はじめに
きゅうりなどの生育を阻害するワタアブラムシ
アブラムシは種類も個体数も多く、ほとんどのどんな植物にも付き被害を与える害虫です。そのなかのひとつにワタアブラムシという種類がいます。
雑草の影で冬でも生き延びて春から飛来してきゅうりなどの野菜や果樹・花などに被害を与えるため、なかなか駆除が完了しない害虫としても知られる虫です。
ワタアブラムシの生態や被害・駆除方法を解説！
有翅個体に生育し広範囲に移動して被害を広げることもあるワタアブラムシ。この虫の特徴や見た目・被害の状況やワタアブラムシの駆除方法を詳しく解説します。
後半ではワタアブラムシの絶滅にも有効な効果的な農薬一覧も掲載しますので、薬剤の耐性をつけない殺虫剤のローテーション散布にもお役立てください。
特徴や生態などワタアブラムシの基本情報
アブラムシは非常に種類の多い害虫で、種類によって駆除方法や効果のある農薬も変わるものもいます。今困っている害虫をワタアブラムシと断定する見た目の違いや、この個体の基本情報を知っていると見分けやすくなるでしょう。
ワタアブラムシの基本情報
| 分類 | カメムシ目アブラムシ科 |
| 分布 | 世界全域 |
| 大きさ | 約1.3ミリ程度 |
| 基本的な色 | 薄緑 |
名前の由来ともなったワタアブラムシの見た目の特徴
アブラムシ類は非常に種類が多いですが、その中のワタアブラムシは足や触覚と体から出ているものがすべて短く、ぱっと見た目はそれらが確認できにくくゴマのような形をしています。
アブラムシでも足が長く緑の蜘蛛のような形をしているものもいるため、この形は似た色のアブラムシの種類を断定するのに効果的。色は基本は薄緑ですが黄色・緑・青みがかった緑などです。
駆除がやっかいなワタアブラムシは雑草で越冬する害虫
アブラムシは昆虫なので冬になると卵や胎生の形で越冬します。第一世代が発生したときにはメスのワタアブラムシのみで、秋までにメスだけで生んだ卵からオスが発生した時には卵で、オスが発生しなかった時は胎生で冬越しをするというパターンです。
卵で冬を絶えた個体は4月に孵化し5月ころに有翅胎生に成長。雑草から飛来して餌を求めて移動します。
特定の植物を中間宿主とする種類もいる
ワタアブラムシの1年のサイクルは上記のようなパターンだけでなく、中には特定の植物のみにいるもの・決まった植物を中間宿主として冬を越すものも存在します。
そのため直接被害にあっている植物だけを駆除すればよいという単純なものではありません。
しかしこれらは花木であるムクゲに発生して冬になっても他の植物に決して付かないもの・いろいろな植物に付くが中間宿主をコスモス・百日草に限定するものです。
具体的なワタアブラムシの被害と駆除方法
ワタアブラム被害例
吸汁して植物を生育をにぶらせるのがアブラムシ類の基本的な被害です。きゅうりなどの植物に付くワタアブラムシの被害では、糞によるすす病の発生・新芽特有の被害としては成長後の葉のちぢれや奇形などもあげられます。
ワタアブラムシの駆除方法1.
駆除の基本は畑や家の近くの雑草を徹底的に除草すること
ワタアブラムシはオオバコなど冬でも枯れない雑草の下で越冬します。また雑草から野菜や園芸植物に移動してくるため、付近に雑草があるとワタアブラムシが飛来しやすくなります。駆除のためには雑草はこまめに抜くようにしてください。
ワタアブラムシの駆除方法2.
作物被害には防虫網を貼る
他人の敷地など雑草があり勝手に入って処分できない場合は、守りたい作物や花で対策する必要がでてきます。簡単にできる方法として防虫網を張るのが一般的な予防・対策方法です。特にワタアブラムシが有翅胎生となり移動を活発におこなう春には、しっかりと予防してください。
ワタアブラムシの駆除方法3.
