栄養豊富な菊芋(キクイモ)を栽培しよう!
菊芋は2mほどの草丈に、秋になると菊の花に似た黄色い10枚の花弁をつける、茎や葉に小さなトゲがある植物です。日本には家畜の飼料として江戸時代末に伝えられましたが、太平洋戦争中に食用に栽培されたものが全国の山野などに広がり、現在は繁殖力の強さから特定外来生物に指定されています。
しかし、食用できるショウガのような形の"芋"が美味しいと評判です。スーパー―フードともいわれる豊富な栄養と美味しさから、近年注目されています。
菊芋に含まれている栄養成分
菊芋の"芋"に含まれている主な成分は、イヌリン・オリゴ糖・食物繊維・ミネラルなどとなっています。特に、血糖値やコレステロール値の上昇を抑制する効果が期待されているイヌリンが13~20パーセントもある点や腸内環境改善効果の高い食物繊維も多く含まれる点など、スーパーフードといわれる理由です。
食べ方は、煮たり焼いたり漬物にしたり、さらにお茶にしたりといろいろな方法で楽しめます。ぜひ毎日の食事に摂り入れてみてはいかがでしょうか。
菊芋の基本的情報
キク科ヒマワリ属の宿根草である菊芋は、名前の由来は単純で、菊に似た花と芋ができることからとされています。よく似ている植物では、同じくキク科オオハンゴンソウ属のオオハンゴンソウやオオキンケイギクがあります。
多年草ながらも菊芋の栽培は連作障害が少なからずあるようです。育て方は簡単ですが、地面に植え付けるときはこの点に注意してください。さらに繁殖力が強いという性質上、できれば鉢やプランターに植え付けて収穫するとよいでしょう。
菊芋(キクイモ)の収穫適期や収穫方法
①菊芋の収穫時期
菊芋の具体的な収穫時期はいつなのかというと、早い地域では11月に入ると収穫でき、雪の降らない本州の暖かい地域の収穫は3月頃までです。原産地が北アメリカということからもわかるように冷涼な環境を好む菊芋は、最低気温が17℃を下回ることで根茎が太くなる寒冷地向けの作物といえます。
黄色い花が咲き終わる頃が収穫の目安といわれている点と収穫時期が長い点から、栽培適地では収穫に対してはそれほど神経質になることはありません。
②菊芋の収穫方法
菊芋はコブのような根を収穫して食用にする植物のため、収穫時には根を傷めないようにすることが大切なポイントです。ジャガイモやサツマイモのように鈴なりに付けるタイプではありません。
収穫時は、まず菊芋の株の周りに優しくスコップの刃先を入れて土を崩してください。それから芋の部分を傷つけることのないように丁寧に株ごと掘り上げて収穫します。ある程度までスコップで掘り上げた後は、手で泥を取り除て収穫するとよいでしょう。
③菊芋の保存方法
菊芋を収穫したあとは生のままでの保存は難しいため、掘り上げた後は再度土に埋め戻すことがベストです。または土を付けたまま、新聞紙に包むか冷蔵庫の野菜室で保存してください。
収穫後の下処理による保存方法としては、皮を剥いてからスライスして冷凍するのもおすすめです。さらに天日干しにしてドライフードにし、透湿性のある紙袋などに入れて冷暗所で保管する方法もあります。収穫後は賢く保存し、いつでもいろいろなお料理に活用してください。
菊芋(キクイモ)の栽培方法や栽培場所
①栽培上の注意点
多年草の菊芋は、国の外来特定生物に指定されていることからもわかるように非常に繁殖力が強いことから、栽培に当たっては充分な注意が必要です。半径50㎝四方に伸びながら広がって野生化し、一度生息域を広げると駆除が難しくなります。
そのためガーデニング野菜として楽しむときは、収穫時に土の中に根を残さないようにしてください。さらに収穫時の手間も考えて他の作物と離して栽培するなどが大切なポイントです。
②菊芋の植え付けは植木鉢がおすすめ
菊芋は特定外来生物に指定されていることから、生産者以外が種芋や苗を植え付けるときは、直植えよりも深めの植木鉢での栽培がおすすめといえます。たくさん収穫したいときは、植木鉢ではなくプランターで植え付けるとよいでしょう。
草丈を四方に伸ばす菊芋は鉢一つに対して、種芋が1個、またはポット苗1株が目安です。収穫量を増やすためには、植え付ける場所を考えることも大切になります。
③菊芋の栽培方法
菊芋の栽培は日当たりがよくて水はけのよい場所にします。種芋や苗の植え付けは、寒冷地は4月中旬~6月上旬、暖地や中間地は2月下旬~4月中旬頃です。菊芋は河川敷などの荒れ地でも生える植物のため、市販されている野菜用の培養土で構いません。
植木鉢やプランターは、深さ30㎝以上・直径40㎝以上のものがベストです。複数の株を植え付けるときは、種または株間を20~30㎝離してください。さらに種芋の場合は土を5㎝ほどかぶせます。
種芋が発芽したとき
種芋から菊芋の新芽が発芽したあとは、種芋1個に対して芽が2~3つになるように間引いてください。他の植物も同様ですが、こうすることで菊芋の残りの芽に充分な栄養が行き渡り、収穫時期にはしっかりした菊芋が育ちます。11月~3月の収穫時期を楽しみに、細かい点に気を付けて育ててください。
菊芋(キクイモ)の水やりや肥料などの管理
①菊芋の水やり
菊芋は荒れ地でも自生する植物ですが、鉢植えやプランター栽培では水やりが必要になります。いつ水やりが必要になるかというと、表土が乾燥してからで問題ありません。
