で保管しましょう。
また、早めに消費してしまうことを心がけ、一週間以内には使い切るようにしましょう。
冷凍保存する場合
冷凍保存する場合は、小分けにしてラップに包みジップロックなどの密封容器に入れて冷凍します。ただし香りを楽しむにはやはりフレッシュなうちに使い切ってしまうことがオススメです。
・種またはドライハーブの保存
種またはドライの場合は、高温多湿を避け密封容器で保管するようにしてください。スペースに余裕があればディルに限らず、スパイスは冷凍庫で保管するのがオススメです。
徐々に香りが飛んでしまうので、ホールスパイスの場合は2年くらい香りを保つことができると言われていますが、時々チェックをするようにしましょう。
栽培してガーデンハーブを楽しむのも素敵。
ディルは比較的育てやすいハーブです。種を手に入れてご自身で育ててみてはいかがでしょうか。使いたい時に使いたい量をお庭からとってこれるのも栽培している人の特権。
なお植え替えを嫌い、草丈は60~100cmほどに成長するので、日当たりの良い場所で屋外でプランターか地植えが良いでしょう。
ポッドごと植え替えられる苗も販売されています。なお、丈が伸びると倒れやすくなるので、草丈が20~30cmほどに成長したら、支柱を立てるか株元に土を盛ってやるようにしましょう。初夏には可愛いらしい黄色い小花が、まとまって傘を広げたように咲きます。
種まきの時期と育て方
春蒔は3月から5月、秋蒔は9月から10月が蒔きどきです。植え替えを嫌うので育てたい場所に直接種を蒔きます。30cm感覚で4~5粒ずつまとめて蒔いて、発芽したら間引いて育てます。
また、やや湿り気味の土壌を好む植物です。また、乾くとすぐに葉が萎れてしまうので、特に真夏は注意しましょう。土の表面が乾いてきたらたっぷりとお水をやります。
ディルシードを収穫しましょう
種を収穫する場合は、熟して褐色になった頃を目安に根元から刈り取って、風通しの良い場所で逆さにつるして乾燥させます。乾燥すると種が落ちてしまうので、種のついた部分を紙袋などで覆うようにすると良いです。
優秀ハーブ、ディルについてのまとめ
ディルはレストラン等では広く利用されているものの、日本ではまだそこまでメジャーなハーブとは言い難いかもしれません。ご紹介したようにお魚をたくさん食べる私たち日本人にとって、とっても気軽に取り入れることのできるハーブです。
身体にも良いことがいっぱいのこのハーブ、可愛らしいい葉っぱは、お料理の見栄えもグッと良くなるので、スーパーで見かけたら是非チャレンジしてみてください。
相性抜群のスモークサモーンとディルに、和食材のゆず胡椒を加えた一皿。レシピは下記のリンクから見ることができます。