テントウムシダマシとは
草食性のテントウムシの別称
テントウムシダマシは草食性のニジュウヤホシテントウ、オオニジュウヤホシテントウの別称です。れっきとしたテントウムシの一種ですが、騙しと呼ばれているようにテントウムシではないような扱いを受けています。
テントウムシ(ナナホシテントウやナミテントウなど)は、害虫となるアブラムシを食べてくれる液中です。一方テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)は、野菜を食害する害虫になるため騙しという呼び方をされています。
茶色に黒の点は害虫のテントウムシ
テントウムシダマシ以外は作物につくアブラムシ、カビ(うどんこ病の原因)、カイガラムシを食べる益虫です。そのため、テントウムシダマシを駆除するときは、きちんと見分けられるようにしておきましょう。
害虫か益虫か見分ける方法は、茶色い色に黒い斑点が28個あるか確認するだけです。益虫のナミテントウには黄色地に多数の黒の点、赤地に多数の黒の点、黒地にオレンジの多数の点をもつものもあり少し似ているため注意しましょう。
テントウムシダマシは光沢がない
斑紋の数を数えるのは大変なため、テントウムシダマシのもう一つの特徴も一緒に覚えておきましょう。テントウムシダマシには微細な毛が生えていて光沢がありません。ナミテントウやナナホシテントウなどは斑紋が似ている場合でも光沢がはっきりとあります。
テントウムシダマシの生態
成虫・幼虫共に害虫
テントウムシダマシは成虫でも幼虫でも害虫になるため注意しましょう。発生サイクルは年に2~3回程度となり、4月以降の暖かい時期に発生します。他の昆虫と同じように寒くなるまで発生することから、温暖な地域では10月まで被害を受ける可能性があり作物の様子は定期的に確認しましょう。
卵から幼虫、蛹を経て成虫になるため卵の時点で適切な駆除ができると被害を未然に防げます。
幼虫の特徴
テントウムシダマシの幼虫は棘の生えた厚みのある小判型の形状をしています。色は黄色く棘は黒いためよく目立ちますが個体差もあるため色と形で覚えるといいでしょう。体長は、孵化してからすぐの状態では1.5mm程度ですが、蛹になる直前だと6mm程度まで大きくなります。基本的に葉の裏に群棲していることが多いです。
益虫のテントウムシと比べテントウムシダマシの幼虫は大きく姿が異なるため簡単に見分けられます。
被害受ける野菜・作物
被害を受ける野菜はナス科の野菜、ウリ科の野菜となります。トマト、ピーマン、じゃがいも、きゅうりなど夏野菜と発生時期が重なっているため注意しましょう。テントウムシダマシは草食性のため野菜の葉が葉脈だけ残すように食べられます。
葉脈だけ残す特徴的な食べ方をするため、被害に遭うと気付きやすいです。また、成虫に関しては葉だけではなく実自体も食べられるため、実に傷ができてしまいます。
テントウムシダマシの駆除方法
寄り付かないようにする
防虫ネット
駆除方法ではありませんが、苗が小さいときはテントウムシダマシを寄り付かないように、防虫ネットを使うといいでしょう。防虫ネットは、網目が細かいためニジュウヤホシテントウが網の中に入ることはありません。防虫ネットは他の害虫の被害も防げるためおすすめの方法です。
注意点としては、きゅうりやトマトのように高くなる作物は成長すると使いにくくなります。確実に防除したい場合は、農薬(殺虫剤)を使用したほうがいいでしょう。
捕殺による駆除がおすすめ
テントウムシダマシは捕殺による駆除がしやすい害虫です。卵の状態で見つけられると一網打尽にできます。テントウムシダマシの卵は他の害虫と同じように葉の裏に産み付けられることが多く、4月以降は葉の裏をこまめに確認しましょう。1.5mm程度の小さい卵ですが、黄色いため目立ち、一箇所に付き20個ほどの卵がまとまってあります。
卵が見つかれば、葉ごと切り取ってしまえば駆除完了です。
幼虫の駆除