乾燥に強い菊芋は過湿を好まないため、乾き気味でも栽培が可能です。菊芋の水やりは神経質にならなくてもよいので、とても育てやすい作物といえます。
②菊芋の肥料
菊芋の肥料は、元肥として10リットルの用土に5~10gの化成肥料を混ぜるだけで問題ありません。その後の追肥は不要なため、菊芋は育て方がとても簡単といわれる理由です。
さらに畑に他の作物を植え付けした土では新たに施肥をしなくてもよく育ち、収穫を期待できることでしょう。これらの点からも育て方は難しくない作物です。
③菊芋の病害虫対策
菊芋の育て方は非常に簡単といわれているように、収穫まで病害虫の心配もありません。荒れ地でも丈夫に育つ植物らしく過保護にする必要はなく、余計な経費を掛けずに済みます。
しかし菊芋は茎が2m以上になることもあるため、大きくなってきたときは倒れないように収穫まで、株の周りに支柱を立ててビニールテープや麻ひもなどで囲みます。また株元の日当たりもよくあんるため、ぜひ行ってください。
④菊芋の剪定や摘芯
菊芋は茎が2m以上に伸び、さらに四方に茎葉を伸ばすことからガーデニングのスペースを占領してしまいがちです。そこで邪魔になるときは、半分ほどの背丈に切り戻すことをおすすめします。
芋を収穫するのではなく花を観賞するために栽培しているときは、枯れた花を小まめに摘み取ると長く秋まで楽しめることでしょう。
菊芋(キクイモ)の楽しい食べ方5選
菊芋を無事に収穫できたあとは、いろいろな料理に挑戦してみてください。自分で栽培して収穫した菊芋でつくる料理はさらに味わい深く感じられそうです。人気の料理サイトから、多くの人に指示されているおすすめレシピをご紹介します。
①菊芋のきんぴら
菊芋を始めとする根菜類の定番レシピといえば、きんぴらを挙げる人が多いようです。菊芋は収穫後すぐに生でも食べられますが、火を通したホクホク食感も人気があります。
万能調味料のめんつゆで味を調え、風味づけに少しだけごま油を使うのがポイントとのことです。菊芋の持ち味であるシャキシャキ感も生かされたレシピになっています。
材料:●菊芋…550g ●ごま油…大さじ1/2 ●米油…大さじ1/2 ●めんつゆ濃縮4倍…大さじ2 ●一味…お好み
詳しい作り方はクックパッドで!
②菊芋のしょう油漬け
菊芋のしょう油漬けは、シャキシャキした菊芋ならではの食感を楽しめる一品です。漬け用の調味料は、しょう油の他にみりん、酒、甘味料などで作る自家製となっています。この調味料に1時間ほど漬け込んで、ご飯も進むという美味しい菊芋のしょう油漬けの完成です。
材料:●菊芋…50g(大一片)●醤油…1/2カップ(100ml) ●みりん…大さじ4 ●酒…大さじ2 ●砂糖(ハチミツ)
大さじ2
詳しい作り方はクックパッドで!
③菊芋の甘辛揚げ
炒めても漬けても美味しい菊芋は、もちろん揚げても美味しい食材です。料理のポイントは、余った手羽先の唐揚げのたれを再利用してあること。手羽先と同じように菊芋をカラッと揚げた後、余った甘辛いたれに漬けこんであります。ご飯もビールも進む、子どもも大人も大好きな一品です。
材料:●菊芋…約500gくらい ●片栗粉…大さじ2
【調味料●砂糖…大さじ1 ●みりん…大さじ2 ●料理酒…大さじ2 ●しょう油…大さじ2 ●にんにくチューブ…小さじ1/2 ●しょうがチューブ…小さじ1/2 ●いりごま…大さじ2 ●サラダ油…適量
詳しい作り方はクックパッドで!
④菊芋の煮物
こちらのレシピは、菊芋は煮物にしても美味しいことが証明されたレシピです。長いものようにシャキシャキとろとろとのこで、いろいろな料理に合う菊芋の真価が発揮されたといえるかもしれません。
圧力鍋を使えば時短になり、さらに美味しくいただけます。皮が食べるときにするっとむける点も、煮物のよいところです。
材料:●菊芋…1袋(好きなだけ) ●創味のつゆ…大さじ1 ●水…150cc
詳しい作り方はクックパッドで!
⑤菊芋とキュウリのサラダ
他の料理と同じく菊芋の皮を剥かずに調理できる簡単レシピです。キュウリと共にシャキシャキした菊芋の食感を楽しめる一品となります。ごま油とキムチの素を入れることで中華風になり、メインの餃子によく合う料理になったそうです。
材料:●菊芋…大2個 ●きゅうり…1本 ●春菊…少々
●ごま油…大さじ1 ●キムチの素…大さじ1 ●煎り胡麻
…大きじ1
詳しい作り方はクックパッドで!
菊芋(キクイモ)を食べて健康になろう!
菊芋の収穫はいつなのかというと、地域によりますが11月~3月までとなります。特定外来生物に指定されていることから栽培は注意が必要なこともあり、たくさん収穫するならば底の深いプランターがよいそうです。
血糖値やコレステロールを下げるといわれているイヌリンの他に、さまざまな栄養素が含まれています。ショウガのような見た目をしていますがクセがなく、シャキシャキした食感が人気の菊芋をたくさん収穫して美味しくいただいてください。
ヤーコンが気になる人はこちらをチェック!
菊芋と同じくキク科の植物で根が食用になるヤーコンは、やはり11月頃が収穫時期の根菜類です。栄養効果もよくシャキシャキした食感も美味なため、さまざまなお料理に活用できます。ヤーコンのレシピや栽培方法などは、ぜひこちらの記事をチェックしてみてください。

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出典:ライター撮影