天敵となる生き物を放って駆除する
ワタアブラムシ駆除には天敵による駆除が活発におこなわれます。この昆虫の天敵はコレマンアブラバチ。このような天敵による駆除のことを生物農薬と呼びます。
畑や庭にコレマンアブラバチを放し飼いにして、殺虫剤などを使う場合もこの昆虫に被害を与えないようなものを選んでください。
ワタアブラムシ駆除に効果的な薬剤・殺虫剤
ワタアブラムシは非常に発生件数が多く、野菜栽培やガーデニングをされる方にとって問題となる害虫です。そのためたくさんの薬剤や手軽に使える家庭用の殺虫剤なども販売されています。
最後になりますが数多く販売されているワタアブラムシに効果のある殺虫剤・農薬の中からホームセンターや園芸店・通販で手に入りやすいものをごらんください。
ワタアブラムシ駆除の薬剤と殺虫剤1.
アルバリン顆粒水溶剤(スタークル顆粒水溶剤)
アルバリン顆粒水溶剤
出典:Amazonスタークル顆粒水溶剤と同等の農薬です。特にきゅうりに付いたワタアブラムシに効果のある殺虫剤として知られているもの。オルトランなどと同じく浸透移行性の薬剤となっています。ワタアブラムシの天敵に被害を及ぼしにくい薬剤として人気の農薬です。
ワタアブラムシ駆除の薬剤と殺虫剤2.
ベストガード水溶剤
ベストガード水溶剤
出典:Amazonクロロニコチニル系の殺虫剤で、浸透移行して的確に吸汁・食害をおよぼす害虫を駆除してくれる殺虫剤となっています。ワタアブラムシのほかにカメムシ・アザミウマ類の害虫にも効果があるものです。
こちらもアルバリン顆粒水溶剤と同じく浸透性の農薬で、葉に直接噴霧したり土に混入させるといった使い方ができます。
ワタアブラムシ駆除の薬剤と殺虫剤3.
コルト顆粒水和剤
コルト顆粒水和剤
出典:Amazon昆虫の動きを制御する働きがある新しいタイプの殺虫剤です。ほかの殺虫剤耐性を付くのを防ぐためのローテーション剤としても活用します。ワタアブラムシのほかにコナジラミやカイガラムシ駆除にも効き目がある薬剤です。
ワタアブラムシ駆除の薬剤と殺虫剤4.
ウララDF
ウララDF
出典:楽天アブラムシの駆除に効果の高い殺虫剤ですが、アザミウマやコナジラミなどにも効きます。野菜・お茶・果実などに利用可能(ご利用の際はパッケージの対応植物の種類や使い方をよくご確認ください)です。
ワタアブラムシ駆除の薬剤と殺虫剤5.
ベニカXファインスプレー
ベニカＸファインスプレー
出典:楽天水で溶いて噴霧する薬剤を作る手間がかからない、使いやすいスプレータイプの薬剤です。ワタアブラムシのほかにハダニなど多くの害虫に効果があるだけでなく、うどんこ病対策農薬としても使える一本となっています。
作物に使う場合は薬剤の残留期間にも注意する
農薬の種類や植物によって作物の中に薬効が残留する期間が違います。野菜や果樹など口にするものに使用する場合、パッケージなどで収穫○日前までの散布が可能か確認の上注意してご利用ください。
まとめ
ワタアブラムシの越冬には注意！
今回はワタアブラムシの生態や被害・駆除方法と有効な農薬類のご紹介をしてきました。これらの害虫は冬になると活動を休みますので、一見駆除したと勘違いしてしまうことも多々あります。
しかしオオバコなど、地面に張り付いて冬の間でも枯れない雑草の下で越冬します。寒くなったからと安心してしまわずに、こまめな除草でワタアブラムシを根絶やしにしていきましょう！
農薬を使用する際は必ず散布する植物に対応した薬剤を適量利用するようお願いいたします。
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