幼虫の駆除も捕殺できます。幼虫は飛ぶことはないためガムテープなどを使って駆除していくか、葉ごと切り取って駆除していきましょう。群棲していることが多いため葉ごと切り取って駆除すると一気に対処できます。
網目状に食べられていたり、葉脈だけ残っている葉がある場合は裏にテントウムシダマシの幼虫がいる可能性が高いです。テントウムシダマシは、野菜の様子をこまめに確認しておくと被害が大きくなる前に未然に防げます。
成虫の駆除
成虫の駆除にも捕殺が有効的です。成虫は幼虫と比べると少し難しく、危険を感じ飛んで逃げることもあります。そのため、一気に駆除する難しいです。
捕殺方法としては、直接捕まえるか作物を揺らして落ちたろころを拾うという形になります。揺らすときにあらかじめ、容器を構えておくといいでしょう。取り逃がすと再び被害に遭うので、成虫を捕殺する場合はこまめに何度もする必要があります。
防除のコツ・ポイント
被害をあらかじめ防ぐ防除のコツとしては、越冬したテントウムシダマシが一番最初により付くじゃがいもの近くに他のナス科の植物、ウリ科の植物を植えないようにしましょう。また、風通しをきちんと確保し株間を詰めないように注意して植えましょう。
風通しが悪いとテントウムシダマシだけではなく、他の害虫や病気の発生原因にもなるため風通し、日当たりをきちんと確保して栽培することが防除のコツとなります。
駆除のコツ・ポイント
こまめに確認してながら駆除するのがコツです。農薬を使わない対策方法は、捕殺が有効的になります。テントウムシダマシの成虫を捕殺で駆除する場合は、日中を避けるといいでしょう。暖かい時期に活発になるため朝夕の気温が低いときがおすすめです。気温が低いと、運動量が落ちるため近づいても飛ばれる可能性が低くなり駆除しやすくなります。
テントウムシダマシは大量に発生しますが、防除と駆除の2つの対策をすることで食害を防げますよ。
駆除できる農薬
はじめに
テントウムシダマシ対策に農薬(殺虫剤)を使うときは必ずラベルを確認し適応している作物に使いましょう。農薬は自然への影響力が強いため使い方(いつ、何度までつかえるか)がきちんと決められています。収穫直前まで使えたり、収穫の10日前まで使えたりと作物の種類によって大きく使い方が異なるため注意しましょう。
植え付けたときのみ、植え付けから収穫まで全体を通して3回までというパターンもあります。
テントウムシダマシに有効な殺虫剤
テントウムシダマシの駆除に使う農薬は、作物で使い分けるようにするといいでしょう。例えば住友化学園芸から発売されているオルトラン粒剤は、根から薬剤が浸透し葉を食べる害虫の駆除に有効的ですが、テントウムシダマシ駆除に使えるのはじゃがいもだけです。
同じようにスミチオン乳剤はテントウムシダマシの駆除に使えますが、じゃがいもには対応せずナスで使える薬剤となります。テントウムシダマシ駆除に使える薬剤は多いです。
小さな家庭菜園にはスプレータイプもおすすめ
乳剤は水で希釈すするタイプの薬剤です。そのため、作るのが面倒という方にはスプレータイプの農薬がおすすめになります。例えばベニカAスプレーは、ナスとじゃがいもにも使えスプレータイプのため害虫がいるところに直接振りかけるだけです。簡単に駆除できるため小さな菜園では使いやすい農薬になります。
植えている箇所が多いと粒剤や乳剤のほうが使いやすいです。
駆除対策のまとめ
群棲するので一気に駆除する
テントウムシダマシは一度に20個ほどの卵を産み付けるため放置すると一気に被害が増えます。こまめに葉の裏などを確認すると被害を未然に防げますが、大量に発生した場合は農薬を使って対処しましょう。
葉が食べられることで光合成できなくなり、株が弱り生育不良になります。早め早めに対策することが、テントウムシダマシ駆除のポイントです。テントウムシダマシ以外のテントウムシは益虫のため間違って駆除しないようにしてくださいね。
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出典:unsplash.com